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  • 執筆者の写真松田学

国家の尊厳を守る危機管理体制と眞子様のご結婚問題~根底にあるのはメディアと日本国民の国家意識の問題~

総選挙で有権者からの信任を得た岸田総理は、投開票後直ちに、数十兆円規模の経済対策を11月半ばに策定すると表明したあと、地球温暖化対策のCOP26出席のためグラスゴーへと飛び立ち、一連の首脳外交もこなしてきました。総理就任後の戦後最短での衆院解散もそうでしたが、懸案を次々と処理するスピード感で政権を回転させ始めたといえます。


ただ、このCOP26、途上国向け温暖化対策支援の拡充やインドの2070年実質ゼロ宣言、130か国による森林破壊防止目標の合意などの成果をあげ、バイデンがメタン削減への行動計画を提示して米国が再び国際社会をリードすることを宣言する場にもなりましたが、なかなか前途多難です。温室効果ガス排出世界1位の中国と4位のロシアの首脳は欠席、国連事務総長からは危機感が表明され、排出削減効果の実効性への疑問の声も次々と上がる一方で、英国ジョンソン首相による石炭火力廃止への呼びかけに日本は乗れませんでした。


現在、世界経済ではインフレが進行し始め、スタグフレーション懸念まで台頭、金融引締めへの思惑が国際金融情勢の不安定化要因にもなりつつありますが、その主因であるエネルギー価格の上昇も温暖化対策がもたらしている面があります。欧州で続く天然ガス価格の上昇などは石炭火力発電の閉鎖設備量に見合う再エネ設備の導入がないことによるもの。最近では欧州各国で原発推進を求める声も…。エネルギーの安定供給のことを考えれば、不安定な再エネへの移行が今後、世界経済の成長を阻害する要因にもなりかねません。


人類の生存環境の永続のためには、現行の技術水準ではやはり、原発推進への決断が現実的な選択肢だといえますが、他方で、もう一つ、永続ということでは、日本は国家アイデンティティの根幹をなす皇統の永続に向けた決断ができるのかという問題も抱えています。岸田総理には、早ければ年内に、皇位継承問題の決着が迫られるかもしれません。


これとも関連しそうなのが、賛否両論を呼び起こしてきた眞子様のご結婚問題。10月26日のご結婚と記者会見は広く国民の関心を集め、総選挙期間中のもう一つの話題になり、松田政策研究所チャンネルもこれを巡り様々な議論を発信しました。愛を貫かれたお二人には、今やお幸せにと申し上げるしかない…とはいえ、この問題は皇室のあり方のみならず、日本社会が内包する諸問題についても本質的な論点を提起しているように思われます。


●国民からの批判に対して火に油を注ぐ宮内庁の無責任を指弾する

まず、眞子様ご結婚を批判する急先鋒の論者である宇山卓栄氏の見解からご紹介します。以下は、10月1日の宮内庁の会見のあとに行われた私との対談で述べられたものです。


「宮内庁による眞子様の病気の公表には驚き呆れた。このタイミングで公表すれば、『国民の批判のせいで、精神疾患に追い込まれた』と国民を逆批判しているかのように捉えられてしまう。たとえ眞子殿下の御意志があったとしても、結婚発表と同時のタイミングで、病気の公表をすべきではなかった。火に油を注ぐ。国民の批判と怒りが更に強まっている。」


「宮内庁は眞子殿下を止めもしないし、説得もしない、『御意志だから』ということだけで、これほど、重要なことを平然と垂れ流して、我関せずの態度を決め込んでいる。また、あろうことか、眞子内親王殿下の担当医師を会見に同席させ、『周囲の方々の温かい見守りがあれば、健康の回復は速やかに進むと考えられる』…これは『国民が黙れば、病気は治る』と言っているようにしか聞こえない。眞子内親王殿下の病状に配慮してほしいとの思いがあるのはわかるが、これでは国民の怒りを買うばかりだ。」


