相互関税もAIも軍事もトランプ氏の真意は対中国拒否戦略~これと共同歩調を取れるかで決まる日本の命運~
- 松田学
- 4月8日
- 読了時間: 12分
石破内閣の支持率が就任後最低の30・6%(前月比7・8ポイント下落)、不支持率は就任後最高の66・1%。4月5~6日実施のJNNの世論調査です。ほぼ3分の2の国民がもはや内閣を支持していない…商品券問題に今度はトランプ関税が追い打ちをかけたか…これに対抗措置をと答えた国民は57%に。物価高のなか消費税減税には61%が賛成ですので、これも税率引下げを蹴った石破総理への支持を下げる原因になっているかもしれません。
石破氏が総理を続けるのは夏の参院選までと答えた人は、直ちに辞めるべきと合わせて57%、その参院選ですが、行き詰まりつつある石破内閣、自民党内には起死回生策として衆参同日選論が再浮上しているようです。これなら組織選挙には有利。あとは公明党次第か…。望ましい政権の枠組みは「自公に野党を加えた連立」との回答が38%と最多でした。
選挙結果次第ですが、自民惨敗となれば、政権死守の為には何でもありの自民党ですから、かつて「自社さ」の際に社会党の村山党首を総理にしたように、「自公国」で玉木氏を総理に担ぎ上げるか…。そうなれば、大半の国民が求める減税が実現する…?
他方で、トランプ「相互関税」の発動で、経済の先行きは不透明の度を増しています。日本には24%の関税率ですが、その根拠は不明。対抗措置で報復すればさらに引き上げるとのこと。ただ、何らかの形でトランプ政権の意向に従うタマを出せば、引下げの余地はあるかもしれません。元々、経済合理性など無関係。米国が外交での成果をあげるための政治的なディールです。「シンゾウとは取引した」と、トランプ氏。今回も、ウクライナ停戦でプーチン氏からの譲歩を引き出したいロシア相手には、関税を発動していません。
ロシアなどの例外を除き、今回の措置はほぼ全世界に最低でも一律10%ですから、日本も免れなかったにせよ、英国は10%…米英同盟の方が日米同盟よりも絆が強い?確かに、近年の米国の戦争でも英国は軍事面で米国の行き届かないところを補ってきた同志です。そもそもトランプ氏の今回の関税政策は、軍事上の目的達成と一体だという説があります。
更にいえば、本当の目的は中国であるとも…。中国の対米輸出の移転先であるアジア諸国には日本を大きく上回る高関税、中国経済を身動きできなくしているかのようです。その目的は、空洞化した米国に製造業を取り戻すこと。米国は近年、東海岸の金融と西海岸のITだけの国になりました。軍事上不可欠な造船の能力など中国の200分の1…だから、関税で増える対米投資で米国内に生産を戻し、サプライチェーンを中国から分断する。
実は、トランプ政権が最終的に狙うのは汎用AIでの中国との最終覇権戦争だという見方があります。トランプ革命は世界に新秩序を創ろうとするもの。その担い手は「超人工知能」、つまり、世界の人類の全ての知恵を集めた以上のAIだと考えているそうです。
AIを制する国が世界を制するとされる中で、もし中国が最初に超人工知能に到達すれば、全人類が全体主義の弾圧下に置かれ、ディストピアになる。これに対抗して人々が自由と平等を謳歌できる調和型のAIでユートピアを目指す。これがマスクやアルトマンが仕掛ける米中最終戦争であり、それへの備えが今回の関税政策による米中分断だそうです。
そのトランプ政権でマスク氏が目指すAIの設計思想はなんと、日本の思想であり、真言密教や空海の世界観であり、「八紘一宇」だそうです。従来の西洋文明を超えたこれからの調和型の世界を先導するのが日本の価値観。ならば、日本と共同開発で、と言いたいところです。日米が一体で超知能を開発、政府が国債増発で開発資金を出す…相互関税引下げへの唯一の道が、こうした対中国での米国との同志的関係の構築なのかもしれません。
米国経済にとっても高関税がリスクであることぐらいトランプ氏は承知でしょう。そのリスクをとっても、次の世界秩序に向けてやらねばならないことがある…。
とは言え、現状では国際金融市場がリスクオフ状態に。4月7日の日経平均は「トランプショック」で過去三番目に大きな下げ幅を記録しました。当面の混乱は株式市場であり、その中で安全資産である国債にマネーが流れています。ただ、今回のドイツ基本法の改正(国防支出のために政府の債務上限を撤廃)で、ドイツ国債には早速、売りが出ました。
マーケットでは元々、遡ればリーマンショック以降、「バブルをもってバブル崩壊を防ぐ」マネー拡大が続き、さらにコロナ対策もあって膨らんだ世界中の国債残高に対し、疑心暗鬼が漂っていました。次は、利払い費が年間1兆ドルにも及ぶ米国債か。国債残高対GDP比で世界一の日本も…。リスクオフが深刻化すれば、株、債券、為替のトリプル安も…?
