top of page

安倍氏一周忌と未完のアベノミクス~岸田政権のもとで「七公三民」?衆院選で問われる将来の社会ビジョン~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 2023年7月3日
  • 読了時間: 12分

最近、5類変更になって、三年間中止された夜の会合があちこちで復活しています。財務省関係でもシンクタンクのような所に行っても「参政党はしっかりしたことを言っている政党なんですね」と、評価の声をいただいています。決して威張るつもりはありませんが、実際に政府で政策を創ってきた小職が携わっている政党でもありますから、政策も本格派でありたいと思っています。少なくとも、「怪しいカルト政党」などでは決してありません。政策リテラシーのある知識層からの信頼を広げていくことも大事だと感じています。


先日は某財務省関係の会合で私の後輩の現職財務事務次官に対し、異次元の少子化対策の財源は「歳出改革」とはいえ、国民の健康よりもカネの方を向いている医療の仕組みを抜本的に組み立て直すぐらいの改革をしないと財源は出てこない、それこそ財務省の役割だから、しっかりやるようにと発破をかけておきました。やはり、国会質疑などではできない本音での正論の場が大事。財政当局の立場での利権への斬り込みを期待するものです。


このテーマも衆院選できちんと国民に問うべきですが、先日、参政党の6月の定例記者会見での目玉は、衆院選公認候補者50名の発表で、前回併せ80人になりました。比例では、前回の中国ブロックに加え、山中泉氏が東北、田中義人氏が北海道で追加公認。残りの他のブロックは7月発表で、そのときには私がどうするかも明らかになると思います。


記者会見では私からは最初の冒頭挨拶で通常国会を振り返り、その後、なんと12本もの質問主意書の説明をいたしました。この国会で参政党の神谷参議院議員名で出した質問主意書は32本となり、全国会議員一人当たりではまた最多の本数に。これも党員や支持者の皆さんからいただいた問題意識やお力添えで実現したもので、まさに参加型民主主義の一つの発露だと思います。私の経験上、答弁を作成する官僚たちは大変な思いでしょうが…。


Yahoo!ニュースで、この会見につき、最近の党への支持率上昇の原因などを神谷氏が、LGBT法反対についての見解を私が語っている部分が報道されています。



私の発言部分、よくまとまっています。…「松田氏は、通常国会で成立したLGBT法案について『岸田従米政権。アメリカ従属政権ではないかと。それが最も現れたのがLGBT法案。我が党は一貫して反対。LGBTの方々にとっても決してハッピーではありませんし、マジョリティーの女性や子どもに対して非常に大きな問題を抱えてしまった。法律がいったん理念法として掲げても、現場は過剰に反応していろんな利権が動く』と指摘。続けて『我々はどうやってこの辺を是正して、日本の国柄にふさわしい正常な社会を保てるかということについて、国民を挙げて運動していかないといけない』と述べた。」


さて、安倍元総理が銃弾に倒れてからもう一年になります。あの7月8日は参院選の終盤、他党がその日は選挙活動を中止した中で、私ども参政党は、これは民主主義に対するテロだ、屈してはならないと、毅然と予定通り選挙活動を続けたことを思い起こします。


命日より一週間早いですが、7月1日に安倍総理の中部地区の後援会長をされている、「中晋会」の伊藤会長に呼ばれ、名古屋市内の同氏の事務所で開催された安倍元総理の一周忌法要に参加いたしました。祈りをささげたあと、求めにより、私から10分ほどご参加の皆さまに、参政党に関するスピーチをいたしました。


…衆議院議員時代、本会議や予算委員会、内閣委員会などで、野党ではあっても安倍氏が成し遂げようとした保守改革を応援する立場から何度も安倍総理には質問をいたしましたし、その後、参政党で進めている創憲も「松田プラン」も、安倍総理のご遺志を継ぐものです。お亡くなりになる少し前に「松田プラン」をどなたかからお聞きになって、安倍元総理は「松田さんらしいプランだ、乗れる」とおっしゃったとの由…。そんな話も交えた話をし、皆さまから、改めて参政党を応援しようとのお声を頂戴いたしました。


