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総選挙に向けた自民党の党内事情と選挙後の岸田政権~思わぬ波乱要因で憲法改正の道が図らずも開かれる?~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 2021年10月25日
  • 読了時間: 18分

総選挙まで一週間を切りました。その前哨戦と位置づけられたのが24日の山口、静岡の参院補選。自民が2つ勝つ予定が、静岡で敗北。当初は、自民党が強かったのが、野党支持が高まっていったそうです。この傾向は、総選挙にも影響を及ぼすでしょう。後半戦の戦い次第では、自民は予測よりも厳しい結果になる可能性が出てきました。与党には危機感が広がっています。「2勝するために首相を2度入れたのに敗れた。衆院選に大きく影響する」、「岸田政権最初の選挙で負けた。野党に勢いが付く」…。


過去にも、衆院選の結果が直前の補選と連動したケースが多々あります。特に今回のような一週間前の補選は異例で、それだけに総選挙への直結度合いは高いでしょう。自民が勝った山口のほうは立憲民主は候補を立てず、自民勝利は織り込み済み、これに対し静岡は、自民及び共産の候補を制した無所属候補には、立憲民主と国民民主がつきました。


自民の総選挙情勢は、289小選挙区のうち優勢は110のみで、136が接戦。某紙によると、比例代表を前回並みの66とすれば、事実上の勝敗ラインとされる単独過半数233には、接戦区で57議席の確保が必要となります。これを下回れば岸田総理の求心力は低下が必至。接戦区では立憲民主と共産との野党共闘が効いていますが、今回の静岡では「共産と組まなかったのが勝因」(国民民主)との声も…。新型コロナ対応や安倍・菅両政権で相次いだ「政治とカネ」の問題など、自民党自体に対する有権者の不満が渦巻いているようです。


では、これから岸田自民党政権はどうなっていくのか…。そもそも岸田政権はどんな背景で誕生し、政界の流れのなかでいかなる位置づけの政権になるのか…。今回は総選挙特集ということで、有識者たちの見方をご紹介しつつ、最近の政局について述べてみたいと思います。


●総裁選で自民党は実際に変身した

以下、安倍元総理と緊密な関係にある阿比留瑠比氏(産経新聞論説委員)と八幡和郎氏の見方をご紹介しながら、今回の総選挙についての判断材料を提供してみたいと思います。まず、自民党は現在、どんな性格の政党なのか…先般の総裁選を振り返ってみます。


総裁選について阿比留氏は、「自民党はいままで通りだとか、枝野氏は自民党は変わらないと言ったが、総括すると、自民党はかなり変わった。二階氏が完全に没落し、二階派もこれから壊れていく可能性がある。石破氏がもう立場を失った。彼は総裁候補ではなくなった。岸田氏の背後霊のような古賀誠氏も影響力を失う。小泉氏と河野氏のポピュリスト的な人気者が総裁選を制せなかった。石破氏の旧田中派の雰囲気も、小泉総理以降のポピュリスト的雰囲気も自民党から消えた。」


9月の総裁選は要するに、「3A(安倍、麻生、甘利)が菅氏と二階氏に勝ったもの」(八幡氏)といえますが、阿比留氏によると「トリプルAには誤解がある。麻生氏は甘利氏が幹事長になることを知らなかった。官房長官がなぜ、安倍直系の萩生田氏ではなく、松野氏なのか。人事は決して自分に配慮したものではなかったと安倍氏が言っていた。」


安倍氏の判断について阿比留氏は、「菅氏が出るなら菅氏を応援すると安倍氏は決めていたが、菅氏が降りたことで状況が変わった。河野氏に総理をやらせてはいけないというのが自民党のある程度の人間のコンセンサス。過激な言動、危ない、エキセントリックすぎる。イージスアショア断念の独断専行的やり方、ただのポピュリスト。安倍氏は最初は高市氏に肩入れしたのではなく、菅氏を勝たせるためにということだった。菅氏が降りた後は、河野氏をおろすためにということになった。しかし、高市氏の本気度で、安倍氏も本気になる。漁夫の利を得たのは岸田氏だった。」


