正しい歴史認識なき関係改善は日韓に禍根を残す~韓国を文明化した日本の統治は不法な植民地支配とは真逆~
- 松田学
- 2023年3月21日
- 読了時間: 15分
このところ、4月の統一地方選に向けた応援で全国各地を飛び回っています。3/19(日)は大阪で府知事選に立つ吉野敏明氏と街頭や演壇に立ち、昨日3/21は富山、明日3/23は再び大阪で知事選第一声の応援、3/25の土曜日は都内を回り、3/26は宮崎に飛ぶ予定です。
そんな合間を縫うように、先週土曜日の午後、「日本の反グローバリストよ、集合せよ」と題した都内でのシンポジウムで論者の一人として登壇。この企画は去る3月初めの4日間、米国ワシントンD.C.で開催されたCPACに参加した山中泉氏とJCU議長あえば氏の帰朝報告を兼ねたものでしたが、多数の愛国者の皆さまにお集まりいただきました。
両氏からは日本では報道されない米国の動向を踏まえ、世界の現実や反グローバリズムの意味について知る日本唯一の国政政党である参政党が伸びないと日本は大変なことになるとの重いメッセージが私に向かって次々と発せられ、身の引き締まる思いをしました。
私からは、参政党の「春のBAN政り」と同じ日に開催された伝統ある米国CPACとも通じる、同じ「草の根」国民運動である参政党現象について述べた上で、グローバリズムに対抗する立場として「国民国家主義」と「国民経済の復活」を提唱しました。
中南米など海外の歴史をみると、グローバリズムの外資と手を組んだ独裁に対抗して国民が立ち上がって「保守革命」を起こしても、外資の排斥で経済が貧困化し、そこにソ連や中国が入りこんで社会主義がはびこることが繰り返されてきた中で、わが日本国のみがグローバリズムを排して国民経済を築いた歴史を持つ国。いま日本は、反グローバリズムで国民国家への希望を生み出せる唯一の国として世界の範となり、新たな地球文明を先導すべき立場に
あることを訴えました。これは参政党の街頭で私が日頃申し上げていること。
山中氏やあえば氏からは、米国の情報がいかに歪んでしか日本に入っていないか、次々と提起されましたが、情報弱者状態の日本ではトランプを支持すること自体とんでもないとの風潮がある一方、米CPACでは、次の大統領は「トランプ一択」が米国保守の大勢。
日本では国民も政治家も官僚ですら、グローバリズムによるプロパガンダ報道しか情報が入っていませんが、すでに米国では共和党が下院の多数を占めたことから、コロナワクチンのみならず、バイデン・グローバリズム勢力による圧政や腐敗、言論弾圧の実態が次々と暴露され、国民運動が拡大しています。もう「陰謀論」などという表現は死語でしょう。
懇親会では、外務省の中枢におられる現職の方が、公電ですらグローバリストの立場で書かれるなど情報が捻じ曲げられ、首相官邸が彼らに支配され、そして、岸田政権が親中派だとして米国がなかなか日中首脳会談に応じなかった原因の一つである「リンホウセイ」大臣には辟易している本音を明かしてくれました。参政党は国際社会を知る人々や元大使なども応援していると告げたところ、とても心強そうでした。これが日本の現実。
各界の指導者たちよ、早く目覚めよ、今回のシンポのメッセージはこれだったかもしれません。官僚だった私が想像できないほど今の政権与党は「植民地化」しているようです。
さて、先週は韓国の尹大統領が訪日し、岸田総理との首脳会談で日韓関係が大きく改善に歩み出したかのように受け止められているようです。ただ、これとてもバイデン・グローバリズム政権に特有の介入主義の産物。日韓ともに植民地状態に置きたい彼らの思惑に振り回されて、日本は韓国との関係で将来に禍根を残したのかもしれません。
この問題は少し、構造的な視点から宇山卓栄氏の意見も聴いておくべきということで、過日、コロンビア滞在中の同氏とのzoom対談を配信しました。やはり、今回の会談でも克服不可能なのは日韓関係の根底にある問題であり、それは、日本の過去の統治が不法であるという間違った認識が韓国側を支配していること。
かつて日本は朝鮮側からの要望に基づいて朝鮮を統治し、それまでの朝鮮のあまりに悲惨な状態を何とかしようとして、インフラや医療や学校などを整え、朝鮮を文明の果つる地から文明国へと育てました。それで日本は儲けず、むしろ身銭を切った立場。要するに、欧米列強の植民地収奪支配とは全く逆でした。こうした日本の誠心誠意ある朝鮮統治が「不法」と罵られ、その「不法行為」に対する「慰謝料」を請求されているのが徴用工判決。
それは1965年の日韓協定の外側から新たに持ち出されている極めて狡猾な論理であり、国連といった国際社会の場で日本は決して安泰ではありません。今回の韓国側が持ち出した解決策には、求償権の放棄は入っていません。ですから、根本のところの歴史認識を正さない限り、徴用工問題はまた蒸し返され、韓国との関係は未来永劫成り立たない。
