国論を二分するテーマも中途半端な今国会~報道されざるイラン等の情勢&防災庁に関する松田学の代表質問~
- 松田学

- 6月6日
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今特別国会が後半に入り、「国論を二分する」テーマも含め重要法案が次々と衆議院から送られる日々、時間に追われている間に、本コラムもまた2か月もブランクが空いてしまいました。この間、私は、本会議では防災庁設置法案に関して高市総理に対する代表質問に立ち、何度か、財政金融委員会で片山財務大臣に対する質疑を重ねたほか、参院の常任委員長の一人として、また党の参議院会長としても色々な職務をこなしてきております。
特に今国会は、憲法改正や皇位継承といった国家の基本問題に加え、政府提出法案の処理も異常なスピードで進んでいますが、これまで政府や国会が先送りしてきた課題が一挙に取り上げられるようになったという意味でも、歴史的にみて「特別」国会だといえます。
国会では、数々の法案のうち総理自らが本会議と担当委員会で答弁する重要広範事案という制度があり、今国会でそれに指定された4法案のうち、国家情報会議設置法案、防災庁設置法案、健康保険法改正案(OTC類似薬や高額療養制度など患者負担の見直し)は既に成立、残るは刑事訴訟法改正案(冤罪被害を抑止するための再審制度の見直し)となりましたが、ほかにも国旗棄損罪、選挙制度など与野党対決法案が残っています。
他方で、今年度予算が成立した間もない時期の6月初め、イラン情勢による経済不安などに対処すべく3.1兆円規模の補正予算が提出され、6月5日にスピード成立しました。
ただ、これだけ重要事案を抱えながらも、高市総理率いる政府も与党も、そして国会審議の場でも、「国論を二分する」ような本質論が進んでいるかといえば、実際のところ、大事な点は先送り、その場を乗り切る中途半端な「やっつけ仕事」の感が否めません。
憲法改正も国会議員の任期延長が主内容の緊急事態条項や参院の合区の解消は議論の俎上に上っても、肝心の9条2項をどうするかという改憲の本質論が抜けています。主権国家たる要件でもある自衛のための武力行使を条文上禁止している本条文こそが「国論を二分する」テーマのはず。自民案の「自衛隊を置く」も現状を追認するだけのこと。国軍についての議論なくして、長年の課題である戦後レジームからの脱却はあり得ないでしょう。
まずは国民の理解を得やすい論点に絞って改憲の実績をつくるところからという考え方かもしれませんが、ならば、まずは本質的論点に係る国民的議論を深めることが先です。だからこそ、参政党は国民運動としての「創憲」を提起しています。
国家情報会議設置法も、国民の基本的人権との関係がとやかく言われましたが、誤解です。この法律自体は、閣僚から成る会議と、内閣情報調査室を格上げした国家情報局を創設して、各省庁からの情報をここに一元化するという「組織法」に過ぎず、実際に政府の新たな機能を定める「作用法」ではなく、器を創っただけ。いま日本に求められているインテリジェンス機能を強化するには、参政党も議員提案しているスパイ防止法などの立法を待たねばなりませんが、これは次の国会以降の課題として残されています。
社会保障国民会議で議論されている給付付き税額控除も、本来は垂直的公平をより強化すべく所得税体系全体を抜本的に改革するものだったはずですが、制度設計の難しさから「税額控除なき」単なる給付金支給へと後退しています。食品消費税ゼロなどはそもそもが筋悪の議論。イラン情勢が加速している物価上昇で仕入れ価格上昇に苦しんでいる事業者に、消費税率引下げ分だけ小売価格を下げられる余裕があるのかどうか疑問ですし、これは食品業界に限られるものではありません。実際には事業者の資金繰り対策になることになる消費減税なら、食品のみならず一律に行うべきでしょう。とにかくスピードを重視して公約を守るためにゼロでなく1%にするというのも、拙速なやっつけ仕事にみえます。
今回の補正予算も、総額3.1兆円のうち3.0兆円が予備費!何、これ?イラン情勢による経済不安に対応すべく、とにかく金額だけは積み上げた。財源は全額赤字国債ですが、前年度に発行を予定していた赤字国債が実際は減ったので、国債発行額は増えないことを財務省は誇っています。国債マーケットを怖がって、このところ「責任ある積極財政」から「積極財政」の部分をすっかり引っ込めてしまった高市政権。