「安倍氏は岸田氏を後継にと考えた時期はあったが、心は揺れ動いていた。石破氏だけは絶対にダメ。ならば、岸田氏は本人にやる気があるし、良い人物でもあるし…だった。しかし、決断力のなさに、総理は務まらないとも考えた。それが、去年の総裁選の頃と比べると、態度が変わってきた。岸田氏は最初からああやれば…と安倍氏は語っていた。」


●岸田氏に対する安倍氏の判断とその経緯

ここで、昨年来の安倍氏の判断の経緯について、八幡氏のコメントをご紹介しますと…、


「昨年、安倍氏が一年任期を残して辞めたが、後継と考えていた岸田氏の人気が上がらない、二階氏と岸田氏があまり仲良くない、そこで思いついたのが菅氏だった。ただ、安倍氏からみると、ちょっとイメージが違った。『菅さんが総理になると、菅官房長官がいない』との安倍氏の名言が当たってしまう。二階氏からは、菅氏を応援しないと石破氏を応援するよとちらちら言われて…。そこで、岸田君悪いね、人気が上がらないから…。」


「もう一つは前回の参院選での広島の選挙違反事件。これは岸田氏が悪い。あの選挙区で2人とろうというのは普通の考え方。総裁をめざすなら、それぐらいやれというのが安倍氏が岸田氏に言ったこと。河合氏には3割ぐらいは組織票をあげる、残りは浮動票と言うのが普通だが、溝手陣営が組織票は一票も渡さないと言い、岸田氏がそれを抑えられなかった。それなら、カネがないと選挙はできないとなり、1.5億円となった。使う手足が無かった河合氏が焦って、あのようなバラまき方をした。これは、地べたのところで作戦が組めなかったからだった。結果として2議席とれず、河合氏は逮捕され、岸田氏は信用を失った。これがあって、昨年は、岸田氏は外れた。」


「その後、菅政権はコロナで人気が低落しても、ワクチンが普及し、五輪で盛り上がればなんとか行くと思っていた。しかし、デルタ株と天皇陛下のご発言。都議選の時に政争のテーマになっていることについて、陛下が本当に言ったかどうかわからないが、宮内庁長官が『拝察する』などと言ったのは、日本の憲政史上の汚点。そして都議選で自民は敗けた。デルタ株と五輪パッとせずで、調子が狂い、そこに岸田氏が二階氏を幹事長から辞めさせる動きに出て、これが奏功した。二階氏はたまったものではなかった。そこに小泉進次郎氏が悪いアドバイスをして、菅氏は辞めざるを得なくなった。」


「その段階では、河野氏は間違いなかったが、安倍氏は河野氏をいやがった。皇位継承問題でもフラフラしている。いまやらせるのは危ないと考えた。何とかやめさせたいと。しかし、岸田氏を応援するといっても、一対一になると総裁選は盛り上がらない。河野氏は党員票で一位になるだろう、二人の選挙でなら一位は過半数だ、過半数の人を押しのけることなどできない、なんとしても第二回の投票にしたいということになった。安倍氏も切り札があったわけではないが、高市氏が安倍氏に出てほしいと頼み、出ないなら私が…となって、『ならば、頑張れ』ということになった。」


●河野氏が潰れ、高市氏が浮上~その闘いの意味~

しかし、実際に高市氏が総裁選で勝つ見込みはありませんでした。阿比留氏によると、「高市氏が勝てないのは分かっていたのに、安倍氏があんまり頑張るので、麻生氏はびっくりしていた。高市氏は当初は泡沫的だった。仲間がいないから。一人で政策を書いているタイプ。話せば朗らかで面白い人だが…。あんなに弁が立つ人だったか、Q&Aがあんなにうまい人だったか…。高市氏本人としては、自民党がこのままだと敗ける、リベラルばかりが総裁選では…との思いで出馬した。ここしばらく自民党から離れていた保守層がさらに離れる。それが安倍氏の問題意識に重なっていた。結果として岸田、河野も保守に寄った。出ないとリベラル合戦になっていた。一気に女性総裁候補に高市氏が浮上した。」


