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  • 執筆者の写真松田学

総理訪米で「共に沈む日本」にならないために~ウクライナ戦は終わり、対イランでイスラエル戦は激化か?~

ついにイランが4月14日、イスラエルを300以上の無人機やミサイルで大規模空爆!両国はかねてからの宿敵ですが、イラン側がイスラエル本土を攻撃したのは今回が初めてだそうです。これで中東情勢がエスカレートして第三次世界大戦に?


イスラエル側は「99%を迎撃した」としていましたが、この空爆は4月1日のイラン大使館攻撃関連個所に限定され、簡単に撃墜される程度の攻撃にとどめていることに、米国との直接の軍事衝突は本音として避けたいイランとしてのメッセージがあるのでしょう。しかし、イランにはこうして攻撃せざるを得ない国内世論という政治事情があります。


今後どの程度のイスラエルからの反撃があるのか予断を許しませんが、イスラエル側にもネタニヤフ政権内での内部分裂、軍の暴走などの事情があり、中東情勢は結構、危ない…イランが目指すのは、米国を排除し、サウジを抑え、中東での覇権を握ること。だからハマスをしてイスラエルに戦争を仕掛けたのですが、現時点で危ないのはイランよりも、そのコントロールを超え始めたフーシ派やヒズボラの暴走か。そうなると世界大戦か…。


今回の事態は世界中が注目していますが、他方、先週の日本での注目ニュースは岸田総理の国賓待遇での訪米。しかし、こちらは米国では殆ど報道されていなかったそうです。


国内では満身創痍の総理ですが、僕だって英語はしゃべれるんだ、ジョークも言えるし、米国でこんなに受けているんだ、他国のどの首脳も乗れなかったビーストでバイデンと自撮りもした…たぶん、頭の中は、外交で支持率を上げて今通常国会で解散総選挙、過半数をとって9月の総裁選で無風再選…そのためのパフォーマンスで必死な姿がみえます。


バイデンが岸田氏を大歓迎しているのは当然です。もはや極東の守りを担い切れない米国として、キシダは防衛費の倍増や敵基地攻撃で米軍事利権を潤し、米軍の負担も減らしてくれる、自らの利権であるLGBT差別禁止法をごり押ししてくれたし、一緒になってロシアを敵に回してくれた、ウクライナ支援も日本が肩代わりしてくれる…。


今回の日米首脳会談では、岸田氏はバイデンと安保や先端技術協力やサプライチェーン構築など、強固な日米関係を決めてきたことが評価されているようです。しかし、これで国防面では、自衛隊が米軍の指令系統により強く組み込まれ、日本が一層、米国への従属的な立場に組み込まれてしまわないか。先端技術面でも、世界中から技術を集めている米国に日本は取られる一方とならないか。日本の植民地化を後戻りできないところまで進めるものではないか…こうした面も見るべきですし、国民はごまかれてはいけません。


11月にトランプ氏が再選されれば、世界の潮流は大転換します。米国からの自立路線へと早くBプランを構築しなくては、日本は国際社会での存在を失いかねないでしょう。


軍事評論家の矢野義昭氏によれば、ウクライナ戦争も軍事力で圧倒的に優勢なロシアにウクライナが敗戦することは確定し、国際社会はどう停戦に持ち込むかで動いています。岸田政権がゼロ百で応援するウの軍隊はほぼ壊滅状態。日本が褒めたたえるゼレンスキーは軍だけでなく国民からの信も失いつつある。日本がG7議長国として先頭に立った経済制裁も米ドル基軸通貨を弱体化させる一方で、かえってロシアを強くしているだけ。


プーチンは大統領就任以来、米欧に何度も平和体制の構築を持ちかけてきましたが、それを蹴り続けてウ戦争を仕掛けたのが米ネオコン、その意を体してきたヌーランド国務次官が辞任したように、バイデンも大統領選を見据えて停戦へと舵を切り替えている…ウクライナの分割のどこでラインを引くかで、選択肢が論じられているようです。