その後、その足で刈谷市に向かい同市議会選の参政党公認候補の応援に参りましたが、現場で街頭演説中、私が乗っていた足台が突然壊れて私自身が路面に投げ出されるように倒れることとなったのは、何かの因縁なのか。幸い無事でしたが、お前も気を付けろということか、頑張れということか…安倍氏亡きあと日本の政治から失われたかに見える日本の国家の軸を取り戻すためにも、参政党がもっと伸びるよう頑張るしかありません。


過日、安倍元総理没後一年ということで、安倍氏の側近としてアベノミクスの立役者だった元内閣官房参与の本田悦朗氏との財務省出身積極財政派?どうしの対談を配信しました。今回は、この本田氏との対談の内容をご紹介しますが、対談では、ややもすると「財政の前に経済」を忘れてステルス国民負担増に走る岸田政権にも釘を刺しています。


根本的には、将来の日本をどんな国にするかのビジョンが岸田総理からは見えない。このままでは日本が北欧のような「七公三民」の国になる…果たしてそんな選択を日本国民はするでしょうか…。


●なぜ「松田プラン」はアベノミクスの継承なのか

アベノミクスが始まったのは10年前でした。最近では、もうそろそろ政策転換?などという声が聞こえますが、実は、アベノミクスはまだ本格的には始まっていないというのが私の見方です。金融緩和だけではマネーは実体経済を良くするまでは十分に増えません。金融政策でおカネを増やせるのは日銀ではなく、銀行なのですから、ここでカネ詰まりが起きてしまいます。国債増発で財政が出て初めて、真に必要な分野に回るマネーが増え、おカネの回転が起きる。


しかし、このアベノミクスの第二の矢は、(真の意味での)財政出動に至らないままで止まっています。マネーが回らねば、特に中小零細の企業は生産性向上に向けた投資や改革といった成長戦略(第三の矢)を本格化できません。生産性が上がってこそ、継続的な賃金上昇になる。そうなってこそ、需要が牽引する形でインフレ目標が達成されて、日本経済が持続的な成長経路に戻ることになる。


「松田プラン」は、この第二の矢を実施する上でのネックを、「国債の貨幣化」(政府発行のデジタル円で日銀保有国債を償還し、これを通貨として流通)によって解消するものです。財政規律とは要するに、国債の累増に歯止めのない状態からの脱却です。国債がマネーに変わっていくことで残高が減少する「出口」があることで思い切った積極財政が可能になります。これは世界最大の対外純資産国として国内で運用しきれないおカネを30年以上も世界に供給し続けてきた日本経済にとっては、マクロ的に合理的な方向です。


●植田新総裁の緩和継続について…政策転換のタイミングは?

前述の対談で本田氏はまず、金融政策については次のように語っています…「植田日銀総裁は、当分、緩和スタンスを続けるだろう。7月8日で一周忌、アベノミクス10周年、イールドカーブコントロール(YCC)による金融緩和も、そろそろ外していいという議論がある。しかし、日本経済は他国に比べて安定しており、物価も2.5%ぐらいを維持し、ベースアップも3.67%の平均上昇率だ。今、何か政策を変える理由はない。」


「一応、2%インフレ目標が達成されたので金融政策が転換するのかどうかは、基本は賃金次第。輸入インフレが大きかったので実質可処分所得が減っていた。その回復に企業が取り組んでくれたが、来年も積極的に3%ぐらいの賃上げに取り組むか。その為には収益が確保できなければならないが、それを決めているのが為替レート。」


「今は140円ぐらいで安定していて、良い環境。来年再来年もコンスタントに賃上げが続けば、コストプッシュではない物価上昇になり、それが継続すれば、そう遠からずYCC(イールドカーブコントロール)を継続する必要がなくなる。そうなることを願っているが、これはあくまでデフレ脱却の手段としてやっている。そうなれば金利を自由にできる。突然YCC解除ではなく、その中間段階を植田総裁は工夫するだろう。」


