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  • 執筆者の写真松田学

給付金はただのバラマキなのか~財政も経済も通貨も社会も…ポストコロナ時代に向けたパラダイムチェンジ~

岸田内閣の最初の大仕事。政府は11月19日、国と地方の財政支出総額が過去最大の55.7兆円、事業規模78.9兆円にのぼる追加経済対策を決定しました。ただ、早速、積み上げた支出の中身がwise spendingなのか?と、議論が百出しています。なかでも18歳以下の子供に対する10万円の給付金(生活に困窮する学生や住民税非課税世帯も対象)に対する批判は強く、せっかくのバラマキ?にも世論調査では反対の方が圧倒的に多いようです。矢野君(財務次官)の「タイタニック氷山」論も奏功しているのかもしれませんが…。


しかし、他方で、先般の総選挙では政治の側で、国民民主党の大塚耕平氏からは永久国債論が、維新からはベーシックインカムが提起されるなど、財政拡大への新たな論点も出てきています。そもそも、新型コロナは後戻りのできない変化を社会にもたらしているというのは、経済財政運営にも言えること。今回は年収960万円以下との所得制限がついたものの、昨年4月の経済対策では国民全員に一律10万円給付という、一時的とはいえ日本が世界で初めてベーシックインカムを実施した国になったことを忘れてはいけません。これは今後長期にわたるパラダイムチェンジを象徴する事件だったと思います。


大きなチェンジに向けて、私はすでに答を用意しています。それが、近年の情報技術の急速な進歩を活用した、新たな財政と通貨の基盤を創出する「松田プラン」であり、AI(人工知能)革命で生まれる社会で欠かせなくなる「協働型コモンズ」という人間中心の新たな社会を支える「みらいのお金」です。


ただ、現在の与野党には、これを理解して財務省や日銀などを納得させ、現実を動せるだけの議員はいませんし、私が自民党から公認されて議員になっても、当選回数期別主義が横行する中で力を発揮できないでいるうちに、日本は終わってしまうでしょう。それゆえ、急がば回れで、新たな保守政治勢力として参政党を結党し、育てているところです。


今回は、私の構想に入る前段階として、二人の論者と私が交わした議論をご紹介したいと思います。一人は、私の財務省の後輩でもある国民民主党の玉木雄一郎代表が唱える「フォワードガイダンス」的な積極財政論。しかし、これが本当に持続可能になるには、日銀保有国債をデジタル円に転換する「松田プラン」が必要です。もう一人は、AIに詳しい経済学者である井上智洋・駒澤大学准教授が唱えるベーシックインカム論とヘリコプターマネー論。

これも「みらいのお金」が支える社会の仕組みがなければ現実には困難です。


いずれも不完全ではありますが、従来の経済学や財政運営の考え方を転換していく上で、最初のブレーンストーミングになる議論としてご参考にしていただければと思います。


二人の元財務官僚たちの積極財政論…玉木雄一郎氏との対談

玉木氏との対談は、本年の通常国会で同氏が菅総理と党首討論を行った直後に行ったものです。コロナ禍から脱する局面に向けて必要なのは、惜しみない積極財政。経済政策の世界の潮流が変わった。二人ともかつては財政規律を言っている財務官僚だったことなど忘れ去っています。矢野君から「忠言」が来るかもしれませんが…。ただ、「高圧経済」をめざす米国に対して日本は冷温経済。「過熱経済」に向けた政策は、デフレ基調が続き、対外純資産残高も世界一の日本では、米国よりも副作用なく実施できる条件が整っています。


財政政策こそ「フォワードガイダンス」を…これは、中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明することを意味するもので、財政政策にこれを取り入れる。財政は10年20年先までコミットする長期計画的な財政支出を。金融政策は量の緩和を続けながらも、質を変える…望ましい分野への投資の財源を選別して国債やETFを買い、メッセージを出す。


これが、玉木代表が打ち出す国民民主党のポリシーミックス。イエレンの言う「負の履歴効果」から日本全体を脱却させないと、コロナで強まった少子高齢化は止まらないし、未来への希望は開かれない…。先輩たちがこんなことを言っていると財務省は困る?彼らが困らないためにも、建設国債を、人づくりなど未来への投資は起債対象とする「投資国債」へと制度そのものを変えるべきです。この点では国民民主党と共同歩調がとれます。


