始動した高市政権と今臨時国会の動向~日本を変え始めた参政党と「日本人ファースト」の経済政策~
- 松田学

- 11月11日
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更新日:11月11日
ようやく10月21日に臨時国会が召集され、同日の衆参本会議で、自民と閣外協力による維新との連立で高市早苗自民党総裁が第104代目の内閣総理大臣に指名され、高市内閣が誕生しました。10月24日には私も参院の常任委員長の一人としてモーニング姿で議事堂にお迎えした天皇陛下のもと、今国会の開会式が行われ、その後、高市新総理の所信表明演説となりましたが、その内容は、日本国家の自立や積極財政による強い経済を前面に打ち出すなど、私や参政党の日頃からの主張と重なる部分が多く、日本の政治が真っ当な方向に動き出したことを感じさせるものでした。
翌週は外交の週となり、訪日したトランプ大統領との首脳会談は、高市氏の持ち前のパフォーマンスもあって成功だったといえるでしょう。トランプ氏の盟友である安倍元総理の後継者として、同じ保守色の強い政治家として、同氏が好む(イタリアのメローニ首相の如く)強い女性として、首脳間の個人的信頼関係の構築という成果をあげました。その後の韓国と中国との首脳会談も無難にこなし、両国から一定の安心感を獲得したようです。
この外交成果もあってか、いずれの世論調査でも高市内閣の支持率は非常に高く、JNNが11月1日、2日に行った調査では82%と歴代2位(1位は小泉内閣の88%)の高支持率となりました。特に無党派の若年層からの支持が高く、景気回復に加え、何かが変わるという期待感も大きいようです。「全て総理のリーダーシップがきっちり示される形で一つ一つの物事が進んでいる」、「このところ、どこか明瞭さに乏しいリーダーが続いたので国民はゲームチェンジャーを求めている」といった声も高支持率の理由として聞こえてきます。
ただ、「日本人ファースト」で参政党が躍進したように、急激に増大する外国勢を前にして多くの国民が国家意識に目覚めていることも、強い日本への断固たる姿勢を示す高市氏への人気につながっていると思います。長年にわたるリベラル左翼や反日のメディアによる攪乱を、基本的に保守である日本国民の意識が超克し始めているように感じます。
その意味で高市人気は一過性のものではないと思いますが、他方で、国民を惹きつける高市氏の特徴として、その笑顔が挙げられるでしょう。表情解析をする企業が分析をしたところ、安倍氏から石破氏までの歴代首相が所見表明演説で笑顔を見せた時間は全体のゼロ~7%程度だった一方、高市氏は31%、就任会見のときは全体の51%だったとか。
そこには「計算された意図」があるとも…。女性のリーダーは、弱々しくても、強すぎてもいけないという「ダブルバインド」(二重拘束)の縛りを受けやすいそうで、特に高市氏のように強い口調で話す女性にとって、笑顔は怖さや厳しさを和らげる最強の武器だそうです。それも「口元だけの笑顔は実は偽物。本当の笑顔は目元に出る」とされる通り、「目じり笑顔」が日米首脳会談では功を奏したとも。
そして11月4日から国会では各党による代表質問が、7日からは予算委員会が始まり、先の参院選から3か月半を経て、やっと国会論戦が本格化するに至っています。総括質疑がTV中継され「国会の花形」とされる予算委員会は、かつて衆議院議員だった頃、私も総理以下全閣僚を前にTV入りでガンガンやったものです。今回も11/14のTV入りで予算委員会の質疑に私が立つことが決まりかけたのですが、予算委員会と同じ第二種常任委員会である懲罰委員会の委員長である私は、本委員長である限り予算委員会には立てないという国会のルールがあるとのこと。残念です。
今国会での最大のイシューは、ガソリン暫定税率廃止と、積極財政に基づいて経済対策を実現するための今年度補正予算でしょう。防衛費のGDP比2%を今年度中に達成すると高市総理が公約した以上、この補正にそれが盛り込まれねばなりませんし、「危機管理投資」に向けた諸施策も多額の財源が必要。国債増発は不可避でしょう。
