top of page
  • 執筆者の写真松田学

日本は世界一の正当な保守主義の国~国政選挙で「日本を取り戻す」ために必要なのは保守の本質への理解~

このところ、衆院選に向けて参政党はそもそも何を訴える政党なのかを説明する集会の機会が増えており、この際、政治の軸、保守とリベラル革新の本質的な違いなど政治の基本的な認識についても述べることにしています。その点からみると、本来は「保守主義」では世界で最も正当性を有する日本が、特に安倍氏なきあとのこの一年、岸田政権のもとでこれを失いつつあり、様々な国家的な危機にもつながっている図式が見えてきます。


民主政治の歴史は古代から遡れますし、近代議会制民主政治の発祥は英国の13世紀のマグナカルタだとされますが、現代世界の政治的対立軸を見る上では、やはり王制を廃止したフランス革命から「リベラル革新」が始まったという点が重要でしょう。簡単にいえば、これは過去の伝統を否定し、人間の理性を絶対視し、これに基づいて何事も進歩させていくことで理想の社会が実現するという思想的立場だといえます。


これを危険思想として異論を唱えた英国のエドマンド・バークが「保守主義の父」とされていますが、リベラル革新に対抗する保守主義とはそもそも何かを端的にいえば、それは神ならぬ人間の判断には絶対に正しいものはなく、だからこそ過去から受け継がれてきた知恵と伝統に立脚しつつ、現状を漸進的に改革していくという立場だといえます。


フランス革命の思想がその後、マルクス共産主義へと受け継がれたわけですが、これはヘーゲルの弁証法を基本としていましたので、テーゼ→アンチテーゼ→アウフヘーベン→ジンテーゼ→それに対するアンチテーゼ→アウフヘーベンと、普遍的な理想へと発展していく進歩概念のもとでは、過去は常に必然的に否定され続けていきます。


これに対して保守主義は、その国独自の個別性と、そのもとで営まれてきた過去の歴史を尊重し、そこから知恵を汲みだそうとする立場だともいえます。ですから、リベラル革新が、人間の理性から演繹された思想を絶対視し、これとは異質の分子を否定し排除する全体主義に陥ることになるのに対し、自分の考えは絶対的なものではないという前提に立つ保守主義は他者に対して寛容であり、自由を重んじることに必然的になっていきます。


ただ、20世紀に入り、ロシア革命以後、共産主義や社会主義の国家が次々と誕生するに及び、第二次大戦後の政治の対立軸は、これと資本主義との対立軸となり、日本では自民党vs社会党という55年体制が定着しました。これも90年代のソ連崩壊で「歴史は終わった」などとの論評も現れるに至りましたが、リベラル革新はその後も「マルクス主義の変異株」として水面下で「世界同時革命」的な発想のもとに着々と勢力を拡大しています。


これが米欧で顕在化したのが、「差別はいけない」という誰にも表から反対しにくい概念を掲げるポリティカルコレクトネスやキャンセルカルチャーなどの社会現象であり、他方で、最終的には各国の個別的な価値や主権を否定し、世界を同質化することで利益をあげようとする(最終的には米「外交問題評議会」が理想とする「世界政府」をめざす)グローバリズムが世界を覆うようになりました。


これが中国共産党などとも同根の「グローバリズム全体主義」の流れとなり、いまやこれが支配する世界のもとで、欧米ではマルクス主義の変異株による社会の「分断化」が進んでいるというのが全体的な構図でしょう。これは当然、民主主義や自由を抑圧することになります。米国ではこちらを代表するのが民主党政権となり、これに対抗する形で多くの国民の支持を受けて台頭したのがトランプ現象でした。欧州でも、グローバリズム側に立つメディアによって「極右」扱いされながらも、各国でトランプと同様の一種のナショナリズムが支持を拡大しています。


つまり、この中で私が現在の政治の対立軸として表現しているのが「グローバリズム全体主義vs自由社会を守る国民国家主義」。日本の政界では未だ後者の軸が空白だったところに立ち上がったのが、参加型民主主義の仕組みづくりと、歴史を尊重し日本の国柄を子孫へと維持継承し、国家という軸を再確立して「本当の日本を取り戻す」を掲げる参政党であり、「日本人のDNAを目覚めさせてくれた」と多くの国民が支持するに至った「参政党現象」なのだと説明しています。「保守主義」の本質を体現する立場だといえます。


これは「保守派」としてよく誤解される国粋主義でも排外主義でもありません。お互いの違いに対して寛容であり、各国の独自性を認め合って世界の多様性を重視し「世界に大調和を生む」(参政党の基本理念)立場です。これは日本が先の大戦を、19世紀からの植民地秩序というグローバリズムに対抗して戦った「大東亜戦争」の理念である「八紘一宇」、「八紘為宇」の理念とも共通です。これも戦後、かなり誤解され続けてきた理念ですが…。


