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  • 執筆者の写真松田学

西側劣勢で停戦への動き?報道されないウクライナ戦争の真実~高市問題と危機感なき日本の国会~

先週半ばころに一部の国会関係者の間に衝撃的な噂が流れました。岸田総理が衆院電撃解散をしたがっている、と。3月末に解散で投開票日は統一地方選後半と同じ4月23日…!

そういえば、先日、子育て支援に関して総理がなぜ今?と思わせる意味不明な記者会見をしたり、日韓首脳会談に加え電撃的なウクライナ訪問まで演出。最近、支持率が上がっていることに岸田氏は有頂天だとか。自民党の要路に次々と会ったようです。


確かに、4.23総選挙には、同日予定の「衆院4補選」をなくすメリットもあります。4補選で全勝すれば岸田政権は信任されたことになりますが、和歌山1区補選は維新候補に敗れる可能性が指摘され、参院大分補選も苦戦する可能性が高く、「衆参5補選」で2敗したら岸田総理の責任問題になる。しかし、解散してしまえば衆院補選は行われなくなります。一昨年に予想より早期の解散を決断した岸田氏はサプライズ好き?今しかない?


予算案は昨日に成立しましたので、この早期解散説が本当かどうかはそろそろ分かることですが、いずれにしても、防衛増税を正式に決める前に国民の信を問うと岸田氏が述べていたことも併せ考えると、来年度の税制改正が決まる今年末までの間には解散総選挙があると見たほうがいいでしょう。今回でなくても、広島サミット直後の6月もあり得ます。


その国会ですが、このところ、国会は何をやっているんだ?という声が私の周辺では高まっています。放送法の解釈を巡る行政文書の改ざん?発言で高市大臣が吊るし上げられ、論戦が盛り上がっていますが、内容は7~8年前の安倍政権時代のこと。どうも、かつての「もりかけ」問題を想起させるものがあります。また同じことが繰り返されている…。


当時、「もり」も「かけ」も、何か安倍総理の側に明確な不正があったわけでもなかったのに、いかにも政権側に疑惑があるかのような印象操作がメディアと野党の共闘で演出されました。世論の関心がそちらに向かい、結果として改憲論議が国会で進まず、これは安倍政権による憲法改正を阻止することが目的だったとも言われています。


では、今回は…?私が想起するのは、2019年の12月、当時総務大臣だった高市氏が総務事務次官の首を切った事件です。かんぽの不正に関して日本郵政に対する処分が行われるに際し、事前に処分内容が当時の総務次官から総務次官OBの郵政幹部に漏れていたことに怒り心頭となった高市大臣による強権行使でした。事前に漏れること自体、決して良いことではありませんが、大臣が日本郵政トップに処分内容を言い渡す際、「わかっております」と言われたことが許せなかったようでした。これはきっと総務官僚の恨みを買う…。


官僚というものはどんなに大臣が強権を発動しても、行政上の理屈が通っていれば納得するものですが、先輩と後輩の人間関係の中で「こんな処分になりますよ」というのは、どこの組織でもよくあること。それで会社で言えばプロパーの社長ともいえる次官を首にしたのですから、理不尽な官僚叩きのように捉えられた可能性が高く、こんな時、いつか仕返しをと、遺恨が残るのが官僚組織というものです。


今般、立民の小西議員も総務省出身、この行政文書もかつての仲間から託されたのかわかりませんが、日本が戦後未曽有の危機に直面しているときに国会は何をやっている?


今回の騒動のもう一つの背景として言われているのが、これで高市大臣が現在担当しているセキュリティクリアランスが進まなくなっていること。喜ぶのは中国?そういえば、かつて経済安全保障では日本の有為な司令塔だった甘利明氏がスキャンダルで自民党幹事長を続けられない事態に追い込まれたことを想起します。やはり「もりかけ」と同じ構図か。日本の国が強くなろうとする度に、近隣懸念国が裏で糸を引いているのか、メディアと野党がそれに乗ってここぞとばかり、国民の注目を浴びる事件を起こして邪魔をする…。


では、肝心の放送法の方は?これに関する本質的な議論など、今般、全くされていません。実は、この法律は戦後、GHQが、当時ほとんど唯一の放送局だったNHKをプロパガンダに使うために定めさせたものだそうです。その電波メディアが現在は日本の国益に反するプロパガンダ機関と化していることのほうにこそ、国会は目を向けるべきでしょう。


