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  • 執筆者の写真松田学

派閥とは何だったのか…その解体とは自民党の解体~日本の真の自立を軸に戦後体制から脱する政界再編を

このところの政界の話題といえば派閥の解散ですが、いち早く自派閥解散を宣言した岸田総理は支持率回復のパフォーマンス?問題の本質は派閥の存在ではないでしょう?などとも揶揄されています。確かに、期待していた?ほどの支持率上昇はなかったようです。


日経新聞(1月26~28日)の世論調査では内閣支持率は27%で、派閥の政治資金問題による閣僚の辞任を受けた12月の緊急調査からの上昇は1ポイントにとどまりました。内閣不支持率は2ポイント低下の66%、つまり3分の2。毎日新聞(1月27、28)の調査では、内閣支持率は昨年12月の前回調査より5ポイント増の21%で8カ月ぶりに上昇し、不支持率は7ポイント減の72%ですが、前回が16%とあまりに低い水準からの回復ですし、国民の4分の3近くが政権を見放していますから、決して喜ぶべき状況ではないでしょう。


次々と派閥が解散する自民党はこれでどうなるのか、政局は?自民党のことはこの人に訊け、ということで松田政策研究所CHで自民党に長く勤務した政治評論家の田村重信氏と対談したところ、浮かび上がってきたのは…自民党とはそもそも、各派閥それぞれが政党であり、自民党より上位の存在であり、その連立でできているのが自民党だということ。だから、一党独裁の下で野党に代わる必要はなく、自民党の中で政権交代が起きてきた。


ということは、派閥がなくなることは、これまでの自民党はなくなるということだと私は理解しました。そもそも、こうした自民党の構造は中選挙区制だからできたものですし、小選挙区制になっている現在は、派閥そのものが要らなくなっていると田村氏は述べています。しかし、それでは、執行部に権限が過度に集中し、執行部独裁体制のもとで、今でも自民党議員の「サラリーマン化」が進んでいるのに、それを促進することにならないか?


田村氏の答は、自民党は県連とかブロックとか、候補者の公認などでも地方組織が強い、そもそも自民党は分権的な組織だ、と。しかし、それでは、国政政党というよりも、地方の事情で色々なことが決まってくる「地方政党」なのでは?例えば、国政レベルで有為な人材を政界に登用していくという政党ではないことにならないか?


そんな私の疑問は拭えませんし、実際に、「自民党は市議会議員がいちばん強く、次が県会議員で、国会議員がいちばん下」などと言われている通りのことにならないでしょうか?


そうなるとやはり、野党と政権交代する政治にならないとダメだということになると思います。いま、野党があまりに弱い状況のもとでそれが無理なら、国政が地方の事情に振り回されたり、独裁集権組織の政党が与党であり続けたりする弊害を避けるためには、自民党分裂しかないのではないか?つまり、昭和の産物だった自民政治そのものがもう終わっていることが、今回のパー券問題で見事に露呈したのではないでしょうか。


田村氏によると、岸田氏は派閥解散を決めた時点で、もう総理総裁を辞める腹は決めたそうです。ただ、これから意外と支持率が上がった場合は、今年春頃に衆院解散するのではないかとのこと。なぜなら、野党の支持率があまりに低く、自民党の危機といっても、選挙をやれば勝てるから。ならば、時代遅れの自民党支配がだらだらと続く?ここは新しい時代にふさわしい政界再編が必要かもしれません。


元々、自民党は1955年の保守合同で誕生した政党ですが、その背景には日本の共産化を恐れた米国の意向があったとされます。その由来からして、自民党のバックには米国があり、いつもワシントンの方を気にしながら、日本の自立どころか、植民地化に手を貸す与党であり続けた。そんな戦後レジームを終わらせようと対米自立路線に舵を切った安倍総理は暗殺され、安倍派は旧統一教会とパー券問題で、ついに壊滅に追い込まれました…。