「眞子様が患っておられる『複雑性PTSD』(複雑性心的外傷後ストレス障害)は症状が非常に重くなる。適応障害よりも深刻で、判断力や行動の正常を維持できず、自分が自分であるという感覚が失われていく解離性障害を引き起こすこともあると指摘されている。小室圭氏との結婚問題について、批判されたことが原因で複雑性PTSDになってしまったと書かれている。実に、原因がハッキリしている。ならば、結婚を直ちに中止すべき。結婚の中止によって、病気の原因である批判は止み、心的外傷を被ることもなくなるはずである。」


「結婚が中止されれば、国民も黙り、そのご決断を称賛するだろう。結婚の中止で病気の原因を根本から取り除き、静かな環境を確保された上で、治療に専念されるよう、切に願う。かけがえのない御身体がまず何よりも大事。このような重い病気を患っておられるのに、結婚して渡米するなど、とんでもない。ご結婚で批判は間違いなく、強まるだろう。病気の原因を自ら増大させ、症状を悪化させるようなことがあってはならない。」


「そもそも、宮内庁は何を考えているのか。このような深刻な病気を抱えておられる内親王殿下をみすみす危険に晒すようなことをするのは許されることではない。宮内庁幹部らは自らの務めを果たせないのであるならば、即刻、辞任すべき。宮内庁は担当医師が結婚の準備をしても問題ないと言っていることを前提に、責任逃れするつもりのようだ。宮内庁は何も自分たちでは判断しない、責任を負いたくない、関わりたくない、早く厄介払いをしたいという魂胆。政府官邸も傍観するのみで、何もせずに放置してきた。」


「小室氏の借金問題や母親の年金不正受給疑惑など、問題が何も解決されていない。そのことについての説明は小室氏しかできないのに、眞子様を巻き込んで二人で会見というのは卑怯。小室氏は時間無制限で、記者会見において徹底して説明を尽くすべき。宮内庁主催の茶番会見で幕引きというわけにはいかない。小室氏と母の佳代氏の二人で会見してもよい。結婚は家に関わること。皇室と婚姻関係を結ぶ家に疑惑などあってはならない。」


●良識ある日本国民は皇室の権威を失墜させるご結婚を認めていない…

さらに宇山氏はこう続けます。「決まったことにケチをつけるなという人がいる。ケチをつけているのではない。皇室を敬愛するからこそ、酷いことになってほしくないという国民の切なる思いからだ。『おめでとう』と祝意を述べる者もいるが、皇室の著しい権威失墜を招くこの事態が『おめでとう』なのか。皇室に悪意を持ち、日本を貶めようとする悪意すら感じる。『お幸せになって頂きたい』は国民の願いの自然な表れだが、『おめでとう』は違う。朝見の儀なし、納采の儀なし。つまり、陛下も殿下も認めていない。良識ある日本国民は認めないということをご結婚後も言い続けなければならない。」


「しつこいと思われようとも、認めないと言い続けることが国民にできる抵抗と良識の表明だ。皇室を敬愛する国民がこの不当な結婚に深く落胆し、失望し、悲嘆し、憤慨するのは当然。国民の多くが匙を投げて、あきらめるようになれば、それは皇室への国民の敬愛が失われたということであり、新たな危機と問題が浮上することになる。」


「実際に、そうなりつつあるということに懸念を抱かざるを得ない。すでに、『秋篠宮家ごと皇籍から離脱すべき』や『天皇制を廃止すべきだ』という声が少なからず、出ている。」

「一時金は眞子内親王殿下の意向を汲んで、支給されない方向となった。一時金を辞退した例はなく、辞退が法的に可能かどうかも議論された。しかし、『皇室経済法で決められたことです』と言って、辞退を突き放せばよい。その上で、どうしても、お金を受け取りたくないならば、国庫に全額返納させる。特例を認めるべきではない。皇室に関わる法や制度は厳格に執行されるべき。内親王や女王の降嫁の度に、今回のことが悪しき前例になりかねない。国民の税金の世話にならないから自由にしてよいということにはならない。」