他方で、日本国民が求める減税も、AIなどへの国家投資も、国債増発が不可避です。そのためには、日銀には、減らし始めた国債購入を再拡大する政策転換が求められます。そうなると、日銀が保有する国債を政府の通貨発行権を使って国民が使用できる電子マネーに変換し、国債減少への道筋を創る松田プランが、いよいよ必要になってくるはずです。
いずれにしても、対中国が念頭にあるのがトランプ相互関税ですが、軍事面における中国の脅威の方も、日本国民の想像を上回るようです。AI支配の前に、日本がこれによって中国領へと編入される現実的なリスクがある。山岡鉄秀氏によると、トランプ政権の対中戦略には、軍事面でも、コルビー国防次官の「拒否戦略」があるとのこと。
あまり報道されていない戦略ですが、日本国の存続のためには、少なくとも、このことは知っておくべきでしょう。今回は以下、山岡氏と行った対談の内容をご紹介いたします。
●トランプ大統領との付き合い方…石破氏は失格
まず、石破総理とトランプ大統領との関係ですが、現状では石破氏は安倍元総理のような信頼をトランプ氏から勝ち得ておらず、相互関税の日本への適用除外を実現させるのは至難の業でしょう。山岡氏によると…、
「2月初めの日米首脳会談では石破氏は本質的な議論を避け、いちばんやってはいけないことをした。トランプは自分の考えを持たない人は嫌う。こちらから、どんな考えか?とぶつけていかねばならない。逃げていては、会談が終わってからやられるし、色々と言われる。終わってから関税はやられた。日米安保は不平等だとも言われた。」
「日本のいまの状況は日本人が思っているよりもはるかに危険な状態。2~3年内に壊滅的な事態に陥る可能性がある。」
●西半球をホームグラウンドとしつつバランスオブパワーで世界に出ていくトランプ戦略
以下、先日、米国でトランプ政権関係者と幅広く意見交換したことを踏まえた山岡氏の見解をご紹介しますと…、
「一国で全世界を治めるソ連崩壊後のネオコン政策のもと、米国はテロとの戦いであちこちに攻め込んだ。全世界に150カ所以上基地を増やし、軍事力も増強。日本の保守派のメディアはパックスアメリカーナをトランプがぶち壊しているとしているが、そんなものは存在したことがない。戦後は米国が支配的立場だったが、今や世界中が不安定。」
「米国が作った世界観が日本の保守言論となっている。しかし、一国覇権主義は完全に破綻した。バイデンはよれよれなのにネオコン的政策を採った。トランプ政権は西半球を自分たちのテリトリーに。絶対防衛権。しかし、かつてのモンロー主義そのものではない。西半球をベースとしつつも、出ていくところには出ていき、バランスオブパワーに回帰。」
「ウクライナではレアアースと農地、ここでどこまで自分たちのテリトリーとして持つかをやる。ウに当事者能力がなければプーチンとやる。閉じこもるわけではなく、米国のインタレストがあれば取りに行く。ガザのリゾート化もそう。ホーム&アウェイ。」
「ウには米国のインタレストがあればロシアは攻め込まないとしている。米国に対する侵略になるからだ。ロシアを叩き潰すとか、ウを武装化すると言ったのがブレジンスキー。トランプはそうしたネオコン的発想ではない。キッシンジャー的発想。
●トランプ政権の拒否戦略…なぜ対中国なのか
「コルビー国防次官の『拒否戦略』。なぜそれが中国なのか。世界のパワー分布はランダムではない。かつては欧州、今はアジア。経済力で全世界のGDPの40%。パワー地域であるアジアの半分以上を占めるのが中国。アジア全体を支配すると巨大パワーになる。」