派閥をなくすのは自民党をなくすに等しいとすれば、この際、昭和の遺物は政界から一掃でしょう。30年に及ぶ日本の停滞と植民地化の深化に現職政治家は責任をとらねばならないはずです。郵政民営化も構造改革も行革も、性善説でアメリカやメディア報道が正しいと信じ込む日本国民から巧みに収奪せんとするグローバリズム勢力に対し日本を守れなかったのは政治の責任。どの会社でも職員の給与をこんなに長く上げられないほど経営に失敗した役員たちは株主総会で辞任でしょう。政治では株主は有権者、株主総会は総選挙。


その時、政治の選択肢は自ずと参政党になりそうなものですが…。少なくとも、自民党には国家路線を軸に分裂していただき、国家の自立と尊厳を掲げる志ある保守政治家たちは自民から離脱し、小選挙区のもとで自民からの公認枠がなく、やむなく立民や維新、国民民主に籍を置く同じ立場の政治家たちをも糾合して、政権交代可能な自立保守の政党を創り、国民にもう一つの選択肢を与える政界再編がいま、問われているように感じます。


ただ、戦後のGHQ占領の軛から脱するためには、最近、米国の情報公開制度で明らかになっている大東亜戦争の歴史的事実を国民自身が知り、歴史認識に関する洗脳から脱する意識改革が欠かせません。かつて石原慎太郎氏のもとで政治活動に携わった私は、このことを痛感しました。どんなに立派なことを政治家が言っても、洗脳の軛に縛られた国民の意識そのものが変わらなければ、国家自立の主張は危険な右翼だと認識され、多数は取れません。だから、国民が自ら学び政治に参画する仕組みとしての参政党を結党しました。


こうして、グローバリズム全体主義という真の敵に対抗する政治の軸を打ち立てねばならない…今回は、自民党の本質を斬ってくれた前記の田村氏に加え、日本の真の自立に向けて論陣を張る大阪市立大学名誉教授の山下英次博士からいただいた提案もご紹介します。


●真の自立国家へ、日本は「口うるさい」国として米国をリードする国になるべき

先日配信された松田政策研究所CHでの山下氏との対談番組は、次のクイズで始まりました。題して「日本人の洗脳度テスト」。


➀鎌倉時代末期の元寇で、日本はどの国から侵略を受けたのか?…モンゴルではありません。そういえば、中国の悪口を言ってはいけないというGHQからの方針がありました。➁長崎事件、③南京事件、④漢口事件、⑤済南事件、⑥中村大尉事件、⑦通州事件、⑧オトポール事件、⑨張鼓峰事件(ハサーン湖事件)…もし殆ど知らないなら、あなたは完全に洗脳されているそうです。


この番組のテーマである「独立国になるために日本は何を為すべきか?」との問いに対して山下氏が挙げた提案は、大きく言って、次の三点でした。


第一に、日本のメディアが告白・懺悔すること。メディアの公共性を考えれば、日本を非独立国に置いてきたその罪は深く、これは不可欠。GHQが去った後も、誤った歴史認識で、その洗脳を日本国民に対して徹底し続けた。もちろん、NHKもそうです。参政党が国民運動を唱えている如く、山下氏は国民にメディア批判の大合唱を呼びかけています。


第二に、日本の国防に関する次の三つの錯誤を正すこと。それは、➀専守防衛、➁自衛隊の在日米軍への従属、③核の傘。加えて山下氏は、自前の憲法のために、まずは現行憲法を破棄し、英国のように不文憲法でいい(成文憲法は要らない)とまで言っています。日本の「国體」は天皇なのですから。


第三に、「ストロング・ジャパン」について米国と合意すること。いずれ中国と手を結んでアジアから撤退するだろう米国は、これまでも戦略的なミスを重ねてきた国。日本はかつての英国と同様、口うるさい存在として米国をナビゲートする存在にならねばならない。


戦後できあがった「戦勝国秩序」は現状をみても機能していません。日本は根拠をもってこのことを言えなければならず、そのために歴史認識を総括する必要があると同時に、単に「NOと言える日本」ではなく、正しい戦略でアメリカを「リードする日本」にならねばならないでしょう。自由で開かれたインド太平洋(FOIP)や対中認識などでこれを実践した安倍氏を日本は失ってしまいましたが、政界再編によって、これを、参政党が始めている草の根国民運動で再生する政治が、いま求められていると改めて感じます。


