東京五輪とワクチン論議の盲点~人類と永久に共存するコロナに対して必要な政治的な割り切りをするために~
- 松田学
- 2021年7月18日
- 読了時間: 18分
菅内閣発足以来、初めて内閣支持率が30%を切りました。時事通信が7月に実施した世論調査(支持率29.3%)ですが、この数字が20%台まで低下すると危険水域と言われます。一部には、リーマン後の国難対処を優先するあまり、任期満了近くの解散となって自民党が政権を失った時の麻生内閣に似てきたとの見方もありますが、今回は当時の民主党のように政権交代の受け皿がない…そこで、次の政局絡みで注目を浴びるのが小池都知事。
コロナの政治利用、パフォーマンスだけの「緑の狸」などと世のおじさま方の評判は決して芳しくありませんが、人気のある政治家のことは決して悪く言わないのがテレビ。年配女性からの支持は依然として高いようです。先日の都議選は勝者がいないと言われますが、勝者はやはり小池都知事でしょう。事前には都民ファーストと距離を置いて自民党に近しい姿勢を見せながら、大事なときはタイミングよく体調を崩し、選挙戦終盤での見事な復活演出で都ファを伸ばすことで、結局は自公の過半数を阻止、自民党に対する一定のポジションも得た…。国政復帰へと布石着々ということなのでしょうか…?さすがは策士。
自民党から総選挙に出る?小池新党が自民と組む?二階さんと組んで総理を狙う?…これから総選挙に向けてどう出てくるかわかりませんが、小池都知事のことは源義経にたとえられるとか。予想しない方向から意表を突く攻撃が得意技。ならば、小池さんにやってほしくないことをみんなで予想するのが良い?
いずれにしても、従来から、都議選の結果は次の国政選挙にそのまま反映するとされます。その例外は一回だけ。小泉純一郎総理のときに自民党が都議会選挙で惨敗し、小泉もいよいよカウントダウンかと言われましたが、そこで打ち出したのが郵政民営化でした。政治家として、あれをやらないとだめだとピンときたのでしょう。ジンクスを覆した、ただ一人の総理になりました。ならば、菅総理に小泉氏のような起死回生策はあるのか…?
聞くところでは、菅さんの戦略は、東京五輪をやって、ワクチン接種を行き渡らせることで、少なくとも当面はコロナ騒ぎは収まる。五輪とワクチンを突破すれば、秋には良い状況になる。国民が事前に思っていたよりも状況は良かった、期待値よりも良い状況になる、というのが勝利の法則だそうです。もし、それで失敗したら、責任をとって辞め、新しい総理で選挙すればよい。ここは勝負をかけたとのこと。
今回は、菅内閣の命運を握る東京五輪とワクチンについて、いくつかの論点を出してみたいと思います。なんといっても、日本で現在最大の話題といえば、この二つです。
●外国人に対するヘイト?自分たちだけ安全でいたい?五輪で問われる日本人の見識
ではまず、東京五輪は…。私はそもそも東京五輪が決まったときから東京での五輪開催には疑問を感じていました。日本は前回の1964年当時とは異なり、様々な課題を抱える成熟大国。最近では「コロナに打ち勝った証し」とされ、いつの間にか被災地復興からコロナに変わっていますが、もともとは「復興の証し」ではなかったでしょうか。それならば被災地で開催すべきでは…?都民生活にとっては交通規制などの規制がかかり、迷惑な話。
そこで、東京で開催する意義を、世界が注目する「課題先進国」としての日本が、活力ある超高齢社会など様々な先駆的課題解決モデルを世界の人々に示す、その舞台に東京がなるということに求め、それに向けた様々な社会モデルの構築を都政として掲げてはどうかと提案してまいりました。しかし、世界からの人々も、結局は来なくなりました。
今回、コロナ禍で五輪の予定通りの開催の是非が政治の場でも議論されましたが、そこには出発点からおかしいことがたくさんあります。まず、これは世論が決めることではなく、世界のアスリートに対する国際的な約束であるということです。それをやめるというのは、客観的に無理なときであって、日本人が嫌だというのは関係ありません。会社の社長が契約をして取締役会でも承認し、何年か経って、うちの社員が皆いやだと言ってキャンセルできるものではないでしょう。それでは信用丸潰れ。そこを間違ってはいけません。
