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  • 執筆者の写真松田学

国民の間に広がる参政党現象とは何か(その2)参院選で訴えた政策~安倍氏狙撃事件と解散総選挙の噂~

参院選が終わって二週間、その総括を十分にする間もなく、選挙期間中の安倍氏狙撃事件が早速、政界に様々な波紋を広げているようです。岸田総理は早速、改憲の早期実現を表明し、安倍氏国葬を決断しましたが、それも、リベラルな岸田氏のもとで岩盤保守の支持をつなぎとめていた安倍氏を失ったことで、岸田氏がこの層のつなぎ止め役を自ら背負わなければならなくなったことが関係しているといえるでしょう。


政界通の多くが参政党は3議席とると予想していたのが、予想外の1議席にとどまったのも、今回は岸田自民では飽き足らない岩盤保守の自民票が比例で参政党に向かっていたのが、これを安倍氏狙撃への同情票が大きく打ち消した効果によるとみられます。本当に何が起こるかわからない「一寸先は闇」の政界。今度は年内早期解散論まで出てきました。


その説によると、9月27日の安倍氏国葬のすぐあとに衆院解散、10月か11月か…論拠は、今回の参院選での自民党勝利の余勢を駆って野党を徹底的に潰す、党内には菅グループのような反岸田勢力もあるので、総選挙で勝って政権基盤を盤石なものにする、国葬には世界中の首脳が来日するので華々しく岸田外交をアピールした直後の選挙にできる、安倍氏の遺志の継承者であることが錦の御旗になっている保守政界の雰囲気を一掃する…。9月の国葬を岸田氏が決断したのも、衆院解散から逆算したからだという説もあります。


ここで国葬について触れると、佐藤栄作氏の際の国民葬でもなく、国葬ということならば、やはり大多数の国民が納得している状況のもとで行われるべきでしょう。しかし、世論調査では、どうもそうではないようです。そもそも国葬とは、国家としての何らかの意思を内外に示すもの。今回であれば、狙撃事件で示された治安面での日本の脆弱性を克服し、断固としてテロと闘う決意を示す意味があります。政府与党は安倍氏の功績云々よりも、この面をもっと強くアピールし、国民の間に納得感を広げる努力をすべきです。


国葬後の早期解散は、安倍氏なら間違いなく決断したが、果たして岸田氏が決断できるか…読めない要素はありますが、ある政界事情通は、「7割ぐらいの確率。岸田氏が悲願の消費増税を考えていれば、選挙では前面に出さずの早期解散に100%の確率でなる」…。


こうなると、参政党にとっては重大問題。今後、来春の統一地方選で大量の候補者を立てて基盤を強化し、3年後の総選挙では全選挙区に候補者を立てると言っているだけでは対応できません。自民党が参政党の台頭を恐れていることも早期解散論の背景にある…?今秋ですと準備期間は限られますから、比例で勝負するしかないとなると、今回の参院選での勢いをさらに伸ばして国民的な人気を高めていかねばなりません。では、どうするか。


以下、今回も前回に続き「参政党現象」について述べますが、今回は党のどんな主張が参院選で国民運動を引き起こしたのかについて、簡単にまとめてみたいと思います。


●参政党現象…どんな主張が支持を広げたのか~目覚めた国民たち~

前回は、参政党現象で実際に起こった事象や支持層について述べました。では、参院選で参政党が主張した政策は何だったのか、なぜそれが多くの有権者の心を捉えたのか…。


それは、まず、「この国に対する危機感」でした。普通の社会人、会社員や公務員、自営業者、母親たちまでが、このままでは子どもたちに日本を残せないと、国の行く末を我が事のように心配し、参政党の党員になって真剣に活動する姿が全国各地でみられました。


それにはコロナやワクチンでの気付きも大きかったようです。どうも、政府の言っていることもマスメディアの報道も、実感とは違う、本当のことが伝えられていない、何かがおかしい。政治も、既存の政党は真実に向き合えていない。地方では、中国による土地買収を肌感覚で脅威と感じる方々も多かったようです。北海道の土地は静岡県ほどの広さが中国に買収されている、山形では蔵王も…いずれ私たちは中国に支配される…。