逆に、イスラエル・ハマス戦争は終わりが見えませんが、元々イスラエルの目的はイランの核武装の阻止であり、イランを挑発して米国を巻き込む大戦争をすること…これにどこまでイランが耐えられるかがカギでした。トランプが再選されればウ戦争はすぐに終結、そしてイスラエルをいかに終戦に向けて追い込んでいくか、トランプならやるでしょう。


では、極東はどうか…危ないのは台湾よりも尖閣のようです。これを日本が死守する措置を今からとらないと、尖閣占領→沖縄への工作→台湾対策も容易化し、西太平洋は中国の海に…。米軍はもはや、ここに入れないようです。もはや、米、中、ロの軍事バランスは対等で、日本への「核の傘」は「ボロ傘」…米軍そのものが弱体化し、岸田氏が頼る米国には、日本はもう頼れないようです。この中で日本は中国の核恫喝にどう向き合うのか。


在米の国際政治アナリストの伊藤貫氏も、ソ連崩壊後の米国一極支配構造のもとで米国は不必要な戦争を起こす国になり、そのツケで最も危なくなった国が日本だとしています。世界中を混乱に陥れてきたネオコン・グローバリズム勢力こそが世界平和の最大の敵…その代弁者のバイデン民主党政権に右顧左眄している岸田政権は国を誤ってしまったのか…。


それこそ、山中泉の言う「アメリカと共に沈む日本」になりかねない状況の中で、日本はどう独自の活路を拓くのかが強く問われています…このことを考える素材として、今回は、まず、今般のイラン・イスラエル紛争?を巡る諸情勢につき歴史家の宇山卓栄氏が行った分析と、矢野義昭氏が軍事面から語った世界情勢について、以下、ご紹介いたします。


●イランによるイスラエル空爆の背景…軍部独走を抑えられないネタニヤフ政権

イランによる今回のイスラエルへの空爆は、4月1日のシリア首都ダマスカスのイラン大使館周辺への攻撃に対する報復措置として起きたものですが、この大使館攻撃も異例の事態でした。これは、イスラエルがザヘディ准将ら、イラン革命防衛隊の精鋭部隊の7人を殺害したものでした。ザヘディ准将は革命防衛隊の国外作戦を担う精鋭「コッズ部隊」の司令官の1人で、イランにとって戦略的に重要なシリアやレバノンを担当していました。


これは2020年に米軍に暗殺された同部隊のトップ、スレイマニ司令官に次ぐレベルの高官殺害であり、イスラエルとしては、イランを挑発攻撃したもの。そのことでイランの反撃を誘い、米国の参戦も誘える。早速、大統領選でのアラブ系からの支持を気にしてイスラエルに自制を求めていたバイデンも、今回はイスラエル全面支持を表明しています。


宇山氏との対談は今回のイランによる攻撃の少し前に行われたものですが、今後の展開を考える上で貴重な示唆に富んでいます。同氏によると…「イスラエルは常に中東危機を拡大したい。グレイター・イスラエルのために米国を巻き込みながら…その中での大使館攻撃だったが、イランがどこまで挑発に耐えられるかがポイント。」


「他方で、イスラエルは内部分裂。大使館攻撃はイスラエル軍部の暴走の中で起こった。必ずしもネタニヤフ官邸筋が関知していなかった可能性。関与したとは政権幹部は最初は言わなかった。では、軍部はなぜ?ザヘディはシリア・レバノン担当。レバノンのヒズボラのイスラエル攻撃がいま、活発化。その背後には当然イランがいる。」


「両者を結び合わせる要がザヘディ。諜報は人的信頼。ザヘディを消せばヒズボラとイランとの関係を覆せる。スレイマニ殺害の時もそうだった。彼はイラクを担当していた。イラクの親イラン組織のトップと会っていた時の米国による爆撃だった。米国の思惑は、イラクに親イラン勢力がこれ以上広がることはたまらん。両国の接近を食い止める作戦。今回も戦略的効果があった。イスラエル軍にとっては合理的な理由があった。」


