日米二人の最高指導者の躓き…予算を巡る国会情勢とイラン情勢~トランプ大統領はなぜ判断を誤ったのか~
- 松田学

- 4月7日
- 読了時間: 11分
更新日:4月7日
令和8年度政府予算案が4月7日に参議院で可決、成立しました。特別国会召集以降、この予算審議を巡る異常な国会情勢が続き、なかなか執筆の時間がとれず、本メルマガコラムも2か月近く、ブランクが生じてしまい、すっかりご無沙汰してしまいました。
高市総理が年度内成立にこだわり、衆院では通常1か月かける予算案審議が与党側の強引な手法で3月13日に二週間の審議で可決、しかし、少数与党の参院では議会制民主政治の本来の姿が野党の努力で示され、暫定予算の編成・成立に政権を追い込み、予算成立が4月にずれ込んだ流れはご案内の通りです。
かつて安倍第二次政権が成立した直後、選挙の影響で予算案の審議入りが3月にずれ込み、当時、私は衆議院初当選で予算委員会TV入りにすぐに立ったのでよく覚えていますが、安倍政権は50日の暫定予算を編成し、本予算成立は5月15日。安倍総理は予算案の審議に丁寧に臨んでいました。圧倒的な多数であるからこそ謙虚に野党の声に耳を傾ける姿勢が長期政権の秘訣。特に参院は自民党内でも独立性が強く、総理大臣の思うままにはなりません。総選挙で自信を深めた高市氏はこの点を読み誤ったのではないでしょうか。
そもそも暫定予算でも、特に今回は4月11日には自然成立しますから、国民生活や経済には何ら支障は生じません。新規施策は盛り込めないとされますが、今回は教育無償化などの新規施策の一部が盛り込まれ、政権の常套文句である「一日も早い予算の成立を」が必ずしも絶対的なテーゼではないことが見事に証明されてしまいました。
ではなぜ、高市総理はそこまで無理筋の年度内成立にこだわったのか。さっさと予算は仕上げて高市総理が考える「国論を二分する」テーマに一日も早く取り組みたかったのかもしれません。そこにはインテリジェンスやスパイ防止法、安保三文書改定や防衛装備品輸出、皇位継承や憲法改正などが含まれるのでしょう。
そもそも令和8年度予算自体、その大枠は石破前政権時の昨年6月の骨太方針と概算要求で決まったものですから、そんなものは早く片付けて積極財政に向けた高市財政の議論を今年6月の骨太に向けて急ぎたかったという面もあるのでしょう。
ただ、これは某閣僚経験者の自民党国会議員から聞いた話なのであくまで未確認情報ですが、高市氏はかなり重症の病を抱えていて、実は長期政権が望めるお体ではないとも…確かにお疲れ気味な様子がありありですし、予算案が参院に回付されて以降、もう審議などせずに自然成立させればよい、とか、参院の集中審議では自分は答弁に立たないとかおっしゃったという噂が流れました。ご体調のこともあったのか…。
それはさておき、今回あれだけご自身がこだわった年度内成立が実現せず、国会軽視として野党から不信を買った状況は、今後の国論を二分するテーマの議論を円滑に進める上でも禍根を残したかもしれません。現在は総選挙を大勝に導いた高市総理に表立って逆らう動きは党内にありませんが、水面下では各派閥が動き出し、高市政権の安定度にもほころびが生じ始めたとみる向きもあります。
今回は以下、私が今国会の審議で取り上げた財政の論点と、トランプ大統領がイラン攻撃に踏み切った背景などに関する見方などについて取り上げます。
●本国会における財政をめぐる松田学の質疑~予算案、特例公債法案、消費税など
さて、令和8年度予算ですが、2年連続で新規国債発行額を30兆円未満に抑えたことや、28年ぶりにプライマリーバランスの黒字を達成したことを誇る財政健全化予算の姿となっています。これは赤字国債を大幅増発して経済を持ち上げようとした昨年度補正予算とは逆方向の予算ではないか。積極財政を掲げる高市政権発足後に長期金利が上昇したり円安になったことで、いまや消極財政に転じてしまったのか。予算委員会と同じ第二種常任委員会の委員長をしているため同委員会の質疑に立てないことになっている私の主戦場は財政金融委員会ですが、そこで片山財務大臣にそんなことを質しました。
予算成立後には、高市政権が議論を進める「責任ある積極財政」の新たなフレームとして、成長投資や危機管理投資は「別枠で管理する」と施政方針演説でも述べられていますが、これについても昨年の臨時国会以来、私が片山大臣に提案している「投資的支出はバランスシートで管理」する仕組みを検討してほしいと申し入れました。
