「空白の総理」を降ろそうにも降ろせない?間抜けな永田町~コメも消費減税も本質論ができる人材を政界に~
- 松田学
- 50 分前
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コメ問題は参院選でも与党を不利にすること間違いなし、このピンチをチャンスに?と繰り出したのが、国民的人気の高い小泉氏の農水大臣起用でしょう。いかにも颯爽とコメ価格の引下げを明言、そのためには何でもやる!早速、随契での備蓄米放出を宣言しましたが、そこにはデジャビュの感がなきにしもあらず…お父さんの小泉総理が郵政民営化で国民の声を聞きたいとして断行したあの郵政解散で自民党が大勝したことを思い出します。
あのときの小泉総理の颯爽とした断固たる姿勢に国民は拍手を送りましたが、では、そもそも何のための郵政民営化なのかは極めて曖昧でした。財政投融資の肥大化を絶つ?その前の財投改革による財投債導入で、すでに財政投融資と郵貯は切り離されていました。行革?独立採算の郵政公社には税金は一円も投入されていませんでした。
あのとき、郵貯や簡保が外資の食い物になるとして反対した自民党議員には刺客が立てられ、「小泉劇場」となりましたが、現在、ほとんどの国民が郵政の民営化で良いことがあったとは感じていません。コスト意識でサービスは低下し、不祥事も続出…。三事業の立て直し?も行き詰まり、民間企業としての事業再生も結果としては失敗しています。
小泉ジュニアの場合、これまで農協改革の旗を振った経緯があり、早速、今回の米騒動の元凶は農協にありと、その民営化に踏み切るのではないかと懸念する声が出ています。株式会社化して外資が参入?そもそも農業は郵便事業以上に、市場の競争原理には馴染まない分野。巨額の財政負担で食料自給を確保している他の先進国と比べても、日本の農業保護の水準は低いとされます。国家安全保障の基本は農業にあり、忘れてはいけません。
それとは逆に、コメを減産して価格維持をしてきたのが日本の農政、これを早く財政方式へと切り替え、国民に安いコメをふんだんに供給し、余れば輸出に回す、価格が下がった分、農家の所得は国の予算で面倒をみる、そんな農政へと転換することこそが喫緊の課題でしょう。
参院選でコメとともに参院選の争点となるのが、自民党以外のいずれの国政政党もが掲げる消費減税の是非。先日の日経新聞の世論調査では、「社会保障の財源確保のために」税率引下げには反対が55%に達したのに対し、「赤字国債を発行してでも」税率を下げるべきだは38%にとどまったようです。今回は財源との関係を明示した質問だったとのこと。
しかし、この「 」書きの中が曲者です。確かに、国や自治体の予算に計上された消費税収は社会保障に回っているのが現実であるとしても、その対極が「赤字国債」では、何か「赤字」というよろしくないイメージで誘導している感もあります。国債=赤字=悪という通念を打破しなければ、国民におカネが回る経済は実現しないでしょう。
参政党の憲法草案には、国(政府)が通貨を発行することが明記されています。今の通貨は日銀の紙幣であれ銀行の信用創造であれ、金融界が発行し、コントロールしているもの。結局、その背後にあるグローバル金融市場によって日本の財政や経済運営が左右されており、ここから、国民の意思を反映した積極財政へと転換するカギを握るのが、これも国家主権の一つであるはずの通貨の発行を国家が取り戻すことにあると思います。それをインフレを招くことなく可能にするのが「松田プラン」です。
先日、私の街頭演説を聴いておられた方から「日銀に500兆円以上も国債が積み上がっている、庶民から見たら、これを使えよという話ですね」と。そうです。巨額の日銀保有国債は償還時に政府通貨で償還して、これを国民が使えるおカネとして流通させる。
戦後失われた国家主権を取り戻すのが日本再興の道だとすれば、これを通貨面でも実現することが、消費税の大型減税や積極財政を可能にする唯一の道だと思います。世論調査で「政府通貨を発行してでも」消費減税をすべきだとの選択肢が早く現れるようになってほしいもの。今の永田町や石破総理に問われるのは、そのような根本的な政策観でしょう。
ただ、消費減税への反対理由としてギリシャを持ち出した石破総理にはとても無理。それどころか、この国難の折に石破政権が続けば続くほど国益は損なわれるとの声が保守層から高まっています。今回は以下、石破総理の即刻辞任を求める、安倍総理の元ブレーンで文芸評論家の小川榮太郎氏が松田政策研究所CHの対談で発言した内容をご紹介します。
●マスコミと野党が支持する石破総理は降ろそうにも降ろせない
岸田総理を安倍政治の継承者だとして擁護してきた小川榮太郎氏を、それゆえに批判する向きも多いですが、その小川氏も石破総理に関しては即退陣を求める手厳しさ。
私はかねてから、政党の重要な役割は日本の指導者にふさわしい人材を発掘して育てることにあると考えてきました。しかし、現在の永田町、特に自民党が全くその機能を果たしていないことが大問題。そのことを小川氏との対談で改めて感じました。その帰結が、石破総理の誕生であり、石破氏に代わる人材が払底している。日本の国益であるはずの石破降ろしは簡単には起きず、このまま参院選後も石破政権は続く…?