「一時金は元皇族の「品位保持」を目的として支給されるもの。これを受け取らないことで生活に困窮し、『品位保持』ができなくなってしまうことの方が、ご本人はもとより、皇室や国民にとって問題。元皇族の『品位保持』には、特定の他人或いは組織に依存しないことも含まれる。いかなる人物や組織が元皇族に近付いて支援を申し出たとしても、皇室の中立性を守るために、それらを受け取ることはできない。眞子様ご本人の労働と、生計を一にする小室氏の労働への正当な代価以外のものを受け取ることはできない。」


「元皇族の『品位保持』は口で言うほど簡単ではない。一時金辞退は将来にわたり、問題を引き起こす原因になる。問題の本質はゼニカネでなく、皇室の威厳が毀損されること。」


●海外での生活で恥は国際社会に拡散され、日本人全体がバカにされることに…

「米国のメディアもここぞとばかり、『日本のプリンセスが駆け落ち婚』という触れ込みで、面白おかしく報じる。小室氏問題の恥が日本だけにとどまらず、世界に周知されてしまう。これは他国の人にはとても説明できないバカげた話であり、それ故に、恥の度合いが増幅されて、嘲笑の対象にされてしまう。メーガン元妃に関するスキャンダルはその性質において理解されやすいが、小室氏問題は借金を踏み倒した話から始まる一連の経緯を見ても、バカらしくて滑稽なだけ。こんなスキャンダルを米国を始め世界のメディアが大きく報道するようなことがあれば、皇室の威厳が地に堕ちてしまう。皇室だけではなく、日本人全体がバカにされるだけ。」


「日本のメディアは米国まで追いかけていくし、米国のメディアも加わる。すでに、米国のワシントン・ポストは『ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱に匹敵するドラマ』と報じている。米国で暮らせば、メディアに晒されずに済むということはあり得ない。」


「そもそも、眞子様のためを思うならば、小室氏が日本にとどまって必死に働くこともできたはず。日本で過去の過ちを反省し、支援してくれた母親の婚約者に誠意をもって対応することもできたはず。にも関わらず、米国留学など分不相応なことを仕出かしている。小室氏は借金を踏み倒した逃亡者。こうした人物と皇族の女性が結婚する、前代未聞の恥。」


「米国でパパラッチたちがしつこく付きまとうような混乱の事態のなかで、万一、事故でも起きれば外交問題にすら発展する。海外では予測不能な事態が起こる可能性も想定される。簡単に米国で暮らすことなどできない。日本国内だけで恥を封じ込めておけば、まだマシだったものを、わざわざニューヨークにまで行って、恥を国際的に晒すというのは、我々国民にとって、実に、耐え難い。借金を踏み倒して逃げた男と米国で結婚生活を送ることが、皇室にとって取り返しのつかない恥となるとの認識が政府や政治にはない。」


●国の安全保障にも関わる公的な問題…恒久的な法的枠組みや制度の整備を

「皇室のプライベートな問題だから政治が介入するのは筋違いというのは間違っている。不当な結婚により皇室の権威が下がることは公的な問題。皇室の権威を守ることは政治の責任。皇室の結婚は安全保障問題にも関わってくる。結婚相手が日本の敵対国と深く関わっている人物であれば一大事。日本が国ごとハイジャックされることにもなりかねない。」


「オランダなどでは王族の結婚は議会の承認が必要。英国では、王位継承順位6番目までの王族は国王の許可を得なければならない。結婚を止める手立てを一定のレベルで国家が持つ必要がある。国家の尊厳維持や安全保障にも関わる、欧州の王室はそう考えている。」