もし、五輪をやめていたら、運動会も全部やめにしなければなりませんでしたし、今回、無観客ということになりましたが、それなら、甲子園も観客入れてやるのは当然、やめてもらわないといけなくなり、観客ありで開催するものはすべて、国際的にみておかしなことになります。むしろ、国内はさらに厳しい基準にすべきものでしょう。少なくとも、五輪が国内基準より厳しいというのは理屈にならない。日本人の資質が問われる問題です。
インドが猛烈に抗議したように、外国人選手には2回のワクチン、出発前には毎日PCR検査、それが日本に来たら他者とは隔離、なんでそんなこと言われないとならないのか…と。では、日本人はどれだけPCR検査をしてワクチンを打っているのか。ボランティアに全員打つということになっていたわけでもありませんでした。外国人をそんなに疑うのは「ヘイト」ではないか。コロナが始まってから日本人に対してやっていないことを外国人に求めることを随分とやっていますが、日本人さえよければ良い?
国際平和のために他国の軍人が血を流しても、憲法を盾にして日本人だけは安全な場所で許してもらうのと何か似ているところはないでしょうか。自分勝手な国民?無観客開催という異例の措置を決めた以上、私たち日本人にはそれなりの覚悟が求められるはずです。
●高まるワクチンへの関心…「パスポート」義務化への反対デモも
次にワクチンですが、日本人が当初から欧米とは異なる免疫状態(自然免疫と獲得免疫による免疫記憶で感染時にはIgG抗体が産生される状態)にあって、すでにワクチン接種済みと同様の状態であることを国際社会に対して示すべきことを、そこまで頑なに認めようとしないのなら、他国と同じ接種率に至るまでワクチン接種を進めなければ国際社会のなかで日本がやっていけなくなるというのは、確かに現実問題としてそうでしょう。
しかし、最近出てきた様々な研究成果が、世界でも日本でもワクチン接種を忌避する人々を増やしているのも事実です。このことへの関心は高く、私も、オンラインもあれば地方に飛んでいくこともありますが、最近、コロナで講演の講師を依頼されることがまた増えています。動画での対談で山岡鉄秀氏と中国の戦狼外交を議論しても、赤尾由美氏と都議選での緑のおばさんのしたたかさを論じても、結局、話題の中心はワクチンに…。
ワクチン義務付け論では最右翼の推進派である八幡和郎氏からは、フランスでの「パスポート」義務付けのメッセージ動画が送られてきました。自由を愛するフランス人も、国家の危機に際しては国民は協力するものだ、と。こちら「仏 接種会場に希望者殺到『ワクチンパス』義務化で」をご覧ください。
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しかし、井上正康先生からは、これに反対するデモがフランスで多発しているとの動画が送られてきました。「仏・ワクチンパスポートに反対!フランス各地でデモ活動が発生!」
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そもそもイスラエル等の例をみても、ワクチンを打ったところで感染力の強い変異株が現れれば感染は拡大します。ワクチン接種で重症化は減りますが、感染しなくなるわけではない。ならば、ワクチンパスポートの義務化より、一人一人が簡易な抗原検査キットを所持して、レストランに入る前などにチェックする方法をとるほうがよほど確実では…?ウィーン(オーストリア)では、ワクチンを打たなかった人のことも考えて、パスポートと併用する形で、この方法を採用すると聞きました。フランスご当局よりも賢明かもしれません。多様性を重視する社会を言うなら、ワクチン忌避者の存在も許容すべきでしょう。
私の友人が先日、自分の直接の知人及び、知人の知人のなかで、新型コロナで死んだ人は一人もいないのに対し、ワクチン接種後間もなく死亡した人は4人もいると述懐していました。私の財務省時代の同期が先日、一回目のワクチンで発熱して何日か職務を休んでいましたが、これも「よくあること」で片付けられるのでしょう。しかし、社会で活躍する超多忙な人にとっては、これでは仕事の計画が立たなくなって困るのでは…?
