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AIが導く人類史上初の大変化を日本のチャンスに~目先の減税論を超える新たな仕組みと未来を問う政治を~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 5月19日
  • 読了時間: 11分

最近、政界で急浮上しているのが、参院選惨敗必至の自公と立憲民主党との参院選後の大連立だそうです。この17~18日の週末に行われたどの世論調査も示すのが内閣支持率の更なる低下であり、消費税の減税を求める国民が多数であること。しかし、選挙を前に気持ちが揺らぐ石破総理を、財政規律派の森山幹事長が消費税減税無しで説得したとか…。


これで自民が敗けても、総理は誰でもいい、財政規律派の野田氏を総理に。立民の公約の食料品税率ゼロも1年なら傷は浅く、その後は悲願の消費増税へとの見立てだそうです。


喜ぶのは財務省。確かに、トランプ関税の混乱で金融市場では米国債売りの動きが出て、相互関税も90日の停止に追い込まれたように、大幅な減税や積極財政に不可欠な国債増発がそう簡単ではないことも事実です。かつては日銀が大量の国債を買ってくれましたが、昨年7月からは、その頼みの日銀も国債購入量を減らし始めました。財務省自身がそんな壁に直面する中で、財政規律派による政権が誕生することは救いだということになります。


これまでと違って金利がある世界を甘くみてはいけない、将来の世代に対する責任だ…こうした石破氏の発言には頷く方も多いでしょう。ただ、現在の国民に対しても政治は責任を負っています。国民経済は痩せ細り、海外勢がのさばっている、このままでは日本が日本でなくなる…この点では最近、次のようないくつかの気になるニュースもあります。


日本の国民健康保険を使って日本の医療機関で受診する中国人が急増、これ、日本国民の負担では?滞在先ホテルを住所にして日本の運転免許を取得する外国人が激増…他方で、子どもたちの幸福度が先進国の中で日本はかなり低いという調査が出たかと思えば、昨年の合計特殊出生率は1.15と過去最低、出生数もついに70万人割れ…。


選挙向けに食料品の消費税率を1年か2年ゼロにしたところで、消費税率を一時的に5%まで引き下げたところで、日本の未来に向けた上昇曲線が見えないままでは、そして日本の国に誇りを持てないようでは、子どもを産んで幸せに育っていく展望が描けますか?こちらも将来の世代に対する責任。未来への希望と、その道筋を描くという政治の役割が果たされていません。いまの行き詰まった仕組みを根本から変える政策論が必要なはずです。


参政党は現状で46・2%の国民負担率を35%に引き下げ、将来にわたりその比率でキャップをかける政策を提案しています。そのための王道が一人当たり生産性の飛躍的上昇によって分母の国民所得を上昇曲線に乗せること。これを実現するために必要なのが国家による投資であり、積極財政です。財源として増発される国債については日銀に大量購入を再開してもらうしかありません。そして、国債の概念そのものを変える必要があります。


それは、国債とはそもそも政府が発行するマネーの一形態であり、現状の国債を、金利がつかず元本返済の義務もない「無利子永久国債」(=通貨)へと転換していくという考え方です。これを日銀保有国債の償還の形で実施すれば、国の借金はおカネ(デジタル円)に変わり、これを日銀が市中銀行を通じて民間の両替需要に応じて供給することとすれば、国債発行には出口ができ、積極財政への道が拓かれます。一種の国債のデジタル化です。


その供給量は両替需要で決まりますから、それ自体は通貨総量を増やすことはなく、インフレにはなりません。国の借金を減らすことを使命としている財務省だけでなく、自らの保有国債を減らしたい日銀も大喜び、国民にとっても便利なおカネが生まれる、この松田プランで「三方よし」、皆、納得のソリューションとなり、国の政策が前進します。


こうした出口を想定しながら、当面5年間ぐらい、国債大増発による国家投資で日本経済を「異次元」の領域に到達させてはどうでしょうか。そこでは、国民負担率をここまで上昇させた人類史上未曽有の超高齢化を克服するに足る社会保障財源が賄われるだけの富が、経済の生産性の飛躍的上昇で生み出され、政府のイニシャル投資で拓かれたフロンティアに向けて民間投資が先導する自律的な成長経路が実現されているでしょう。


私がこのように提言するのは、現在、ものすごい速度で進化を遂げているAIが、これから5年も経つと、人類社会の景色を異次元の領域へと変え始めていると考えるからです。ここに向けた政府による集中投資の対象とは、ズバリ、日本型AIや肉体労働を担うロボット(フィジカルAI)の開発、ブロックチェーンなどの情報技術の社会基盤化です。


