top of page
  • 執筆者の写真松田学

特捜部の安倍派潰し?をめぐる「陰謀論」~補論:反グローバリズムの世界的潮流、トランプ再選と参政党~

このところ、岸田内閣の支持率がついに2割を切って10%台になったとの世論調査結果が相次いでいます。時事通信(12/8~11日実施)では前月比4・2ポイント減の17・1%となり、2012年の自民党政権復帰後の最低を更新、初めての1割台をつけました。支持率が2割を下回るのは民主党政権誕生直前の調査の09年9月の麻生内閣(13・4%)以来。内閣支持率が政権維持の危険水域とされる2割台以下となるのは5カ月連続で、政権復帰後の最低更新は3カ月連続。やはり、パーティー券裏金疑惑が大きく影響したようです。


毎日新聞調査(12/16、17日実施)では、前回調査比5ポイント減の16%と、旧民主党・菅直人政権末期(11年8月)の15%に迫るに至りました。内閣不支持率は前月比5ポイント上昇の79%と、毎日新聞が調査を始めた1947年7月以降で最も高い不支持率に…!裏金捜査がさらに進んで逮捕者が出始めると、支持率はさらに下落するものとみられています。


これでは解散総選挙はおろか、普通なら内閣は終わりなのですが、どうも岸田降ろしは現時点では起きていないようです。理由は、今回の事件で各派閥ともそれどころではなく、この問題の処理はレームダック化した岸田総理にやらせたいとの思惑もあるからだとか…。


ただ、このパーティー券裏金疑惑捜査には、少し無理筋な点と、そもそものおかしさという問題があります。まず、政治資金規正法のもとでの法の建てつけは会計責任者が全責任を負うものとなっており、政治家本人は収支報告書に署名すらしていません。


私もかつて国税局の査察部長として脱税という刑事犯の捜査に携わったことがありますが、犯罪として起訴できるためには犯意を立証する証拠が必要。政治とカネの問題をめぐってはロッキード、リクルートに続く大型事件と言われ、これだけのメディア報道と捜査布陣が敷かれながらも、起訴できたのは会計責任者だけとなってしまえば、特捜は権威を失い、功名狙いの検察暴走との批判は免れないでしょう。なので、政治家狙いの必死の捜査が展開され、これが無理筋の起訴につながれば、これはこれで法治国家としての危機。


では、なぜこんな無理筋の大捕物劇に特捜部は踏み切ったのか。そこには何らかの政治的意図があるのではないかと誰もが首をかしげるのが、少なくともメディア報道ではもっぱら血祭りにあげられているのが安倍派であることです。ノルマを上回るパーティー券の裏金化など、どの派閥でも野党でも日常的に行われてきたこと。よくある手は、その分を派閥や党などに申告もせず、そのまま議員の裏金にしてしまうことですが、安倍派の場合は真面目に派閥に申告納付させていた分、まだ真面目にやっていたともいえます。


確かに、そこからのキックバック分を収支報告書に記載してなかったことは形式上は犯罪ですが、真面目にやっていたからこそ証拠化が容易であるがゆえに摘発された?というのもヘンな話で、捜査のおかしさについては色々なことが指摘されます。守秘義務を徹底している国税と違い、今回もまたリークに次ぐリーク。世論づくりは検察の常套手段ですが、今回の意図は安倍派潰しか。米国と同様、日本でも政治による司法の「武器化」か…。


では、検察の動きの政治的背景とは?誰がどんな目的で?早速、財務省陰謀論が囁かれています。確かに、安倍元総理もそうだった積極財政派の牙城は安倍派です。


同時に、財務省に相談もなく定額減税を決め、最近の支持率低下で防衛増税や少子化対策の国民負担をやり切るだけの政治力も失った岸田総理を財務省は見限った?そういえば、財務副大臣の税金滞納を把握していたはずの国税当局が「身体検査」に協力しなかったのも不思議です。特捜がカネの問題を扱うときに必ずと言っていいほど裏側で協力しているのが国税。今回は裏金についての脱税犯もちらつかせながらの捜査になる?