今回は、この宇山氏の論点提起をご紹介しつつ、日韓関係の根本問題を論じてみます。
●米国の介入で実現された韓国側「解決策」の落とし穴…「代位弁済」と求償権
3月8日に米国は「核抑止に関する日米韓の協議体」を創設しましたが、これは北朝鮮ミサイル発射や、「核の傘」に対する不安が同盟国に広がっていることへの対処でした。昨今の韓国と日本の徴用工関連の動きはやはり、米国の介入が背後にあると見るべきですが、米国は韓国の無法性や本性を分かっておらず、いずれ、彼らも痛い目に合う…。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が1月、北朝鮮の核の脅威への対応策として独自の核保有に言及したところ、米高官が早速、「朝鮮半島の非核化に変わりはない」と発言しましたが、絵空事に過ぎない「核の傘」幻想で惑わし、日本が核武装することを牽制する狙いもバイデン政権にはあるというのが宇山氏の見方です。
まず、今回のいわゆる「徴用工」問題を理解する上で、「代位弁済」について論じてみる必要があります。尹政権は従来から、韓国政府が先に、徴用被害者への賠償金を肩代わりし、後に、韓国政府がその建て替えた賠償金を日本企業に請求するという「代位弁済方式」を主張してきました。その代替案が、韓国政府が設置する元徴用工らのための基金に、日本企業が自発的に協力するように要請すること。これは結局、補償金請求と何ら変わりません。韓国政府が後に請求すれば、日本企業には被害実害が生じることになります。
このことを示すのが3月6日の朴振・外交部長官の「コップに例えると、コップに水が半分以上は入ったと思う。今後続く日本の誠意ある呼応によってコップはさらに満たされると期待する」との発言でした。今回、金銭を出せとは要求していませんが、出せと要求しているのと同じです。今後とも日本企業は絶対に応じてはなりません。
韓国は「日本人が韓国人を強制徴用し、不法行為を働いた」という主張を変えておらず、その上で、日本側の実害の軽減のために、妥協的「解決策」を提起していると恩着せがましく押し付けています。こんな韓国案を受け入れるとどうなるか。
以下、宇山氏によると、「尹政権の解決案を認めれば、日本が朝鮮半島の人々を強制労働させたといういうことを認めることになり、これは国際社会への間違ったメッセージになる。基金や財団が日本企業へ支払いを求める権利(求償権)は今回の「解決策」では放棄されていない。尹政権の後の政権時に、韓国が日本企業への支払いを求める危険性がある。」
「『日本の不法統治』は歴史的事実ではないことを韓国に認めさせければならない。それをせずに、なし崩し的に解決などというのは、許されざる背信行為。日本は未来永劫、韓国に弱味を握られ続けることになる。」
どうも、今般、賠償金を払わずに済んで良かったということにはならないようです。
●徴用工判決の狡猾な論理構造と当てにならない国際世論
「韓国側の、元徴用工への賠償のロジックは狡猾さに溢れている。日本側は1965年の日韓請求権協定により、両国間の請求問題が『最終的かつ不可逆的』に解決されたという立場であるが、本当にそうか。このような判決は国際法違反だと勝手に決め込んで、たかを括る言論人が多いが…そこには大きな落とし穴がある。」
「2018年10月30日の大法院判決文の論理構造は、1965年日韓請求権協定(日本が韓国に経済支援を行うことで、この協定の署名の日までの両国及び国民の間での請求権は完全かつ最終的に解決される)を認めつつ、本協定合意の法的な取り決めをスリ抜けるために新概念として、精神的な『慰謝料』を持ち出した。これは、未払賃金や補償金などの民事的な請求とは異なる日本の不法な植民地支配下でなされた強制動員に対する『慰謝料』。」
「ここには次のような3段論法がある。①1965年の請求権協定が締結された際、日本政府は過去の不法な植民地支配の非を認めなかった。②そのため、請求権協定はその不法性に対する賠償についてカバーしていない。③カバーしていないので、不法性に対する賠償権ある。つまり、日本の不法行為に起因する賠償権を具現化するために、原告に精神的な慰謝料を払えという論理であり、結論は『日本の朝鮮統治が不法であった』。」
「これがもし、仲裁委員会や国際司法の場に持ち込まれた時、どう転ぶかわからない。彼らがどういう詭弁を弄するかもわからない。時効だから大丈夫という議論もあるが、人道犯罪に時効はないという事実がある。韓国がこういうものを振りかざして『不法な植民地支配』を人道犯罪と結び付けて訴えれば、左翼勢力が蠢く国連委員会などがどう転ぶか、わかったものではない。日本政府はこれにきちんと備えをしているのだろうか。」