「責任ある積極財政」とは政府債務のGDP比の低下であり、金利を上回る名目GDP成長率によってこれを実現することで税の自然増収が財政を改善するという考え方ですが、一部にインフレを心配する向きもあります。これについては、アベノミクスでは不十分だった「第三の矢」の成長戦略を積極財政で進めて供給力や生産性を高めれば、供給面の拡大が伴う需要の拡大となり、インフレの懸念はない。これが高市政権の立場のようです。
理屈はそうですが、金融マーケットがどう反応するか、日銀が国債購入量を再び拡大する決断をできるのかが気になる点でしょう。いずれ松田プランが必要になると思います。
今後の政局については早速、解散総選挙の声が自民党から出ています。連立といっても少数与党、維新との関係も不安定ですし、高市政権が目指す政策の実現のためには衆院で自民が単独過半数を取り戻すことが至上命題だからです。
課題の処理を優先する高市氏自身は早期解散を否定していますが、周囲からは支持率が高いうちになるべく早くとの声が…リーマン対応を優先して解散の時期を失した麻生氏などは今すぐにも、ガソリン税を可決したらその時点でなどと進言しているとの噂も…。しかし、さすがに補正は上げねばならないでしょう。補正は12月17日の会期末ギリギリまでかかるでしょうから、現実的には来年年明けの通常国会冒頭解散説が有力なようです。
ただ、過去の事例を見ると、年末に首相が解散を表明して、年明けに選挙というケースがありました。吉田茂首相の「馴れ合い解散」(1948年12月23日解散、1949年1月23日投開票)や、佐藤栄作首相の「黒い霧解散」(1966年12月27日解散、1967年1月29日投開票)などの前例があります。もしかすると、選挙で今度の年末年始は吹き飛ぶ?
いずれにしても、参政党としては、反グローバリズムを軸に高市政権とは異なる独自の立ち位置を明確にすることが次の選挙に向けた最重要課題となるでしょう。その参政党は衆参併せて18議席の政党へと成長したことで、新しい風景を迎えています。
今回は以下、今臨時国会に臨むに当たって参政党の党員党友宛のメルマガに書いた私の思いをご紹介いたします。
●結党以来の快挙と参政党の存在意義
参政党が参議院で15議席の政党へと躍進したためにできるようになったことが国会で次々と実現しています。一つは法案の提出です。この臨時国会では早速、国旗などの日本の国章の損壊罪を規定する刑法の一部を改正する法案を提出、加えて、スパイ防止法案やコロナ対策検証法案についても提出に向けて党内で準備が進められています。
先日の秋の園遊会には参政党からは三人(神谷代表、安藤幹事長、そして15議席となったことで獲得できたポストである常任委員長として私)が参加することができました。天皇陛下は神谷代表の顔をご覧になるなり「神谷さん」とお声がけ。「私たち参政党です」と申し上げました。結党以来、「天皇中心に一つにまとまる平和な国」を綱領の第一に掲げてきた参政党が、ついに、こうして陛下からお言葉を賜るに至ったのは、党創設メンバーの一人として感慨深いものがあります。
国会の院内にも広い部屋が与えられ、メジャーな政党の一つになったことを実感します。そして11月6日、参院本会議で、これも結党来初めての代表質問に神谷代表が立ちました。
まだ衆参併せて18人の勢力ですが、高市政権誕生の流れを創ったのも、「日本人ファースト」を訴えて多くの日本国民が潜在的に抱いていた問題意識を掘り起こした参政党だと思います。私たちは既にこうして世論を喚起して政治を変え、日本を変え始めています。これも、全国の党員が日本のためにと、日頃から懸命に活動を続けてきた成果です。
参院選直後に参政党が講師にお呼びした東洋日本思想家の林英臣先生は、今般、高市総裁と藤田代表を思想的な立場からつなぎ、自民と維新の連立政権誕生の立役者になったそうですが、その林先生は、これからの地球文明を先導するのは日本であるとして国民や政治家の覚醒を促しておられ、その基本理念には神谷代表や私もかねてから共鳴してきたものです。
今回の総理の所信表明演説や連立合意も参政党や私が日頃から主張してきた内容と重なる部分が多く、日本の政治が参政党が目指す方向へと舵を切ろうとしているように見えます。
