与党が4分の3の勢力に!異例ずくめの総選挙結果をどうみるか~その歴史的な意味と参政党の役割~
- 松田学

- 9 時間前
- 読了時間: 11分
異例の解散総選挙に、異例の自民単独3分の2以上議席獲得、そして2月18日からは、本来の「通常国会」が1月23日に開会と同日に解散されたので、これも異例の「特別国会」との名称で7月17日までの150日を会期とする形で始まりました。
自民が獲得した316議席に維新の36を加えた与党の議席数352は、衆議院全体の465議席の75.7%、つまり4分の3が与党議員、衆議院では野党議員は全議員の4分の1しかいないことになります。これでは戦前の大政翼賛会…当時の議席占有率81.7%に近い数字です。かつて09年に民主党が圧勝した際の衆院本会議場はどこかの全体主義国の議会の様相を呈していましたが、さらにそれ以上の光景がこれから数年間、衆議院を支配します。
実は、今回の総選挙で自民党は実質的には330議席を獲得していましたが、比例の名簿登載者不足で14議席を他党に譲る形となっています。では、なぜ自民党はこれだけの圧勝となったのか…。やはり「高市旋風」でしょう。そもそも7割前後の高支持率を誇っていた高市氏が「自分を選ぶかどうかの選挙だ」と争点設定をしたことが最大の勝因。これに対し、どっちが総理候補かわからない二人の古顔の中道には勝ち目はありませんでした。
自らわかりやすい建設的な提案を出すこともなく、他党や他者の批判に終始する姿勢に嫌気がさしていた有権者が、旧立民、れいわ、共産等々を忌避したのに対し、「他責」をせず、専ら自らの政策だけを訴え続けた高市氏が、その親しみやすいキャラと共に支持されたこと、最近では高齢世代にも利用が広がるSNSが、この人は人気がある、広告料が稼げるということで高市氏を他党の群を抜いて拡散したことも自民大勝に寄与しました。
そして中道の自滅です。安保を始めとするいくつかの重要テーマについて旧立民が従来の姿勢を急に転換したり曖昧にしたことが「野合」との印象を与え、リベラル層もが中道から(チーム未来へ?)逃げたようです。旧立民の幹部で中道の某衆議院議員は、今回、公明のために大量の立民候補者が犠牲になったことへの不満が爆発するだろう、それをどう収めるか…と。比例で優遇された公明出身の議員は28人全員が当選したのに対し、立民出身者の生還率は約15%と惨憺たる結果でした。ここまでの戦略ミスも珍しいでしょう。
「中国への道」とも揶揄された中道の自滅とともに高市勝利をもたらしたもう一つの要因が中国そのものでした。習近平が高市を勝たせた、との見方も。あの存立危機事態をめぐる国会答弁は、既存の法制度について岡田氏から問われるままに、あたかも法律のコンメンタールの条文解説によくあるように、「例えば…」と誠実に解説したものに過ぎません。
その内容も、中国の台湾侵攻と米軍の展開という日本にとってはどうにもならない外生的要因が発生した際に、どの国家もが持つ国家主権として有する自衛権を行使するものであって、日本が能動的に軍事介入するとか、ましてや軍国主義の復活などという中国側の主張は、誰が聞いても論理の飛躍の理不尽そのもの。そんな目に余るプロパガンダが日本国民の意識を喚起し、中国からの答弁撤回の要求に対して毅然たる態度でこれを跳ね返す高市総理の姿勢が、自民党の大量得票へと結実したといえます。
国会で執拗に高市総理を追及した岡田克也氏は外相の経験者でもあり、そうした答弁になることは質問するまでもなく分かっていたことでしょう。そもそも何のための質問だった?高市批判を煽るため?確信犯?高市政権を潰したい中国の手先のように見られても仕方ありません。有権者の審判は、この大ベテラン議員の落選でした。高市氏の総選挙での勝利は、中国の敗北でもあったともいえます。
自民党の大勝はこうした高市人気に乗ったものでしたが、他方で、これだけ極端な選挙結果になった大きな要因として、選挙制度の問題は指摘せざるをえません。
今回の選挙で自民党が単独で獲得した議席数は実質的には330ですから、これは全議席数の71%に当たりますが、日本の総有権者数(1億321万人)に対する絶対得票率を比例区でみると、自民党の得票数約2,102万票の得票率は約20%に過ぎません。つまり、投票所に出向いて自民党に投票した人は有権者全体の2割に過ぎないのに、議席は7割を獲得したという大きなギャップがここには存在します。