「米国を西太平洋から追い出して、米国自身は強大になった中国から様々な意思を押し付けられることになる。中国の台頭は拒否しなければならない。ネオコンだと追い詰めて圧力、もう一つは、一切干渉しない。コルビーはその中間。中国を潰すのではなく、覇権主義は挫く。野望をあきらめるなら中国が存在しても構わない。」
「中国が民主化しても中国の行動は変わらないだろう。しかし、アジア地域を支配下には置かせない。『2049年に世界一の偉大なる中国』はブロックする。中南米への浸透も拒否。」
「中国としては、一帯一路やサイレントインベージョンではなかなか成功しない。豪州に対して成功しなかった。経済的報復と言っても、対ロ経済制裁は効かなかった。いちばん成功したのは日本。海上封鎖も限界。最終的には軍事力を行使せざるを得ないと認識。」
「だから、中国は必ず台湾侵攻をする。中国経済はボロボロ、軍も汚職とされるが、にも関わらず、わざわざコストをかけて戦争の準備をしている。人民解放軍の拡張や軍事技術の開発。戦争準備のために軍の汚職を粛清。中国は台湾だけでは絶対にとまらない。」
●台湾の次は日本…米国にとって中国こそが脅威である理由
「中国に台湾を取られたら甚大な被害。シーレーンを抑えられる。第一列島線を突破して台湾は中国の軍事基地に。そこから中国は自由に太平洋に出られる。米国は小笠原からの第二列島線、そしてハワイの第三列島線へと後退する。」
「中国はアジアでの帝国として統治したい。台湾を落としたら、韓国、フィリピン、そして一番重要なのは日本。地政学的にも、技術力、経済力でも、日本を手中に収めれば圧倒的に強力なパワーに。」
「コルビー氏はアジアに集中しなければならないとしている。ロシアは一気にウクライナを占領できなかったし、NATOが抑止力に。ロシアの経済力はイタリア程度。ドイツ一国でロシアより上。経済力や軍事力でロシアは抑止可能。脅威ではない。イランも規模的に小さい。やはりアジアであり中国。購買力平価ではGDPで中国はもう米国を上回っている。」
「それに対するカウンターは?中国に対するパワーとしては話にならない。日本は無防備。防衛費のGDP比2%では追いつけない。インドもフィリピンも無理。だから、米国はウに関わっている余裕はない。欧州に任せればいい。ウを勝たせるなどと言っていられない。ウ自体が失敗国家。おカネを送っても腐敗、効率が悪い。」
「プーチンのウ侵攻では、3日間でウを落とせるはずが、3年もかかっている。それでも20%しか占拠出来ていない。習近平はそうなってはいけないと、電光石火ですぐに落とす。ウに学んで台湾を落とす。関税200%といった経済制裁ではとめられない。最終的には軍事力になる。」
●低下した米国のハードパワー…中国がアジアを支配?日本は米国に主体的提案を
「このようにハードパワーを真剣に考えねばならないが、米国の造船能力をみると、米中で200倍の差。米国は製造業をやめて、東海岸の金融と西海岸のITに特化した。ハードパワーでは米国は中国に対して不利。米国一国で拒否戦略は不可能。軍事力を各国と統合して第一列島線に中国を閉じ込める必要。覇権に対する反覇権連合が必要。」
「ロシア、北朝鮮、中国が戦術的核兵器を大量に整備。通常戦力を無力化。全人代では2027年までに台湾併合の準備と再確認された。習近平はレガシーがほしい。タイムリミットが27年。その時点を超えると、中国が国力のピークを超える。反覇権連合で日本がイニシアチブをとって米国に提案しなければならない。」