「日本人の多くはこの問題に関し、国際世論が日本に味方してくれると信じて疑っていないように見えるが、国際世論など悪意の塊のようなもので、正論が通じた例などない。韓国をバカにしてモノを言うのは少なからず、こういう甘い前提があるからだろう。」
「2019年2月に韓国の文喜相(ムン・ヒサン)当時の国会議長は天皇陛下を『戦争犯罪人の息子』などと侮辱する発言をした。さらに、文議長は『戦争や人道に関連した犯罪には時効がない』としており、こういう発言をするには根拠があった。」
●韓国側の根本にあるのは「不法な統治」というロジック
「慰安婦については、日本の政府や軍が組織的な人身売買行為を行った事実や証拠は存在しない。しかし、徴用工については、韓国側が主張している規模ではないにしろ、強制労働の事実はないとは言い切れない。ここが日本側にとって、頭の痛いところ。」
「確かに、2019年に判決を下された裁判の原告は徴用工ではなく、応募工だ。しかし、それ以外のケースで、強制性が絶対になかったとは言い切れないことが厄介。朝鮮現代史専門家の外村大・東京大学教授などは徴用工について、実証的に、強制性をうかがわせる記録(行政や軍の記録)についての論証しており、残念ながらと言うべきか、この外村教授の膨大な研究成果に対し、有効な反証ができている研究者はいない。」
「1944年の戦争末期において、日本人も韓国人も同じように、戦時強制動員されたが、両者同じ扱いだから問題ない、とはいかない。強制性があったということに変わりはない。」
「徴用工裁判では、日本の『不法な植民地支配』によって傷つけられた人権・人道問題への補償という新しい争点設定を持ち出してきている。1965年の請求権協定で規定された通常の民事的な枠組みとは別に、韓国は徴用工問題を人権や人道犯罪の係争にすり替えて、訴えている。日本が安泰な立場だと甘く見てはいけない。」
「尹政権時代にはそういうことは起きないとしても、今後、政権が変わり、国際司法の場に持ち込まれれば日本が負ける可能性が高まる。日本は未来永劫、韓国に弱味を握られ続けることになる。これは、2015年の慰安婦合意とは比較にならない致命的な国益の損壊に繫がる、不法な統治というロジックだ。」
●朝鮮半島を文明化させた歴史的功績こそが統治の真実…欧米の植民地支配とは逆だった
「しかし、そもそも『不法』などということは一切ない。日本は朝鮮側から要望されたことによって、合法的に併合し、合法的に統治をして、朝鮮の近代化を支援した。」
「そして日本は、極貧状態であった韓国に、道路・鉄道・学校・病院・下水道などを建設し、特にソウルでは、劣悪な衛生状態で様々な感染症が蔓延していたため、病院の建設など医療体制を整備した。これは何とかしてやらないといけないという善意によるもので、支出が超過するばかりで、日本にとって何の儲けにもならなかった。」
「例えば、英国は植民地型収奪でインドを搾取した。1920~30年代のインドのGDP成長率は年間1%。これに対し、朝鮮は同期間に年間4%~5%も成長した。第1次産業しかなかった朝鮮を、日本は莫大な資金を注ぎ込んで、近代工業化させた。」
「朝鮮総督府の統計によると、1910~1940年にかけて、朝鮮の人口は約1300万人から約3000万人に増え、米の生産高は2.8億円から7.1億円に増大、工業生産高は13億円から86億円に増えた。ベルギーの植民地コンゴでは、20世紀初頭に3000万人いた人口が1911年には850万人へと激減した。世界中の植民地では、餓死する人が絶えなかったが、日本統治時代の朝鮮で餓死者などは出ていない。」
「こうした日本の誠心誠意ある朝鮮統治が『不法』と罵られ、その『不法行為』に対する『慰謝料』を請求されている。ここを根本的に韓国に認めさせなければ、解決などない。」
●残念ながら国民と政治は不可分…「用日」に振り回されることなかれ
「こんにち、経済の悪化に困窮している韓国は日韓関係の改善により状況を打開したい狙いがある。韓国の従来の『用日』(ようじつ)に、日本はこれ以上振り回されるべきではない。韓国人は政治家でも財界人でも、親日か反日かは別として、皆一様に『用日』と言う。『用日』とは、日本から金銭や技術などの支援を引き出し、日本を利用すること。」
「朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の側近だった金鍾泌(キム・ジョンピル)は、『反日よりも用日、国民に日本をうまく利用することの得をわからせることが大切』ということを朴と話しながら、日本との交渉を進め、1965年に日韓基本条約を締結し、日本から総額8億ドルの支援を引き出すことに成功した。」
