top of page
  • 執筆者の写真松田学

間近に迫る?台湾有事とアメリカ民主主義崩壊の構造~日本も米国も国を救うのは国民の気付き~

習近平氏が10月の共産党大会で胡錦涛氏を排除したかと思ったら、11月30日には江沢民・元国家主席が死去しました。これも習近平氏が独裁体制を確立して中国を戦時統制体制へと移行させていくことを象徴する出来事でしょう。亡くなった方をとやかく言いたくはありませんが、この江沢民氏は、改革開放でもはやマルクス共産主義を統治理念とできなくなった中国を、反日愛国主義でまとまる国へと転換させた張本人でもありました。


天皇陛下を訪中させて政治利用したのも江氏。98年の来日時には宮中晩餐会には礼服ではなく平服(中山服)で現われ、天皇陛下の前で非礼にも「日本軍国主義は対外侵略拡張の誤った道を歩んだ」などと述べ、日本各地で「日本は歴史を学べ」と演説、以後、日本人が中国を嫌う原因を作った人物でもあります。その後の反日暴動のことも忘れられません。


江沢民氏の死去の報に接した岸田総理は哀悼のメッセージで「江沢民閣下は、改革開放政策を推進し、中国の発展に貢献されたのみならず、1998年には中国の国家主席として初めて我が国を公式訪問されるなど、日中関係においても重要な役割を果たされた」として、生前の江氏の業績を称えたそうです。外交辞令としても、ここまで言わなくていいのでは?やはり親中派、真っ向から中国には逆らえない?と思わせるものがありますが、その中国の台湾侵攻がかなり近いという予測が次々と出ています。


松田政策研究所CHでエルドリッジ氏曰く…来年1月までに中国は台湾に侵攻する。こう述べる同氏は6つの根拠を挙げています。日本は安全保障政策の再構築を年末に向けて議論しており、先週は与党が「攻撃能力」などで合意しましたが、それでは間に合わない。だからこそ今やってしまう、中国もバカではありません。これも根拠の一つではあります。


ただ、侵攻が軍事的なものとは限りません。台湾の政権斬首?台湾を中国の支配下に置く方法はいくつもあります。非軍事的侵略でも、第二列島線まで中国は自分たちにとって自由な海を得ることになりますから、世界の地政学は半永久的に大きく変わり、米国は東アジアから撤退し、日本は確実に弱体化するでしょう。


ただ、外交的努力で戦争を回避することができる手段をエルドリッジ氏が示唆しています。それは、中国との外交関係が崩れてでも、台湾を国家承認すること。世界各国がこうすれば、中国は世界を敵に回せなくなる。しかし、果たして親中派の日本の与党や岸田氏にそんなことが決断できるのか。いずれにしても、日本はこの際、自国の立ち位置をきちんと決めて、中国に従属しない国家であることに総力を挙げて取り組まねばならないことだけは確かでしょう。事は急を要しています。


エルドリッジ氏には米中間選挙についても語って頂きました。米民主党は不正をしなければ選挙に勝てない?米国がさらに分断を強めるかどうかは、メディア報道のウソを見抜く健全なナショナリズムに国民がどれだけ目覚めるかにかかっている。その点では、日本の参政党とも共通項がありそうです。ちなみにエルドリッジ氏は参政党の支持者とのこと。


米国では国民の4割が「政府は秘密結社に操作されている」と考えているそうです。民主主義がなぜ壊れているのか。今回はエルドリッジ氏に加え、経済産業研究所の藤和彦氏による米国政治の病ともいえる構造問題の分析についてもご紹介します。


●来年1月までに中国が台湾を侵攻する!?その根拠は…

まず、エルドリッジ氏が台湾侵攻が近いとしている根拠についてですが、同氏によると、中国の台湾侵攻は非常に早く、とにかく時間がないことを日本政府は分かってほしい、準備を急げということです。「今年の11月(本番組収録が11月)~来年の1月の間にある。米国のある学者が10~3月の間と分析、米政府関係者も。分析者としては他の人も同じなのはうれしいが、恐ろしいこと。根拠が6つぐらいある。」以下、同氏が挙げる根拠は…、


①まず、台湾は地理的にも中国にとって便利な場所。中国は近代戦争に欠かせないGPSなどの人口衛星の能力を有する。しかし、米国側に人工衛星を守るシステムがない。半導体の調達とサプライチェーンの問題で遅れている。中国には人工衛星を攻撃する能力があるので、戦争の前から勝っている。ウクライナへの武器輸出で米側に在庫がない。米国にもタマがない。自衛隊からも借りなければならないほどだ。米国があまりにも拡大しすぎて分散しすぎてしまった。