●フォワードガイダンス的な長期的視野での積極財政で日本再生へ

以下は玉木氏が述べていた内容です。「党首討論では、新型コロナ対策のほかに、積極財政への大転換を訴えた。80年代以降、緊縮財政が続いたが、経済は成長せず、格差が拡大。世界的に構造改革路線が限界に来た。経済政策の潮流が変わっている。典型がバイデン政権、イエレン財務長官。3度にわたり計6兆ドルの公共支出。『高圧経済』、多少インフレになっても過熱するぐらいの需要を作り、賃金を上げる。まさに日本でやるべきこと。」


「ワクチン接種の普及で経済再開のときこそ、対策が効く。リベンジ消費のときに、上昇カーブをいかにスティープにするか。ここでの財政政策が重要。惜しみなく。」


「ところが、補正予算について訊いたときの菅総理の答弁は…昨年度の30兆円の執行残がある。これは、宿題が山積みなので新しい宿題をしようとしないようなもの。15か月予算になっていない。持ち越すなら当初予算を増やせ。執行していないことについて胸を張るとは…初めて聞いた。国民民主党としては経済政策の大きな転換を訴えたい。」


「2025年にプライマリーバランス堅持だと、かなり歳出を抑えるしかない。傷ついた国民経済を癒し、次の新たな競争力を生む。過熱させてタイトな経済に。150兆円でGDP比30%となり、米国の6兆ドルに匹敵。世界経済はつながっており、ある程度同じ方向に。開放系の経済では違った政策は取れない。米国が踏み込んだ以上、そうせざるを得ない。」


「EVや蓄電池や半導体などに長期にわたってコミットする。フォワードガイダンスは財政政策にこそ必要。今後10年間にわたり、この分野に出し続ける、お客さんとして買い続ける。最大の長期コミットは教育と人づくり。子供手当、高校大学支援、政権が代わってすぐにやめるようだとダメ。フォワードガイダンス、10年20年コミットするということが大事。将来への道筋が見えてこそ、人々はお金を使うようになる。惜しむな。」


「危機の時に人の命や未来や尊厳ある生活を保障できない財政は財政ではない。財政は何のために存在するのか。未来を担うであろう人そのものが生まれなくなっている。出生数80万人を割り込み、低位推計に。少子高齢化がぐっと進んだのが日本のコロナだった。」


「ここでこそ人への投資、未来への投資、新しい分野への投資、老朽化したインフラもやる。あとは人づくり。新しい時代の公教育。無償化する。短期的に儲からないとダメというのではダメ。基礎研究など長期のコミットが不可欠。成果出せ、ではできない。大学への運営費交付金を削りすぎた。ベースのランニングコストをみないと、知の拠点が衰退。将来の税収増、納税者増につながるのは投資的経費。昔、建設国債、今、人づくり国債。」


●少子化対策も含めて日本経済の最大の課題は「負の履歴効果」からの脱却

「金融政策も緩和の質を変えたい。民間もESG投資をやろうとしている。日銀を大きな機関投資家とすれば、買う国債を日銀が選ぶ。教育国債とかデジタル国債とか。社会保障の穴埋めに使われた国債は引き受けない。緩和の量だけでなく、緩和の質を変えろ。そこにお金の流れをコントロールできるメッセージを出せる。ETFも、環境分野のみで組成されたETFを買う。メッセージは財政当局に対しても出せることになる。」


「アベノミクスは不十分だった。二本目、三本目がなかった。増税してしまった。金融緩和+財政引き締め、LM曲線は横に寝ていた。やはり財政政策。」


「大胆にやることで、しみついたデフレ、負の履歴効果から抜ける。最大の履歴効果は、子ども生むのをやめてしまうこと。一番のデフレの履歴効果が、このあきらめの連鎖の積み重ね。イエレンの日本版。流れを変えるためにマインドを変える。染みついた負の履歴効果は財政にも。そこで長期コミット。民間セクターが弱ったときはパブリックセクターが頑張るしかない。令和3年度の予算は、5兆円の予備費を除けば、昨年度の予算と同額。長期の計画策定は官庁の役割だったはず。短期で需要、長期の供給力を作るところに出す。」