これが候補者1人しか選出できない小選挙区制度のなせる業であることは言うまでもなく、そこには大量の死に票が発生し、民意が的確に議席に反映できなくなっています。維新は早速、特別国会の最大のテーマとして衆院の定数削減を掲げていますが、その前に、価値観が多様化し、世界的に多党化が進んでいるこんにちにふさわしい選挙制度の在り方こそが早急に急がれる議論のテーマではないでしょうか。
しかし、結果は結果。今回の選挙結果には大きな歴史的な意味があります。
●今回の総選挙の歴史的な意味と参政党が伸長しなければならない理由
かつての「安倍一強」より強い「高市一強」となったからには、安倍氏の後継を自認する高市総理は安倍氏でもできなかった戦後レジームからの脱却をいよいよ実現させるかもしれません。特別国会の初日の2月18日に第105代内閣総理大臣に選出された高市総理は、早速、憲法改正、皇位男系継承に向けた皇室典範の改正にも言及していましたが、「国論を二分する」課題に果敢に挑戦する意気込みはかねてから示されてきたもの。そこには自立的な安全保障体制に向けた「三文書」の改定、防衛装備品輸出の拡大、スパイ防止法などに加え、核保有も含まれるかもしれません。こうして、80年続いた「戦後」を終わらせる。
加えて、今回の総選挙自体、これまでとは一線を画す歴史的な変化を日本の政治にもたらしたといえます。左翼が徹底的に衰退し、保守対革新、右か左かという対立軸が消滅したかにみえます。「55年体制」の崩壊を決定づけた総選挙だったともいえそうです。
では、新たな政治の対立軸とは何なのか。衆院で4分の1となった野党には何の役割もないのか。やはり、これからはグローバリズムvs反グローバリズムの時代でしょう。後者の台頭は米欧などでも顕著な世界的な潮流でもあり、それを日本の国政政党で唯一担っているのが参政党です。同党は今般の総選挙では、高市旋風の中で保守層が自民に回帰することで昨年の740万票から420万票へと比例票を減らしつつも、比例で15議席を獲得し、参議院の15議席と併せて30議席の中堅政党へと成長しました。
私は総選挙後の過日、従来の3つの役職(党の参議院会長、両院議員総会長、参議院懲罰委員長)に加え、新たに党の「代表代理」に就任いたしましたが、特別国会初日に、今回の当選者を含め30人の党議員全員が初めて集まった両院議員総会の冒頭で次のように挨拶し、党の結束を呼びかけました。
「高市総理が経済、安保の両面でストロングジャパンを目指す方向自体は是とするが、自民党の構造そのものが利権の上に乗った政党であり、それはグローバリズムと結びついており、その点に限界がある。反グローバリズムの我々は国会で堂々と正論をぶつけ、高市政権をリードし、その姿を有権者に示していきたい」、と。
高市総理ご自身がいくら高い志を持とうと、自民党の多くはグローバリズムであったり媚中であったりもします。参政党が外側からプレッシャーをかけていかねばなりません。
総選挙の応援演説では、私は、グローバリズム(自民や維新)を選ぶのか、中国への道(中道)を選ぶのか、日本を選ぶのかが、この選挙で有権者に問われている。日本を選ぶのであれば参政党だと訴えて回りました。世界一長い歴史を営んできた日本が築いてきた「和と調和」の文明は、力による秩序と分断が支配するこれからの国際社会にあって、世界が求めている新たな模範となる文明の姿でもあります。
この点にこそ、今回の選挙で「ひとりひとりが日本」を唱えた参政党がこれから伸びなければならない必然性があると考えています。
今回は以下、ご参考までに、ジャーナリストの山口敬之氏が総選挙の結果を踏まえて松田政策研究所チャンネルで語った内容をご紹介します。
●自民圧勝の背後にあるのは何だったのか…政治の軸が不可逆的に変わった
山口氏は今回の総選挙について、次のように分析しています。
「今までの政治の枠組み、有権者の判断基準が全部崩れた。無党派層にもリベラル系と保守系がいるが、後者だけではここまでいかない。前者の人たちの2~300万票が自民党に入れた。政治を二分してきた55年体制が完全に崩壊。有権者の新しい基準が生まれた。」
「参政党と国民民主の躍進と高市政権の誕生で国会審議が充実していた。国民生活にダイレクトに関わる審議が行われるようになった。片や、批判だけして何もしない政党が、今回ダメになった。」
