必然だった公明党の連立離脱と首班指名の行方~高市総理で決まるシナリオで考える日本の政局と解散総選挙~
- 松田学
- 4 時間前
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日本の政治が激動しています。高市早苗氏が総裁に選出されて一週間後には、公明党が連立離脱…現時点では政権交代の可能性もゼロではない。いずれにしても、政界地図がこれから大きく変わるかもしれません。この激動をもたらしたのは参政党でした。
まず、大方の予想を裏切って高市総裁が誕生した最大の要因は自民党の党員票でした。杉田水脈氏が私との対談で総裁選直前に仰っていたように、高市陣営は事前に手ごたえを感じていました。党員票で圧倒し、決選投票に持ち込めば、これが議員票にも影響を及ぼす。その戦略どおりでした。麻生氏の存在が大きいと言われていますが、党員票が多い候補に入れろとの同氏の指示は正論でした。
小泉氏に期待した自民党国会議員たちは、先の参院選で参政党が躍進したことを軽く見ていたのでしょうか。大恥をかいたと思います。参政党が「日本人ファースト」を掲げ、それが、潜在していた国民の意識を顕在化させた。これが自民党員の皆さんの投票行動に反映されたことは言うまでもありません。参政党に投票した党員の皆さんも当然のように高市氏に入れたでしょう。日本の有権者の意識がパラダイムチェンジしていることに、政治評論家たちもマスメディアも気づいていなかったようです。
今回の公明党の連立離脱も、こうして高市氏が総裁に選出されたことが真の理由だったと言っていいでしょう。政治とカネの問題は最近、公明党が強く自民党に言っていたことではなく、突然、この案に合意しろと迫っても党内手続きを経なければ総裁とて即答できないことは斎藤代表も分かっていたこと。それはとってつけた理由であり、どうしても高市自民とは組めない真相があった…。一つは中国共産党からの指令だと言われています。
公明党は日中国交正常化以前から中国とは緊密な関係があり、最近では、習近平体制のプロパガンダ機関とすら言われることがあります。いずれ靖國参拝をするような高市自民党と連立を続けることはまかりならん…斎藤代表は連立離脱の直前に中国の呉・駐日大使と会っていました。ただ、中国からみれば、これまでもそうだったように、自民党政権を中国寄りにするために公明党が政権内にいるほうがプラスという見方もあるでしょう。
むしろ、公明党の上部機関である創価学会幹部からの指令があったという見方のほうが真実に近いかもしれません。党員の高齢化で党勢の衰退が著しい公明党は学会にとっても存在意義が低下しているだけでなく、「平和の党」を標榜する同党が自民党と組むことで次々と右寄りの政策に加担することになり、学会の路線とは乖離してきた、ここへ来てさらに高市氏と組めば学会にとっても迷惑な存在になりかねない…。
いずれにしても、これで今度の首班指名では高市総裁が総理大臣に選出されない可能性が出てきました。公明党が各小選挙区で持つ約2万票を基礎票としてきた自民党議員が次の衆院選では数十人、落選しかねない…。早速、自民党内では動揺が広がっています。
ただ、こんな危機にあっても、公明党と強いパイプを有する菅・元総理は動こうとしません。総裁選で小泉氏支持で動いた党重鎮たちとしては、高市氏だけは総理にしたくない。そのためには自民党が下野しても構わないのでしょうか。これは、高市体制の中核として一気に主流派に返り咲いた麻生副総裁と菅氏との最終戦争とも言われています。
では、首班指名はどうなるのか。政権交代が起きるのか…。
●首班指名で考えられるシナリオ…高市総理となれば早期の解散総選挙か
票読みをすると、立憲民主が働きかけているように、国民民主党の玉木代表の名前を書くことで立民、国民民主、維新の三党がまとまれば、政権交代、玉木総理の誕生ということになります。ただ、「手取りを増やす」の人気で躍進した国民民主としては、当面は独立路線を歩むことが、今後の課題である党の地盤固めの上で不可欠でしょう。自民と組んで飲み込まれることも、基本政策が一致していない立民と組んで野合と言われる事態も避けたいところ。
しかし、もし高市政権が誕生してしまえば、高市氏は国民民主の看板政策である減税を自ら実行してしまいますから、次の選挙では同党は埋没しかねません。総理大臣になれるチャンスはまたいつ来るかわからない…玉木氏としては総理になりたいのが本音でしょう。ただ、それでは国民民主や支持者への裏切りにもなります。悩ましいところでしょう。