「黒田前総裁が10年物の国債利回りについて、幅をみて、プラスマイナス0.25%を超えそうになったので、0.5%に変えた。同じようなことを植田総裁も考え始める可能性がある。では1.0%に上げるか?といえば、要工夫。そこまで行くとYCCの意味もなくなる。レンジを上げるというよりも、ゼロ金利への誘導目標そのものを上げてくる。0.2%など。」


「アベノミクス開始直後は国債買いをして、10年物がゼロ%に、そしてイールドカーブは真っ平に。それでは銀行は収益が上がらず、貸し出しも増えない。経済が調子よくなると、長い満期の利回りが上がり、イールドカーブが立ってきて、信用創造をやりやすくなり、金融緩和になる。ただ、一番期間の短い金利は住宅金利に影響する。今は短期はマイナス金利だが、これを上げると影響が大きい。まだ金利を上げる環境にないので、慎重にやる必要がある。実質賃金もマイナスであり、時期尚早だ。そこは慎重に…。」


●上がり続ける株価の持続性は?為替は円安で大丈夫なのか

「ただ、日本の株価が好調であり、バブル後最高だ。株価収益率でみると、バブルの時は60倍だったが、今は16倍とリーズナブル。企業の収益が上がっての株価上昇であり、バブルではない。背景は円安。輸出企業の儲けやインバウンドの増加、海外に出た企業の国内回帰、収益を日本に持ち込んだ時の円建て換算での収益アップなどの円安メリット。」


「いま、安倍総理の就任時と近い現象になっている。当時、アベノミクスが始まる直前の円レートは1ドル76円、これでは日本企業は立ち行かないとなっていた。他国に企業流出、産業空洞化、典型的には半導体。製造装置はトップレベルなのに、半導体自体は海外に。」


「それが今は円安でチープジャパン?確かにドル換算だと日本経済は小さくなる。2000年前後、色んな指標で日本は世界トップクラスの経済指標だった。今は、ランクは20台後半から30台に。これも為替の影響。ドル換算で安くなる。」


「ただ、これは日本経済が次の段階に脱皮するのに必要なプロセスだ。我々は円で生活しているのでそれほど影響しないが、日本経済が次のステップに向けて生産性を上げるための投資をする上で、円安で企業を後押しするのはプラスになるので、悲観していない。」


「では、今の株高はいつまで?他国が相対的に経済で苦しんでいる。インフレ、米国での金融不安、欧州では需要不足。だから、日本の株高はある程度は続く。相対比較で。外国が回復するのに時間がかかるからだ。その間に日本企業は頑張ってほしい。金利差による円安で大変というが、そのおかげで日本経済は持ち上がる。」


●岸田政権の経済政策は?「財政の前にまずは成長を」からは後退

「骨太の方針に色んなことが書いてあるが、基本的なところで、まずは財政を健全化しようとの発想が去年よりは薄らいでいるが、相当まだ色濃く出ている。経済をよくすることで財政をよくしていく発想がクリアになっていない。骨太方針も経済も財政も大事だと言っているが、財政だけ考えてもよくならない。経済成長を起こせば、成長の何倍の税収が上がることを前提にしなければ、悪循環になる。」


「後顧の憂いをなくするために財政再建を…となると、経済は成長せず、財政は悪化。まずは成長だ。1%成長の何倍かの税収。弾性値は1.1倍と当局は仮定するが、コロナを脱して普通の経済に移行する時は2.8倍ぐらいになる。自然増収の活用になる。弾性値を1と置いて、結果として税収の上振れが続いてきた。最初の見積もりが固すぎる。」


「防衛財源も子育て財源も心配要らない。転換期だから税収が4~5年は上振れが期待できる。それでも足りないなら、防衛国債も子育て国債も、将来世代への負担はない。」


「岸田総理は子育て予算3.5兆円の財源ついて実質的な国民負担増はないようにすると言っているが、つじつまが合わない。国債か税か社会保険料か、その中で増税はしないとしているが、はっきりと『子育て人材育成国債』と正面から言うべき。立派な国民を育てるのは資産に対する立派な投資。」