「参政党は健闘した。石破がイヤだからは5~600万票、これまではその落ち着き先が国民と参政だった。今回、参政は420万票を獲得。グローバリズムと闘いますかという論点が出てきた。移民にコンシャスな人たちは、特定技能に家族帯同を許している自民はイヤ。そういう人たちは参政党に残留した。高市人気だけなら参政党はもっと減らしていた。」
「人を罵倒する他責、建設的な議論をしない、去年の臨時国会以来充実した国会審議になってから、有権者は建設的な政党を支持するようになった。高市さんは他者の批判をしない。」
「リベラルのかなりが高市さんに入れた。高市さんは中国にも勝った。中国にあれだけ言われて国民が覚醒した。これは保守というくくりではない。」
「高市氏は人の悪口を言わない、政局よりも政策、中国に言われてもこらえた、公明の批判もしなかった。有権者の間には源義経的な判官びいきもみられた。」
「創価学会は7割ほど中道に。公明が入ったことで各選挙区で1万票は中道に乗っているが、立民支持者の左派は逃げた。辺野古への移設反対、安保法制は違憲と言う人たちだ。」
「参政党の420万票は、これが底。これ以上減らない。反グロの保守は高市氏に不満。」
「中道の左側の300万の相当数はチーム未来に。テックリベラル。ITやAI関係者は基本的にリベラル。チーム未来は不気味。反グローバリズムの真反対がチーム未来。」
●高市総理が言う「国論を二分する」テーマとは?増大する参政党の役割とは?
さらに山口氏は今後の動きについて…、「3分の2以上が自民だからといって、長続きしない。いちばん左翼的な政党は自民党。石破、岩屋、村上…自民党の総裁はこういう人たちに公認を出さないわけにはいかない。獅子身中の虫を大量に抱えたのが高市さんだ。」
「宏池会は岸田氏が解散したはずなのに、早くも当選した新人を大量に入れようとしている。ここは反高市の塊。財務省の犬たちの集団。2年間の食品ゼロはギリギリ飲めても、単年度主義は絶対にノー。高市さんは自民党の外に味方を求めるしかない。参政党の役割。」
「大連立したがっていた人たちが自民にはたくさんいて、彼らが離党することもあり得る。そうすると日本の政治はわかりやすくなる。彼らは憲法改正にも消費減税にも反対する。今回は高市さんの第一幕が終わったに過ぎない。これから、いばらの道です。」
「高市さんが解散の決断をしたのは1月3日、ベネズエラ大統領の拘束の日。米国は西半球を必死に守るとその前にメッセージ。ベネズエラもグリーンランドも西半球。しかし、ウクライナにもイランにも米軍は行かない。東半球から足抜けしている。」
「米国の世界戦略が変わったから、中国が台湾を侵攻しても米軍が来ないシミュレーションが必要になった。しかし、その上では防衛費は全く足りない、インテリジェンス能力も必要、日本がいきなり大海原に放り込まれた。そこで高市氏は決断した。」
「『国論を二分する』テーマについて高市氏は語っていないし、語れない。東半球から米国が足抜けしていると言ってしまうと、中国との関係があるから言えない。その中でかなり正直な発言だ。安保とインテリジェンスをセットで言っている。この国を守り抜く悲愴な決意だ。」
「核の傘はウクライナでは機能しなかった。NATOのテリトリーであるウクライナにすら米軍を出さないなら、台湾侵略では米軍は来ない。日本自ら主体的に台湾についての予防措置が必要。安保三文書、そして究極的には高市さんは核武装を考えていると思う。」
「消費税。もっとスピード感でやるはずだった。財務省からの巻き返しがスゴイ。高市さんの本丸は給付付き税額控除だから、あのスケジュールにはなる。ただ、野田氏のような虚言癖はないので、やると選挙で言ったらやる。」
「反高市を財務省からあぶり出す作業になる。次は2028年の衆参ダブル選挙。憲法改正をそこにぶつける。それまでに論点整理を整える。それまでは今の政権を潰せないから、財務省はこの2年間にどこまで面従腹背するか。いずれ正面衝突になる。それを高市さんは狙っている。」
「この国を独立から遠ざけているのはグローバリズムだということに安倍さんは気付いたら暗殺された。高市氏はそれを見ている。日本の覚醒のカギはグローバリズム。いずれ反グローバリズムになっていく。」
「その水先案内人になり日本の進むべき道を示すのが参政党だ。責任重大。敵は束になって潰しに来る。覚悟が必要だ。」
…これから、山口氏が言う通りの覚悟を決めて特別国会に臨んでまいります。



コメント