●派閥のほうが党の上位にあるのが自民党

そこに向けて政界の地殻変動が起き得るかどうかは、現在、大揺れしている自民党がこれからどうなるかで決まるでしょう。では、その自民党でいま、何が起きているのか。その背後にある自民党の本質とは何なのか、前述の田村氏によると…、


「政局の動きが速い。派閥はそれなりの存在だ。岸田氏は派閥の長で総理総裁。普通なら総理になったら派閥を離脱するのに、あの人は残っていた。派閥の存在感が岸田氏には強かったからだ。総裁選で20人集めるのは結構大変だ。派閥の長ならできるが、そうでないと、高市さんも大変だった。」


「不記載問題では、安倍派も二階派も、そして宏池会にも問題があった。そうなると、岸田氏は思い切りがいいところがある。安倍派と二階派の解散の前に宏池会解散に打って出て、てんやわんやになった。残っているのは二つの派閥だが、これからも残るだろう。」


「中選挙区制の時は、党よりも派閥の存在のほうが大きかった。敵は党内だった。5人区で5人が自民党候補ということもあった。派閥のほうが自民党より上位にあった。派閥の連合が自民党。小選挙区になってからは、これが逆転し、派閥が要らなくなった。党の公認になればいいからだ。だから、無派閥の議員もたくさん出た。今回、意外と簡単に派閥解消にふん切れたのは、現在の選挙制度に起因する。」


「解散しない2つの派閥をみると、麻生さんは高齢、派閥の長でいる限り存在感。茂木氏は次の総裁を狙っており、派閥の長だから20人集められる。次の総理候補として国民の人気では、石破、小泉。茂木氏はきわめて低い。なんとしても派閥を維持するのが、彼にとって総裁選の重要な一環。結局、いずれも派閥の長の個人的事情で解散しない。」


●派閥とは何だったのか…政治にカネがかかる実情のもとで派閥それぞれが政党

「今回のことで、今後は何からのグループが党内にできても、今までのような形での派閥は維持できなくなる。そもそも派閥とは、そのトップが総理を目指すために創るもの。所属議員が人事の時に派閥推薦、閣僚は総理が人事をするが、副大臣や政務官クラスは全部、幹事長室でやる。総理はあまり関係なく、派閥が人事の推薦をする。今後、パーティーも人事の推薦もやめるなら、派閥にいる意味はなくなる。」


「現在では、政策も熱心にやっていない。宏池会は大平さんの頃は、下村治、高橋亀吉などを呼んで週一回の勉強会をやっていた。宮澤さんの頃も、宮澤総理が何かやるときには宏池会で検討したものをあげてくれと。その後、そういうものもなくなっていた。宏池会は大蔵省の牙城。池田、前尾、村山…そういう人たち。それが派閥の長たちが大蔵官僚でなくなって変わってしまった。官僚出身の大物議員がズラリだった。お公家集団だった。」


「政権交代は派閥で起こってきた。中選挙区制のもとでは、自民党は派閥の連立政権だった。他の野党を入れなくても政権を維持できた。宏池会党、清和会党…。宏池会は経済界と密接で資金は十分、田中派はゼネコン、福田派は傍流だったから、政策研究のためのパーティーをやった。その後、政策は抜きにパーティーでおカネを集めるようになった。」


「35年前のリクルート事件のあと、政治改革大綱が決まり、派閥の解消など色々なことが決まった。それがもとに戻った。政党助成金が導入されても、やはりおカネが必要。選挙にも日頃の地元活動にも、相当なおカネがかかるのが現実だ。」


「カネが現にかかる。事務所、スタッフ、クルマ、広い選挙区ほど大変、文書交通通信費だけではとても足りない。やはり自助努力になる。そこで派閥に依存してパー券を売って、ノルマ以上のものは自分に。派閥のパーティーだから自分より偉い人に会えるよ、となると、パー券も売れる。それがなくなると、各議員それぞれの知恵と工夫次第でのカネ集めが必要になる。自分で勉強会をやる、など。自民党は自助努力の党だ。」