●実は実質的に治験を終えているとはいえないのが現在の遺伝子ワクチン
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ…今回の遺伝子ワクチンは2023年5月2日までは、まだ事実上の治験中の段階といえます。効能と副作用との比較衡量で投与される通常の治療薬とは異なり、健康な人に注入されるワクチンは、安全性のチェックに治療薬以上の神経を使うべきだものとする井上正康先生から、以下のメールが私に届いています。
「『治験』とは新薬の有効性や安全性(副作用など)を確認し、製造や輸入許可を厚生労働省から得るために行われる『治療を兼ねた臨床試験』です。この第一相〜第三相試験を経た後に、厚生労働省に承認申請が行われます。通常、新薬開発のための臨床試験(第一相~第三相)が治験と呼ばれ、その後に安全性や適切使用法などを検討する臨床試験(製造販売後臨床試験)に移行します。今回の『遺伝子ワクチン』は、今春に厚労省が緊急承認しながら随時接種を開始している『第四相試験』に相当し、効果や副作用などにより承認が取り消されることもあります。」
「今回の遺伝子ワクチンは『第一相〜第三相の治験を済ませた第四相試験薬』に分類されます。しかし、パンデミックのドサクサでワクチンに要求される厳密な安全性が軽視された状態であり、それが多くの副反応を誘発している原因です。平時であれば、マトモな治験終了医薬とは似て非なるモノですが、法律的には『治験を済ませた事』になっています。今回は大半の製薬会社が薬害に対する免責を与えられているのもそのためです。」
この井上先生が7月17日に参政党東京支部の主催で私とともに講演いたしましたが、その際に述べておられたのは、井上先生ご自身が何十年も前から免疫のメカニズムやワクチンの研究を積み重ねており、現在の医師や専門家のほとんどがこの分野の最新の知見を欠いているということ。「恐らくBCG程度の知識しかないだろう、自分の講座で試験をしたら、みんな零点になる。」そして、遺伝子ワクチンのリスクについて、かつてこのコラムでもご紹介したソーク研究所の最新の研究成果のことを、特に強調していました。
●無視できないはずのソーク研究所の研究と「デマ」論の徹底のための言論弾圧
ソーク研究所はポリオの研究でも知られた権威ある米国の研究機関ですが、その研究成果とは、現在使用されている遺伝子ワクチンが体内で合成するスパイク蛋白それ自体が、血管を傷つけて血栓を生じさせるということ。新型コロナの病態とはまさにこのことであり、それは肺炎ではなく、体中に血栓が飛ぶ病気で、血栓が肺に飛んだ場合に、CTでみると「すりガラス状」の間質肺炎となって現れるものです。つまり、ワクチンそのものが新型コロナウイルスと同様の毒性を持つことが解明されています。
およそ医師であれば、この事実を知れば、絶対にワクチンを投与させないはずだということで、井上先生は、このソーク研究所の研究成果が出てから、恐らく局面が少し変わっているはずだとしています。もちろん、どの国の当局も公式には認める段階に至っていませんが、日本の厚生労働省もこの論文を知らないはずはなく、これはひょっとすると…ですが、河野大臣のワクチン供給不足発言も、背景にはこのことがあるのかもしれない、小池都知事の会見から伺われる体調不良状態は、6月上旬にご本人が接種されたワクチンの影響とみられ(おかしいと思って調べたところ、接種が確認されたそうです)、政府筋も、これはただ事でないと認識している可能性があるとのこと。
もちろん、これは未確認情報なので何とも言えませんし、各国当局ともここまでワクチンを進めた立場上、このことも闇から闇へとなってしまう可能性があると思いますが…。