「今後の課題は、法的な措置を講じること。男性皇族は結婚に際し、皇室会議の議決を得る必要がある(皇室典範第10条)。女性皇族はその必要がなく、法的には、当事者だけの合意のみで結婚は可能。女性皇族にも男性皇族と同じ条件を課す。皇室会議で、結婚を認めないとすることもできる権限を与えることが考えられる。」


「結婚によって生ずる皇室の著しい権威失墜、これ程の重大な責任を、眞子様お一人で、到底、背負い切れない。眞子様個人を守るためにも法的な措置を講じるべきだった。将来、また起きるかもしれない不測の事態に備えるような危機管理体制の整備に向けた動きが何一つない。性善説だけでは、国家や皇室をもはや守れない。政治にはまったく危機感がない。王族の不祥事はいつの時代にも、どこの国にもある。その時々の皇族個人を批判しても仕方ない部分もある。恒久的な制度や法的枠組みを整備して、不祥事を防ぐことが重要。」


「皇室の御意向に黙って従うのが忠義であると勘違いされているが、ならぬものはならぬと諫言することが真の忠義。何もかも御心のまま御意のままでは、國體は維持できない。」


●問題はPRのプロがついていない宮内庁のマネージメント能力の欠如

その後、10月26日のご結婚、眞子様と小室氏による記者会見の運びとなりましたが、皇族の血を引く竹田恒泰氏の批判は宮内庁に向かっています。以下、竹田氏によると…、


「会見などやらないほうがよかった。天皇陛下が出した課題、多くの国民が納得する状況、そのきっかけになる会見ではなく、結婚が決まったあとの会見。質問も受け付けなかった。数々の疑問に小室さんか誠意をもって答えていたら、だいぶ違っていたはずだ。」


「10月1日に宮内庁が発表した複雑性PTSDについて、一つは医学的に正しいのか。もう一つ、誹謗中傷、何がそれに当たるかに宮内庁は答えなかった。国民のせいでなったという突っ込みが入ったのに、宮内庁がそうならないような説明をしなかった。WHOの定義ではもっと重い病気だ。戦争、虐殺、長期間にわたる虐待、批判がやめば治るとの説明なら、複雑性ではなく大したことないということになる。何が誹謗中傷なのかの説明がなかったのは、本当に心配して意見を言った人まで批判の対象になることになる。」


「宮内庁のマネージができていなかった。五輪の時も天皇陛下が心配していることを『拝察』。コロナのことは誰もが心配しているのは当然だ。メディアでは五輪に反対ととられた。しかし、中止を望んでいるなど、事実ではなかった。事実ではないことが伝わってしまう、そのきっかけが宮内庁等の言葉。この人たちはマネージメントをする気があるのか。」


「恐らく無能なのだろう。およそPRというものをしたことのない人たちだ。芸能事務所でもプロの人がいる。西村長官は警察あがりだが、その分野の経験見識がない。プロのPR担当がつかねばならない。エリザベス女王にはPRの専門家も、ネットチームまでついている。そういう人たちの守りが何もない。小室さんの6万字もの言葉があったが、長官が『納得した』…。天皇が納得したと思われてしまう。しかし、一般国民で納得した人はいない。そういうミスリードをした。この人バカ?」


●GHQが宮内庁を皇室監視機関として再設計した…皇室をお守りする建付けではない

「眞子様のご結婚には皇室も異例の対応をしたが、結局、国民が納得して喜んでくれる状況が達成されないまま結婚が強行された。課題がクリアされていれば、心の底からよくやったとなって、祝福、おめでとうとなったが、そうではなかった。ただ、眞子親王は皇族として貢献してくれた、生まれた時から日本を明るくしてくれた。多くの国民が我が娘のように…だから本当に幸せになってほしいと思っている人が多い。」


「しかし、ニューヨークに行く、一時金もご辞退、本当に平穏な生活が担保できるか覚束ない。小室さん、しっかりしろよ、国民が黙っていないぞという激励の言葉をかけたい。」