高市氏については八幡氏も、「高市氏が立候補表明したら、びっくりするぐらい弁が立つ。一対一では、あんなしっかりした物言いはしない。フランクで気の良いお姉さん。だから、高市氏を直接知っている人ほど驚いていた。あんなに政策が出てくる、嫌なことを言われても切り返す。安倍氏は高飛車に言っては、違うことを言ってごまかすが、高市氏は、きちんと答えて自分の土俵に持って行く。これは米国で鍛えたディベート術。安倍氏も、これはいけるとなった。保守の主張を出してもらう。ややリベラルな岸田氏と、新自由主義ではあっても、環境問題などで嫌なことを言っている河野氏だけでは…。安倍氏も、やれるところまでやってみようとなった。」


「ただ、最後の場面では、高市氏は勝てそうもなかった。告示日の直後に投票し、候補者討論会を見ていない党員も多かった。高市氏は地方回りもしていない。石破氏は地方議員の選挙までみんな回ってきた。高市氏は地方票が取れていない。」


総裁選時の他の候補者たちについては、八幡氏はこんな見方をしています。


「野田聖子氏は女性総理候補と最初に言われた人。実力はある。ディベートさせたら、それなりの存在感。話をしてみると、良い人。ある種の育ちの良さ、田園調布雙葉、皇后陛下の後輩。ご本人はお嬢様。意外と票をとった。」


「河野氏はディベートのときに、50%を取りたい人とは思えぬ粗雑さ。とんがり過ぎた。」


「岸田氏は顔が良い。ビジュアルが大事。菅氏はビジュアルがダメ。それは二階氏も同じ。安倍氏はテレビではちょっと…だったが、実際に会えば、オーラが出て圧倒的。菅氏はお年寄りのイメージ。また、岸田氏自身が一年前の岸田氏とは大違い。声の出し方など、訓練をした。誰が訓練したかも知っている。思ったより良い…という印象に。」


「結局、河野氏は蟻地獄に陥った。党員票で50%を取れず、議員票併せて1票差で岸田氏に敗れ、議員票では高市氏に敗けた。これは完敗。高市氏は明らかに次の切符を手に入れた。野田氏も生き残った。河野氏は雑巾がけ。ちょうどよかった。今回の党役員人事で、麻生氏の下に麻生派の甘利氏が幹事長となり、河野氏はその下に置かれた。麻生氏が今後指導していけば、林芳正氏と横並びで河野か林か…次の次ぐらいまで待ったほうが良い。」


●組閣と党役員人事の裏事情~岸田氏は決して「人の話をよく聞く」だけの人ではない

では、岸田氏はどんな性格の人物なのか、どのような総理になるのか、今回の組閣や党役員の人事も含めてお二人のご意見を伺うと…、


まず、阿比留氏は、岸田氏が自らのメリットとして強調している「人の話をよく聞く」という点に疑問を呈しています。


「確かに、聞くときには聞くが、安倍氏は岸田氏との間で、萩生田氏を官房長官にするという話をしていたのに、外した。頑固な面を見せている。福田達夫氏の総務会長任命はいやがらせだ。当選3回で総務会長になったら、総務会長の全会一致の仕事ができるか。そのポストが終わったあと、行き場がない。総務会長は『できる人だ』ということを見せるポストでもないし、『こいつ何様か』で終わる。岸田氏は本当に良い人なのか?」


「岸田氏はいまは良い。解散の決断も早かった。バンバン打ち出している。ただし、あとあと、優柔不断さが外交などで出るのではないかと言われている。宏池会だから親中派だということではない。そもそも自民党は、全部が『親中』。それよりも、いざという時の断固たる決断ができるか、問題はそこだ。台湾有事=日本の有事。北朝鮮がミサイルをぶっ放す、韓国からの在韓米軍の撤退、ロシアも危ない…。外務大臣を4年間やって安倍氏の立場は分かっていても、岸田氏自身がどう決断できるかわからない。」