現時点では、野党三党が組むのは難しく、(公明が野党連合に乗らない限り、)高市総理誕生の可能性の方が高いとみられているようです。その場合、自民単独の少数与党か、自民+維新か国民か+αの過半数による安定政権?かのいずれかが考えられますが、恐らく、高市新政権としては、既に参院選後3か月に及ぶ国政の停滞を打破し、ガソリン減税の可決と経済対策の策定を急ぎ、成立までに1か月以上かかるとされる補正予算を上げて、12月に衆院解散に踏み切る公算が大きいとみられています。
今回の公明の連立離脱を喜ぶ保守派は極めて多く、仮に今回の離脱がなくても、高市氏は衆院解散で勝負に出て民意を問い、公明切りに出ることは時間の問題だったかもしれません。日本が強くなることを連立相手の公明がどれだけ妨げてきたか。この際、リベラル左翼化することで有権者からの支持を失ってきた自民党は、自主憲法を掲げた結党時の理念に戻り、保守政党として純化する道を選ぶのが、参院選でも示された民意に応えることにもなるでしょう。では、高市氏に理念や政策が近いと目される参政党はどうするか。
過日、高市新総裁以下、自民党の7役の方々が参政党にご挨拶に来られ、神谷代表とともにお迎えいたしました。来られたのは高市氏のほか、鈴木幹事長、有村総務会長、小林政調会長、古屋選対委員長、梶山国対委員長、萩生田幹事長代行でした。少し懇談いたしましたが、高市総裁の参政党に対する関心の高さがうかがわれました。ネット戦略は私たちも見習わなければならない、党組織を固めたことは立派…等々。
ただ、参議院で15議席を持つに至ったとはいえ、まだ衆議院では3議席しか有しない参政党は、自民党に飲み込まれるわけにはいきません。まだ独自路線をもって党勢を拡大させなければならない局面にあります。まずは次の衆院選で高市氏にはない「反グローバリズム」を旗幟鮮明にしてできるだけ多くの議席を獲得する。連立入りがあるとすれば、衆院選の結果を踏まえての判断となるのではないでしょうか。
ジャーナリストの山口敬之氏は、そのためにも、参政党は結党時からの理念に立ち返って、それを神谷代表と松田とで貫き通せ!と述べておられます。今回は以下、この山口氏との対談と、公明の連立離脱が決まった高市-斎藤会談の最中に収録した佐々木類氏との対談の内容をご紹介いたします。
●民意が押し上げた高市氏は勝つ…参政党は反グローバリズムで結党以来の理念を貫け
山口氏との対談は総裁選で高市氏が選出された直後(公明の連立離脱の前)の時点で行われたものでした。これをみても、自公の連立解消は時間の問題でした。同氏によると…、「総裁選については高市リードと自分は言っていたが、圧倒的勝利。小泉氏を勝たせたい財務省の進次郎応援は徹底したものだった。メディアも結託していた。高市氏は党員票で差をつけた。自民党の国会議員よりも一般人に近い党員のほうがよほどまともだった。」
「高市氏が本格政権をつくるなら公明党を切れる環境をつくることが大事。公明党の支援がないと勝てない自民議員は皆さんリベラル系。本気で高市氏が戦闘モードに入れば、結果としてリベラルが落選。」
「次の選挙では改憲勢力が伸びる。積極財政派も。これは国民のベーシックな要望。自公連立はもう無理。だが、当面は自公併せて過半数いかない。高市氏が公明に折れても仕方ないねと。高市氏は日本を壊された瓦礫の撤去、そこまでは折れる以外はない。」
「問題は解散してから。どれぐらい勝つか。日本国民はまとも。その集合知は素晴らしい。85%、年内解散だ。年明けてからだと、ハネムーンが過ぎる。女性であり、トランプが来て、移民、財政支出、金融に関する考え方がトランプに近い。トランプ来日の余波があるうちに解散。やれと言う人がいる。麻生さんだ。彼の最大の痛恨事は、総理就任直後の解散をリーマンショックで見送ったこと。だから、歴代総理に、就任直後の解散を言い続けてきた。」
「国民民主は高市氏と組む。政策ごとでいい。榛葉氏は麻生チルドレン。国民民主と高市陣営はセットで動いていく。公明を切れる関係を創る。同じ重みで国民民主は連合を切れるか。それぞれの政党がリベラル勢を切れるか。それが無いと伸びていけない。高市氏が先取りしていくので、『手取りを増やす』は薄らいでいく。国民民主は参政党と同じ方向に行くしかない。」
「高市氏が反グローバリズムに立つかどうかだが、世界観や歴史観はここ1~2年はあまり関係ない。売国奴を潰す作業にイデオロギーは関係ない。」