②世界の台湾に対する関心が高まっている。それが形になる前に中国は動く。国際的な機関に台湾を参加させたり、他国との軍事演習に参加させる。日本の台湾への関心が高い代議士たちの動きも。日本版台湾関係法ができる前に。来年から軍事費2%が実現する前に、安保政策の見直しが実現しないうちに。


➂バイデン政権の間は危機管理ができないし、中国の人が政権に入っている。中国に厳しいことを言っていても、どこまで伴うのか。トランプは大統領選に出馬表明。もし彼が2024年に勝つと、中国は動けなくなる。トランプ出馬が習近平の計算に入っている。


④米中間選挙の法的、社会的、経済的な混乱。政権運営が難しいのは中国のチャンス。


⑤11月後半から1月上旬には在日米軍が日本にあまりいない。感謝祭で長い週末になったり、クリスマス休み、正月。基地の中の8,000人の日本人従業員も正月休み。コロナの2年間でおじいさんおばあさんに孫たちを見せられなかった。米国に帰る人が多い。それを中国は分かっている。もう一つ危ないのは、来年6~8月。米軍の人事で重要な人がいない。


⑥習近平が3期目に入り、ブレーキをかける人がいない。


さらにエルドリッジ氏は…「バイデンがバリ島で習近平に会ったが、これが習近平にとって最後の調整だった。バイデンが強いリーダーかどうか。健康状況も含めて、自分の目で確認する作業だった。もちろん、お互い戦争しないという話をしたのだが、中国はいつも約束を取りつけては無視しており、国際的な信頼がない。」


●非軍事的な台湾侵攻でも日本は半永久的に中国の支配下に

では、侵攻と言っても軍事的な侵攻なのでしょうか?「軍事だけでなく、全体的にみている。政治戦、サイバー、工作員、軍事戦、宇宙戦、色々な方法がある。中国はウクライナの教訓も取り入れている。相手のリーダーを生き残さない、捕まえて殺害、行くなら蔡英文総統など政府首脳部。中国の戦争はもう始まっている。政治戦を各国に対して行っている。気付いているかどうかだけ。海上封鎖も…安倍総理が亡くなる前に心配していた。」


「台湾が中国の一部というのが国際法。そのもとで中国はやろうと思えば何でもできる。唯一、台湾を守るのは国家として承認することだ。現在、台湾を国家として認めているのは14か国、うち13国が国連に入っている。いずれも小さい国で有事の時には役立たない。国際社会が承認すれば140か国が…中国は世界と戦うことになるのでやれない。外交的に承認することが抑止力につながる。」


「バイデンは曖昧戦略を変えていない。安倍氏が論文で、戦略的曖昧政策をやめるべきだと4月に書いた。そこで5月23日の来日時に、バイデンは台湾へのコミットメントにイエスと答えた。これは従来のバイデンの考え方だが、安倍総理に対する答えでもあった。」


「バイデンは上院外交委員長をやっていたが、それは1979年春に台湾関係法を可決した委員会。台湾関係法が何を意味しているのかは、バイデンこそが分かっていた。しかしその後、大統領府が彼の発言を修正。彼は怒っていた。キャンベルのように中国と貿易したい人など、スタッフたちが中国との経済的な関係を持ち込んできた。彼らがバイデン発言を修正したと思う。」


「台湾侵攻となると、米軍はグァムまで撤退する。中国は台湾をとることで、人民解放軍が台湾に展開し、第二列島線まで自由に動けるようになる。日本の貿易線を遮断できる。日本は輸入が厳しい。日本が孤立して弱体化する。米国はアジアから追い出される。台湾も守れなかったから。東南アジア諸国がさらに中国に依存するようになる。彼らは、米国は守ってくれないから中国と何らかの妥協が必要だと考えるようになる。」


「このように、中国にとって台湾をとるのは一石五鳥、十鳥。日本は完全に中国に従属する。中国が台湾をとると、国際政治が変わり、何百年も戻れなくなる。これから数か月の間にそうなる。この予測が間違っていることを祈っている。」