また、こちらのほうは年度内に成立させねばならない日切れ法案の一つである特例公債法案(今後5年間にわたり財政法4条が禁止する赤字国債の発行を可能にする法律)の審議では、そもそも国の借金を公共事業等以外は禁止している財政法4条を改正し、国債を堂々たる財源として位置付けるべきである旨をぶつけました。
さらに、世界の中で日本だけが営んでいる現行の国債60年償還ルールは減債制度としては機能しておらず、これによって令和8年度予算では17~18兆円も新規国債発行額が多くなっており、マーケットのことを気にするのであれば、この制度をやめて国債の借換えは全て、国債整理基金が発行する借換え国債で賄うこととすれば、その分、一般会計の国債費も新規国債発行額も減り、日本の財政を良く見せることになるのではと、提言しました。
加えて、参政党の立場から消費税につき、「消費税を社会保障の貴重な財源と認識している政党」でなければ社会保障国民会議に入れないという姿勢についても批判を展開しました。そう認識していない多くの国民が支持するのが参政党ですから、そうした国民の声を最初から排除するのであっては「国民」会議とはいえません。
そして、参政党の支持者だけでなく、多くの有識者までもが消費税は社会保障ではなく、法人税減税や輸出還付金に回っていると認識している状況について、それが正しくないなら国民に分かりやすく説明する工夫をせよと迫り、一般会計を投資勘定、経常勘定、社会保障勘定に分けて消費税収が全額、社会保障に回っていることを「見える化」する提案もいたしました。私自身は分かっていますが、税制で大事なのは国民の納得です。消費税収が社会保障費に届いていないとの説明では十分な納得が得られていないがゆえの質問です。
積極財政の最大の障害は何と言ってもマーケットです。この壁を突破する財政運営の抜本改革に向けた議論へと、今後、につなげていこうと思っております。
なお、これら質疑の模様については、次の3本の私のひとり語り番組をご参照ください。
◆「これでは消極財政!令和8年度予算について片山大臣に質す!PB黒字ならもっと減税せよ」【国会報告】
◆「消費税は本当に社会保障の貴重な財源?片山大臣、ちゃんと証明せよ」【松田学の国会報告】
◆「意味がない!国債の60年償還ルールの廃止を片山大臣に迫る 日本の財政をもっと良く見せろ」 【松田学の国会報告】
●米国はイランには勝てない…なのになぜトランプ大統領は攻撃に踏み切ったのか
ところで、前述のように、どう考えても合理的ではない年度内成立にこだわったのが高市総理の失敗だったとすれば(こちらはまだ小さな失敗だったかもしれませんが)、トランプ大統領の、もしかすると政治的にも取り返しのつかない大きな失敗になるのかもしれないのが、ここ一か月以上、世界中が注目するイラン情勢です。当初、トランプ氏は1月のベネズエラ軍事作戦のように、短期間の攻撃でイラン国民が立ち上がり、イランの体制転換が起きる、これは11月の中間選挙にもプラスになると踏んでいたのでしょう。
確かにベネズエラで米軍は、中国などに比べても圧倒的な機動的軍事力を誇示することになりました。しかし、イランは違います。米国とイスラエルによる攻撃に備えて着々と準備を進めてきただけでなく、日本の4倍もある国土は大半が急峻な山岳地帯で地形そのものがアフガニスタンより難攻、人口も9,000万人と大国であり、日本同様、ペルシャからの長い歴史と伝統を誇る国。その国で最高指導者のハメネイ師が暗殺されれば、国民は逆に結束し、反米強硬派である革命防衛隊の体制がかえって強まってしまいました。
こうした計算違いに加え、イランには米国が把握している以上の軍事力が隠されているという情報もあります。米国は破壊し尽くしたとしていますが、地下数百メートルにミサイルがまだ半分ぐらい存置されており、しかも、より高性能なもの、さらには迎撃不可能とされる極超音速ミサイルまで…その兵器製造能力も併せれば6か月は戦えるとか…。まだイランによる反撃は本格的なものではなく、これからだとの噂もあります。
イランと本格的な戦争になったら、ましてや地上戦に突入したら、米国は勝てない、ベトナム戦争の二の舞になる、それどころか、既に生じているように石油や天然ガスの危機で世界経済が大混乱に陥る…実は、米国当局もそれを知らなかったわけではありません。