このことを痛感させてくれるのがウクライナ戦争に関する日本の報道です。やはり西側のプロパガンダ機関なのか、どうも、事態は日本国民に伝わっているのとは大違いのようです。ロシアによるウクライナ侵攻から一年を経た時点で、松田政策研究所CHでは、軍事専門家の矢野義昭氏に改めて情勢分析をしていただきました。以下、ご紹介します。


●圧倒的に優勢なのは、実はロシア側~ウクライナ軍の損耗のほうがはるかに大きい~

その矢野氏の見方では、バイデンがウクライナに行ったのは、もうこれ以上、西側は軍事支援の継続が難しいとしてゼレンスキーに引導を渡すためだった?ロシア側が軍事的に圧倒的に優勢で、西側はもたない…いま停戦に向けて動いているが、交渉を少しでも有利にするため、停戦間際に向けて軍事衝突自体は激しさを増すのが通例…。


いずれにしても、西側がいつまでもこの戦争をやめなかった結果、中国の世界的影響力は圧倒的に強くなってしまいました。武力による現状変更は許さないと言っても、実は、元々それをやったのはウクライナだった…。


岸田総理はウクライナに行って何をやっているのか。結局、日本には関係のない戦争で多額の日本人の血税をATMの如く放出することになるのでしょう。そんなことよりも、増大した中国の力と、敵に回したロシアに対して、日本の国防を組み立てることが急務なはずですが、あまりに危機感が足りない。矢野氏は、非核と専守防衛にとどまっている限り、国は守れないところにきているとしています。


以下、矢野氏によると…「ウクライナでは第一次大戦型の塹壕型の消耗戦が起こっている。長期化すると兵站、弾薬の補給や人の補充が戦い戦局を左右するようになるが、ウ側は報道管制を敷いている。衛星画像やロシア側の発表で総合判断すると、ウ側は死者か行方不明が10~20万人、負傷者含めて50~60万人。」


「ウは100万人の軍勢の約6割が損耗。通常は3割損耗で軍は崩壊する。もうウ軍は崩壊状態。開戦当時から全面動員で、正規軍の下士官、将校クラスは消耗している。」


「実は、NATOからの個人的契約兵や義勇軍、民間の軍事会社の兵員が戦っている。NATO側が10万の個人兵を送りこんでいるが、高度な兵器は訓練が要るので、それを補うためにNATO側の兵員がかなり入り、ウの軍服で戦闘をさせている。ポーランドの兵などがそうだ。そこにもかなりの損耗が出ている。」


「NATOもこれ以上は正規軍が出ると、国が介入することになってしまうので、全面的なNATO対ロシアの戦争になる。集団的自衛権のNATOだから、加盟国が全部、ロシアと対決することになり、第三次世界大戦や核戦争になる。だから、これ以上、兵員は出せない。」


「装備、ミサイルなど、米軍も尽きかかっている。昨年8月以降、ウは大規模攻勢で領土を少し奪還したが、だいぶ無理をした。ロシア側は徹底した消耗戦に出ている。ロシア側が一日6万発、ウ側は6,000発で10:1。その後、冬季の凍結でロシア側が2~3万人の攻勢に。ロシアとウでは、死者の数は、4~5対1。ウ側が莫大な死傷者を出している。」


「ウ軍はもともと90万人に対し、ロシア軍は200万人、別に55万人追加動員でき、最終的には2,000万人とも言われている。」


「ロシア側の体制は南北東部という三か所。展開兵力は70万人。南部でウはアゾフ大体が立てこもっていたマリウポリが奪還され、バフムトに軍を投入したが、ロシア側にじりじり押された。南部での攻勢は予定通りにできていない。南部正面も攻め上げられている。」


「東部もバフムトは交通の要衝で、ウは徹底して要塞化をした。何重にも塹壕、地雷源。日ロ戦争時の旅順のようなもの。なかなか落ちなかったが、それも変わってきている。拠点を潰す闘い方で1月以降、ワグネルなどの歩兵部隊で市街戦での掃討戦、大変な激戦だが、じりじりとロシアが進んでいる。ロシアはバフムトを包囲して、撤退路も遮断した。ほぼロシア軍が袋のネズミにした。」


●西側支援が効力を発揮するのは何年も先~バイデンは引導を渡しにウクライナへ~

「4月以降ウが西側からの武器で体制を整備するとされているが、実行は困難だろう。ロシアは在庫T72戦車を5,000両、ウに送りこんでいるし、戦車も850両増産。NATO側は、送りこんでも最大で150両、うち届いているのは数十両。」


「その戦車も複雑なシステムだ。操縦は簡単ではない。チームで動く。訓練に数年かかる。訓練した兵員は昨年に戦車もろとも失った。英国製なら英国兵、米国製なら米国兵が乗りこまないと無理。」