「ネタニヤフ政権は軍部や諜報機関を掌握しきれていない。同じ日にNGOの食料支援団体をイスラエルが攻撃。これもネタニヤフ政権側ではなく、軍部が暴走。軍部としては、ガザの占領で兵糧作戦。飢え死にさせても構わない。なのに、食料を届けるのは何事かと。見せしめにNGOを軍部が攻撃してもおかしくない。既に各NGOがビビッてガザに近づこうとしない。イスラエル軍には効果。住民だけでなく、ハマスにも食料は行き渡るからだ。」


「ネタニヤフは首相の立場で国際社会全体をみなければいけないが、軍部は違う方向。強硬派は、ネタニヤフはバイデンからの圧力に屈している、弱腰だと怒っている。昨年10/7のハマスの攻撃もモサドは事前に把握していたが、ネタニヤフ官邸筋に、わざと情報を上げなかった。ネタニヤフは知らされてなかったというのは本当だったと思う。我々は奇襲作戦を受けたという建前が強硬派にはほしかった。日本の関東軍のような…。」


●リスクはイランの政権が抑えきれない国内世論とフーシ、ヒズボラなどの代理勢力

「イランによる報復の方法としては、直接イランが、ではなく、親イラン勢力のヒズボラ、イエメンのフーシ、ハマスなどを使い、抵抗戦線をリモートコントロールするとの説がある。イランとしても米国の介入は避けたい。直接の軍事衝突なら、さすがのイランも打つ手がない。イランは官僚も指導者も合理的で抑制的。ライシ政権は戦略観を緻密に描いている。今の政権は米国に強硬だが、最後にどこかで手打ちというのは分かっている。」


「しかし、それが今回も当てはまるか?今回『イランの報復は近い』としていたヒズボラの指導者のナスララは、今までのやり方ではダメだ、直接イランが出てこないともたないとしていた。もう私たちの問題ではないと。」


「もう一点、イランの世論。右派グループは何をやってんだと血がのぼっている。今回の中東紛争でも、イラン政権が抑制的に動いていることについて、国内から強硬論が台頭。イランが直接反撃しなければ、世論が持たない。かつてスレイマニが殺害された後のロウハニ政権は、弱腰の腑抜けということで支持率が下がった。そのことがライシ政権誕生につながった。穏健政権から保守政権に。黙って見過ごせない。政権の威信を保てない。」


「さりとて、直接攻撃なら米国が黙らないが、イスラエルを調子に乗らせておくわけにもいかない。米国の参戦を誘わないような攻撃を考える必要があった。」


「中東でのイランの狙いは、イスラエルは虐殺者だと言い募り、イスラムの連帯を掲げて、イスラムの覇権をイランが握り、米国の影響力を中東から排除すること。これまでの中東の盟主はサウジ、そのサウジが米国と接近、それにブレーキをと、ハマスを利用してイランが中東危機を煽った。イランとしては、米国と直接やりたくない中で、自分たちの核武装の正当性と覇権を周辺アラブ諸国に認めさせたい。」


「ただ、ヒズボラやフーシ派がイランのコントロールを超えて強硬策に出る可能性。特にイランはフーシ派をグリップできていない。彼らが何をするかで世界大戦も…。」


●否定しようもないウクライナ側の劣勢、ロシアが圧倒

このように中東では戦争のエスカレーションが懸念されますが、ウ戦争の方は水面下で、停戦に向けた動きが強まっているようです。以下は矢野氏による世界の軍事情勢の分析です。同氏によると…「昨年11月末からウ側でもザルジニー総司令官が、無理な攻勢で犠牲を増やすのではなく、合理的な戦い方をと。ゼレンスキー大統領も今年に入ってから、さすがにこれからは防衛戦だと述べている。ロシア側が全正面で攻勢に。兵力格差が大きい。」


「ウは戦力が枯渇。ゼレンスキーは初めてウの戦死者数3.1万人と公表したが、桁が違う。衛星画像からみた損害の状況、病院、従軍から帰った兵隊、ウの情報ソースなど、これは米軍では把握しているはずだが、これらに基づくと、ウ側は少なくとも30~40万人の死者、70~80万人の死傷者だ。110万が総兵力だったから、軍が壊滅したに等しい。NATO諸国からの義勇兵も大半が祖国に帰国。ロシア兵の顔も見ないうちに爆弾で大量の死傷者。これは戦場の様相が違うと逃げ出した。他国からの支援軍も退いている。」