AIの飛躍的発達で人類社会には非連続的な変化が急激に訪れます。「超知能」に先に到達した国の思想で新たな世界秩序が創られる…トランプ政権の最大の狙いは、これを全体主義の中国に担わせないこと。相互関税など様々な政策も、目的はこの点に特化している。


こう喝破するジャーナリストの山口敬之氏はかねてからAIの研究を重ね、ご自身のCHでも発信しておられますが、松田政策研究所CHでの私との対談で、「初めて理解できた」との反応をあちこちからいただいています。今回は以下、その内容をご紹介します。


●トランプ政権の考えるAIと新たな地球文明

トランプ政権が考えるAIの最終形は、中国が開発すればそうなるであろう、AIに支配された無個性の人間たちではなく、大日如来のもとで個々が自由に生きる「八紘一宇」型、イーロン・マスク氏が日本の禅や真言密教を研究している理由がここにあるそうです。


私はかねてから、これまでの西洋文明の競争型文明から、これからは日本が古来営んできた協働型の文明に転換する、日本は新たな地球文明の先導役となる使命を担っていると唱え、そのような国づくりが政治の本質的な目的だと唱えてきました。これが実は、日本型「超知能」への到達に伴って実現するということになります。


山口氏との対談のもう一つの柱は、汎用AIの進歩の過程で生産性が極度に上がって実現する「限界費用ゼロ社会」。常温核融合の実現でエネルギーも食品もコストゼロに…。この名を冠したリフキンの著作が、実は、私の「松田プラン」の思想的な土台になっているのですが、山口氏からは、まさかこの話が私から出るとは…とのご反応でした。


人類が迎えるコストゼロ社会を、共産主義ではなく、これも日本が古来から営んできた「協働型コモンズ」の形で迎える。これも日本の使命です。参政党結党の理念の一つがここにあると考えています。これからの政治を考える上でも欠かせない対談になりました。


●トランプ関税は経済的グローバリズムからの脱却を目指すもの

そもそもトランプ大統領の政策は非難轟々ですが、山口氏によると、「トランプ関税は米国のエゴイズムだとの報道は間違いだ。米国に何の利益?経済的に混乱することは分かっている。その意図は経済的グローバリズムからの脱却だ。グローバリズムはDSによってつくられた誤った考え方。だからDSによってつくられた政府機関を次々と廃止。これが政治的グローバリズムからの脱却。次が経済的グローバリズムからの脱却。」


「トランプ政権が目指すものは、マスク氏が記したラテン語の通り、1ドル札の下と同じ。『新世界秩序』。世界の搾取は1913年にスタートした。FRB(中央銀行)が設立された年、所得税の導入も決まった年。これがDSによる国民への侵略の始まり。FBI、CIA、FRB、国連…この第一次大戦の少し前からできた秩序を破壊しよう。」


「経済的グローバリズムもGATT、IMF、国連…第二次世界大戦はブロック経済が元だという見方もDSによる洗脳だ。共産主義者に世界覇権を渡してはいけない。しかし、グローバル経済は中国なくして立ち行かない。」


「DSとしては、米ドルを刷ればいい、世界から買えばいいと。地球は一個で分業しようと。それは幻想だった。中国がないと立ち行かない経済は、中国と闘えない。グリーンランドもレアアース中国独占体制を崩すためのもの。」


●汎用AIができると…新しい世界秩序を中国の超知能が創る?全体主義の脅威を阻止!

「もう一つの側面は、新しい世界秩序。それは超知能が創る。マスクやベッセント、ピーター・ティールはシンギュラリタリアン。汎用人工知能が新世界秩序になると確信しているのがトランプ政権。汎用AIに向かって中国が爆走。トランプは焦っている。」


「最終的な汎用AIが一個できると、それがゴールになるから、中国がやると世界がディストピアに。AIは赤ちゃん。ものを教える。生成AIはインターネットから情報を拾って、と。赤ちゃんがどんどん賢くなる。汎用AIができると教師が要らなくなる。自分で出来る。」


「ちゃんとした教育をしないと、AIがグレる。偏ったAIは偏った人間と同じだから、民主的な教育を受けたAIを創らねばならない。これがトランプ政権の課題。米中に他国は追いつけない。『ワシントンDCを世界のAIの首都にする』と。就任の翌日に。」


「今のAIはある目的でデザイン。人間がセットした目的で勉強。これに対し、汎用AIにはテーマは不要。世界中の英知を集めてもかなわない優秀さ、価値観も自分が持ってしまう。暴走する。中国が教育したAGIが世界の新秩序を創ると全世界が不幸になる。」