「戦闘機はもっと大変だ。何年もの高度な訓練が必要。戦闘機が投入されると本格介入のシグナルになり、NATO対ロシアの本格的な戦いになるので、バイデンもうんと言わない。ハイマースよりも本格的な長射程のミサイルは供与していない。戦争が拡大するから。」


「供与できる兵器の質の問題に加え、量の面もレオパルド戦車はNATO全体で2,000両だが、ポーランド以外の国は出そうとしない。このままだとロシアが勝ちそうだから、次は自国が狙われるかもしれないとの恐怖感があるからだ。自国の持っている戦車を出すと、自国が手薄になる。東欧諸国が出さない。」


「ドイツが増産すると言っても、年産20両しかない。100両に上げると生産ラインをつくるのに何年もかかる。米国のエイブラムスも同じ。モノの量の面でも増援はできない。」


「バイデンがウに来たのはうわべだけ。プロパガンダだった。ゼレンスキー政権はバイデン政権の傀儡。その政権にわざわざ危険を冒して出向いたのは、引導を渡しに行くためだった。これ以上増援できないと。このへんで何らかの停戦交渉に応じてはどうかと。」


「訪問以降すぐに習近平とゼレンスキーは会う動きに。ブリンケンも色んな首脳に会っている。カザフに行ったり。習近平はルカシェンコに会ったりしている。カザフ、ベラルーシと話をつけて、間接的にプーチンの意向を伝えるためだったのではないか。」


●追い詰められているのは西側~プーチンは国内外から支持~

「中国は陸路から数百万発の砲弾などをロシアに送りこんでいる。様々な武器やドローンも。本格的な軍事援助に。経済面でもロシアの石油を輸入、経済的に制裁の抜け穴に。ロシアが造れない半導体を中国が製造。」


「ロシアは兵器用の最先端の半導体は、今回の事態を予期して10年前から十分に備蓄。緊急増産能力もNATOの見積もりの3倍ある。既に7~8年前から大増産で準備。満を持して侵攻に踏み込んでいる。これを過小評価してはいけない。」


「ロシア兵が逃げ出している?それは旧ソ連兵をイメージした見方。アジア系部隊が多かった。言語や民族の混成部隊だった。ロシア軍は改善している。契約兵、特に下士官はそう。虐待するとお母さんが出てきて政治問題になる。人的損は最小限にとどめろとプーチンも指示を出している。だからウより犠牲は少ない。」


「ロシアでは国民全体の支持が大きい。支持率80%前後で、開戦前後と変わらない。ロシア国民はプーチン支持、戦争支持で変わっていない。反対派は一部の声に過ぎない。民衆の声ではない。」


「グローバルサウスは決して米国主導の戦いを支持しておらず、冷淡な目で見ている。ロシアに同情的な国が多い。サウジも原油決済はロシアと中国にそれぞれの通貨でやるとしている。G7秩序は崩れようとしている。」


「西側は手も足も出ない。だから停戦に向けて動くしかない。バイデンはロシア側に通知してキエフに行った。秘密裡ではない。裏でロシアも了解していた。通信傍受もしている。大統領官邸の位置など分かっている。ドローンや衛星画像でわかること。不自然。」


「春季攻勢はブラフに過ぎない。休戦交渉が始まると戦闘は激化するもの。休戦交渉を有利にしようとする。これまでの戦争を見てもそう。現状で休戦だろう。」


「ロシア兵は追撃に入っている。ウ側は何か月も持ちこたえられず、抵抗線もなくなる。キエフも20万近い北部展開の部隊で突ける。NATOとウはこれで分断できる。最小限キエフは押さえないとゼ政権を打倒できない。いつでもやれる体制はもう作っている。」


●停戦交渉の焦点はウクライナの中立化、非NATO軍化、核や生物化学兵器の管理も

「その威嚇の下に休戦交渉に。目的は二重。アゾフのロ系住民への虐殺をやめさせる。400万人ぐらい。これをウに返すと報復で虐殺が起こるので、絶対に返さない。」


「加えて、最初の目的にあったウの非軍事化。NATO軍化するな。ウ西部の中立化。これ以上NATO化したら軍事行動するぞと。」


「ゼが全土の奪還を言う限り、そして憲法にNATO化を書き込んでいるが、これをやめない限り、ロシアは停戦に応じない。」


「もう一つ、核の問題。中ロが戦略的パートナーシップを結んでいる。中ロが一体化して核を持っている状態には、米国は対抗できない。その意味で中国の中立化を図らねばならない。そのために米国は中国の立場を立てている。中国の立場は今強い。」