「武器も緊急増産が追い付かない。ロシアは2014年からウとの戦争ありうべしで、国を挙げて戦争体制を強化、最新型兵器も開発。砲弾の備蓄はNATOの3倍。年間300万発生産可能へと増強。NATO側はやっと120万発に。ロシアとの格差は拡大している。」


「ゼレンスキーへの国内での支持も、軍で退任させられた総司令官の支持率は8割超に対し、ゼレンスキーは5割。大統領選では勝てない。バフムト攻防でロシアが圧倒的だったので、本来なら後方に下がっての防御が定石なのに、死守を命じた。多くのNATO部隊がバフムトで損害。硬直した戦争のやり方で、ゼレンスキーは国民からも信頼を喪失。」


「ロシアへの経済制裁が効いていない。ロシアの軍事産業は7割の生産増、さらに倍増。石油や穀物の価格が制裁で上がり、ロシアを潤し、国際決済ではスウィフトから追い出されたが、逆効果で、ルーブル建て、元建て、インドとはルピー建てや現物での決済に。」


「制裁に同調していない勢力、ロシアの安い原油や天然ガスに依存している国も多い。中ロ貿易も増えている。ロシアの決済通貨の7割がドルだったが、今は17%に。ドル基軸通貨は崩れている。欧米の指導者は間違った判断をしたとプーチンは言っている。少なくとも世界のブロック化が進む。そして、ロシア、インド、中国は金をため込んでいる。」


●ウクライナ戦争が起きた経緯は…米ネオコン、グローバリズム勢力

「タッカー・カールソンのインタビューでプーチンが述べていた通り、戦争回避のための欧米とのプーチンからの協調の提案は西側から拒否され続けてきた。戦争をやめさせないのは米ネオコン勢力。そのネオコンとは、元々、ブレジンスキーやオルブライトの系統。NATOは東方拡大でロシアとの約束を破ったが、これやったのがブレジンスキー。その提言でハンガリー、チェコ、ポーランドがNATOに入った。」


「エリツィン時代にはロシアの資源利権を買いあさったが、ネオコングルーブに乗じて国際金融資本が利権あさりをした。それを取り戻したのがプーチン。このプーチンを打倒して、として始めたのがウ戦争。だから2014年にクーデター起こして、当時の親ロ派のヤヌコビッチ大統領を追い出した。その後は。親西欧派が裏で極右武装勢力と結びついて、今はロシアが占領した東部でロシア系住民を虐殺した。プーチンも、ウをNATO準加盟国にするというブッシュ提案までは我慢していたが、クーデターを引き金にクリミア併合に。」


「最初に動いたのはNATO側のウの準加盟の決議だった。グルジアでもクーデター騒ぎで親ロ派が追い出された。米国は旧ソ連圏の衛星国をCIAを使って次々と取り込んだ。それがプーチンの逆鱗に触れて、安全保障上の脅威だと。それでウ侵攻に。背景にネオコンのイデオロギー。ウ戦争とは、グローバリズムとロシアとの対決であった。」


●米国もウクライナも停戦(休戦)に向けて動き出した…停戦ラインは?

「ミンスク合意の再生版が停戦として考えられる。ミンスク合意はプーチンは守るつもりだった。西側はロシアと対抗できないので時間稼ぎでの合意だったとメルケルもマクロンも認めていて、幻想に終わった。休戦ラインを引いて一時停戦し、国連の第三者機関が停戦監視をして両国を引き離す。そのラインをどこかで引く。東部ドンバス4州でとめるか、キエフまで行くか、ドニエプル川の東西で分けるか。西部ウが半分取られるか、ウ全土をロシアが取るか、いくつかの案がある。ウ全土だと、ロシアには戦力的にリスク。」


「キエフ公国ののちにボーランドに服属した西側は西欧化が進んでいる。文化的に異質。選挙をしても、東部以外は親西欧派、言語的に一致。もう一つ、ハリコフからオデッサまで取ると、ロシア言語圏と一致。それは占領地域の現実としてウ側も飲まざるを得ない。」


