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大連立と大増税?「いずれは小泉総理」へと動き始めた日本の危うさ~今こそ反グローバリズムという軸を~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 7 日前
  • 読了時間: 7分

更新日:6 日前

今通常国会も終盤が近づき、恒例の内閣不信任案提出をどうするのかが注目の的になっていますが、どうも今回はいつもと様子が違います。野党が多数の中で、本当に不信任案が成立してしまう可能性があり、もはや「恒例行事」では済まないからです。


そうなると内閣総辞職か衆院解散(衆参ダブル選挙)に。石破総理は不信任案が通れば衆院解散の道を選ぶようです。自民内からは採決を待つまでもなく、不信任決議案が提出されれば即解散との声も…。


ところが、不信任案提出ができる野党第一党の立憲民主党の野田代表は煮え切らない態度。当初は、不人気な石破氏のほうが参院選を闘いやすいとの党利党略かと思いきや、石破氏が総辞職を選ばない以上、新しい顔が自民党総裁に選ばれるわけではないのですから、ここは不信任案で衆院選挙に持ち込んだほうが、野田氏がかねてから唱えている「政権交代」の可能性が高まるはずなのに…どうも、その裏側には「大連立」の思惑がある…?


野田氏曰く、日米関税交渉の国難の折に日本政府の足を引っ張るわけにはいかない、と。これに呼応するかのように、石破総理は6月後半に予定されているG7とNATO首脳会議の2度にわたりトランプ大統領との会談を模索し、これとは別の場でも首脳会談の可能性を探っているとか…。これも不信任案潰しでは?との見方があります。


他方で、参院選に向けて野党がこぞって掲げているのが消費減税。公明党も食料品を恒久的に8%から5%に引下げる案を公約に盛り込もうとしている中で、自民党のみが断固として減税に応じていません。石破総理も3月頃には消費減税も視野に置いている旨を匂わす答弁をしていましたが、その道は5月8日夜の石破-森山会談で封じられたようです。


本会談の直後にリークされ報道されたのが、石破自民は消費減税をしないとの結論を出したということ。これでは参院選での自民敗北は必定…。その会談(夕食会)の場には石破夫人と森山幹事長の娘も同席していたそうですが、その意味は、森山氏が石破氏に引導を渡すことにあったとか…。消費減税を封じれば自民は敗ける、その責任をとって自分は議員を辞め、後継に娘を据えるのでよろしく、石破夫妻にはご苦労様でした…と。


事実上は「森山内閣」と言われる石破政権は、森山氏によって参院選をもって終焉を迎えることになったのか…。そして同氏が目指しているのが、野田氏を次の総理に据える形での自公立民三党の大連立。野田氏はかつて10%への消費税率引上げを決定した総理大臣であり、徹底した財政再建派。これで少数与党では不可能だった消費税率引上げが安定政権のもとで実現へ…喜ぶのは財務省ですが、以上の読みを披露してくれた山口敬之氏は、そもそもこの大連立自体の絵を描いているのが財務省だとのこと。


石破氏については三千万円のヤミ献金がなぜか不問に付されていますが、これは脱税事案。森山氏についても地元鹿児島での「豪邸」が25年間、未登記状態だったことが発覚していますが、これも税の問題が伴う…財務省の脅しが効いている?とみるのは少し想像力が逞し過ぎるかもしれませんが、財務省にとっては誰が総理でも増税さえしてくれれば良いというのは、同省が消費増税を悲願としている限り、その通りでしょう。


もう一つ、こうした動きのバックにいるのがグローバリズムリベラル勢力(米民主党)との見方もあります。野田氏は選択的夫婦別姓の推進者。すでに安倍派を排除した自民党はリベラル政党に化していますが、大連立で日本の政治のリベラルシフトは決定的になる。