日本は戦争には負けましたが、植民地無き世界を20世紀後半にもたらしたという点で、理念の上では勝者でした。しかし、これを認めると人類最大の戦争犯罪の一つをおかした米国がもちません。そこで、東京裁判史観による洗脳が歴史に類例のない徹底度で行われ、戦犯国として過去を否定する考え方が日本人を支配することになりました。そのもとでリベラル革新思想が蔓延し、自民党までそれに浸食されている現状があります。


ここ三年、新型コロナ、ウクライナ…と、何かがおかしいとグローバリズム支配の構図に気づいた国民が、幕末のペリーが体現していたグローバリズムへの危機感に当時の日本人が目覚めたと同様に立ち上がったことが、参政党を国政政党へと押し上げる原動力になったと思います。この危機感は与野党がLGBT法を成立させたことでさらに高まっています。


日本の国柄を守る…あなたには日本を本気で守る覚悟がありますか?女性ジャーナリストの葛城奈海さんが問題提起をしています。大阪市立大学名誉教授の山下英次氏は、そもそも日本は保守主義の国であり、これによって未来を切り拓ける国だとしています。今回は、この葛城、山下両氏が松田政策研究所chで論じた内容をご紹介したいと思います。


●軍事力とは平和裏に外交で問題解決することを目的とするものに

あなたは自国が戦争になったときに戦いますか?これにイエスと答えた人の比率は日本が13%と、下から2位の国からも大きく引き離されてビリのビリっけつだそうです。国防の基本は国を守る国民の決意。参政党はそう訴えていますが、こうした考え方をわかりやすい言葉で整理してくれたのが葛城奈海さんでした。日本人は戦後、国を守る魂を失った…参政党が出した質問主意書に対する政府答弁をみても、私はこのことを実感しています。


そもそも尖閣はこのままだと中国に実効支配されるのに、見て見ぬフリ。日本人が必死で守ろうとしていない尖閣を、米国が自国民の血を流してまで守るはずがないでしょう。葛城さんは、北朝鮮拉致被害者は自衛隊で救出すべきだとも主張しています。憲法の制約?憲法のために国家があるのですか?交渉に必要な情報が不足しているのも、取り戻す決意がないから…棍棒を持たねば平和裏に外交で問題を解決などできないと言われます。武力は戦争のためではなく、平和のために強化するもの。これが現在の安全保障の世界の常識。


インドネシアの独立のために戦った何千名もの日本兵のことを私たちは決して忘れてはならないでしょう。大東亜戦争を通じて植民地無き世界を築いた先達たちに誇りを持つことから、日本を知る旅が始まるのかもしれません。日本を知らずして何がグローバリゼーションか。そろそろGHQの呪縛から脱して、健全な国家意識を取り戻す時期でしょう。


●国を守る決意がないのか、尖閣と拉致問題、そしてLGBT…

以下、葛城さんによると…「つい最近、沖縄のデニー知事が中国で躍っている姿にカチンときた。尖閣のことに中国に行っても一言も触れず、ことなかれ外交。あそこで何も言わないのは国を売ったのも同じ。」


「海保と中国公船が一緒にいるのが当たり前の空気に。当初は追い出そうとの空気があったが、サラミスライスで中国による実効支配へ。ある日、五星紅旗の旗がひらひらと…。安保5条の適用は日本の施政下にあること。日本の領土領海と言っている日本国自身が体を張っても守ろうとしないのが、なぜ、米国人が血を流しても守ろうとするのか?」


「北朝鮮の拉致問題には日本の自衛隊が出ていくべきだ。ルーズベルトが『外交とは片手に棍棒をもちながら、にこやかに穏やかにやるもの』と述べた通り。棍棒なくしては何を言っても痛くも痒くもない。20年以上、一人も取り返せないのは、このままではまずいと正面から受け止めるべき。棍棒をちらつかせることをしないと永遠に帰ってこない。」


「こう言うと、自衛官の命はどうするとか、情報もないのに、とか、ハリウッド映画だとか言われる。20年以上もたって情報もないというのは、本気で取り返す気がない証。自衛隊員にも優先順位がある。任官するときに宣誓する。『ことに望んでは危険を顧みず』…自分の身を危険にさらしても国民を守るのが自衛官。危機に瀕しているのは国民の命。自衛官の方が、自分たちを使ってもらえないことにやるせなさを感じていると述べている。」


「特殊部隊は最終手段として準備するが、それだけでない。日朝交渉の場に首相の隣に制服を来た自衛官がでんと座っているだけでも違う。あの日本国の軍人の末裔が出てきただけでも効果がある。今の憲法でも可能。ダッカの時の人質解放は超法規的な措置。憲法のために国家があるのではない。」