小川氏曰く、「媚中」とは自民全体というよりも石破政権の特徴だそうです。一円もカネが動いていなかった「もりかけ」で安倍総理をあれだけ叩いたマスコミも野党も、今般の3,000万円問題では石破氏をほとんど追及しようとしない、やはり、彼らのバックにある反日勢力からみると、石破氏は都合のいい総理ということか…。
それでいつまでも辞めさせられない?永田町全体の機能不全の病根はかなり深いといえそうです。小川氏によると…「石破氏は政治的挙動不審者。元々、何も考えていなかった人。アジア版NATOなど、そもそも日本国憲法のもとで実現できない。なのに、総裁に当選した日にこれを発信、これこそ我がマニフェストのつもりのはず。理解できない。ブレるわ、ぼやくわ、とてもユニークな総理。一刻も早く辞めてもらわねばならない総理総裁だ。」
「これだけマスコミと野党の手厚い保護下にある政権は珍しい。一円もカネが動いていない『もりかけ』で安倍さんがあれだけ叩かれた。増税していないのに岸田氏は増税メガネといわれたのに対し、石破氏は3,000万円疑惑が出ても、そして同様の問題が清和会の不記載ではあれだけ問題になっても、今回はここまで無風?野党の質問もほとんどない。」
「自民党内の皆さん、石破総理にはみんな困っている。野党とマスコミが支持しているので、支持率が落ち切らず、降ろそうにも降ろせない。間抜けな話だ。」
●高市氏が選ばれなかった理由と岸田前総理に対する誤解
「高市氏が総裁選で選ばれなかったのはなぜか?石破氏同様の一匹狼であり、石破氏は政策無し、高市氏は政策があるが、石破氏は分かっていないから暴走しない。振付け通りやるしかない。高市氏は強引にでもやる。コントロールできなくなると多くの自民党の人が懸念をもった。これは皆さんがウラで言っていること。実は根深い問題。総理大臣は一人でやるわけではないからだ。」
「自民が媚中だから高市氏が選ばれなかったという見方は間違いだ。今の政権は媚中だが、媚中は自民の主流ではない。主要な政治家が殆ど入っていないのが石破政権。外務・総務大臣をみてもそうだ。いずれも自民党の有力政治家ではない。」
「岸田政権は『安倍岸田時代』だった。岸田氏は実は、安倍政治を強力に進めた総理だった。安全保障の予算付けで英断を下し、防衛予算は7,000億円増に7年間かかったのが、岸田氏は1年で1.2兆円も積み上げた。」
「LGBT理解増進法を岸田氏は、やっていない。安倍氏を支持していた言論人たちの岸田批判は、実際に取材していない。取材せずに風評ばかり。米大使からの圧力ではない。秘書官が『官邸は皆、LGBTに嫌悪感を持っている』と失言したが、実際にそうだからだ。岸田政権は保守の集団だった。サミットを前に、この失言を打ち消すような動きを、という程度のことは言ったかもしれないが、それ以上はない。」
「これに対し、メディアの背後にいる勢力、日本の利益にならないことを目指す勢力が石破氏を持ち上げている。反日勢力か。石破政権は中国に対してなし崩しに対中関係のハードルを下げている。ビザ緩和もそうだ。」
●存在感ゼロの空白の総理が続く構図
「来たる参院選では、自民の数字はそんなに悪くない。大きくは敗けそうにない。参院選のあとも辞めないための論理を持ち出して、現在の空白の総理が続くだろう。与党は霞が関も含めた巨大な集団。国を回すのに習熟したプロたち。だから、野党やマスコミが叩かないと簡単には潰れない。」