「参政党の課題は政権を担える大人の政党に脱皮すること。実際の結果が問われる。売国・媚中・隷米の対極にある点で高市氏に近い参政党は、埋没しないよう、高市氏にはできない反グローバリズムの主張をぶれずに続けることが生き延びる道。」
「神谷、松田のようにずっとやってきた人は、高市氏との違いを見せられる。高市氏も総理として思い通りできることばかりでない。組めるときは組むことで頼りになる。政権を担える力があるねとなる。あとは、従来からの参政党の主張の中で高市氏との違いを出していくべき。」
「反石破の票を集められた今までの選挙のようなわけにはいかない。結党の理念に立ち返っていくしかない。徹頭徹尾それをすれば有権者に伝わる。高市氏も順風満帆とはいかない。いずれ、安倍氏と同様、もりかけのような批判が。支持率が下がったときに、本当の反グローバリズムでぶれずにいた参政党ですねとなる。」
●公明党は中国共産党と一体、連立離脱は必然の流れ…自民は無党派層を取り込め
次に、自公の党首会談が行われていた最中に収録した佐々木類氏との対談です。同氏によると…、「公明党、創価学会は、かねて中国共産党の影響を受けており、高市氏が総裁になったことで靖國参拝されたら困る、その一点で臆面もなく出してきたのが今の状況。政治とカネとか色々言っているが、本音はそこ。企業団体献金は公明が大きな声で言っていたことではなく、とってつけたこと。しかし靖國参拝を前面に出すと、安倍氏のときは連立離脱しなかったではないか?となって、つじつまが合わなくなる。要するに難癖。」
「公明党は中国共産党と一体だ。習近平政権と合わせすぎ。集権体制に使われ過ぎ。米国なら外国人登録制度の対象になる。プロバガンダの手先であり、自覚症状なきまま、いいように使われている。」
「連立が維持されないと、高市氏が新総理に選ばれない可能性。玉木氏が怪しい。逃げ回っているが、彼は正直、首相になりたい。」
「自公連立はいずれにしてももう無理。そろそろ『消費』期限が切れてきた。役割を果たして無くなる。いちいち国益にブレーキを踏んで邪魔してきたのが公明。」
「勢いがあったときは800万票、今は500万票。自民党議員も神話にすがりつくべきでない。むしろ無党派層、政治への関心が高まっている、そこで票を掘り起こす努力をすべき。早期の解散総選挙で自民の過半数を回復するのがベストシナリオ。高市氏が総理になれたら、いちばん強いのは政権発足直後、ぐすぐずせずに解散に。」
「高市総裁が誕生した経緯は…小泉陣営は麻生氏の出方を読み違えていた。大恥をかいた。党員が良識的判断。麻生、高市のもつデータは詳細なもの。党員票で行くだろうと読んでいた。決選投票で小泉氏に145票も入れた議員たちは国民の意識を分かっていない。二世三世たちにはわからない。国民が日本の危機を感じていることを。参政党が伸びた背景にまだ気づかない。そんな職業政治家が多い。」
「高市氏が首班指名を乗り切ったら、党内融和のようなことをやらずに果断にリーダーシップを。切るものは切って。参政党とも協力してスパイ防止法などに邁進すべきだ。」
「自民党は今まで何をやってきたのか。安倍政権も例外ではない。特定技能を増やした。国は責任を取りたくないから、『移民政策ではない』と言っている。自治体でやれと言っている。しわ寄せが住民に行く。国会議員の責任で国会議員が取り組んでほしい。外国人がたくさん入ってくれば陰険なところで差別主義になる。そうなる前に防がねばならない。」
…国民意識の変化を踏まえれば、高市政権ならば解散総選挙で自民党は勝つ可能性は十分にあるはずです。同党に問われるのは、今回のピンチをチャンスにできるかどうかだと思います。自民党が「結党以来の危機」を迎えているのは、政治とカネの問題が原因ではありません。あまりに同党がリベラル左翼政党に化してしまったことに、日本国民の常識が働いてノーを突き付けるに至ったことが真因です。
これは、リベラルに世論を誘導するマスコミが描く世界とは大きく異なるもの。真実を伝えていないメディアが叩く対象は、正しいことを言っているから叩かれている…もう、日本国民は気付いています。
何かがおかしい、政治は国民のほうを向いていないのではないか、自分の国は本当に大丈夫なのか、そんな危機意識が欧米でも政治の潮流を変えています。危機の本質にグローバリズムがある。こうした世界の潮流と歩調を合わせながら日本の政治を深化させ、国民に真の選択肢を示していく参政党の役割がますます問われているといえるでしょう。
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