何せ、主要メディアでは「デマ論」が当然の如く流されていますし、ワクチンリスクを指摘する論への言論弾圧には目に余るものがあります。もちろん、なかには「酸化グラフェン」論とか電磁波説とか、あまりに非科学的なデマもネット上には散乱しており、そうした論を排するのは当然です。しかし、医学的な根拠のある議論までもが一緒くたに弾圧される状況は、やはりワクチン利権か何らかの不自然な力学が働いているのではないかとの邪推をかえって強めさせ、政府への信頼をさらに低下させる恐れすら出てきました。
6月24日に医師390人と地方議員60人が名を連ねた「ワクチン接種中止の嘆願書」が厚労省に提出されましたが、その記者会見を大手メディアが一切、報じませんでした。
これだけの数の専門家たちと公職者が参加しているにも関わらず、これは少し異常でしょう。この事態を予見した赤尾由美氏がサンスポの記者を呼び、同紙だけに報じてもらいましたが、その直後に、その親会社の産経新聞が、あたかもこれを否定するかのように「子供の接種、学校の活用」を勧める記事を掲載、サンスポの記者は外されたとか…なぜここまで血眼になって「デマ」論を徹底させたいのか、日本はいつからここまで全体主義の国に堕してしまったのか、やはり陰謀論は正しかったのか…?とは思いたくありませんが…。
●ワクチン推進論者の論理…70%接種による集団免疫達成までの過渡的な措置
では、ワクチン推進派は何を考えているのか、その論理的根拠について、以下、八幡和郎氏か松田政策研究所チャンネルで語った内容からご紹介したいと思います。
「国民全員が強制的に打つところまで行く必要は、いまのところない。国民の70%が打てば集団免疫、打ちたくない人には残りの30%に入ってもらえば良い。だが、ワクチンパスポートは、海外でも隔離されなくてよくなるし、コンサートホールに入っていい、マスクする必要はないとなるもの。ワクチン接種をしない人は海外旅行は現実に難しいという現実がある。秋になって海外に行けるようになると、打っていない人はお断りか、PCR検査、そのあとも一週間ごとに海外で検査、飛行機に乗せるかという話も出てくる。」
「ワクチンを全員が打てる段階になったら、ワクチンを打たず、検査もしていない人は、国内でも飛行機や新幹線はダメ、飲食店はゾーンを分けるとなるかもしれない。禁煙と喫煙を分けているように、たばこを吸っているのと同様、不便があるのは仕方ない。」
「アレルギー等、ワクチンを打てない事情がある人の場合は、PCRに保険適用するとか、そういう方のために特別席を切り離して作るとか…。一週間ごとにPCRか抗原検査をすることで、同じ席に座れるようにすればよい。」
「パスポートが電子的に発行されて区別されるのは海外では現実になっている。米国では、病院で解雇されても憲法上問題ないという判決が出ている。最初に禁煙車ができ、次に喫煙車になった。そうなっていく。打っていない人の車両ができる。危ない人ばかり集まっても勝手にしろ、ということに行く。」
「子供にはやめておこうというのはあってもおかしくないが、学校がクラスターになる、まとまって30%の人たちが集まると、クラスターが起こりやすい、だから、特定の年齢層を外すのはいやだという人がいる。だが、高齢者の接種済み比率が高い形で全体として70%というのは一つの考え方ではある。」
「ワクチンが1種類だけというのはよくない。すべての薬がそう。どこか一つの会社のものを全員というのはリスクがある。リスク分散は必要。確率的には、ファイザーのほうがよさそうだ。現在まで何の問題も出ていないという意味で。アストラゼネカは出ていても、飛行機の国際線に乗って事故に遭う確率よりもずっと低い。副反応の多くは二回目で大体出ているので、一回目はアストラで、二回目はほかにするという考え方もある。」