今般の経済状況をみると、経済は人間心理の反映だと改めて実感します。原油もナフサも全体的な量は問題ないと政府は言明していますが、問題は価格であり、先行き不安がもたらす目詰まり。経済学が教える通り、市場経済が合理的に機能する前提は情報の完全性です。イラン情勢が不透明、その中で、流通段階で何が起きるか分からない…「不確実性」は市場経済では処理できません。ここは国家の役割の出番であるはずです。
当初予算成立後間もない時期に予備費を積んだ補正予算の例としては令和4年度第一次補正予算(5月に編成)がありましたが、その時はもう一つの柱として原油高・物価高対策があり、直前の4月に総合経済対策をきちんと決めていました。しかし、今回は、これだけの重要事態に対処するのに、通常は補正予算の前提となるはずの経済対策も策定していません。具体的に政府はこういう対策をやるという項目立てをきちんと策定し、だから予備費ではあっても資金的手当てをしておくのだ、というプロセスを欠いています。
そして、今年度予算そのものが石破政権時にフレームを決めた消極財政予算であり、補正予算は積極財政へと政策転換するチャンスなのに、それもしていない。大事な争点を回避した、政権の看板倒れの杜撰な財政運営といえます。
今回は以下、日本経済に不確実性をもたらしているイランなど世界の軍事情勢について、松田政策研究所チャンネルで軍事専門家の矢野義昭氏が発信した衝撃の内容を簡単にご紹介します。不確実性といえば、世界に冠たる災害大国の日本でいつ起きるか分からない激甚災害もそうです。防災も国家の重要な役割。これについて、私が防災庁設置法案に対して行った代表質問は、防災関係者から、課題が網羅された素晴らしい内容とのご評価をいただいており、今回はその全文もご紹介いたします。
●米・イラン紛争の行方&ウクライナ戦争と欧州、弱腰のトランプ氏と強まる中露枢軸
まずは、矢野義昭氏が述べた現在の軍事情勢ですが、矢野氏によると…「ホルムズ海峡は完全にイランの支配下に入った。米軍があれだけ破壊してもミサイルなどイランの武器の7割が山中深くに隠されている。最新技術による艦船破壊力によって、もはや軍事的に海洋国家の時代は終わり、大陸国家が優位に立った。」
「イランの武器製造能力のスピードは、ものづくりが国内から流失した米国を上回る。そのバックにはロシアと中国によるレアアースや資材等の支援がある。イランは米国よりも軍事的に優位であり、米国が闘っている相手はイランのみならず中露でもある。」
「米軍やイスラエル国内は実は甚大な被害を受けているが、報道管制が敷かれていて知られていない。トランプ大統領によるイラン攻撃で米国の中東からの撤退は決定的となり、中露パワーによる支配が拡大し、湾岸諸国はイランに靡くしかなくなる。」
「終戦を焦るトランプ氏が何らかの核合意に達してもそれは表面的なものにとどまり、イランの核武装は避けられず、結局、イラン攻撃の成果をあげられないトランプ氏は中間選挙を前にこのままでは引けないため、何らかの成果をこじつけるため再攻撃を華々しくやる可能性もある。」
「ウクライナ戦争ではロシアの優勢は変わらず、いずれキエフまで侵略するだろう。ロシアは迎撃不可能とされるオレシュニク(極超音速ミサイル)を使用し始めている。ただ、ロシアが欧州まで侵略することは考え難く、欧州がロシアの脅威を煽って軍事力増強へと入っているのは、グローバリズム勢力が支配する欧州各国の政権がその政治的立場を維持しようしているからではないか(軍産複合体の利益もある)。」
「追い詰められたイスラエルは核を使う可能性があるが、その場合、ロシアはイスラエルを核攻撃すると言明している。イランに対する核の傘だが、米側は対抗して核の傘ということを言わない。中露を併せた核の力が既に米国を上回っているからだ。トランプ氏が合理的な判断をするなら、イランと闘い続けるネタニヤフ首相を切ることになるだろう。」
「イラン攻撃で窮地に追い込まれたトランプ氏は、米中首脳会談で中国に仲介を頼んだが、その成果はあげられなかった。この会談はトランプ氏の敗北だった。もはや米国パワーの衰退は決定的であり、ウ戦争とイラン戦争は、日本が従来のように米国を頼みにはできない状況をもたらした。安保三文書の改訂による日本の防衛力の増強は不可避だが、それで米国から武器を買うようであってはいけない。優れた日本の技術による自主防衛とともに、米国以外の各国との軍事的な連携を強化しなければならない。」