ただ、陰謀論批判を覚悟であえて推測すれば、特捜にはもっと大きな力が働いている可能性も否定できないでしょう。特捜といえば、かつてのロッキード事件での米国との協力関係がよく知られるところですし、98年の大蔵省接待疑惑捜査の根源にあったのも、日本の金融資本市場への進出に邪魔だった大蔵省潰しを米国勢が狙っていたことがありました。


では今回は?昨年7月8日の安倍氏暗殺、それが招いた旧統一教会問題での安倍派叩き、そして今回と、一連の動きが一本の糸でつながっていると、ジャーナリストの山口敬之氏は喝破しています。日本が自立して国家観のある国に向かおうとすると、それを担う政治勢力を叩く構図がそこにはある。今回はもう一つ、同氏が指摘するのが日本によるウクライナ復興支援金の拠出です。米国はもう、共和党が多数を占める下院の反対でカネを出せない。だから、今度はいよいよ日本が出せ。しかし、これを飲んだ岸田氏は支持率が急落。


来年の通常国会で10~20兆円にのぼるウクライナ支援に関する国民負担を通すだけの求心力を岸田総理は失っており、バイデン政権も彼を見限った…ここは政変を起こして…。ここまで行くと陰謀論そのものになりそうですが、では、バイデンは誰を総理に?


最近の世論調査での「次の総理総裁にふさわしい人は」では第一位が石破茂氏(21%)、第二位が小泉進次郎氏(19%)、第三位が河野太郎氏(12%)で相変わらずの「小石河連合」ですが、このところ急浮上している上川陽子外相は注目点かもしれません。今まで無名であったがゆえに政治にまみれていないクリーンな印象、しかも初の女性総理で有能でもある。オスプレイの事故に際してエマニュエル駐日米大使がわざわざ外務省に上川大臣を訪ねて謝罪したのも、この人はそれだけの人物であるとのPRの意図が米側にあったとか…。


もちろん、実際にどうなるかはわかりません。ただ、ここで上川氏が浮上した理由として、同氏の米国での経歴からグローバリズム勢力と密着した人物とされていることがあるようです。岸田氏に代わってバイデンの前述の意図を忠実に実現してくれる総理として…。


確かに、この一年、岸田政権の下で進んだのは、バイデンのバックにあるグローバリズム勢力による「日本植民地化」の深化でしょう。しかし、その勢力にも最近は陰りが出ているようです。来年にはトランプ氏が大統領に再選されそうな米国では、明らかに潮流変化が起きている。今回は以下、リアリズム保守の立場では日本を代表する米国通である山中泉氏が松田政策研究所CHで発信した現在の米国情勢について、ご紹介いたします。


●世界各国で台頭する反グローバリズムの政治潮流

上述の山中氏によると…「世界の潮流をみると反グローバリズムは政治の主流に躍り出ている。どの国でも『極右』とのレッテル貼りがメディアでなされているが。米国ではバイデン政権は『極左共産党』とも言われている。英国のブレグジットもトランプ政権の誕生もグローバリズムに対抗する揺り戻しだった。EUもWHOもそうだが、そこにいる官僚たちが、選挙で選ばれていないのに、超国家で主権国家に押し付けてくる。」


「2022年にはイタリアではメローニ政権が誕生。父の時からから極右と言われてきた政党だ。昨年のフランスの保守、ルペンの党の躍進。彼女は40%の得票率だったのに、何が『極右』か?いま、国際金融資本のマクロンに対抗して力を伸ばしている。チェコの保守政党日系二世トミオ・オカムラが躍進。フィンランドも保守政権の台頭。アフリカや中東から入れて犯罪率が上昇。グローバリズムに押し付けられて人々が困窮、そこから守る。」


「2023年11月には『オランダのトランプ』の『極右』政党が躍進。農業国だが、牛の天然ものが環境に悪いとされていることへの反発がある。『アルゼンチンのトランプ』のミレイ候補の『極右』大統領候補が勝利。税金は取らないのがいい、細かく存在する省庁、そんなの全部要らない、と。南米のパリと言われたブエノスアイレスが困窮。南米では中国の影響力拡大。中国とは貿易しないと言っている。」


「そして日本では2022年の参政党の躍進。日本でも大きな流れが変わったと感じた。自民党はリベラル左派の政策。2023年の日本保守党の開始と、同党への予想以上の注目も流れの一つ。参政党は国際的な情勢を踏まえた党だと感じている。」


●メディアも認めざるを得なくなったロシアの好調さと強さ、世界のウクライナ離れ

「『ロシア経済が予想以上によく、プーチンの支持率は80%超え、過去2年で最高の数値』とワシントン・ポストの報道(11月28日)。皆、これで驚いた。あの反保守派のワシントンポストが…。レストランがモスクワでものすごく繁盛し、不動産価格も上昇。経済制裁で逆に、国内製造業の質が向上。プーチンは国民経済路線。制裁下でもおカネが回っている。」


「グローバリズムの思惑が外れた。ウクライナ戦争もロシアが勝つ。ウに勝ち目はない。兵隊が枯渇。生命維持装置をつけているだけだ。ゼレンスキーは国民から引きずり降ろされる。この問題が最近、急に言われ始めた。」


