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茶番劇の総裁選を日本の政治は乗り超えられるか~モーガン氏とカーク氏が説く「日本人ファースト」の意味~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 9月23日
  • 読了時間: 10分

の地位に恋々とし、衆院解散で脅しをかけてでも総理総裁にとどまろうとした石破総理の辞任に至る姿は、一国の宰相として誠に無様なものだったと多くの国民は感じたでしょう。そして今、自民党は総裁選一色、メディア報道ももっぱら総裁選、去年も出た五人の候補が争う姿は、またか…政治空白が続く中でいつもの茶番劇が繰り返されています。


五人の主張を比べてみると、高市氏が積極財政を鮮明にしている以外は、あまり大きな違いは今のところ見当たりません。自民党が少数与党に転落した大きな原因である同党のリベラル左傾化を反転させられる候補として期待されている高市氏も、今回は保守色を抑えているようです。皆さんに共通なのは、野党との連立を意識していることでしょうか。


総裁選後の早期衆院解散についても、五人とも否定的です。確かに、参政党や国民民主党の勢いが強い現時点での総選挙では落選リスクが大きいという議員心理が働いているでしょう。現職議員から票を得るためには早期解散は禁物…。落選した保守系の多くの仲間を救うために高市氏が総理になった場合は早期解散ありうべしとみられていましたが、まずは政策の実施が優先だとして、高市氏自身がその可能性をいったん封印しました。


そうなると、最もありそうなシナリオは、各候補が秋波を送っている野党との連立によって政権を安定させることか…。特に、小泉氏が総裁になった場合はそうですが、最も距離が近い維新が連立入りするかどうかがポイントとなりそうです。それは長い目でみると維新の自滅だという慎重論が維新側にはあるかもしれませんが、副首都構想を自公が飲むなら、そもそも維新が目指してきた目的が実現する、それが大事だとの声も強いようです。


問題は、これで政権が安定して自公維で固定化してしまい、総選挙が2年ぐらい先まで延びることとなると、三党とも参院選で議席を減らした政党ですから、参院選で示された民意が政治に反映されなくなることです。これでは政治は変わらない…。


過日、11年前に石原慎太郎氏のもとで真正保守を謳って維新から分党して結党された次世代の党の同志が集い、同窓会をいたしました。その場で私が思わず申し上げたのは、ここ数年、参政党が主張してきたことは、考えてみれば、かつて次世代の党が訴えていたこと。ようやく、それが国民に広く受け容れられるようになったということでしょう。


この場で出た議論は、今般、高市氏が総裁に選出され、自民党が自らの立ち位置を少しでも取り戻した上で、10月の臨時国会で補正予算を通し、11月に高市総理が衆院を解散するのが理想的だということでした。自民党にとってみれば、高市総理であれば、参政党などに流れた保守票が戻ってくることが期待できるということもありますが、たとえ自民が安定多数を維持できなかったとしても、総選挙で更なる躍進が予想される参政党と連立を組むことが選択肢として出てくる。これが民意を反映した政権の姿だという見方です。


この道を歩めなければ自民党はもう終わる…ただ、現状では小泉氏が有利とされます。小泉陣営では既に勝利を前提に組閣名簿作りにまで入っているとか…。本来は保守派のはずの加藤勝信氏が前回の総裁選で選択的夫婦別姓を掲げたリベラルグローバリズム路線の小泉氏の選対本部長となっているのは意外ですが、すでに官房長官、財務大臣を歴任した同氏には幹事長が約束されているからか、そうして次の次を狙う?ポストで票を釣る自民党総裁選らしい光景かもしれません。小泉氏も今回は夫婦別姓を引っ込めています。


他方で、宏池会をバックに林芳正氏も芽が出てきたとされています。その決め手は、宏池会のリーダーとして同氏をライバル視してきた岸田前総理が乗るかどうかだとも…理念や政策よりも多数派工作と相変わらずの派閥力学が跋扈する、正に茶番劇の総裁選です。とにかく高市氏だけは総裁にしたくないという、リベラル政党に化した自民党内の力学の中で、最終的には小泉氏か林氏かという選択になるのかもしれません。