…以上、「これだけの内容の対談は今までなかった、ぜひ拡散しなければ」…対談を終えた直後の玉木代表の弁でした。確かに、国民民主党を支持する、しないに関係なく、これだけ現在の世界の潮流を踏まえたマクロ経済政策の在り方を分かりやすく整理した対談はなかなかないと思います。ただ、ひと言、コメントすれば、私には「松田プラン」という策がありますので、恐らく、誰よりも大胆な積極財政論を主唱できるのは私でしょう。


この玉木氏との対談の動画は、こちらからご覧いただけます↓


●経済も財政も労働も社会もパラダイムチェンジ…井上智洋氏との対談

財政のパラダイムシフトはもはや、世界の潮流。このままだと日本だけ、時代についていけなくなり、コロナに続いてさらなる敗戦に。そもそも経済学は工業時代のもの、情報化時代には通用しない。いまの仕組みだと、マネーを増やすことができるのは国債増発だけ。仕組みを変えて、国債をマネーに変えればよい。この井上智洋准教授の見解は若干のニュアンスの違いはあっても、基本にある考え方は「松田プラン」とほぼ共通しています。


松田プランの説明で皆さん、なかなか理解しないのは、国債発行→日銀が購入(→永久国債への乗り換え)まではいいのですが、その国債をマネーに変えるという点。分かっている学者はちゃんと分かっています。松田プランでは、そのお金とは、政府発行デジタル円ですが、議論はそれにとどまりません。社会の在り方という面においても、AIとロボットが普及すれば、労働に対する考え方が大きく変わる。


井上氏は、そもそも労働意欲とか、努力や才能に応じて報酬をという考え方は、富国強兵の近代の考え方に過ぎず、皆が洗脳されてきたもの、労働は人間の生き方の選択肢の一つに過ぎなくなるとしています。ギリシャのポリスでは労働は奴隷が担うもの、そこから解放されたポリスの市民たちが政治や、後世に何かを残すことに携わっていた…。そもそも能力や努力とは、運に過ぎず、運の良し悪しの前に、誰もが人権をもっており、働かないで生きていく人たちにも人権や価値があるという時代になるだろう…。


まさに、すでにITで起こりつつある限界費用ゼロ社会では、そうした考え方が成り立ってくるのですが、では、ルーティンの労働から解放された人間は何を生き甲斐や励みにしていくのかという点で、私は井上氏とは異なる考えを提唱しています。それが、情報技術の発展が可能にするユーティリティトークンが支える「各人が自ら価値を創造し、それに共鳴する人々が支え合う社会」、つまり、競争の論理とは異なる「協働型コモンズ」です。


●AI情報化時代は「レイバリズム」からの脱却!ポストコロナの処方箋

以下は井上氏が述べていた内容です。「デフレ不況からの完全脱却が日本経済の悲願。2%インフレ目標は、コロナでさらに遠ざかった。追加給付金は、いきなり困っている人に出そうとしても、なかなか届かない。困窮する人を見極めて照準を当てるのは大変だ。最初から一律で、恵まれた人は納税で返してもらうのがよい。年収100万円の人に…なら、年収100万1円の人はどうなるのか。これは『社会保障の崖』だ。1円の違いで大きな違い。これをなめらかな傾斜にするには、税制をつかったほうがいい。今の税制は一応なめらか。その意味で、給付付き税額控除はOK。負の所得税である。」


「ベーシックインカムを配る。ある程度の増税を差し引きして配る。しかし、皆さん、条件をつけたがる。そんなのは要らない。」


「働き方、生き方も多様化している。労働意欲のある無しで人を分類できない時代だ。工業化の時代と情報化の時代は同じように考えるべきではない。経済学は工業モデル。しかし、これからは限界費用ゼロの社会に。追加的にものを作るのに費用がかかるかどうか。ソフトウェアのような情報財は、最初の一個を作ると、あとはただでできる。コピーできてしまう。だから雇用を生まない。最初に良いものをつくれば自然独占になる。」


「グーグルの検索はほぼ独占だ。一個素晴らしい検索エンジンを作ってしまえば、何人使っても追加的な費用はほぼゼロ。そういう経済になった。そしてGAFAに富が集中。それ以外は低賃金な肉体労働という構図。そして中間層が没落した。中間層が従事していた労働が、AI革命を待たずにITで減らされている。知的職業も雇用を減らされている。AIによる雇用減は米国ではすでに進んでいるが、日本はまだだ。そこまでIT化が進んでいないだけで、これからだ。」