「それを社会保険で?どういう保険のメカニズムを活用するのか?保険とはリスクを考えて、それをみんなでカバーするもの。子育ての保険は何がリスクか?子どもが沢山生まれるのがリスク?それがリスクなら、子育てが終わった年齢は負担する必要なし。結局、実質増税と同じことになる。」


結局は、消費増税を隠している?…「税制は複雑な課題。退職金の課税も控除を少なくして、一つの所に長くいる日本的経営の終身雇用制、勤続には控除額が大きく、それが日本の労働生産性の向上によくない、それは正しい。だから、あまり退職金に多額の控除は…。勤続20年を超えると70万円、長くいると控除額が積みあがる。それをやめると増税になる。増税の全てが悪いわけではない。政策目的が重要。政策の波及効果が重要。」


●財政健全化も国民負担も日本の国家の将来ビジョンを考えた上で

「岸田氏は財政再建にウエイトがある。卑近な例が防衛増税。27年以降は毎年度1兆円の増税だが、1兆円なら自然増収で賄える。まず増税で考え、残りを他の財源を寄せ集めている。増税がきっかけで次の増税、次の増税へとつながっていく。」


「高圧経済でインフレ率が高めのほうが人手不足になり、生産性を上げようとする方向へと企業にインセンティブが働く。そうなればある程度の増税はよい。このように経済が安定して物価上昇なら、増税もいいが、今は需要が足りない。そのもとでは増税はいけないということ。将来、もっと増税だと岸田氏は言うだろうが、その時の日本経済による。過熱気味なら増税もいいが、足りないなら国債で良い。」


五公五民が六公四民になろうとしているが…「大事なのは、日本がどういう国を目指すかのビジョン。国民の手元におカネをより多く残したほうがよいというのも一つの考えだが、北欧は負担率7割、そり代わり老後は国で全部面倒をみる。ならば高負担で良いという国々。だが、日本はそうはならない。自分の人生は自分で決めるだろう。」


「年金は世代間でものすごい不公平がある。私(本田氏)の年齢で負担と給付がトントン、それより若いとかけ損。長生きすれば別だが…。果たして賦課方式を維持できるか?いずれ年金制度を抜本的に見直して少子化時代にふさわしい積み立て方式にする必要があるが、時間がかかる。高齢化時代にふさわしいシステムを創っていくことが間に合わない。」

「そのためにもデフレ長期停滞からの脱却を。北欧型なら今の路線、そうでなければどうするのかという根本的な議論が必要だ。国民も本当の日本の姿を自民党や参政党がどう描くのか、その第一歩をどうするのかを知りたがっている。自分や子孫の生活がどうなるかを参政党には描いてほしい。」


…日本はもともと、自立的な共同体を中心とする自由な国柄の社会でした。日本の国柄を未来へと継承していく立場の参政党として社会保障の将来像を描くとすれば、それは国民の自由な選択によって必要な財源が賄われる姿ということになります。その意味で、「五公五民」の現状をせめて「四公六民」、できれば「三公七民」へと戻す。


そのために、医療などの仕組みを国民の健康を向く方向へと組みなおすことで、国民負担の増大を極力回避するとともに、各コミュニティが自立的な経済圏を形成できるよう、トークン・エコノミーの基盤を拡充し、人々の共鳴によって新たな富が生み出される「協働型コモンズ」を推進する。国産によるブロックチェーン共通基盤を整備し、多種多様なコミュニティが百花繚乱の如く展開する日本を将来ビジョンとして掲げるのが、「松田プラン」のもう一つの側面です。


これをどこまでわかりやすく説得力のある形で国民に提示できるようにするか、それが衆院選に向けた私自身に問われる最大の課題なのかもしれません。

 
 
 

تعليقات


  • Facebookの社会的なアイコン
  • Twitterの社会のアイコン
  • YouTubeの
  • Instagramの社会のアイコン
bottom of page