「人事は、政調会長に高市氏を就けたことを歓迎したい。政調会長代行も古屋氏、はっきりした色を打ち出している。岸田氏は派閥の長なので派閥の議員はよく知っているし、開成高校出身の議員も…。だが、それ以外に党内にネットワークを持っていたのか。」


人事については八幡氏がこんなコメントをしています。


「麻生氏は財務大臣をもっとやりたかった。国際課税、デジタル課税で功績をあげている。ただ、財務大臣が麻生氏の親戚の鈴木氏であれば、院政ができるということになった。森友でまた言われるぐらいなら…。留任した茂木、岸の両氏も実力がある。」


「甘利幹事長、松野官房長官という布陣をみると、これは総選挙で勝つためというより、敗けないための選挙対策。勝ちたいなら、河野幹事長、高市官房長官のほうが良かった。岸田氏はそこまで勝ちたくないのでは…。むしろ、公認調整でガタガタくるのが嫌だ。そうなると、甘利氏ぐらいの政治力が必要。河野氏でも高市氏でも、そこは無理。甘利氏はカネの問題で叩かれるだろうが、テレビのディベートでちょんぼする人ではない。高市氏にあまり大きくなってもらっては困るし…。」


「官房長官に就いた松野氏は、清和会のなかで幹事長や官房長官をさせるならこの人しかしないという人。総理ではなく、ナンバーツーとして能力を発揮するタイプ。同じ松下政経塾出身の野党議員からも評判が良い。苦労もしているし、商売もしているし、ねれた人。マスコミ対応もうまい。野党対策にも力をふるうし、役人との関係も良い。きちんと安定政権をするなら、とても良い人事。手堅く総選挙に臨んだ。」


●無色透明な岸田政権ゆえに進められることがある~財務省は「経済知らず」(安倍氏)~

では、岸田政権の政策や政権としての性格、位置づけはどうなるのか、この点は今回の総選挙の結果とも大きく関係してきます。まず、阿比留氏の見方から…。


「岸田氏自身が無色透明にみえるだけ、良い方向に進む可能性がある。党で防衛費増額を高市氏が訴える。安倍氏なら野党は反発するが、岸田氏なら、するすると…。憲法改正も安倍総理のもとでは…と言われていた。しかし、それはデメリットにもなりかねない。」


「経済安全保障は大事だ。本来は安倍政権もやりたかった。岸田氏がするすると進めてくれるのは良いこと。外交安全保障に関しては安倍路線をきちんと引き継ぐだろう。さらなるミサイル防衛については、敵基地攻撃も含めたものと解釈される。」


「ただ、『新しい資本主義』は肉付けがこれからというのは、言葉遊びだ。これから会議をつくる。褒められた話ではない。新自由主義を否定しているが、その言葉自体がわからない。何を指しているのか。格差と言うが、コロナ前は格差は縮まっていた。賃金が上がらないのも長期にわたるデフレが原因。非正規雇用が増えれば、平均賃金は下がるのは当たり前。分配ばかり強調していては…。」


ここで、前回もこのコラムで取り上げた矢野財務次官の論文について、阿比留氏は興味深い指摘をしています。「言葉足らずで説得力を感じない。日本がそう簡単に財政破綻するものではないことは国民全体に行き渡っている。消費税上げ以外に、成長によって税収を挙げるとか、他の方法を考えるべきなのに、財務省は、消費税を上げても景気にマイナスでないなどと、さかんに官邸を説得していた。『なぜ財務省は消費税にばかりこだわるのか』と安倍氏に尋ねたことがあった。しばらく考えてから、『財務省は経済を分かっていないから。特に主流派の主計局の人たちは税を集めて再分配している人たちなので、経済など知る必要もない。まさかと思っていたが、実際に仕事をしてみてそう感じた』と。」