「市場経済では問題解決できない。AIとベーシックインカムはセットだ。労働意欲のある人にもない人にも同じように配っていいのかという議論がある。しかし、働く意欲がない人は、それ自体がハンディキャップ。究極的には全て運。自分の努力の成果と思う人が多いが、なぜそこまで努力できたのか。家庭環境、生まれながらのもの。それで努力する性格が備わった。そうでない人は運が悪かった。」


「努力と能力に応じて報酬というのは、近代に強化されたイデオロギーだ。これはレイバリズム。働かざる者は食うべからず。各国が近代システムで競争する状態で、そういう考え方になった。軍事的にもそうだ。そのなかで国民を洗脳して、能力を出せ、努力せよという発想で生まれたもの。我々は洗脳されており、もう、そこから解き放たれてよい。」


「国民が総力戦で戦わねばならないということではなくなっているのは、既に軍事でそうなっている。経済もそうなる。頭脳のレベルが高い人が何人かいれば、経済を動かせてしまう時代に…。その人たちがゲームを繰り広げている。他の人たちはAIやロボットに代替され、一部の人しか資本主義に参加できない。クリエーティブな人たちだけが競争。」


「そもそも人間など役に立たなくてよい。元来、人権とはそういうもの。役に立つかどうかとは関係なく、誰にでも人権がある。近代はそこにねじれ、矛盾があり、そろそろ解消すべき。すべての人には価値がある。ギリシャのポリスをみると、ドイツのアーレント女史が、古代ギリシャの労働観と近代とは違うと言っている。労働は奴隷がやること。労働の価値が近世から近代にかけて、高められた。マルクスが労働を全ての価値の根源とみなして、労働価値説となった。価値観の転換が必要だ。」


●ルーティンから自らを解放して知的で創造的な人生を

「政治的な議論や仕事というのは、労働とは違う。自分が死んでも残るものを作ることが仕事。政治的な議論もそうだ。AIやロボット普及の暁には、労働は人生の選択肢の一つに過ぎなくなる。脱労働社会。労働してもいいが、しない人生を選ぶ人がたくさんいる社会。ルーティンに取られていたのが我々の人生だった。そこから解放されてより良い人生に。ペーパーワークに取られている時間が惜しい。デジタル化で良い人生を。『ブルシット・ジョブ』(くそみたいな仕事)。各職業のなかにある。それを減らす努力をしないと。」


「競争で能力が磨かれるのであり、好きに生きるとダレるとされている。向上のインセンティブは?アーレントも、政治、藝術をみんながするようになるのではないと言っている。のんべんだらりと消費生活をするようになる可能性。ただ、日本は韓国と比べても大人の知的好奇心が低い。欧米より低い。高いのは北欧。」


「理由は2つ。第一に、労働時間が長い。帰宅するとテレビを見て寝るだけ。頭が疲れている。一日雑事に忙殺されて脳をすり減らしている。お笑い番組でもみて…。第二に、受験勉強が激しい。勉強とは修行、いやなことをやらされている、やるといい大学に、ご褒美、ご褒美がないと、という発想。欧米の人のほうが科学雑誌を読んでいる。日本では、そういう人は浮いてしまう。ただ、ルーティンワークを減らすと、自ずとインセンティブが出てくる。日常の労働から解放されると、知的で創造的な意欲が出てくる。」


「生産現場とは違うコミュニティが、人とつながる上で必要になる。ならば、一生大学にいればよい。学びたいときに学びたいものを学ぶ。好きな修士をとる。みんながそうやっていい。働いて稼ぎたい人は、AIやロボット化のもとでも残された仕事をやればよい。世代によって差がある。今の学生は月に50万円もあれば…。7~8割がそうだ。」