その背後にあるのは、中国共産党であれ、国際資本であれ、巨大なグローバル利権であり、グローバリズム勢力ではないか。そのことをズバリ指摘し、真実を言う政党が初めて現れた。それは決して「陰謀論」では片付けられない。私も大蔵省での実際の体験から、90年代におけるウォール街の対日金融支配への陰謀の話などを例証に出しつつ、世界は実際には、表と裏がある、国際社会を知る人にとって陰謀の存在は常識だと述べていました。


真実を学び、私たちには戦後、隠されてきた日本の歴史を学ぼう。答は世界一長い歴史を誇る日本にこそあるのではないか。事実、参政党は結党以来、スクールを開いて各分野の著名人たちを呼び、報道されざる世界の真相や日本の歴史を徹底的に研究してきました。


経済面でも、日本が30年間も賃金が上がらなかった珍しい国に堕していたことの背景にあるのは グローバリズムのもとで進められた「改革」であった。どの政党もカイカクを叫んでいたが、給料が上がらなかったからには、政治は国家の運営に失敗したと言わざるを得ない。政治は結果責任である。既存の政党は皆、国会議員を辞めてもらわねばならない。間違った医学知識に基づいた社会規制や、グローバル製薬利権に翻弄されて毒性のあるワクチン接種を進めたことの結果責任も同様である…。


ウクライナ戦争も、日本はグローバリストたちが支配する米国の報道機関によるプロパガンダに乗せられているだけ。結果として隣国のロシアを敵に回し、国益を失っている。グローバル資本がロシアを戦争に追い込んで狙ったのは、プーチンによって国営化されたロシアの資源。90年代の日本については、マネーが狙われた。結果として、日本は世界最大のマネー供給国でありながら、債権大国にふさわしい豊かさを享受できていない…。


海外勢力に左右されない国家運営が必要であり、国の守りに対する強い意識を国民も政治も共有しなければならない。言論も情報も経済も…私たちはグローバル勢力によって自由も主権も奪われてきた。もはや国内で右か左かで争っている場合ではない。新しい政治の軸は、「グローバリズム全体主義vs自由社会を守る国民国家」であり、私たち日本人は国としてまとまって真の敵と戦わねばならない。何事も立脚点は日本である…。


●グローバル全体主義に対抗して健全なナショナリズムが台頭~コロナやワクチンも~

こうした主張が受けたのも、平成以来の日本の停滞を経験した国民の間に、一種の健全なナショナリズムが台頭しているからかもしれません。神谷氏がよく街頭演説で話していたのは、「海外で、自分が日本のことを知らず、日本のことを語れないことを思い知り、恥ずかしい思いをした」体験でしたが、似たような思いは多くの海外経験者がしているはずです。事実、参政党はYoutubeで演説を見ている在外邦人の間で高い支持を得ていました。


最近、日本人の間に一種の「昭和への回帰」が広がっています。グローバルスタンダードが正義としてまかり通っているが、それで何が得られたのだろうか、私たち日本人は何か大切なものを失っていないか…。アニメの鬼滅の刃が伝える人間の生き方というものに涙する多くの日本人の心に、参政党が説く日本精神や大和魂がすっと入ったのでしょう。


アジアの植民地からの解放を目的に掲げて、国際社会の中で初めて人種差別撤廃を主張した日本が闘ったのが大東亜戦争だった。結果として、戦後は世界から植民地がなくなった。戦後の世界秩序を創ったのは日本の功績であり、戦争には敗けたが、理念では日本は勝利した。これは長崎、広島など人類最大の戦争犯罪をした米国にとっては不都合な真実。それを覆い隠すプロパガンダと洗脳で、私たちは日本人の誇りを失った…以前なら危険な右翼とレッテルを貼られたこんな歴史認識の訴えも、すんなりと受け容れられました。


もう一つはコロナとワクチンでした。私の演説の中でも、いちばん耳目を集めた瞬間でした。私が井上正康先生とともに続けているニコニコチャンネルの番組について、どこで街頭演説をしても、「救われた」と感謝の声を寄せてくれる方が必ずいらっしゃいました。やって良かったと思います。ユーチューバーたちが流してくれた街頭演説も、私がコロナに言及していたくだりは削除を恐れて無声になっていたので、実際に話を聴きたいとして街頭演説にお越しいただいた方も多かったようです。