「安倍氏が2012年の総裁選でアベノミクスを言った時には財務省も自民党の大半も反対だったが、やってみたら、世の中はそちらに動いていった。『財務省の人たちは不思議だ。単年度の収支計算ばかりで、国家百年のことを考えないのか』、とも。矢野論文は、しかも、衆院選の前のタイミングだ。高橋洋一氏に対する反論を言わないと説得力にならない。」


この安倍氏の財務省に対する見方、自分で言うのもヘンですが、私が現役の大蔵官僚だった頃は、金融関係者などからは、松田ほど経済を分かっている人は珍しいと言われていたものです。よく考えると、財務省にしては珍しいという意味だったのかもしれません。


●怖いのは「なんか、つまらない」になること~保守色が薄いから保守の政策が実現~

では、今後の政局は…?阿比留氏によると、「総選挙を早めた狙いは、野党の準備不足を突くこと。一週間早めたところでリーダーシップを感じさせた。菅氏のときの調査で悪い結果が出ていたので、20ぐらい議席を減らしても批判はあまりないだろう。衆院選はなんとか乗り切るが、その後の政権運営が色々と問われる。やはり、来年の参院選がすべて。それまで支持率が落ち続けていてはダメ。政権は、もたなくなる。」


「支持率が落ちる要因は、一つはコロナの再拡大。心配しているのは、『なんか、つまらないな』という印象。菅氏が嫌われたのは、良い仕事をしているのに、なんとなくいやだな、だった。常時30%台の支持率が続くと、きつい。割り切って高市氏をバンバン出すべき。高市氏はハッキリと、しかもやんわりと、彼女らしい関西弁で言うのが良い。岸田氏は言葉のセンスがよくない。『新時代共創内閣』、頭に残らない。『所得倍増』が無理なら『所得1.5倍』でも…メッセージ性が課題。」


「憲法改正、防衛費GDP比2%、皇位男系継承…安倍氏なら反発を買うが、岸田氏なら…。皇位継承は、菅前総理のときに、いままで政府の公式文書に入らなかった『旧宮家』が入ったが、安倍氏がやったら反発された。ぜひとも政権をとった以上は、やってほしい。保守色が強くない人だからこそ、保守色を反映した政策を実現できることを期待したい。」


…岸田氏はもともと、話がつまらないことで有名な人です。何をしたいかよくわからない人だからこそ、保守路線を実現できるとは!!…それは野党対策ではメリットではあっても、国民にとっては分かりにくい政治にならないでしょうか。やっぱり自民党は変わらなかったと言われないことを祈ります。


●岸田氏のリベラル色ゆえに憲法改正や保守政治が実現する

八幡氏も、岸田政権だから保守路線を実現できるという見方では共通です。同氏はそこから、さらに先の政界再編まで視野に置いて見ています。


「岸田政権は宏池会だから常識的な政権だが、憲法や皇室にはあまり関心が無い、それが宏池会の伝統。しかし、憲法改正と皇室問題の決着は安倍氏との約束である。それらをやってほしいなら、経済政策などは本当に困ること以外は口出ししない方がいいと保守派の人には言いたい。安倍政権のときに岸田氏が後継とされた理由は、一つは、安倍外交の継続。韓国に対する強硬姿勢もそうだ。これらをゆるめないことが安倍氏のレガシー。」


「第二に、安倍氏自身や高市氏といった保守系では『憲法改正反対』とされてしまう。安倍氏の路線は敵を作りやすい。保守系のもとでやるよりも、ややリベラルな匂いがする人のもとでのほうが好都合かもしれない。『憲法9条だって現状に即していないではないでしょうか?』とやんわりと言うのが、反対しにくい言い方だ。仮に国会で維新などを巻き込んで3分の2は確保できても、国民投票では過半数がとれるか?国会が大荒れになって、それでとれるのか。そうなると、玉木氏や上田清司氏や小池氏なども取り込んで…。そういうところに持ち込まないと、改憲は難しい。」