「LGBTについては元々、他国では同性愛者が差別迫害されてきた。そういう国で出てくるならわかるが。日本はLGBTにはおおらかな国だ。ここまで国柄を壊してまでの差別の事実はない。なぜこんなに無理して?アメリカさまの圧力に?アメリカでも潮流が変わっているのに周回遅れで…。日本でも法律を作ったとの実績をつくりたかったバイデン政権に振り回された。実に情けない事態だ。」


●日本のすばらしさ…国民のために祈る万世一系の天皇

「日本では今上陛下まで126代、父親を通じて神武天皇に行き着く。女性天皇は天皇や皇太子の未亡人か独身で、皇位についている間は独身。女性天皇はいても女系天皇はいない。日本国を貫いてきた万世一系、これが絶たれると、日本の中心だった天皇の正当性が失われる。『小室王朝』が始まっていい?これを天皇として国民が認める?日本国の核がなくなってばらばらになる。そんな危ないことをしてはいけない。」


「目先の薄っぺらい男女平等より大事なことがある。祈りを捧げる天皇のお仕事は大変。自分も、日本国の一番中心で祈る人ということが分かったときに天皇観が変わった。一般人より質素な生活。民のことをいつも祈っている。いろんな危難が国民に代わって私の身に降りかかりますようにと元旦に祈っている。そのことも多くの若い人に知ってほしい。」


「権力とは異なる権威は、万世一系と切っても切れない。そろそろ本来の日本はこういう国だったということに多くの人に気づいてほしい。世界で稀有な国。」


「戦後、教科書が墨塗りされた。塗られる前の教科書と比較すると色々なものが見えてくる。軍艦→貨物船、軍という字を消した。兵隊と国民がいかに近しかったか。天皇陛下と国民とがいかに三位一体だったか。小学生時代に勉強したら、日本人として身につけておかなければならないことを知って大人になれた。」


●日本国のために戦えますか…インドネシアの独立に果たした日本兵たちの貢献

「誉の軍旗を大事にする。尚武の精神が育まれていた。それが骨抜きに。そこを取り戻さないと。自国が戦争になった時には自分は戦うという人は、日本はぶっちぎりの最下位。13%で、下から2位からも大きく離されている。」


戦後はエリートらも日本では国家意識が欠けているのが実態です。それは東大の私の同級生などを見てもそう。異常なほどです。ただ、かつて『次世代の党』は右翼と言われていたのに、現在は参政党で同じことを言っても前向きの反応を示す国民が増えているのは希望ではあります。日本をとりまく厳しい安保環境から、国民意識にも変化がみられます。


「軍事力は平和裏に外交で問題を解決するために必要。尚武の精神とは、戦いが好きなのではなく、平和を守るために必要なこと。」


「天皇陛下がインドネシア訪問時にカリバタ英雄墓地に行かれた。しかし、メディアがきちんとインドネシアの独立戦争との関係で報じたか…。戦後教育で日本軍は悪いことをしてきたと教育された私たちを目覚めさせてくれるのは、数千人の日本兵がインドネシアの独立のために戦ったこと。これは日本に誇りを持てること。独立義勇軍を教育訓練したのも日本軍の兵士たちだった。お父さんのようだった。そのおかげで独立できた。」


「植民地なき世界の形成に我々の祖先は大きく貢献した。自国の歴史を知らないままいくら国際交流しても根無し草、国際社会で信用されない。」


保守主義とは何か…西洋の保守主義の起源

日本の歴史を大事にし、日本の国柄を守るというのは、まさに保守主義の立場。山下英次氏は保守主義の本質について、以下のように論じています。…「保守主義とは、第一に国体の絶対堅持であり、日本の場合は、とりわけ皇統の堅持。第二に、『伝統』の継承。伝統とは、過去から受け継ぎ、未来へと手渡していくべき何かである。ただし、時代に応じて改良(改革)も必要。第三に、『権威』の尊重。しかし、尊重し過ぎると権威主義に陥る危険性があるので、要注意。日本の場合、権力と権威を分けるという、先人からの知恵。」


そもそも「保守主義」は西洋で誕生した概念ですが、「西洋の保守主義の起源とはフランス革命に対する反対論であり、『反革命』(counterrevolution)だった。日本の保守主義の人々も、この点を知っておくべき。その上で、日本の保守主義はどうなるべきかを考えるべきだ。この点を意識すると、日本の政治・社会体制に誇りを持てる。日本の保守主義を強化することができる。」


「フランス革命(1789年)とロシア革命(1917年)に反対する立場として保守主義は説明されてきた。フランス革命では国王(ルイ16世)が殺害され、大混乱に。その後のジャコバン派による恐怖政治が敷かれ、結局は、ナポレオンの独裁に至る。流血による専制で混乱が収まった。」