●お金が制約になっている仕組みの転換を…国債を貨幣に交換する

「ベーシックインカムは月7万円で、今はそれが精一杯か。100兆円単位で財源が必要になる。ただ、一国の経済で、制約は財源やお金ではない。お金が足りないなら、日銀が出せばよい。MMTではないが、日本は自国通貨をもっており、それを生めばよい。貨幣製造機を日本は持っている。持っているのに、国民からお金を借りるのはおかしなこと。国債を発行する必要がないはずだが、いまはそういう仕組みになっていないだけ。税金か国債という縛りになっている。じゃぶじゃぶにできないようにしている。」


「国債を無くしてお金を刷ればよい。何が経済の制約か。それは供給側の制約。AIやロボットがあれば克服される。それで7万円程度ならインフレになることもない。昨年度は100兆円も国債を増発した。増税する?いまの貨幣制度が国債を発行せずにはお金が増えていかない仕組みになっているだけだ。税金をとるとお金が消え、政府支出をするとお金が発生する。政府支出をして、税金をとらずに。その分は国債発行というルールにする。」


「デフレから脱却するのに国債発行は不可避。まずそこを理解する必要がある。均衡財政主義だと、永遠にデフレ脱出無し。政治家が考えを改めないと失われた50年になる。」


「バイデンの6兆ドル対策で、早速、金利や物価の上昇懸念が出ているが、いまのパラダイムだとそうなるもの。財政赤字を増やしても景気をよくしたほうがいいと米国はいち早く気付いている。日本の主流派が均衡財政主義であるだけで、世界的には違う。世界の主流は、政府が借金して景気をよくすべし。中国もそう。」


「国債は金利がつく…だから将来世代の負担になるという議論になる。ならば、金利が付かないお金に。ギリシャのような国と、自国通貨をもつ日本のような国との違いは、中央銀行が買いオペができること。国債を買って、日銀当座預金を積み上げる。金利は自国通貨を持たない国で上昇するもの。買いオペすれば、金利は抑えられる。確かに、国債には借り変えが必要であり、金利は上がる。それを固定させ続けるわけにはいかない。」


「だから、今のうちに貨幣と交換しておけばよい。国債と貨幣を交換する。貨幣は日銀の負債だが、そもそも貨幣とは、ゼロ金利永久債。見返りに何かを返さねばならないものではない。交換しておいて。貨幣ジャブジャブでインフレにしたいはずでしょう?」


「財政に対するパラダイムシフトが必要。米中とも変えている。日本だけ古い考えにしがみついている。コロナ敗戦、政府支出が思い切ってできない。この一年、山ほど経験した。お金を作ってしまうべきだ。」


この井上氏との対談の動画は、こちらからご覧いただけます↓


●これから訪れる大きな変化を理解しよう…思考の転換が必要

井上氏との対談は、先にご紹介した玉木氏との対談よりも、さらに、次なる社会の在り方にまで踏み込んだ経済政策論となりました。お金そのものの考え方を、従来の金利付き債務の発想から脱却させる必要があります。何年か前に、AI研究会で井上氏と交わした議論が「松田プラン」のヒントにもなったことを付記しておきます。


確かに、これまでの経済学が前提としてきた「モノ不足経済」は、「AI・ロボット革命」によって、今後、超長期的に購買力の不足に直面していく恒常的な「需要不足経済」へと抜本転換していくでしょう。今回のコロナ禍で、世界で初めてベーシックインカムに近い政策を打った日本だけでなく、世界中が、労働させない、付加価値を創出させないための財政出動を経験しました。これは人々の潜在意識にも影響を与えていくと思います。


しかし、井上氏の議論だけでは、AI革命で大半の国民に訪れる「超ヒマ人社会」における人間の生き甲斐の問題を解決できません。誰もが一生、大学で好きな勉強をするだけで人生を終える社会など受け容れられないと思います。やはり、人間は社会のなかで他者のために付加価値を創造し続けるところに生きている意味を見出す存在。その営みを積極的に支える仕組みこそが問われてくると思います。


その上で、競争型から協働型へと、新しい論理の社会を実現する「みらいのお金」は、日本が自らの国民性の強さを発揮できる分野であると私が考えるブロックチェーン技術の社会実装によって実現することになります。


このように、玉木氏、井上氏のそれぞれが、私の提唱する政策なくしては不完全であり、実現可能性も高くないままではありますが、マネーも経済学も財政も社会も大きく変わろうとしています。この流れに多くの方々がついていっていただければ、日本も未来が拓けると考えます。

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