●中間選挙で民主党が善戦した理由

では、東アジアの安全保障の上で肝心かなめの米国はどうなっているのか…。エルドリッジ氏には先般の米中間選挙についても分析してもらいました。


「最近の選挙には不正が多く、メディアが報道しないことが危険。メディアが報道していることが本当ではない。報道されていないことが重要。メディアに誘導されないことが大事。何が報道されていないのかをもう少し見てほしい。なぜこれが報道されていて、報道されていないのか、『何』より、『なぜ』の方がずっと重要。」


「今回の中間選挙が公平公正に行われたとは信じていない。そもそも民主党は不正をしないと勝てない政党だ。国民にきれいな公約を言うが、守っていない。2020年の大統領選挙でバイデンが、学生ローンの返済は一定の収入以下は免除すると色々言っていたが、最高裁判所でバイデンの免除政策は憲法違反との判決。バイデンは、免除すると言いながら、最初からできないことがわかっていた。彼はあえて法律的に成立しない方法を言った。」


「ウソを言う民主党。今年は経済悪化、危機管理能力無しでレッドウェーブになっていたが、民主党が巻き返しをして負けの差が小さくなった。一年前ならびっくりする結果だ。」

ではなぜ民主党がここまで巻き返したか。エルドリッジ氏は以下を挙げています。


①中絶の問題。50年間、民主党政権下でも立法化されていない。判決の精神を守ろうと思うなら立法化するはず。大統領選挙でも公約した。オバマ候補が、勝ったらいちばん最初の仕事は立法化だと。しかし、当選したら、知らないとなった。今回は最高裁、内部の文書が漏れて、これが民主党の支持者を刺激した。共和党が勝ったら永遠に女性の権利が奪われると。最高裁の中の人間が党派的に外に出した。司法と政治が癒着。三権分立にとって許せない事態だ。


②民主党が、とにかくトランプに反対する人たちを盛り上げようとしていた。反トランプはメディアが応援する。民主党が反トランプを代表。


➂不正。アリゾナ州で投票用の機械が2割機能せず。それで投票の列。夜の締め切りに間に合わなかった。裁判にかけたが、仕方ないとの判決。


④期日前投票を民主党が積極的に使った。共和党は当日の投票。期日前は党派的な投票。


⑤民主党は共和党の予備選にも介入した。過激な候補と穏健な候補。民主党が政治資金で過激な候補を応援。予備選で過激な人を勝たせれば、本選で穏健な民主党の人との闘いになるので、必然的に穏健な人が当選する。予備選に入り込んで操作した。


●米国のこれ以上の分断を回避するために必要なのは参政党の「おはよう」

そして、「自分は米国人として共和党でも民主党の人間でもないが、日本の参政党を応援している」とするエルドリッジ氏は、この中間選挙結果の影響を次のようにみています。


「中間選挙は本来は現職への判決であり、バイデンにとっては思ったほどの打撃でなかった。そして、再び大統領選へと出馬する道が確実になった。年齢の問題、認知症…今回の結果が酷い結果なら党内でおろす理由になったが、今回、自信がついた。また、バイデン以外の人材がいない。ハリス副大統領は不人気。ブティジェッジ運輸長官もサプライチェーンや港の問題、欠航の問題で能力が無いことが判明している。」


「米国は中間選挙の終了の翌日から大統領選挙に入る。民主党はいかにトランプがとんでもない人か、MAGA(Make America Great Again)の人たちがいかにとんでもない人たちかということを強調。9月1日にバイデンは米国民を分断させる政治的講演もした。彼らの不正のやり方はこれからの2年間は変わらない。」


「分断がさらに続くかは国民次第。参政党の『おはよう』でないと…。民主党と密着なメディアを信じ続けていくと、分断は続く。国民は左右というより、エスタブリッシュメントと一般国民に分かれる。国民が協力すればディープステートやグローバリズムに対抗できる。サンダーズ支持者とトランプ支持者はともに、エスタブリッシュメント反対派だ。」


「デサンティス知事は参政党と同じ政策を実行し、そして、これだけの支持で再選された。メディアに騙されないぞという流れが米国でも台頭している。加えて、フロリダ州は、選挙のインフラが健全だった。機械を使わないなど、信頼性のある選挙をフロリダ州でできた。そうすると、そういう候補が再選される。」


米国のこうした動きと参政党が連携すれば、きっと実り多い関係になると思います。


●米国民に広がる「陰謀論」と民主主義への不信の構図

エルドリッジ氏は米国の分断を、グローバリズムと結びついたエスタブリッシュメントと一般国民との間の分断と捉えていますが、その背後には、米国の政治や行政が、建国以来の米国民気質である草の根民主主義の手の届かないところにどんどんと行ってしまっているという構造的な問題があると、藤和彦氏は指摘しています。以下、同氏によると…