誰が総理総裁になろうとも、この際、理想をあえて言えば、ここで野党と妥協して政局が安定するよりも、政局がさらに流動化して年内に解散総選挙となり、結果として、参院選で示された民意に即した政界再編へと進むことが望ましいのではないでしょうか。


仮に高市氏が総理になったところで自民党には保守には回帰できない構造が定着しています。ならば、党内で干されてきた保守派が自民から離れ、それと参政党や国民民主党などが合流して「反グローバリズム・積極財政」派を形成し、「グローバリズム・緊縮財政」派との対立軸を形成すれば、世界の新しい政治潮流にも即した構図が日本でも実現します。


それはさておき、「日本人ファースト」がここまで国民の支持を得ている現状は、戦後80年を経て、日本国民がようやく健全な国家意識を取り戻しつつあることを示していると思います。それぞれの国が自国ファーストであるのは当然のこととして、この日本の動きを称賛しているジェイソン・モーガン氏によると…、


●モーガン氏:実在するそれぞれの国民の側に立つ政治を意味するのが日本人ファースト

「日本国民が覚醒しつつある。バッシングされても参政党は国民から広い支持。海外からも応援したい。日本人ファーストのどこが悪い。外国人にとっても歓迎したいこと。サイレントマジョリティはそう思っている。これはグローバリストからすると許せない、その傀儡政権がこの勢いで終わるかもしれない。日本の今の動きで『ワシントン帝国』が崩れてしまう、そんな恐怖でグローバリストたちはパニックかもしれない。」


「『ジャパンズ・ホロコースト』、でっち上げと捏造の本。たぶん中国がバックにある。ユダヤ人であるリグという著者、そういう人間が米国には多い。白人至上主義が欧米の基盤。アジアアフリカが永遠に属国であってほしい、それは変わっていない。非白人世界を維持するカギが日本。ワシントンにとって太平洋を取り込む砦が日本。」


「日本が植民地制度を終わらせようとして大東亜戦争で大成功した。その身代わりとして日本が属国となった。そして80年が経った。日本人のパワーが恐しくて、戦後、洗脳してきた。自民党が米国のパワーを背負ってきた。日本国民にそれが見えてきた。それにワシントンが恐怖を感じている。未だに日本の富が海外に流れている。それが壊されると。」


「日本国民にとって、お金が入ってこない、将来が見えない、なのに外国人が入って日本人の仕事を奪い、土地を買う。そんな政治をしている自民党はテロ組織だ!そんな国民の声に耳を傾けているのが参政党だ。米軍基地も外国人問題。日本は占領されている。」


「陰謀論者と言われても参政党の方々は頑張りましたね。オールドメディアのウソが通じなくなっている。今まではウソをついて存在意義を出してきたが、それが出来なくなっている。自民党よりもダサい党は共産党だけだと若い人たちは言っている。」


「米国では『MAGAコミュニズム』と言われ始めた。労働者を大事にして戦争はしない。これをポピュリズムというのはおかしい。国民の声を聞いている。それが嫌いなのが自民党?ピープルを大切にするというのはコミュニズムと共通だが、共産主義は階級としてのピープル。その時代は終わった、ピープルとは日本人です。」


「世界共通の『労働者階級』と捉えるのはグローバリズム。それに対し、それぞれの国のピープルを大切にする、そのような政府が良い。それが常識。具体的にいま目の前にいる国民のために動く。日本人の声を聴く。きわめてシンプル。」


「階級闘争という捉え方が左右の対立軸となってきたが、それが変わった。階級ではなく、日本人、米国人…それぞれが大事。階級という抽象的な概念ではない。現に存在する大切な人々が今、大変な思いをしている。参政党のおかげで、実在するピープルがやっと見えた。今まで日本人は透明だったが、これで明るくなった。」