…以上の矢野氏の情勢分析について、同氏は、イスラエルもトランプ政権も欧州も、戦時下の言論統制を敷いており、同氏の情報源となっている人々は、米政府当局の言論統制や対外破壊工作に反発して軍やCIAを辞めた人達だとしています。また、同氏は、日本政府もこの点を知った上でトランプ政権や米政府と向き合わなければ、日本は足元を掬われコマで使われる、特に米中の結託には注意が必要であり、反グローバリズムを掲げる参政党はその歯止めになってほしいとしています。
…次に、国防とともにもう一つの国家の危機管理である防災について、私が5月22日の参議院本会議において防災庁設置法案に関して高市総理外所管大臣に対して行った代表質問の全文を、以下、項目に分けてご紹介いたします。
●防災庁の設置を契機に危機管理を担う国家機能そのものの強化を
危機管理は国家の重要機能であり、国の存在意義はいざというときの危機管理にあるともいえます。しかし、長年にわたる新自由主義の考え方や行革・地方分権のもと、何事も民間に、市場に、あるいは地方に、という流れの中で、我が国の政策全般の中で国家機能の方は等閑視されてきたようにも見受けられます。「日本列島を強く、豊かに」そして危機管理投資を掲げる高市内閣は、国家機能そのものの強化・再構築への政策転換を基本理念の一つとされているのか、まず、この点について内閣総理大臣にお伺いしたいと思います。
とりわけ、近年、大規模化する災害から国民を守るには、国家機能の強化が不可欠です。災害対策基本法では防災及び災害対応は第一義的には基礎自治体であるとの「補完性の原理」という考え方が採られてきましたが、特に激甚災害に際しては国による自治体支援のみならず、国が強力な指揮権と潤沢な予算をもって前面に出て機動的に対応にあたるという考えに立って防災庁のあり方を考えるべきだと思います。現行の「補完性の原理」の見直しの必要性について内閣総理大臣の所見をお聞かせください。
こうした国の機能強化の一環として、私は、防災庁には日本版FEMAとしての役割が必要ではないかと考えます。FEMAとは米国連邦政府に置かれた緊急事態管理庁のことですが、防災庁が省庁間の調整、事前防災・復旧の企画立案を担い、各省庁への勧告権を有するにすぎないのに対し、FEMAは被災者への直接支援ができ、そのもとに災害時の捜索・救助の専門部隊が置かれています。
基礎自治体が少子高齢化や人口減少で苦しむ一方で、世界有数の災害大国である我が国こそ、例えば、自衛隊、警察、消防の縦割りを超えて、それらから選抜され普段から特殊訓練を積んだ防災庁直轄の専門特殊部隊を編成すべきではないかと思いますが、日本版FEMAについて、内閣総理大臣のお考えはいかがでしょうか。
国の防衛も防災も危機管理の一環であり、有事対応のためには平時における準備も必要ですが、そのための財政支出は全体として高市政権が掲げる危機管理投資ともいえるものであり、防災庁はその中に位置づけられるべきだと思います。
●十全な危機管理投資のために財政法を改正して投資国債の導入を
わが国では、阪神淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震のいずれも、復興には長い時間がかかっています。また、災害関連死を抑止していく上でも、世界共通のガイドラインである「スフィア基準」を満たすよう我が国の避難所のあり方を再構築することも喫緊の課題です。加えて、防災には、ハード面での実物インフラ投資だけではなく、技術開発や人材育成、その他ソフト面の対策も含め、幅広い財政面での対応が必要です。
しかし、我が国の財政法は第4条で公共事業、出資金・貸付金の財源以外は公債発行を禁止しており、基本的に実物資産への投資だけが建設公債として許されている状況です。復興した活力ある地域全体が将来世代に継承される貴重な資産であるだけでなく、防災庁が担うとされる専門人材の育成は人的資産の形成であり、防災技術の開発は知的資産であり、これによって防衛関連産業が誘発されれば、それはそのまま成長投資にもなります。
私は本院財政金融委員会でも、財政法4条を改正し、こうした無形資産への投資も「投資国債」として広く国債発行の対象とすべきであり、それこそが積極財政だと片山財務大臣に提案してきました。高市政権は今後の財政運営の改革の中で危機管理投資や成長投資について「別枠管理」するとしていますが、その中で、財政法を見直し、国債の考え方を改革することが国家機能の強化の上で必要であり、それが防災庁の使命に万全を期すことにつながると思います。内閣総理大臣の見解をお尋ねします。