「集団免疫が達成されても、変異株が出るので、毎年毎年ワクチン接種ということになるが、インフルエンザもそうだ。これもどんどん新しいものが出てきている。それと同じようになるとみるべき。ただ、一回集団免疫を達成したら、来年に変異株が出る恐れは小さい。打てば半年は大丈夫。少なくとも重症化率は減る。来年ぐらいはもう一回か。」
「ワクチンというものは、打った人のためだけではない。本来的に、重症化を防ぐものではあるが、人にうつすのを減らすのも事実。人のためにも打たねばならないのは、特に、高齢者と一緒に住んでいる人。所詮は確率の問題。打っておくと、自分のためにも人のためにもプラスということが今のところ、全ての政府のコンセンサスになっている。」
「様々なリスクについて、きちんと評価して開示すべきではないかというのは、WHOにあまりに権威がないが、一つの考え方として出すのは良い。ただ、G7、インド、中国、ロシアの薬務当局が共通して良いと言っているものは、そう疑うべきものではないだろう。心配すべきは長期的な影響だが、すぐにわかるものではない。」
「台湾にアストラゼネカを送ったことは、それで死者が出ているというが、そもそもが膨大な数を送っている。誰だって、これから24時間以内に死ぬ確率は3万分の1だし、3日以内に死ぬ確率は1万分の1だ。ただ、日本で使っていないものを送るというのはいかがなものかという議論はある。だから、日本でも希望者だけでも少しは使うべきだった。そういうことでせっかくの誠意が国際的な信用を壊す危険があった。」
●ワクチン推進論者と折り合いをつける「割り切り」政策論の提案
「水際対策は、日本は厳し過ぎるとされ、ブーイング状態だ。親の死に目に会えなかったとか、離婚状態だとか、あまりにひどいと言われており、そうなると、ある程度出入りをさせねばならないが、指定分類を5類にすると、いざという場合に強制入院をさせられなくなる。そういうことをひっくるめて新しい制度をつくるべきだが、コンセンサスがなかなかできない。原則をゆるくして、そこそこ厳しく対応するというのは、やりにくいものだ。ペストやエボラ並みの運用をしている現状が良いとは厚労省も思っていない。」
「ただ、ゼロコロナはあり得ない。これだけは小池さんには謝ってほしい。インフルエンザで1万人、それとの比較でそこまでやるのかというのは、それもそうだし、経済を止めるのを毎年というのも、そろそろメリハリをつけないとならないだろう。」
「集団免疫達成の目安である7割まで打つというのが、いちばん弊害が少ない。それで時間を稼いで、その間に治療薬を開発する。イベルメクチンが有望だ。今度の冬までに使っていいか結論を出してほしい。それまで時間を稼げるのはワクチンだけだ。ワクチンがこれだけ早くできたという技術の進歩を、治療薬の開発に活かしてほしい。」
以上のような八幡氏の見解であれば、折り合えないところがないとはいえません。
以下は一つの試案ですが、そもそも新型コロナの変異はいつまでも続きますし、その都度、「感染」は増えては減るということも繰り返されます。いずれ動的平衡に達して、普通の風邪と同じものへとこなされていくのですから、人口の7割が打ったところで一つの割り切りをしてしまうというのは一つの考え方でしょう。
その時点ではもう、PCR「感染者」の数で一喜一憂して国民の行動抑制をするのは全てやめにして、発症者のことだけを考える。重症者に医療資源を集中して死者数を減らすことに専心する。そういう医療の本来の姿に戻して社会を正常化する。
一定程度のワクチンの進展状況を踏まえて、死者数の大幅減をもって、そうした割り切りをしようとしているのが英国のジョンソン首相です。ワクチン推進派と接点を持てるとすれば、そのような考え方をとる場合なのかもしれません。ただし、人口の7割に至らせるとしても、残り3割について、未来ある若者たちには積極的に奨励せず、子どもたちに打たせることだけはしないことが前提でしょう。また、そのような状態になった国の国民にはパスポート制度を適用しないということも、国際社会で合意してほしいものです。