●カーク氏:キーワードは3つのP、People(国民)、Place(土地)、Principle(原理原則)

ジェイソン・モーガン氏に加え、もう一人の米国人が参政党の躍進が示す日本の新たな動きの意義を説きました。先般、同党が主催する日本での講演会からの帰国直後に銃殺で非業の死を遂げたチャーリー・カーク氏です。参政党は現在、レイシスト!差別主義者!などと心無き非難を受けていますが、これと同じようなバッシングと闘い続け、大学などで左翼化が著しい全米の若者たちに常識を説いて支持者へと取り込み、反グローバリズムの先兵としてトランプ大統領の当選に大きな寄与をしたのがチャーリー・カーク氏。


同氏は31歳の若さ、バンス副大統領とともにトランプ第二世代、身長は195cmの長身、ちなみにトランプ大統領は190cmだそうで…いずれも、日本では最も身長が高い部類に入る私の185cmをはるかに上回る巨漢。


参政党の講演会では、「自由とは独裁である」、「戦争とは平和である」など、言葉で刷り込みを図るポリコレ全体主義のグローバリズムの弊害や、まだ数%の外国人比率の日本は今なら間に合うとする警告、「自国ファースト」であるからこそ他国を尊重できることなどを説き、私たちが死守すべきものとしてのキーワードである「3つのP」、People(国民)、Place(土地)、Principle(原理原則)をメッセージとして発しました。


トランプ大統領と同じく、同氏には心から哀悼の意を表したいと思います。同氏の死を乗り超えて、参政党はこうした欧米での新たな政治潮流と横の連携を強化していきます。それが、グローバリズムエリートによって収奪された全世界の草の根諸国民の立場に立った政治の実現につながるでしょう。「日本人ファースト」も「アメリカファースト」も、その本質は、モーガン氏が述べる「それぞれの国民ファースト」です。


●ジャパンズ・ホロコーストが仕掛ける国際世論戦に対抗できる歴史観と世界観を政治に

さて、モーガン氏が言及していた「ジャパンズ・ホロコースト」に関して、最後に触れてみたいと思います。参政党が選挙で支持を集めたように、日本国民が国家意識を取り戻しつつある、そんな動きを潰したいのか、「ジャパンズ・ホロコースト」というトンデモナイ本が出版され、国際社会で反日世論が再び掻き立てられようとしています。


第二次大戦の際の史実を捻じ曲げて、日本人がいかに残虐で卑劣な民族であるか、あたかも、GHQが占領時に日本軍の残虐さを繰り返しNHKラジオで流させたような洗脳工作が再現されているかのような本です。


この歴史戦に対抗すべく、日本の愛国論者たちが立ち上がり、9月19日、参議院議員会館講堂にて「歴史図書に関する報告会」が開催、多数の方々が集いました。壇上には、有識者の皆さんだけでなく、自民党の山田宏参議院議員、維新の松沢成文参議院議員、私ほか数名の国会議員が次々と立ち、提言を行いました。


私からは、戦後80年、そろそろ正しい歴史認識を国際社会で共有すべきであり、大事なのは、戦争は一方の当事者のみが全面的に悪であるといった単純な構図で起きるものではないということ。ウクライナ戦争も真珠湾攻撃も然り、そこには戦争へと挑発するグローバリズムの存在があり、そうした構造の見極めなくして、人類社会の恒久的な平和は実現しない。20世紀の二つの大戦の背景にあったのも、当時のグローバリズムである植民地主義だった…などと申し上げました。


国際世論戦に対抗して正しい歴史観のもとに日本国の尊厳を守り抜くことが世界平和にもつながる…これは日本の政治の責務であり、官民一体で総力を挙げて取り組んでいくべきことでしょう。


自民党の総裁が誰になるのかよりも、こうした世界観や歴史観に立脚した政治を生み出せるのかどうかこそが、日本の政界に問われている本質的な課題ではないでしょうか。


 
 
 

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