「GDP比を3%にするのに『何を買うかは自分で決める』と。石破は何もわかろうとしていない。トランプ政権に石破は相手にされていない。首脳会談は何の成果もなかった。そして中国とやたらと会ってべったり。強い者に媚びる。コルビーの拒否戦略など理解できない。トランプからみても在日米軍の強化やめようとなる。拒否戦略を拒否している日本。」
「日本側からコルビー次官と会いたい、ヘグセス国防長官を入れて話し合おうと提案していい話。そういう姿勢を示したらトランプも考える。」
「中国がアジア圏を支配すると米国にもマズい事態だが、日本には最低最悪の事態だ。中国は日本には反日教育。日本が香港のようになるわけではない。日本が軍門に下ったら、日本人の人権は侵害される。南京大虐殺に対する復讐だと。」
「米国からも見捨てられる。日本が相手側に翻ったら、米国は全てのスウィッチを切る。スノーデンがマルウェアを横田基地で仕組んだ。日本は壊滅する。きわめて危険な状況。」
「日米安保不平等論に対しては、『戦後のシステムは全て見直していきましょう』と言うべき。石破は志も資質も低い。永田町で過ごしている間に劣化。日本にとってチャンスなのに。言い返すだけでなく、じゃあ、こうしましょうと言うべき。」
「拒否戦略も米国の国益を守るため。米国の国益に資することを提案し、それを利用して日本の国益に結び付けていくべき。話せば話せるのがトランプ大統領。キーポイントは主体性。ゼレンスキーにそれがなかったから、プーチンとやるとなった。」
「相手にされない石破政権をみて、中国はチャンスだと。日本に対し政界工作。土地や企業も買い、間接侵略でできることを全部やろうと。日本はほぼ詰んでいる状態。あとはいつ台湾に軍事侵攻?とめられずアウトに。」
●滅びゆく日本、覚醒した国民で新しい国づくりができるか
「ワクチンで日本人が実験動物になった。もう日本の人口減少はとめようがなく、これがグローバリストアジェンダ。それに自らはまり、外国人がどんどん入って来る。日本という国がもうリプレースされている。不可逆的な変化を自ら起こしている。」
「日本国は皇室が続いているが、何度も滅びている。今の政体は米国が作った日本国。人口減少で新たな作り変えも困難か。中国の一部に限りなく入っていく。帰化人たちが子どもをもうけて日本人の国ではなくなっていく。豪州のような移民国家で行くのか。」
「GHQの下で少数民族に権力を与える政策がとられた。だから政界には帰化人が多い。日本人らしからぬ人物は選挙で落とすべき。次の参院選ではっきりした形を出さないと。」
「ウでの米国製の武器の消耗は欧州製に比べて激しい。日本にはライセンス生産する能力があるので、欧州と共同で武器開発したほうがいい。米国自身も悩んでいる。製造能力が落ちていて、ズタズタ。武器の調達能力は中国よりも弱い。」
「この際、イーロン・マスクと新しい会社を創って、こっちから米国にディール。米国にとって役立つ存在に。防衛を通じた産業振興に。積極的提案を。防衛費にNTT株売却益を充てるとか、根本から分かっていない。もう国ではなく、国のかたちをした疑似国家。疑似統治システムだ。」
「他方で、覚醒している個人が増えている。なのに、自民党や官僚の覚醒レベルが低い。覚醒した人たちで本当の国家としての日本を作り直す。だが、一度焼け野原にならないとできないか。その前に国政選挙での投票で。」
Comments