「米下院がもう、そういうスタンスに。ウの役人の給料まで米国民の税金で払っているなど冗談じゃない。ロシアは所期の目的をもう達成した。占領地域の確保と、ウのNATO化の回避さえできれば。ウ支援に疑問を持つ国々が多出。露からの資源調達なくしてドイツ経済も回らない。」


「まずは日本も自国の国益を考えるべし。欧米の言うことを聞いているふりをして。欧州はそうしてきた。安倍氏が26回もプーチンと会った。ロシアを敵に回すのは日本の国益に反する。ロシアの軍事力は今までのピークを上回るまでに上昇。米国は中国のサプライチェーンなくして兵器も作れない。欧米全部足してもロシアの弾薬製造力に及ばない。米国がここまで弱体化していることを日本は報道しない。」


「トランプ氏が草の根保守を束ね、ミドルクラスやマイノリティまで支持を拡大。2020年の大統領選では、前回より集票が多かったのに敗けた。郵便投票で死人まで投票。これからは草の根保守が希望を持たせるが、いまの米国は崩壊状態だ。来年の大統領選はトランプが8~9割勝つが、勝つと米国の混乱も拡大する。800万人の移民を国外退去させるとトランプは言っている。トランプの闘いは大変になる。」


●米国大統領選挙の直近の動き…トランプ激戦州6州のうち5州で大幅リード

「トランプ氏の起訴は全て、この5か月のこと。ちょうど公判の時が選挙。わざとぶつけている。司法を使った『武器化』。これが米国の2023年のキーワード。司法の武器化。」


「1・6事件(連邦議会襲撃事件)を反逆罪と決めつけた。これまで監視カメラでは都合のいいところしか流さず、全部の公開を拒んできたものを、下院議長の交代で、公開させた。警備員に案内されて入っている。FBIに雇われたインフォーマントをデモ隊に忍び込ませ、犯罪になるようなことをさせている。それをやっている人が捕まっていない。1,000人近く逮捕されているのに。これはむしろ、連邦政府による反逆だ。」


「2024年のトランプの政権移行チームとしてFBI予算大幅カット、場合によっては閉鎖。トランプの政権移行チームのエキスパートが動いて連邦政府の不正が次々とあばかれる。トランプ公民権停止のリスクも次第に下がっている。各州にはその権限がない。米国の司法は民主党か共和党しかない。政党が国家を乗っ取っていて、三権分立はウソ。」


「アイオア、オハイオ、工場がたくさんある洲、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ミネソタの6州が激戦州、どこもラストベルト。USスチールなど、昔は米産業を支えた。デトロイト、三大自動車メーカーと部品メーカー、人々が職を失った。過去の政権とウォール街がそうしたとトランプは説いた。そのうち5州でトランプはバイデンを大きく引き離している。」


「トランプは22%の黒人が支持。過去の共和党大統領の誰より高い。スパニッシュからも、こういうマイノリティ、アジア系も。反転の流れが来ている。」


「あまりに経済が悪い。6,000万世帯で家賃も滞納。ガソリン代を払うと電気代が払えない。トランプの時は史上最高の経済だった。ガソリンも安かった。バイデン不利の状態。」


●トランプ、バイデンのどちらの政策が国民の生活を助けたか、苦しくしたか?

「両政権の一番大きな違いは、バイデンが就任初日で大統領令で、トランプが進めたものをひっくり返したこと。国民生活への大打撃が2つ。」


「一つは、パイプラインを全てとめたこと。環境左派のグリーンニューディール。トランプはシェールを進めた。エネルギードミナンス、輸出できるまでに。ロシア、サウジに敗けない資源。しかし、バイデンは輸出をとめた。その分、外国から買わねばならなくなり、世界中の石油価格が上昇。ウクライナ戦争で上がったのではない。世界を困らせている資源価格の上昇は、そもそもバイデンの失策によるもの。」


「もう一つが、国境を壊したこと。トランプがかつて主張した壁の建設をメディアは気狂いと報道したが、トランプは実地に現場で警備員をヒヤリングした。壁は効果があると。それが3分の2までできた。しかし、バイデンではどんどん入れろ。2.400万人入っている。」


「フェンテノールの問題もここから激化している。麻薬の中でも強力。原料は中国、精製はメキシコ、それをギャングが移民を使って入れている。米国では年間10万人の死者。ベトナム戦争の死者数よりも多い。」


「やはり壁がないとダメ。国境なくして国家ではないとトランプ。日本は島国だから、このことが理解できない。バイデンもついに、壁が必要と認めた。」


「トランプになって、そしてバイデンになって、どの政策があなたを助けたか?の調査ではトランプが圧倒意的に高い。あなたの生活を苦しめたのか?ではバイデンの方が苦しめている。なんと言っても、ガソリンの値段が上がった。」