他方で気になるのが、コメ騒動で一気にスターになりつつある小泉農相のパフォーマンスです。


●備蓄米の随意契約と小泉氏を持ち上げる不自然な動き

昨年の総裁選でボロを出しまくった小泉進次郎氏が農相就任とともに打ち出したのが、備蓄米を随意契約で放出する政策でした。なかなかやるじゃないか、決してバカではない、そんな印象を持たせる演出でしたが、通常であれば政府として競争入札によって高い価格で売却することが財政の理屈ではあっても、それには元々、緊急事態の例外があります。


国有財産法には随意契約が可能な要件が書かれており、これまでも、かつての平成のコメ騒動やコロナ禍の時にも発動されたことがあるそうです。それならばなぜ、今回、これだけ長くコメ価格の高騰が続いていたのに、江藤前農相の際には発動されなかったのか…。


江藤前農相の父である江藤隆美氏は亀井静香氏とともに、郵政民営化に反対するなど、小泉現農相の父である小泉純一郎元総理に対する抵抗勢力でした。これに対抗する流れを現在担っているのが、小泉政権のときに、あの竹中平蔵総務大臣の下で総務副大臣を務めた菅前総理であり、今般、小泉進次郎氏を農相に起用したのも菅氏だったとか…。


江藤前農相を叩き、小泉現農相には随意契約という知恵を振り付ける。実際に振り付けたのは財政再建派の小野寺政調会長であり、国有財産法を所管する財務省が絡んでいるというのが山口氏の見方ですが…いずれしても、最近のメディア報道も不自然に小泉氏を持ち上げており、ここにも何らかの力学が働いている可能性がありそうです。


郵政民営化や構造改革などグローバリズム勢力に加担した小泉総理の流れを引き継いでいるのが進次郎氏であることは、昨年の総裁選の際に選択的夫婦別姓を最重要のアジェンダと言わんばかりに挙げたことからも明らか。もしかすると、父親が「小泉劇場」で衆院選を大勝利に導いたのと同様、今回も小泉効果で衆参同日選で自民は多数を回復…?


そこまで予想を立てるにのは早計だとは思いますが、いずれにしても、小泉農相をいずれ総理にという力学が強力に働き始めたとみてよいでしょう。


●日本の有権者に問われているのは「大増税+グローバリズム支配」への道の是非

山口氏によると、グローバリズム勢力は両方に賭けるのが通例だそうです。野田総理になっても小泉総理になっても、そこに待っているのは、大増税とグローバリズム支配の強化であり、安倍路線とは正反対の方向に日本が流れていく姿でしょう。


これを是とするか非とするか、今度の参院選で問われているのはこの点かもしれません。いまは自民以外の政党は消費減税を掲げていますが、参院選を経ても自公立民の三党が多数となる限り、食料品の時限的な税率ゼロを掲げる立民も、食料品5%を恒久化するとする公明も、その主張が増税への大きな流れに飲み込まれるのは目に見えています。


それ以外の野党が相当程度議席を伸ばすことでいかに民意の所在を示すか、それが自民と立民の二大政党がそれぞれ分裂する政界再編につながるかどうか、そこに期待をつなぐしかありませんが、もう一つ、重要な選択肢となるのが反グローバリズムです。


これはトランプ政権の誕生や最近の欧州政治の動向をみても世界の新潮流ですが、残念ながら、日本でこれを明確に掲げている国政政党は参政党しかありません。


冷戦体制崩壊後、日本の金融資産を自らマネージすべく、金融資本市場の開放や大蔵省解体、郵政民営化を含む構造改革を日本に押し付け、日本の経済植民地化が進められた結果、日本経済は「失われた30年」の停滞へと突き落とされましたが、その背景にあったのはグローバリズム。その結果、日本が買収しやすい国となったことの成果を刈り取るが如く、最近では日本に野放図に進出している中国勢が日本を日本でなくしている…。


この構図にどれだけ多くの有権者が気付くかどうかが、これからの日本の命運を左右するのではないでしょうか。これは、小泉農相の誕生の背景にあるものを読み取っていくことからも示唆されることでしょう。反グローバリズムの立場に立つトランプ政権との連携を強化し、新たな国際秩序づくりに参画できる国へと日本を導いていく、そうした政治勢力の台頭こそが問われていると思います。

 

 
 
 

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