「小室さんに対する批判で済めばいいが、すでに眞子様への批判にもなっている。母親、紀子殿下、皇室全体にまで批判が及んでいる。今までと同じ清らかな目で皇室を見られなくなったとの書き込みまである。何万というコメント、反対、糾弾、ヤフーが問題視して非表示に。ご会見でこの流れも変わらなかった。毎回何かあるたびに批判が大きくなった。『お気持ちはわかりますが言葉を選びましょう』というプロがいなかった。」


「元々、宮内庁は皇室を守るための組織としてできたものではない。GHQが宮内省を改組した時に政治と皇室との関係を断ち切り、皇室を監視するために創られた。お守りするという建て付けではなく、各省庁出向者から成る政府の組織。皇室の組織ではない。」


ここから浮かび上がるのは、宮内庁のあり方にも見られる日本の「戦後レジーム」の弊害であり、また、国際広報力の不足が国家の尊厳を傷つける事態を招いているのは慰安婦問題に限らず、日本政府全体の問題でもあるということではないでしょうか。


●けじめはつけられ皇室の権威は守られた、さわやかなご結婚に対して、お幸せに…

他方で、有識者からは眞子様のご結婚を肯定的に捉える見方も出ています。八幡和郎氏は、「自分は手のひらを返して、秋篠宮殿下と眞子様はえらいと言っている。最後、結婚したいと言い張ったらどうしようもない。あんな奴と、とは思うが、親に迷惑かけても結婚したいときはしたいもの。けじめをつける、普通の結婚でないとはっきりさせればよい。」として、「1.5億円を要らないと言うのは、はっきりしたけじめだ。」と述べています。


「秋篠宮殿下がご拝謁とか儀式をやらない、勝手にやれ、息子として認めない、陛下と会わせない。これもけじめ。皇室の権威は守られた。あとは、お祝いは言わずに、お幸せに…これも正しい。お祝いは色々な価値観を含むが、幸せになってほしいのは当然のこと。」


「ビザがとれなければ、勝手にしろ。ニューヨークでは最初は警察にみてもらうにせよ、それ以上のことは何もやる必要はない。失敗がないようにとやるのはダメ。失敗して勉強するもの。一つだけ言うなら、困ったときのための弁護士を一人ぐらいつけておけばよい、けじめをつけていく、さわやかだ。国民としてそれも良い。」


●これは基本的人権がなく反論もできない皇室に対して繰り返されるイジメである…

漫画家の小林よしのり氏に至っては、むしろ、このご結婚を称賛すらしています。「眞子様と佳子様が抱擁するシーンを見たときに涙が出そうになった。眞子様の記者会見を見て感動して泣きました。本当につらい思いをされただろうと。衝撃的だった。」と述懐する同氏の見解を、以下、ご紹介します。


「全て眞子様が小室さんにこうしてくれと頼んで、小室さんがそれに従ったことを全部、会見で明かしてしまった。皇族の身分の時には何も言えない。中傷やバッシングに反論していくことができない。基本的人権そのものが認められていない。人権が認められているのが国民、人権が与えられていないのだから、それは国民ではない。憲法の基本的理念からしてそうだ。反論権がなく、黙って耐えるしかない。」


「小室氏の借金の問題も、あれは借金ではないと言えない。実際に、借用書がないから借金ではない。勝手に男が貢ぐということはしょっちゅうある。あとになって貢いだカネは借金だったのだから返せという人はいない。眞子様もそう考えているのだろうから、解決をおカネでとも考えたが、それもダメとなった。そういうプレッシャーのもとで精神も傷つけられた。その男はたかだか400万円、なのに、みんなそっちの方を支持している。」


「反論が許されない人たちに向かってバッシングを繰り返すのは完全なるイジメ。それを長年やっている。美智子さまの時も文芸春秋が…それで美智子さまは失声症になり、声が出なくなった。次は雅子さまが適応障害に。西尾幹二が仮病だと言ったときには驚いた。雅子さまは未だに治っていない。そして今回、また、バッシングを繰り返している。」