「昨今では、統一教会が日本の信者から教団への多額の寄付金をせしめ取っていた実態が盛んに報道。それは当時の韓国では決して稼ぐことのできないような莫大な金額だ。」
「日韓関係の悪化について、『政治に責任があり、韓国国民には責任がない』という声がよく聞かれるが、韓国の無法は政治や政権が悪いから生じることではない。その民族が歩んできた歴史がその民族の存在を決定付ける。そして、その民族が政治を形成していく。」
「韓国人は現在でも反日教育を受け入れ、自らの歴史を捏造し、その悲惨な事実とトラウマのため自己を直視せず、様々な妄想を肥大化させている。」
「韓国では、我々の常識では考えられないような暴政が続いた。大統領が自分の保身のために政敵を暗殺するのは朝飯前で、それどころか、自国民を大量虐殺した。政権による財界へのワイロ取り立ても横行してきた。不正選挙が公然と行われ、国民が銃武装して軍隊と市街戦を演じたこともある。これらの一連の無法の歴史的文脈の上に、文在寅前政権や尹錫悦現政権がある。韓国の無法は韓国人の社会的総意として成立している歴史の必然。韓国人そのものが政治という現象を生み出し、それらを分離させることはできない。」
●このままでは韓国に乗せられるだけ…正しい歴史認識の一日も早い共有を
「新しい保守政権に交代したのだから、未来志向で日韓両国が関係を築いていくべきだとする見解は韓国の歴史や民族、社会の深層を無視することと同じであり、そんな簡単なことではない。韓国を安全保障上の重要なパートナーとする見解もあるが、いつまた、手のひら返しをするかわからない相手と情報共有などすれば、北朝鮮や中国を利することになりかねない。」
「2019年に起きた韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題も解決されていない。従北勢力がまだたくさん入り込んでいて、情報を北朝鮮に流し込んでいる。そんな相手と組むことなどできるのか?」
…確かに、韓国が北朝鮮とつながる勢力が大きい国なのであれば、貿易管理措置も解除できないはずです。そして、そもそも徴用工とは関係ない措置なのに、今回の首脳会談を受けてホワイト国に戻すというのは、日本が専ら国際安全保障上の観点から、これまでの特別扱いを変えて一件ごとに輸出審査をする通常の措置へと戻したという当時の説明ぶりとは真っ向から矛盾します。
これは、徴用工判決の制裁としての措置だったと主張する韓国側の土俵の上に乗って、国際安全保障上の日本の責務を自ら否定した形になるでしょう。
どうも、韓国のほうが岸田総理よりも一枚も二枚も上手(うわて)。今回の「解決策」への強い国内世論のもとで尹大統領が合意を実行できるよう、今般、岸田政権は色々な配慮をしましたが、その尹大統領とて、過去の保守派大統領たちがとった「用日」政策を再現させ、過去の保守派大統領たちと同じように手のひらを返す日が来ると考えるべきです。あの李明博大統領が竹島に乗り込んだことも、決して古い記憶ではありません。
今回の韓国側の対応の背景としては、「安全保障は米国が仕切る」として、米国が韓国と日本への支配構造を維持するために尹大統領をして妥協させた面が大きく、まさにグローバリズムの介入主義の結果でもあるといえます。日本としては、韓国がトンデモナイ国であることをバイデン政権にきちんと説明しなければならなかったはず。
かつて19世紀から福沢諭吉が『脱亜論』で「朝鮮に関わるな」と警告していたように、日本は韓国とは付き合わないという独自の立ち位置を貫くべきなのかもしれません。少なくとも、日本の朝鮮統治の歴史的事実への認識を日韓が共有するまでは、そうした立場を貫くのが筋でしょう。
確かに、中国や北朝鮮の脅威が増大しているこんにち、東アジアではNATOに代わる唯一の安全保障の枠組みともされる日米韓の関係の重要性が増しているのは事実です。
そうであればこそ、これまで歴史認識問題に正面から向き合わず、日本国家の軸を忘れて妥協を繰り返してきた自民党政権や政府は、日本の安全保障の上でも大きな禍根を残す大失態を繰り返してきたことになります。
ただ、残念なことに、日本の朝鮮統治がどうであったかを、ほとんどの日本人が知りません。今後、日韓関係を真に正常化して、これを日本の国益に結びつけることを考えるならば、まずは私たち日本人自身が戦後のGHQによる洗脳から脱し、私たちの祖先がアジアに築いてくれた遺産を正しく認識して、真の意味で「日本を取り戻す」ことが不可欠ではないかと思います。
グローバリズム全体主義と対抗できるためにも、正しい歴史認識の共有が急がれます。
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