「相互関税も、その目的に特化している。中国は臓器売買。AIには、ノイマン型の発展の道と量子からのアプローチのほかに、人間の脳をコピーする行き方がある。ニューロンのシナプス結合ができる赤ちゃんを創ってAGIを完成させるほうが速いと。米国では倫理的な問題でできないが、最近の中国では臓器売買が増えているとも。」


「スーパーコンピューターの性能を中国は発表しなくなった。潜り始めた。やわらかいAGIを創るには、人間改造、脳まで改良、脳を模倣、脳を使って人間の脳を改造、デバイスをつけて脳を加速させる。優秀な人間を創って外から加速するほうがノイマン型よりも速いだろうと。民主国家ではムリ。そのアプローチができているのは中国だけ。」


「AI界隈では、急がないと中国に先にゴールを切られるかもしれないとも言われている。中国共産党の論理で創られたAIが新しい世界秩序を創ってはいけない。だから、中国の経済力を落とすべし、ということになる。」


●トランプ政権が考えるAIの思想は日本古来の思想…真言密教の大日如来と即身成仏

「米国の考えるAIの考え方。マスクは、開発は慎重にと。温かい家庭で育った広い心を持った道徳な人がAIを育てなければならないと。だから民主的。全宇宙のためにニュートラルであるための学習をさせねばならない。」


「DSの手先としての共産主義でなく、新世界秩序をどっちが取るかの最終戦争だと。悪意のない特定の意図のない育て方をしないと。悪意をもって育てるとそういうAGIになってしまうと。」


「マスクは、日本が人口減少して、かけがえのない日本文化が消滅するのは世界的損失だとしている。五鈷杵、真言密教のあの仏具、全ての人の心には大日如来がいる。世界の全ての宗教を統合できる。日本に来るたびに密教寺に。生きたその身のまま神と繋がれる。」


「これはシンギュラリティの世界。平和で争いのない形での世界平和、即身成仏。京都、高野山、仏教寺院に行っている。五鈷杵は空海坐像の殆どがもっている。」


「AGIとつながりを持つことが人類の最終形、それとのつながり方で、それぞれの個性が輝く。それに対し、奴隷のようにつながる無個性、AGIの体質ではそうなりかねない。そうではなく、全ての人に神がいるとなると、支配されない。これがゴール。」


「シンギュラリティは、ユートピア派とディストピア派に分かれる。前者が勝たねばならない。日本もトランプ政権と共同歩調をとるべし。ハードウエアのAIのほかに、日本が2600年引き継いできた日本文明。シンギュラリティの相和して進んでいく生き方を一番理解しやすい思想。最終的な真言宗の終着点が日本だった。」


●AIが導く限界費用ゼロ社会を共産主義ではない協働型コモンズにするのは日本の使命

「常温核融合もAIの発達で実現される。そうなるとエネルギーの限界費用はゼロに。シンギュラリティに至る手前でそうなる。今までの人間社会はゆっくりと進化したが、革新的な技術が次々と現れるのがプレ・シンギュラリティ。いちばん重要なパラメーターができないからできていない。パラメーターをうまく合わせれば常温核融合が実現。」


「今のコンピューターではそのシミュレーションができない。性能が上がっていくと、そのボトルネックは解消。そして農業。コメに合った周波数帯が今のコンピューターではわからない。レタスはできた。コメができたら、室内で。ビルを建てるだけで110倍収量が増す。」


「こうして、エネルギーも食料品も限界費用ゼロに。人間が生きるコストがなくなる。限界費用ゼロ社会。リフキンの『限界費用ゼロ社会』。競争よりも協働、あれをどう読むか。見方によっては共産主義に近い。中共が最終的に共産主義が勝つと言うのは、これが根拠。」


「ベーシックインカム、全ての生産手段が無価値になり、人間がおカネを稼げなくなるだから、政府がおカネをまく、これは原始共産主義。」


「だからこそトランプは、これに対抗して、日本の共産主義でない協働社会、みんなが輝く八紘一宇。これは、2600年生き永らえた我々の使命。今、大きな分かれ道にいるという危機感をもっているのがトランプ。爆発的に技術革新が起きていく。その前提として政治の役割は重い。」

 

…いま地上に生きている人類のほとんどが生きている間に体験することになる、人類史上初の大変化にどう向き合っていくか。いま日本の政治が本当に考えねばならないのはこの視点ではないでしょうか。実は、そこに日本のチャンスが潜んでいるようです。AIを一つの軸とする国家投資で日本国民の間に漂う閉塞感を打破し、私たちが古来営んできた誇りを取り戻し、地球文明を先導する協働型の国づくりを果たしていく、そうした方向を指し示す政治を創っていきたいものです。

 

 
 
 

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