選挙中はハプニングもありました。松田政策研究所チャンネルで流していた秋田での私の演説の収録番組が削除され、選挙期間最後の一週間、当チャンネルは新規配信停止措置をくらいましたが、これもグローバリズムによる日本の民主主義に対する弾圧として訴え、大きな共鳴をいただいたものです。


私たちに対する誹謗中傷がネット空間では多々流されましたが、その都度、きちんと反論を発信しましたので、私たちの正しさをかえって印象付けることになりました。私も水戸駅前での街頭演説が、私に関するフェイク情報に基づく誹謗中傷のプラカードを掲げた数名の心無いアジテーターグループからの妨害を受けましたが、私の演説に集まっていた支持者の皆さんがスクラムを組んで彼らを排除し、逆に、結束が強まる結果になりました。


●国の仕組みの次元から政策を組み立て直す~支持を広げた松田プラン~

食と健康についての私たちの主張も、グローバル利権に対抗するという意味も含めて、かなり注目を集めることになりました。海外に利益が落ちる構造のもとで、国民の健康を害してでも薬漬けに偏る日本の医療構造に斬り込んだのは、既成政党がやらなかったこと。一般国民の立場に立って真実を共有し、既得権益のタブーを破る。その答も、世界一恵まれた土壌と水などの自然に育まれた日本食への回帰であり、東洋医学の知恵でした。


もはや政治の軸は「右か左か」ではなく、「前か後ろか」であり、後ろにとどまっていたい人々は現状の小さな幸せにしがみついて沈んでいくだけ。みんなで前に進んで大きな幸せを、その答は、もう一度、日本に立ち返ることにある。


政策の中身としては「仕組みを変える」というのがメインテーマでした。既存政党は個別政策の次元で争っていますが、それでは何も進みません。医療もそうですが、仕組みを変えるといえば、何と言っても「松田プラン」。これに対する支持も広がりました。


たとえば消費税廃止と言っている政党がありますが、どうやってできるのか。現在の財政の仕組みでは1,000兆円を超えて累積する国債の増加を抑える財政運営しかできないでしょう。金利が上がったときの経済収縮や財政爆発、将来世代において国民の一部に過ぎない国債保有者への元利返済でほとんどの国民の税負担が上がる事態に陥ることなど、財務省が国債増発による積極財政に転じることができない状況が現にある限り、野党が何を言っても事態は変わらず、弱犬の遠吠えに終わります。


財務省も日銀も乗れない政策は実現しません。そこで必要になるのが「出口」。これは実際に政策形成に関わった者だからわかること。彼らの政策目的(国債残高の減少やバランスシートの縮小)にとってもプラスになる出口があり、かつ積極財政を実現できる新しい仕組みとして唯一考えられるのが「松田プラン」です。


情報機能(サービス)と結びついた便利なデジタル円(法定通貨)を政府が発行し、これをもって日銀保有国債を償還しながら市中のニーズに応じて流通していく仕組みです。


財務省を知り情報技術に携わる私だからこそ、実際に実現できる政策を提案できているのが参政党。当初は理解が難しいと言われたこのプランも、理解者が増えていきました。


この松田プランの一環として整備が必要になる国産ブロックチェーンの共通基盤は、私たちが強く唱える「国のまもり」の重要な柱でもあり、特にSilent Invasionに対抗するものとして独自のデジタル基盤を繰り返し強調したことも、松田プランへの支持を広げました。


●真の参加型民主主義を仕組みとして作った唯一の政党~使命を果たすための政治家を~

その他にも色々な政策を訴えましたが、参政党現象でもう一つ大きいのは、私たちが提唱した新しい政治スタイルでした。日本の有権者の間には、既存の政党に対する嫌気や白けが広がっています。それは投票率の低さや無党派層の拡大に現れている通りです。神谷氏と私が2020年4月に参政党を結党した目的は「近代型政党」を日本に創ることにより真の参加型民主主義を実現すること。「投票したい政党がないから自分たちで作ってみた」の精神でした。ようやく投票したい政党ができた…それが党員の急拡大にもつながりました。