●共助のコミュニティ形成と災害疑似体験のための最新技術の活用と防災教育の構築を
さて、災害対応の3本柱は「自助、共助、公助」だとされますが、例えば、阪神淡路大震災の教訓として、倒壊家屋から救出された人の約9割が家族や近所の方によって救出されたことから、共助や地域コミュニティの重要性が指摘されています。国家機能を強化しても被災地側での受皿が必要ですし、被災者の生存率を大きく左右するのは発災直後の行動である一方で、災害時に公助を担う自治体自体が被災地であり被災者であります。例えば小学校の学区単位をメッシュとして、自助や共助を促す地域コミュニティを日頃から形成しておくことが大事ではないでしょうか。
よく国家と個人の間の中間レイヤーとして共同体の必要性が指摘されますが、戦後、地域共同体が衰退した我が国においては、持続可能な社会保障や治安なども含め、今後様々な観点から地域共同体の復活は重要なテーマではないかと思います。次なる社会を展望すれば、これを、誰にとっても喫緊の課題として認識されやすいテーマである防災を切り口に進めていくことが大事だと思いますが、防災地域コミュニティづくりの重要性について総理のご認識を伺います。
こうしたコミュニティなどの場での日頃の防災訓練にも、最先端の科学技術を活かすことが大事です。実際に激甚災害が起きてしまうと、ほとんどの人が未体験であるためパニックに陥り、ハザードマップなどの備えも役に立たないことが多く、避難の疑似体験が重要と言われています。我が国には、国土交通省が進めるPLATEAU(プラトー)などを活用し、現実の都市や流域をサイバー空間上で3Dにより再現して津波や洪水、大地震などにより「我が街」で何が起きるかを可視化し、これをバーチャル体験できる技術もあります。防災庁は積極的にこれらの技術の普及、活用に向けて取り組むべきだと考えていますが、担当大臣のご所見を伺います。
防災教育についても、主として校内で行われている学校教育現場での訓練が実際の発災時にどれだけ役立つか疑問視されています。校外学習として、水害リスクの高い河川周辺、震災時の避難場所などに実際に足を運び、生徒たちが自らハザードマップを作成するなど、実地での活動を伴うものにすべきだという指摘もあります。修学旅行先についても、重点活動として、例えば「平和学習」に比べ、「防災学習」を行っている学校の比率は極めて低い状況にあります。
さらには昔から災害が多かった我が国では、その土地その土地に先人が残した災害の教訓が残っており、これを伝承していくことも重要です。災害時にデジタルインフラが喪失したときのことも考えておくべきでしょう。これらの防災教育施策について、文部科学大臣の所見を伺います。
●防災の観点からも外国人受け入れの総量規制を
最後に、国民が政治に参加することを旨とする参政党では、今回の防災庁設置法案に関連して特に多くの党員から寄せられた声が外国人政策との関係でした。
本年1月に公表された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」で外国人への防災関連施策が謳われましたが、文化や価値観、宗教観が違う外国人へのきめ細かい支援が災害発生時にパニック状態に陥っている地方自治体に実行可能なのかどうか、防災庁の設置で具体的な支援策が出てくるのかどうか、担当大臣に伺います。
また、外国人政策も、我が国が災害大国であることを前提に、例えば各市区町村ごとに受入れ外国人の上限の目安を設けることなども含めて総量規制を検討すべきではないかと思いますが、内閣総理大臣の所見を伺います。
防災に係る国家機能の強化を通じて国民の生命と我が国の国土や地域社会を守るとともに、住民の参加による日本型のコミュニティを復活させていく上で、新設される防災庁の役割に期待しつつ、私の質問を終えます。
…今特別国会も会期末の7月17日まで、あと1か月半を切りましたが、与えられた使命を果たすべく引き続き全力を尽くしてまいる所存です。今回ご紹介した内容以外にも、私は国会で色々な活動をしており、それにつきましても時間的余裕があれば、できるだけ会期中にご報告したいと思います。



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