これを契機に新たな日本の出発へと高市政権が正しく導いていくためには、自民党の外側から参政党が、歴史認識も含め反グローバリズムなどの独自の立場でプレッシャーをかけていかねばなりません。参政党の存在意義はますます大きくなっていると思います。
これからいよいよ国会論戦が本格化しますが、ここでは以下、「日本人ファーストの経済運営」という視点から、経済政策について2点ほど述べてみたいと思います。
●外国人労働者には頼らないとの決断で実現を目指す新たな高度経済成長
一つは、人口が減少して人手不足となる中にあっても、外国人労働力には頼らない経済づくりです。そのためにまず「できるだけ日本人だけで経済社会を回していく」ことで、政治が合意形成を図るべきでしょう。答は国民一人当たりの生産性を高めることにしかなく、そのためにはAIやロボット、ブロックチェーンを広く装備していく必要があります。
これからの世界秩序を創るのはAIの急速な進歩で誕生する超知能だとされており、米中が世界覇権をめぐって開発にしのぎを削っています。中国による全体主義的な世界支配を回避するためにも、日本は日本型の和と調和を旨とするAIを開発し、これをロボットなどと共に中小零細の現場にも装備するためのサポートを国主導で進めていくべきです。これは生産性を向上させるための投資ですから、国債発行による積極財政の対象でしょう。
人手不足という制約を経済に課すことで、日本人の賃金も上がりますし、省力化へのニーズが新たな技術革新を生み、投資が投資を呼ぶ高度経済成長が期待できます。
生産活動の自動化が進めば、国民は人間的な付加価値創造に集中できるようにもなります。超知能の時代には受験秀才型人材へのニーズは低下し、人間にしかできないことは何か、つまり人間力が問われるようになります。教育のあり方も参政党が提案してきた方向へと転換をせざるを得なくなるでしょう。
●グローバリズムに支配されない国家主権の発動としての政府通貨の導入
もう一つは、世界最高水準の対外純資産国家として海外に流出しているマネーを国債の増発で吸収し、積極財政や減税の本格実施で日本の国民経済へと取り戻すことです。現状では、その障壁となるのがグローバル金融市場。財政規律の乱れなどを材料に売り浴びせをかける対象を虎視眈々と狙う勢力が各国の財政政策の自由度を制約しています。
歯止めなき国債増発だとマーケットから受け止められると日本売りとなり、金利の上昇と円安による物価上昇につながる…このことを財務省も日銀も強く意識しており、あのトランプ大統領ですら、この4月に相互関税の延期に追い込まれた背景の一つには、米国債売りの懸念があったとされます。為政者たちは国債マーケットの壁を簡単には崩せません。
この壁を突破するのが、国家主権の一つである政府の通貨発行権です。これを活用して日銀保有の国債を政府発行のデジタル円で償還し、これを新たな法定通貨である便利な電子マネーとして一般国民が使えるようにするのが「松田プラン」の提案です。
既に日銀は、日銀が発行するデジタル円の導入を想定して相当な準備を進めています。このインフラを活かして、日銀ではなく政府がデジタル円を発行することにすれば、これを政府の借金の返済に充てることが可能になります。
こうして国の借金がおカネに変わることで国債残高が減っていく道筋、つまり「出口」ができれば、国が新たに借金を増やしても「歯止めなき国債累増」になるとはいえなくなります。これは日本国民が民主主義を通じて決定する財政政策を、グローバリズムが支配する金融界の軛から解き放とうとするものともいえます。反グローバリズムの立場に立つトランプ大統領も、米国金融界の総本山であるFRB(米国の中央銀行)の力を抑え込むべく、ステーブルコイン(法定通貨とリンクした暗号通貨)を振興しています。
以上は日本人ファーストに立った政策のほんの一例に過ぎません。今臨時国会でも参政党の国会議員たちが反グローバリズムという他党にはない独自の立場からさまざまな論戦を挑み、支持者の皆さまからのご期待に応えるべく全力を尽くすことになると思います。ご期待ください。



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