●視野狭窄のコロナ原理主義からの脱却を…その前提は正しい知識の普及啓発
緊急事態宣言のもとで無観客で五輪開催、冒頭で述べたように支持率は危険水域に…だからこそ、PCR検査で無症状者を検査して「感染者」が増えた減ったという間違った考え方から早く脱却し、「感染者数」ではなく、重症者数、死者数の減少へと目標設定を変える政策へとモードチェンジを急ぐべきだと、私どもがあれだけ政権要路に伝えてきた通りのことになりました。このままでは政権は行き詰まる、そう申し上げていました。
英国と同じ考え方をとれば、日本は東京五輪に向けて、英国よりも前にモードチェンジができたはずの国です。モードチェンジあってこその東京五輪。有観客開催でアスリートたちへの国際約束を果たし、彼らや世界の期待にも応えられたはず。ワクチン接種が進んでいないと言っても、それ以前の問題として「コロナに打ち勝った」状態にあることは、英国との比較でも数字が物語っているのではないでしょうか。
そもそも感染者数を演出しているPCR検査は、その発明者であるノーベル化学賞受賞者のキャリー・マリス博士が感染症対策には絶対に使用してはいけないと言い遺したもの。本来、感染症というものはインフルエンザもそうであるように、発症してこそ医療の対象になるもの。発症した患者を医師が診て、検査の必要の有無を医師が判断し、新型コロナの場合は肺CTによる検査が最も信頼性が高い、これが多くの現場の医師たちの見解です。
しかも、日本は世界一肺CTが普及している国。日本は現場がしっかりしているから、歴史的誤用だと私の友人の臨床名医が主張するPCRが普及しなかった優等生の国です。
そもそもウイルスの感染が広がると免疫も広がりますから、「感染者」は自粛対策とは無関係に減るときには減っていくものです。そこでウイルスは生存本能に従い、変異することによって感染力を高めていく、しかし、強毒化すれば宿主である人間を殺してしまうので、変異→感染拡大→免疫拡大→感染縮小→変異→…を繰り返しながら、人間との共存状態(動的平衡状態)に達していくものです。
今回、一体なぜ緊急事態なのかといえば、たぶん、東京五輪に「感染拡大」が重なって失政を追及されることにならないための予防的措置なのでしょう。五輪のために、国民生活にさらなる犠牲を強いる…?そのためには、その科学的根拠に国民が納得しているとは言えない禁酒法の強要へと、金融機関や酒販業者を使ったファシズム的な手法まで飛び出す…。コロナ原理主義のもと、政治に当たる者としての基本的な見識が失われたようです。
五輪開催をすると命が失われる…左巻き野党はそう主張してきましたが、緊急事態という失策で、別の面から失われる命のほうが多くならないでしょうか。
いつまでも変異を続けて生き残るのがRNAウイルス。人類はインフルエンザとて絶滅させることはできませんでした。しかも「動的平衡」にしか「収束」はなく、その状態でも毎年の風邪と同じように感染者は出ます。ですから、他の事象は捨象して専ら新型コロナの「感染者数」だけを見る視野狭窄から脱皮し、なんらかの政治的な割り切りをどこかの時点で断行しなければならないでしょう。それはワクチン7割案も同じことです。
そうした割り切りを政治決断できるためにも、新型コロナや感染症の基礎知識を国民に普及啓発して、メディアによって恐怖を植え付けられた「コロナ脳」からの脱却を図ることが不可欠でしょう。これを松田政策研究所の重要な使命の一つだと心得て、コロナニマケズ…これからも微力を尽くしていく所存です。
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