「10月末に米国で行われた世論調査では、『連邦政府が秘密結社に操られていると考えている人が4割以上』との結果が出ていた。これはすごい数字だ。民主主義の危機はその先まで行っている。もはやDS(ディープステート)論が米国ではトンデモ扱いではなくなった。市民権を得てしまった。日本の参政党もそこまでは言っていない。」


「もともと米国民は小さな政府が好きだ。それが福祉国家となり、そして21世紀はテロとの戦いで連邦政府がとてつもなく大きくなった。オバマケアなど、誰も理解していない。テクノクラシー、専門家による統治。効率性、合理性に基づく統治になる。」


「米国では専門家をリスペクトする風潮は日本以上だが、彼らのもとでなぜ、我々の生活がおかしくなるのか。専門家たちがわざと自分たちをイジメているという発想になる。これは構造的な問題。」


「民主主義は選挙制度が議論になるが、今は行政が肥大化し、それは選挙制度が及ばない話なので、そこに不満が生じている。これはトランプでも変えられないという絶望的な状況と認識されている。立法府よりも政府が巨大化。官僚マシーンは政治家が何を言っても独自の論理で動く。まともに立法府と議論しようとしない。」


「米国では政治的な暴力事件も多発。なので、革命とか。内戦という言葉も出ている。米国が最も内戦が起きやすい国だ。エリートと極左の政治家がトンデモナイ政府を創り、右派が政府を襲撃し、そして左派が立ち上がり、米国は治安がおかしくなる…そんなシナリオを描く人もいる。アフガンやイラクになるという不安がある。分断がまた進む。」


「出口調査であれだけ共和党が優勢だったのに民主党が勝ったことが、ますます不信感を高める。誰か悪者がいないと…誰も悪くないのに生活が悪くなるというのは、人間、耐えられない。昨年1月6日の襲撃事件など、タガが外れている。これはトランプ派だけでなく、米国民全体に不信感を呼んでいる。」


「元々は、タウンミーティングで自分たちの事は自分たちで統治するというのが米国人のスピリット。現状は、米国人からみると耐えられないものがある。陰謀論が強まるのには、こうした必然的背景がある。肥大化する政府の業勢は国民がチェックできない。独立的に動いている。そこにメスを入れていくことが課題だ。」


●新たな参加型民主主義と健全なナショナリズムで「国まもり」を盤石に

もはやDS論が当たり前になった米国民の状況は、参政党を陰謀論者だと批判しているどころの話ではないでしょう。もちろん、参政党は「陰謀」なるものをリアリズムに立って分析し、そこにグローバル全体主義という国民国家にとっての本物の敵を見出している政党ですので、いわゆる「陰謀論者」ではありません。米国民の4割の意識に比べれば、グローバリズム批判をしているだけの参政党は、まだ穏健?です。


米国民の間で広がっているのは民主主義への絶望といえます。自分たちの生活がこんなになったのは、エリートたちがそれこそ、「今だけ、カネだけ、自分だけ」に走り、国民を食い物にしているからだとしか考えられない…。メディアが報道してきたように、トランプが民主主義を崩壊させているというのは、事態を読み違えています。この点では日本の多くのインテリたちの見方も表層的でしょう。


米国の分断や「内戦」は、もっと構造的で深刻な、「信頼」ということについての国民意識の崩壊現象によるものとみたほうがよいと思いますが、政治への絶望感が広がっているのは日本も同じです。だからこそ、新たな参加型民主主義の仕組みでチャレンジを起こしたのが参政党です。


しかし、新興勢力の台頭に対しては、常に出る杭は打たれる、で、既存勢力やメディアは参政党叩きを強めています。この私まで、近く、某週刊誌で「ないことないこと」を書かれるそうですが…。これらに屈するわけにはいきません。


いま参政党が起こした国民運動を国民全体で育てていかなければ、日本にも米国と同じことが起きかねないと懸念します。危機が迫る台湾情勢が日本に迫っているのは、一人一人の国民が政治そのものに参加する民主主義の新しい仕組みを創ることを通じて、健全なナショナリズムのもとに国民がまとまっていくことであろうと思います。


そのためにも、参院選が終わった現在でも、私自身がこの年末に向けて毎週土日は、全国各地の参政党「タウンミーティング」に出かけ、一人でも多くの国民に「おはよう」を呼びかけ続けているところです。


閲覧数:141回
bottom of page