「参政党は党員がすべてボランティアでやるからカネがかからない。候補者には党が全部カネを出す。ほかの党にはできない。だから参政党が国民に受けた。」


「言われているような連座制は、結構、厄介だ。政治家を意図的に犯罪者に仕立てることができるようになるので、ここは議論がある。政治活動は自由でなければならない。これを国家権力で監視するというのはいかがなものか。この辺りのバランスをどうするか。例えば、スパイのような秘書が入ってきたら、連座制なら政治家を簡単に葬り去れる。ただ、普通の会社では、『秘書に任せていた』はありえないこと。」


「派閥について考え方には二つあり、それなりに機能していたという見方が確かにある。人が集まれば派閥ができるのは自然なこと。もう一つの見方が、派閥は悪というもの。いまは派閥に依存しない立場の人が、自己アピールのためにこのことを言っている。」


●早期の解散総選挙ありうべし…日本の真の自立のために自民党を解体して政界再編を

「派閥をなくすことによる執行部への権限集中の弊害はそんなにない。選挙区で強ければいいし、自民党は全体主義的な政党ではなく、それぞれの県連とか支部の力が強い。比例ブロックが力を持っている。誰が候補になって選ばれるかは、ほとんどそこで決める。自民党の組織はそういうところだ。共産党とはそこが違う。執行部が誰かを押し込むというのはそう簡単ではない。各地域に事情があるから。」


「自民党は分権組織である。組織は重層構造になっている。政策も、農林なら農林、国防なら国防の先生の集まりが色々とある。昔は族議員が役人より詳しかった。よく知っていて、力を持っていた。今でも派閥と違うところでそういう政策集団が自民党にはある。そこに自民党の強さ、底力がある。政策グループがあるから派閥がなくても全然困らない。」


「いつ衆院解散総選挙になるかは支持率次第だが、いまの低支持率では、岸田氏が総裁選に自分から出るということには簡単にはならない。岸田氏はもう総理総裁をやめると腹を決めたのではないか。だから、自派閥解散に出た。」


「宏池会は池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一といった総理を輩出したが、今や在職期間で岸田氏は鈴木氏を抜いて、池田氏の次になる。4月にはバイデンも国賓で呼んでくれる。花道になる。ただ、支持率があがると変わるかもしれない。」


「問題は政党支持率だ。ある調査で自民党は24%だが、23%の先月とあまり変わらない。これに対し、立民は4%、維新は6%…これでは…。問題は野党だ。連合が立民と国民に分かれていること自体ナンセンス。彼らは自分が目立つことばかり考えていて、まとまらない。それでは一人区で自民党が勝つ。」


「今回のことで一区切りつけ、派閥もなくし、どうですか、皆さん…支持率が上向いたら、岸田氏は解散総選挙を春にやれるかもしれない。補選と重ねてやる手もある。能登半島震災も予算がつけば4月ぐらいにめどがつく。岸田氏のまま解散をやる可能性がある。」


「もし支持率が低迷したままならば、党の顔を変える。総裁選ということになり、総裁選のあとの解散ということになる。茂木氏の場合、早めに総裁選をやれば、党員投票のあるフルスペックの総裁選でなくなるので、自分に可能性がある。だから派閥を解散しない。」

 

自民党は危機と言っても、新しい改革案を出せば、野党も弱い。補選の前にもしかすると…。野党がひど過ぎる。野党の総理にふさわしい人の数字が低すぎる。協力するという姿勢がなく、自分は一歩引いてというのが野党にない。」

 

…やはり、現在のままでは自民党が衆院選に勝つことで禊を済ませたことになり、今回の大山鳴動も何の変化を生むことなく、国民の政治への白けが続くだけになりそうです。ここは派閥解消を機に自民党を解体へと持ち込み、戦後レジームとは異なる全く新しい政治の対立軸を創造する。パー券裏金問題がその契機になるのであれば、特捜部があえて今回の無理筋捜査に踏み切った意義もあったというものでしょう。


少なくとも、この事件で解体された安倍政治を政界再編によって何らかの形で再生しなければ、日本は戦後体制の隷属状態から脱する機会をまた、失うことになると思います。

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