「ロシア革命では国王(ニコライ2世)が殺害され、共産主義的全体主義による恐怖政治が敷かれ、流血による専制へ。スターリンによる粛清など。」


「保守主義は、以下2つの『革命』については賛成の立場だ。まず英国の名誉革命(1688~1689年)の性格は絶対王政から立憲王政への移行であり、王様を殺したものではない。『権利の章典』(1689年)は、こんにちでも英国の不文憲法のコアを構成。アメリカ独立革命の性格は、植民地からの独立運動であり、これもフランス革命やロシア革命とは違う。」


「国体を尊重すべしとの立場から、国体を根こそぎ変更するフランス革命には否定的。これら英米の2つは『革命』(revolution)という表現は不適切。国体を変更していない。」


●グリエルモ・フェッレーロの言う「正当な権力」…日本は世界一正当な保守主義の国

「イタリアの著名な歴史家グリエルモ・フェッレーロ(1871~1942年)は1908年に米セオドア・ルーズヴェルト大統領からホワイト・ハウスに招待され、パリ講和会議(1919年)では米国新聞協会の一員として参加したが、この講和会議を、次の戦争の種を蒔いているとして批判した。当時のケインズと同じ立場だった。著書「Problems of Peace」(1919年)を出版し、ベルサイユ講和条約は大失敗だとした。莫大な賠償と領土的にドイツを追い詰めすぎだとした。これがその後のヒットラーの台頭につながる。」


「自国イタリアのファシズムに反対し、ファシズムは社会主義と同根だとした。米国のニューディールも国家社会主義的政策だったといえる。そして、『正統性のある権力=恐怖なき権力』だとした。保守主義の立場からすると、正当な権力とは2種類しかない。それは、①正当に継承された君主制(簒奪によらない)と、②公正な選挙による民主制。」


「これを日本に当てはめると、日本は、フェッレーロのいう正当性原理を2つとも持っている。①=126代にわたって継承されてきた天皇以上に正当性の高い『君主制』は、世界のほかのどこにも存在しない。②民主制=「十七条憲法」(西暦604年)にまで遡れる。政治・社会制度上の安定という意味で、日本の右に出る国はない。」


「日本は、歴史上、賢くも革命を経験しなかった。明治維新(the Meiji Restration)も、流血がなかったわけではないが、フランス革命などとはおおよそ異なる。英国の名誉革命、米国の独立革命のようなものも経験しなかった。主要国で革命を経験しなかった国は、他にないだろう。アメリカは守るべき伝統がないようなものであるから、本当の意味での保守主義は生まれないのかも知れない。(これが今の左翼による分断傾向につながった?)」


「エドマンド・バークは『革新にあこがれる精神はたいてい身勝手で近視眼的。おのれの祖先を軽視するし、人権重視は行き過ぎをもたらす(現在のポリコレに)。』とした。過酷な占領政策は、これとまるで変わらない。すべてにおいて相手の伝統を根絶やしにすること。まさにGHQによる占領政策だ。」


日本特有の権力と権威の2極分化…アインシュタインの日本評

「万世一系の天皇を中心とする『権力と権威の分離』というデュアル・システムが、約2,000年にわたって継承されてきた天皇を可能にした。世界の政治・社会制度史上最大の発明であり、最高傑作だともいえる。」


「あのアインシュタインはこう述べていた(『アインシュタインは語る〈増補新版〉』大月書店、2006年、pp. 287-288『日本と日本人』、英文原著=2005年)」


『遠からず人類は、確実に真の平和のために、世界の指導者を求めなければなりません。世界の指導者になる人物は、軍事力にも資金力にも関心を持ってはいけません。すべての国の歴史を超越し、気高い国民性を持つ最も古い国の人でなければなりません。世界の文化はアジアに始まったのであり、アジアに帰らなければなりません。つまり、アジアの最高峰である日本に。私たちはこのことで神に感謝します。天は、私たちのために、このような高貴な国を創造してくれたのです。』


「この言葉を日本人、特に子どもたちには知ってほしい。民主主義は国際比較でも日本は完璧に持っている。アジアで日本よりも民主主義の度合いが高いのは台湾。日本は保守主義の権化のような国。本当の保守政党はなかったが…。国柄を大切にすることが日本を切り開くことになる。」


…上記のアインシュタインの言葉がすべてを物語っていると思います。これから数百年の地球文明をリードするのは日本であると考え、グローバリストたちのNew World Orderにも対抗するものとして「日本新秩序」を政治理念として掲げてきた私の立場を裏付けてくれているようで、大変心強く感じます。理念の選択、これこそが国政選挙で問われる時代になったと思います。

閲覧数:94回
bottom of page