「関税交渉は外務省のプロが振り付けている。彼らは安倍時代からの影響での外交をやっている。チームとして継続。ただ、首相の存在感はゼロ。トランプ氏自体も政治家ではない。プロの政治家と発想は違う。安倍氏はその都度たしなめて、苦労しながら猛獣使いをしていた。安倍氏の不在は国際社会からみても、日本の国際的地位の低下に。」
「昭和時代は、自民党は派閥の群雄割拠で党内抗争で政権交代した。それが平成になってから、党内抗争が日本を弱らせたという反省が自民党内にできて、森、小泉以降は清和会政権で、ずっと同じカラーに。その間の共通項は総主流派。自民党が一丸となっていること。これは長所でもあるが、今回のような総裁を一度作ってしまうと、難しくなった。」
「少数与党ゆえに連立を組む?他の野党を総理に担ぐことは現実にはない。立民との連立?野田さんは15年前の総理だし、石破さんは30年前の人。十何年も政治の中心にいなかった。立民との連立は自民そのものが終焉となる選択だ。」
「国民民主との連立が言われるが、『自社さ』のときの村山氏のように玉木氏を担ぐということにはならない。その選択自体を国民が許容しない。見え透いている。あまりにポピュリズム的だ。自民が責任ある与党だから、国民も厳しいことを言っている。相対的には今も圧倒的多数。それを玉木に入れ替える?」
●国を担えるリーダーの不在こそが日本の政界の最大の問題
「内閣不信任案?石破さんに強い危機感を持っても、辞めてもらってそのあとどうなるかという話になる。立民の首班に参政党が賛成するとは思えない。無理筋でも自民党の中でけじめをつけてもらうしかない。石破氏は政治をやらない。大きな意味で。だから失政がない。大きなミスが出ない。3,000万円を野党が追及しないとなると、倒す契機がない。」
「そもそも衆院解散に野党が追い込む戦略を立てられるか?野党としては、ここは攻めないとならないはずだが…。自民党の多くの議員は今の総裁で良いとは思っていない。困っている。なのに、野党が追及しない。予算は通しても、他の点で石破自民を追い込む姿勢を連携して示すべきだ。」
「今のような国家の多難なとき、指導者が問われるときに、異様な人物を選んでしまった。まずはこの政権を倒さないといけないという点で一致してほしい。では代わる人がいるか?これこそが、日本の政治が試されること。いないから石破になった。みんなで考えねばならない。よりしっかりした国のリーダーを選び直してほしい。」
「野党も政策を担える力をつけてほしい。現状は、安倍氏が苦労して安定長期政権を創ったことの負の遺産だろう。日本の政治は安倍氏依存。あんなに早く亡くなるとは誰も思っておらず、安倍氏がいるという前提にみんなが慣れ過ぎて、本当の政治家を創ってこなかった。参政党も含めて国政を担える人材を国政に送り込み、切磋琢磨してほしい。」
…私の経験では、自民党が公認候補者を選ぶ基準は、どれだけ票を取れるかに集約されます。どんな組織がバックにいるか、地方議員として地元にどれほど浸透してきたか、有名人かどうか…そこには国を担える政治家としての資質という基準はありません。これに拍車をかけているのが、新規の人材参入を妨げている小選挙区制度でしょう。
これに対し、党員が納得した人材を国政へと押し上げる「党営選挙」を旨とするのが参政党です。同党が勢力を伸ばし、有為な人材を引き寄せるようになれば、総理にふさわしい政治家が国を担う日が日本に到来するかもしれません。
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