「黒人男性やスパニッシュ系のトランプ支持率が高いが、この人々は所得がトランプの時に上がった。メキシコ国境の遮断の効果で失業率も下がった。職の奪い合いがなくなった。不法移民で下がっていた賃金が上がった。これがバイデンのときに戻ってしまった。これは日本の道を考える上でも大事なこと。移民は国家の根幹を破壊しかねない。」


「若者有権者のバイデン支持率は低い。バイデンの政策は最初からガソリンが上がる、経済が悪くなる、若いカップルが家を買うことがほぼ不可能に。彼が招いたインフレによって金利が上がっているからだ。トランプのときは3%前後、今は7%以上だ。ローン金利の負担に耐えられない。毎年の負担が2.5万ドルが7万ドル台に。」


「グローバリストの傘下にいるバイデン政権が米国を破壊していくことを米国人が感じている。トランプのほうが支持率が高いのは当然の現象だ。」


●どちらの候補が世界を『平和にし、安定化したか』

「軍産複合体。今までの米国の政権ではほぼ全て、米国が自ら攻めて戦争をした。トランプのときだけ一つもなかった。トランプが成功したのは、外交は力を背景に行うものとの信念だった。軍備も増強していた。それが抑止になる、と。」


「米国人がときの大統領を強いと考えているか。バイデンは半分以上が弱い大統領だと答え、トランプは強い大統領。米国が弱い大統領になると世界中に危機が広がる。世界が見ている。アフガンからの惨めな撤退、米国はたいしたことないと、世界が見てしまった。」


「強い大統領が外交をしたほうが世界の平和は保たれる。トランプは自国ファーストだが、各国が自国ファーストをやってくれ。最終的には日本が核抑止政策を持つことも、トランプ大統領ならあり得る。米国にはもう海外を守る力がない。中ロと軍事力で対抗する力はない。核があれば抑止力になる。英国方式。潜水艦でSLBMでというのはあり得る。」


●民主党大統領候補としてミシェル・オバマが注目点

「トランプの有力な側近によると、最近、トランプは元気がいいそうだが、怒っているとのこと。雰囲気はいい。百戦錬磨だから。この次の選挙でトランプは必ず勝つと予言し、民主党のバイデンはほぼないだろうとしている。民主党の中でいちばん力を持っているのはオバマであり、バイデンは次はないと、オバマの側近が言っている。バイデンももう出たくない。訴訟が起きているから。ハンター・バイデンでひっかけられている。本人も弾劾が待っている。健康など何らかの理由を言ってバイデンは選挙に出てこない、と。」


「では、カマラ・ハリス副大統領?あれほど人気も能力もない人はいない。ニューサム加州知事の名は出たが、それもない。バイデンは白人男性、それは今の米国ではダメ。だから副大統領は黒人女性だとバイデンは言っていた。民主党は白人男性はできない。」


「そこで出てきたのがミシェル・オバマ。彼女が出てきたらトランプの一番の強敵になる。オバマ家は莫大なカネを稼いだ。ミシェル・オバマの一回の講演が7,500万ドル。ブッシュジュニアで5,000万ドル。オバマ本人は大統領をやったあとにとんでもない金持ちになっている。ミシェルは民主党の最終兵器になろう。」


「トランプ再選となれば、日本の国家路線をどうするかという問題になる。いま日本政府は民主党一本だ。岸田のバイデンべったり路線をどう転換するか。世界的にも大きなパラダイム・シフトになるだろう。欧州では反グローバリズムの政権が続々誕生する。」


●日本の国政に問われている選択肢とは

…以上の反グローバリズムの潮流は、中国とロシアが主導するBRICs秩序の台頭とも相まって、世界秩序の運営者としての米国の撤退と世界の群雄割拠化を加速するでしょう。パーティー券裏金問題の背景に米国グローバリズム勢力の思惑があるにせよないにせよ、このような内輪の問題に日本の政治が勢力を奪われている余裕はないはずです。世界の潮流に対応できる独自の国家軸の構築を急ぐべきでしょう。このことを選択肢として国民に問う解散総選挙が本来、急がれる局面ではないでしょうか。


もちろん、日本の政治が前へ進むためには、政治とカネの問題にケリをつけることも大事です。党員がボランティアで全ての活動を担う仕組みの構築で、この問題に最終的な答を出した参政党が、この面でも次の総選挙では重要な選択肢になるべきだと思います。

閲覧数:125回
bottom of page