「歩兵が止まったところが実質的な戦後の国境になる。戦力格差が10倍以上なので時間とともにロシアの占領地域が増える。NATOも12月から支援が減り、3分の1以下に。戦闘機は何年も訓練が必要。それは戦車もそうだ。NATOは見切りをつけた。ヌーランドの退任はバイデン政権がウに見切りつけたことを示すのではないか。その後任が始末をつけるタイプの人。ウでも国防大臣は対ロ交渉の専門家。ウ戦争の幕引きが見えている。」


「米国ではイスラエルロビーが強いので、ウに渡す装備も資金もイスラエルにつぎ込んでいる。それを米国はやめられない。どっちを採るかと言われればイスラエルだろう。」


●戦争をやめないイスラエル、対イランでエスカレーションか…トランプ再選で終結?

「ガザ地区については、行動陣地が数百キロに及び、ハマスをどれだけ掃討できたか疑問。2割ぐらいとしているが、そう簡単にはできない。戦いはガザ地区で長期化する。休戦交渉も互いに時間稼ぎ。イスラエルとしては、休戦中にガザの様子をみて、どこにトンネルあるかなどを解明し、より効率的に戦おうとする駆け引きをしている。」


「イスラエル軍は予備役、民間の働き手なので、このまま続けているだけでは経済が破綻する。イスラエル側にも休戦したい事情がある。体制の立て直しも必要。ただ、戦争をやめるのではない。しかし、ハマス壊滅は簡単ではない。」


「ラファには百数十万の難民、空爆からいよいよ地上侵攻へ。ネタニヤフはまた戦争開始と言っている。イスラエル国内でも戦争自体への支持は8割以上、ネタニヤフへの支持は改選前も2割に過ぎなかった。今は戦争に乗って、選挙を延期しても戦争を継続。閣内には強硬派もいる。12月までは続く、国民の支持もあり、世界から批判されてもやめない。」


「ヒズボラ、フーシ派、イランといったシーア派勢力もいる。レバノン国境の闘いもある。ヒズボラなどは、ガザで戦闘が激化すればエスカレーションすると言っている。ロケットミサイルも打ち込んでいる。いつ北部戦線が激化するかわからない。」


「ヒズボラが激化した時にイランがどこまで我慢できるか。イスラエルの最終目的はイラン。イランの核化は今しかとめられないと。イスラエルは原子炉稼働の前にシリアでこれを潰した実績がある。イランを挑発して一気に核関連施設を潰すことまで狙っている。」


「トランプが再選されると、彼は戦争が嫌いな人。ウ戦争はやめるだろう。ただ、イスラエルついては元々、ネタニヤフ政権と近く、中東和平を進め、イスラエル寄りの政策をとっていた。完全に武器援助をやめるとイスラエルは何をするかわからないので、攻撃的兵器は送らないとか、自衛のための兵器にするとか、コントロールするだろう。」


「ただ、ロビーの影響力はバイデン政権の時より弱くなる。ポストネタニヤフとして穏健派の首相を引き立て、イスラエルの政治情勢を変化させるなど、幅広いアプローチか。」


●中国の台湾侵攻のリスクはどの程度か…むしろリスクは尖閣、西太平洋は中国の海に?

極東は…「2023年には台湾侵攻ができるまで中国は軍事力強化との見通しが予想通りになっている。そうはいいながらも、台湾本体への侵攻は地形が急峻で、上陸も容易でない。着上陸侵攻のあとの増援部隊の増援、安全に後続部隊を送る体制が難しい。」


「現時点では米国に中国は勝てないが、地上戦になると、第一波で10数万、その力は持っている。それに対抗して米軍が海兵隊、日本の自衛隊を送って戦うのは難しい。米国は地上戦を中国とはやらない。勝ち目がない。地上戦をやっても米国は台湾を守るか?曖昧戦略で公言しないし、防衛義務もない。そこが日本や韓国と違う。」


「中国は日常から領空侵犯などで台湾が消耗するよう圧力。海港の閉鎖はいつでもできる体制に。駆逐艦や潜水艦も性能がアップ。対抗できる武力は日米にない。台湾全島の海上封鎖ができる体制になっている。」