「核は強い側ではなく弱い側が使う。これ以上追い込んだらと、恫喝に使う。ウは原発も核の潜在能力をもっており、そこに中距離弾道ミサイル配備の動きがあるということで、開戦前の米ロの交渉が決裂したのはこれが理由だった。NATO軍化をさせないのが通常戦力のレベル。加えて、弾道ミサイルを持たせない。」


「さらに生物化学兵器。武漢ウイルスの米国での調査。武漢にファウチがトンネル会社を通して資金と技術を提供して機能獲得試験をやらせたというレポートが出ているが、同じ時期にウにも開発させている。ウは元々、生物化学兵器の研究で能力を持っている。これも管理が必要。今後の交渉で出てくるだろう。」


●力による現状変更をしたのはウクライナ側~停戦後は国際的停戦監視団のもとに~

「ウのネオナチとは、もともとウにナチスが入り、戦後も反ロシアで活動してきた。公式には中立化されたあとも、国境を超えて破壊工作をしてきた。だから、テロ対策も今後出てくる。ダーティ・ボムなどは軽視できない。国際的な停戦監視団とか、テロ監視のための軍事もたねばならない。」


「そういうときに日本の自衛隊が加わるという国際的な要請が出てくる。そして、駐留が恒久化するかもしれない。ウとロシアの間に監視地域が割って入るしかない。直接、国境を接していると、また何が起こるかわからない。」


「力による現状変更はいけないというが、それをやったのはポロシェンコ政権下のウ自身だった。ロ系住民を虐殺し、既得権を奪って、国内体制では民族のジェノサイド。そして、いよいよNATO化ということで、手をつけられないとなってロシアはウに侵攻した。」


「ロシア側からすると、自国民の保護も国際的に認められた自衛権の一環。これもそれなりの論理がある。自国民の保護、大量破壊兵器の問題もある、自国の安全保障の問題もある。これは同時に世界のためになる。そちらに行くのが世界には望ましい。ここでロシアが退くと、また虐殺が起きることになる。」


「戦後復興は1~3兆ドルを要する。敗北したウには担えない。NATO側が面倒みなければ。ロシア側からはロシア系住民への補償、オデッサの領土的交渉の話も出てくるだろう。」


「勝った立場と負けた立場。ウは国家として消滅?西部ウをどう復活させるかが国際的問題になろう。難民の帰還、戦時賠償などの問題も。この分野で日本がどこまで関わるかが重要問題。」


●ロシアまで敵に回すも備えなき日本…非核と専守防衛を打破しないと国は守れない

「この戦争は欧州にとって死活的だが、日本にとって最大の問題は中国。立場がますます強くなった。国際社会もそれを認めている。これで彼らの影響力拡大、ロシアにも貸し。」


「中国は経済的に一息ついている。軍需産業にテコ入れするだろう。しかし、米国には台湾支援の装備がない。これからは大統領選挙で国内が分断して内向きになる2年間だ。その米国は北東アジアには人も送れない。」


「中国に北朝鮮、ロシアまで日本は敵に回した。日本には備えが全くない。こういう状況に追い込まれている。このことへの危機感がない。」


「韓国と台湾は着々と防衛体制を作っている。潜在侵略国から見ると日本は力の空白。台湾や韓国のことを心配するより自国のことを心配すべきなのに、その危機感がない。」


「ウに行った岸田総理は戦後復興を強いられ、税金をウにつぎ込むことをせざるをえなくなる。本来は日本の防衛力や国力増強のときなのにも関わらず。防衛費43兆円も、米国の言いなりに古い兵器を買わされておしまいとならざるを得ないか。」


「日本のための合理敵な戦略が必要。今の安全保障三文書も、非核、専守防衛が前提。これを打ち破らないと日本の防衛ができないところに来ている。」


…日本人よ、目を覚ませ、と言いたいところですが、実は、多くの日本国民がすでに目覚めています。これだけ国民の危機感が高まり、防衛費の増額がすんなりと受け容れられたのは戦後初めてのこと。世論調査がそれを示しているのですが、なぜかメディアはこの点はほとんど報道しません。むしろ目覚めていないのは国会の方でしょう。


メディアの偏向報道が、関心を別のところにそらせ、国民の目覚めを現実の国のまもりにつなげていくことを妨げています。ウクライナ戦争をも引き起こしたグローバリズム勢力にとっての不都合な真実を、現状では情報弱者の状態に置かれている日本国民がどれだけ共有できるか。その点に今、日本の命運はかかっていると思います。

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