「岸田政権のもとで大連立をやってやれなくもない。改憲は大連立、第一党、第二党が入った政権で。今回の総選挙で、立憲民主党のなかでクーデターが起こるかもしれない。前回苦戦した人がかなり落ちると、立憲民主党自体が保守化するだろう。(注:確かに、立憲民主でも野田元総理のような人は保守ですし、選挙のことを考えて立憲民主に行った保守系議員も結構多いのが実情です。)そこに上田新党、小池新党、鳩山さんも?」


「大連立で憲法改正をすれば、日本の政治が、改憲がテーマの政治ではなくなり、二大政党が成立しやすくなる。『中道右派と中道左派』で。あるいは『改革か非改革』かで。」


「岸田内閣で大連立を組んで憲法改正をやる。愛子天皇ではなく悠仁様でと決める。旧宮家の復活を排除しないとする。どこかでリベラルを取り込まねばならないのだから…。」


「いずれ、安倍氏の復活もある。3年後の米大統領選挙でトランプが勝てば、世界中が安倍氏を求める。一回目より二回目、二回目よりも三回目。ややリベラルな路線で岸田氏がやっていくほうが、保守派にとって急がば回れになる。」


「今回の総選挙では立憲民主と共産が選挙協力をしているが、それは差し当たっては議席を増やすが、体力が落ちる。共産党は前回、候補者を引っ込めたため、かなり勢力が落ちた。選挙協力が長い目で良いかどうかは疑問。小池+上田(+松沢?)は、今回の総選挙には間に合わなかったが、参院選を睨めば、憲法改正の上でもプラス。岸田政権は、その辺りに向けて道筋をつける政権になるかもしれない。」


●囁かれる小池+二階+鳩山+小沢+「小石河」…新しい政治への前進か?悪夢か?

以上、二人の政界通の見方をご紹介しましたが、私の手元にはこんな情報もあります。


「やっぱり日本初の女性宰相は、この私、小池百合子以外、あり得ないのよ!」こんなドラマのようなセリフを、小池氏は本当に側近たちに漏らしているそうです。「小池氏はまず国政に足場をつくり、それから自分が復帰して、なんて悠長なことは考えていません。どうも菅前首相、岸田首相、更にその後ろ盾である安倍元首相や麻生太郎党副総裁など自分を追い出した自民党領袖にリベンジしたい二階俊博前党幹事長とつるんで画策し、来夏は衆参ダブル選挙に持ち込んで自らの衆院選出馬、ブームの中で圧勝して一気に政権トップになり史上初の女性首相になるというシナリオを考えているようです。」(某記者)さらに、後ろ盾として鳩山由紀夫氏の名前も挙がっており、その背後に小沢一郎氏の影も…。


「今回の衆院選で野党が『共闘』を広げても、岸田政権が下野するような議席状況になる見通しはありません。しかし、現状の絶対安定多数(自公で273議席以上)が失われるのは間違いなく、与党全体で過半数(233議席)をわずかに超える程度なら、岸田首相の求心力は著しく失われることになります。小池氏、さらにその背後にある二階氏らの思惑は、そこをチャンスとして突くことにあります。」(某記者)


小池、二階、鳩山由紀夫、小沢一郎、石破氏の「新進党同窓会」に「改革派」河野氏、小泉進次郎氏+小泉純一郎氏…過去に政局を動かした人士が再結集しつつあるようです。


考えてみれば、冷戦体制終了後の数十年にわたり、日本の政治の最大の課題は、欧米の政界ではあまりみられない左翼共産勢力をどのように一掃するかでした。それが反日左翼メディア勢力による狡猾で執拗な世論工作によって妨げられてきました。結果として、7年8か月もの長期政権を築いた安倍政権のもとでも、戦後70余年にわたって日本の最大級の課題であり続けた憲法改正はできず、「日本を取り戻す」は未だに実現していません。


自民党にとって厳しい結果が予想される今回の総選挙、意外と、日本の政治を本当の意味で「前に進める」結果につながるかもしれません。ただ、その担い手が過去の古い顔ぶれではなく、新しい時代を築くにふさわしい勢力の台頭によって政界の大願成就となることを祈るものです。参政党の役割が問われていると思います。

 
 
 

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