トランプ政権も二つに割れていたようです。軍や情報系の幹部は本音はイラン攻撃に反対、バンス副大統領もそうだとか…これに対し攻撃を積極的に支持したのは少数派だったようです。ではなぜトランプ大統領は決して合理的でないイラン攻撃に踏み切ったのか。
先日、あらゆる情報が集中する立場にいたテロ対策室長のケント氏が辞任し、トランプ氏がもっぱらイスラエルに乗せられてイラン攻撃をしてしまったと明かしています。ケント氏の上司である米政府情報系のトップのギャバ―ド国家情報長官も以前はイラン攻撃には消極的な発言をしていたようです。やはりイスラエルか…。
聞くところでは、イスラエルとイランは長年の宿敵。ユダヤ教では、少しでも脅威になる可能性がある敵は叩きのめせと教えており、イスラム教のシーア派も徹底的な反撃を説いているとか…。イスラエルは30年にわたり、米国をしてイラン攻撃をさせる工作をしてきたとか…。私は決して反ユダヤの立場に立つものではありませんが、事実としてみれば、イスラエルは長年にわたり、米国の意思決定を左右する存在であり、米国最大の政治資金団体を有し、反イスラエルの議員に対しては、選挙で対立候補に莫大な資金を提供する、民主、共和を問わず連邦議員は皆、イスラエルに逆らえない、そんな話も耳にします。
また、米国では何千万人にものぼるとされる福音派はトランプ氏の票田でもあり、ユダヤ教に対して理解があり、共にアルマゲドン(世界最終戦争)を信じているという話も…。加えて、ユダヤ人とされる故エプスタイン氏のファイルがトランプ氏に対する脅しになっているという噂も…以上は、あくまで言われていることであって、私自身が確証をもっていえることではありませんが、多くの有識者が指摘していることをご紹介した次第です。
●もはや陰謀論ではない!米国を使って目的達成を図るイスラエルとグローバリズム
ジェイソン・モーガン氏は、「米国はイスラエルに支配された国だ。誰もがユダヤ批判がタブーであることを恐れて、この状態を許してきた。米国民にも責任がある」と述べています。ただ、同氏は、「今回自民党が大勝したことに失望している。自民党は米国による日本支配の手先であり続けた。日本人も覚醒してほしい」としていますが…。
いずれにしても、最近のトランプ大統領は、イラン側と協議し、停戦を申し入れてきたと言いつつも、イランは攻撃を続ける姿勢を続けていますし、まもなく攻撃は終わると言いつつも大規模攻撃を示唆したり、米軍を中東に増派したりしていますし、ホルムズ海峡についてもその事実上の閉鎖は米国がもたらしたものであるにも関わらず、同海峡に原油を依存している国が対応すべきだと言ってみたりと、その発言が支離滅裂です。
恐らく、短期で成果を出せるとの見込みがはずれ、イスラエルの暴走も加わって、戦闘終結にめどが立たない中にあって、いかに攻撃を終える大義名分を創るか、内心は必死なのではないでしょうか。このままでは、エネルギー価格の高騰によるインフレ、世界の金融市場の大混乱、経済的な危機など、11月の中間選挙にとつては大打撃でしょう。
すでにトランプ氏に対する米国での支持率は低下しており、国際社会でも孤立化しています。元米国軍人のエルドリッヂ博士は、イラン攻撃はトランプ大統領の「終わりの始まり」だと喝破していました。
参政党も私も反グローバリズムという立場からトランプ大統領を応援してきましたが、ここに来てトランプ氏もグローバリズムに魂を売ってしまったのか…まだ状況の推移を見極める必要がありますが、これまで「陰謀論」として片付けられてきた世界の構造が実は実存するものであることを今回のイラン攻撃は示唆するものであるようにも思います。
もはや国際法など関係なく、超大国が自国の生存と利益を最優先して行動する「分断の時代」に入った…これを事柄の良し悪しを超えて、冷徹な現実として受け止めなければならなくなったこんにち、何千年にもわたって「和と調和」の国柄を営んできた日本の価値観と、超大国がグローバリスト勢力に振り回されて世界を混乱させないよう「反グローバリズム」を掲げる政治の軸がますます求められているように思います。
参政党のこの立場が日本の国政を動かすことができるようになるために、なお一層、党勢の拡大に努めてまいる所存です。



コメント