「尖閣諸島については、去年の11月に習近平は、尖閣の闘争強化、領土を譲るなと。海上自衛隊の飛行機に対して海警が警告。習近平が軍に対して、海上の軍事準備をしろと。台湾は簡単にできない。機が熟していない。今、いちばん危ないのは尖閣。」


「先に尖閣に上陸されると、日本が実効支配しているとはいえず、安保5条の発動対象でなく、日本でやるしかない。沖縄も危なくなる。沖縄の政治工作もやっている。琉球独立論が出て、マイノリティーの権利などで政治闘争が激化して…と。中国が独立承認、そのサポートで軍が周りを固める。自衛隊は動けなくなる。法律戦や心理戦だ。」


「尖閣を失うと、こうしたリスクも高くなる。沖縄が取られると、台湾はもたない。武力を使わなくても威力を示して、熟れ柿が落ちるように台湾が手に入る。尖閣は、その重要な試金石。日本が尖閣をきちんと確保すれば、こうしたドミノ現象が起きにくくなる。そうすれば、台湾も、米国も動ける。そうしないと西太平洋は中国の海になる。」


●中ロとも北朝鮮とも闘えない米国、通常戦力も核も…核の傘はボロ傘に

「今の米国の危機は移民問題。世界の警察官などできない。海外の兵力を引き揚げて国境を守るべきだと超党派で。治安や国内産業の立て直しなど、内側の問題に米国は注力。」


「軍事産業も部品自体を外国に依存。カーボンファイバーや液晶は日本に依存。それらがないと戦闘機も造れない。そうした立て直しに数十年かかる。今、やれる人がいない。人材の養成には時間がかかる。今回のウ戦争で急に武器を作れないのはそのことによる。」


「米国は軍事的には弱体化。これ自体が歴史的に異常な事態。北東アジアからも欧州からも兵力を引き揚げる。トランプはNATO解体を今度は本気でやる。インド太平洋重視と言っても、ない袖は振れない。ここは海空主体の闘いだが、その基地となる土地がない。補ってきたのは空母だが、濃密な中国には入れない。」


「バランスオブパワーでは、米国はグアムより西に入れない。分散した海兵隊を入れて、サイバー戦とか宇宙との交信とか、間接的に海空軍を使うなど、戦略を転換している。米陸軍がそういう考え方なので、来援は期待できない。後方の安全な所、南太平洋、豪州のラインで遠望体制。そうしないと展開ができない。空母が入れないからだ。」


「核については、米国は中ロ同時に敵にできないとのレポートが出ている。ICBMやSLBMは2対1で米国が劣勢。中国はいずれ1500発の戦略核、米、中、ロは、ほぼ対等だ。中国とも戦えないし、ロシアまで敵に回すこともできない。核の傘はボロ傘になっている。戦術核では米中では10倍の格差になっている。米ロがINFで凍結中に、中国は着々と配備。」


「日本はもう、自分で守るしかない、核保有も真剣に考えるべし。通常戦力は整備に10年かかるので間に合わない。中国は核恫喝をかならずやる。台湾、尖閣で。日本はそれに屈してはならない。」

 

…日本の核武装には国民的な議論も必要ですが、これまで日本に核を持たせなかった米国グローバリズム勢力がウ戦争でも撤退し、彼ら「戦争屋」に支えられてきたバイデン政権が、彼らと対抗してきたトランプ政権へと替われば、日本は必然的にこのテーマをどうするかを突き付けられるのではないでしょうか。共和党政権は、かつはニクソン大統領が佐藤栄作総理に、トランプ大統領が安倍総理に、核武装を持ちかけた政権でもあります。国内には核を持ち込まずに、遠く離れた海洋の深海からの報復を可能とするSLBMであれば、検討の余地はあるかもしれません。


もはや頼ることができない米国にますます組み込まれる決定を下した岸田政権の選択が果たして正しかったか、私たちには、沈む「泥船」とは別に、自分たちの「日本丸」を本気で創ることが迫られているように思います。

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