この政党では、あくまで党員が主役。党員が自分たちの思いで活動し、政策を議論し、それを実現する候補者を選び、自ら選挙活動を行って政治に送り込む。私たち比例候補の5人(ゴレンジャー)は、その意味で党員に使われている存在。選挙は党員が担い、当選した国会議員は国政に専念する。議席は党員から託された使命を果たすためのもの。


現在の国会議員たちの仕事とは何かといえば、それは国政よりも次の選挙です。選挙が仕事の政治家は要らない。「職業政治家」ではなく、使命を果たす政治家を。コロナの状況を見ても、政治家もメディアも専門家も使命を果たしていない。日本は彼らエスタブリッシュメントではなく、普通の国民が最も賢い国である。そんな主張もいたしました。


バックのない政治的素人集団としての新鮮味が支持を広げたことは間違いありません。全地方選挙区で立った45人の参政党候補者たちの姿をみても、今までの他党の候補者とはひと味違う、ごく普通の国民であり、会社員や主婦。一般の国民が普通に選挙に出て国政を目指している、政治を国民の手に取り戻す仕組みを具体的に実現している…。


私たちが政策として提唱しているのは、各分野でごく普通の国民の立場から国の仕組みを変えること。そのためには、どこかの既存勢力ではなく、もっぱら国民にのみ立脚した立場が必要です。医療の抜本組み替えも、食も、ブロックチェーンも…グローバリスト利権や既得権益からの影響下に置かれている現在の与野党ではできない仕事です。それは一種のタブーにも触れることであり、私たちも命がけの覚悟で選挙を戦っていました。安倍氏狙撃の直後にも私たちに寄せられたのは、私たちの命を心配する声でした。


そうしてでも、日本を国民が主役の国に変える、それが世界の課題先進国としてこれからの地球文明をリードする日本新秩序を生んでいくことになる。参政党が躍進すれば、日本の民主主義を初めて変える歴史的な選挙になる。これは私が言い続けてきたことです。


●メディアは国民意識の変化を捉えられなかった~正論を主張し続けた参政党への期待~

選挙を経て参政党が国政政党の要件を満たすに至り、今頃になって、急にテレビがこの党のことを取り上げ始めました。前回から二度にわたって「参政党現象」について述べてきた内容をお読みになってお分かりのように、参政党は突然、選挙の終盤に伸びたものではなく、この国民運動といえる現象には根深い社会的、経済的、政治的必然性があります。


このことをつかむことができなかった日本のメディアの無能力性が示されたといえるでしょう。実際がどうあれ、彼らが何かによって支配されているとみられても仕方ないかもしれません。選挙直後にテレビに出てきたコメンテーターたちからも、事態を把握できていなかったのか、ネトウヨだのオーガニック信者だの、ピント外れの発言が相次いでいました。マスコミ業界が、グローバル勢力や政権、既得権益勢力による催眠術ばかりを流し、本来の役割を果たしていないどころか、日本の変化や国民の前進を妨害する存在にすらなっていることへの深刻な反省を、今般の「参政党現象」は突きつけていると思います。


他方で、分かっている方々はきちんと理解しておられました。選挙直後のBS番組では、伊吹文明・元衆院議長は「(財政なども含めて)いずれも誠にごもっともなことを言っていた」、政治評論家の田崎史郎氏も「期待している」。そんな政党があったのかと驚いた視聴者が多かったのではないでしょうか。ちなみに、参政党の応援者でもあるジャーナリストの山口敬之氏によれば、狙撃される直前の安倍元総理も参政党に注目していたそうです。堂々と正論を言っている党だとの評価があちこちから聞こえていました。


国政政党になった以上、そうした多くの国民の期待以上の実績をあげていかねばなりません。党員も10万人へと急激に膨れ上がりました。彼らが支える新しい政治の姿をどう築き、さらに支持を広げ、党勢を拡大していくか…。


冒頭で触れたように、もしかすると次の衆院選も近いことを考え併せれば、党代表として誠に身の引き締まる思いです。

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