「雑誌としては、皇室をバッシングすると絶対に売れる。逆に、皇室の美談を書いても売れない。商売上そうなっている。女性セブンはたちが悪い。今は週刊新潮が酷い。今回、眞子様は民間人になったから、ようやく『事実無根、自分が主導した』と言えた。」


「皇族の精神分析は一般人とは違う。基本的人権がないなかで暮らしている皇族は、基本的に弱者。『治らす(シラス、知らす)』人たちだから、巷の情報を読んでいる。だから心を痛める。あんなに精神的におかしくなると皇族は滅ぶのではないかと心配になる。」


「そもそも事実が無根。借金を返さずに小室は米国に逃亡した、というのがウソ。借金自体がない。日本国の中からそういうデタラメを言い出す人たちが出てきて、自分たちで皇室の権威を傷つけている。海外からどう見られるかどうのこうのではない。」


●皇室の権威は国民の努力で守るべきもの…その敵はメディアと国民の側の俗情

「権威とは何か、日本は権威と権力が分立している。皇室が権威を守り、権力は民間側の代表が持っている。天皇だ、皇室だと言って権威が生まれるか?だからバッシングも起こる。権威に対してバッシングを許さないとすると、権力になってしまう。権威しかない。しかし、その権威も事前にあるものではなく、努力で作られるもの。」


「なぜ権威ができるのか。国民が敬愛するからだ。皇室の権威を創るのは国民だ。国民がしっかりとフィクションを守らねばならない。皇室は国民という大海に浮かぶ船。海が大波になれば天皇は崩壊するかもしれない。両者で作らねばならない。全員で権威を傷つけたら崩壊する。権力を使えないのだから。」


「皇族は精神を病むまで耐え忍ばねばならない。ほかにもストレスはいっぱいある。元々のストレスの状態を考えないと精神分析などできない。そのまま病気になった方もいた。宮内庁が今回も発表したが、国民の言論を封殺するのかと言われた。皇室は最初から言論を封殺されている。民間人になったので、おっしゃった。すごいなあと思った。」


「自分の伴侶を守るために、圧倒的な眞子様の強さが示された。皇室の権威の敵はメディアであり、国民の俗情。聖域にある人を引きずり下ろしたい。自分も卑しいから、卑しいとところへとひきずりおろしたい。」


以上、小林よしのり氏が言うように小室氏に関わる批判が本当にデマなのかどうかは別として、この問題の根っこに、興味本位で商業主義のメディアがさまざまな面で日本の国益を傷つける元凶になっているという問題があるのは間違いないでしょう。宇山氏や竹田氏が示唆するのは、日本国民の統合の象徴である天皇や皇族の権威を守る仕組みが不足しているということだと思いますが、眞子様ご結婚問題が、GHQの占領政策の残滓を未だにひきずる「戦後レジーム」の問題とも関わっていることも事実です。


ただ、それらの根底にあるのが、日本国民が他国民と比べても、異様なほど、国家意識を欠いていること。日本が天皇を中心にまとまってきた国であることに国家としてのアイデンティティがあるという歴史的事実すら、多くの国民が教育の段階から知らされていません。これが崩れれば、日本は日本でなくなってしまう…そういう危機感もありません。


大陸の覇権大国が情報戦、世論戦など「超限戦」をさまざまに仕掛けているこんにち、国の安全保障も経済的な繁栄も、現在の世界的な総合戦から日本の国益を本当に守るために何よりも必要なのは、その根底にあるべき国民の国家意識だと思います。しかし、それぞれの国の国柄を示す「國體」という言葉すら、戦後の日本では右翼的というイメージが情報操作によって定着してしまいました。


日本の國體の中核を成すものが万世一系だとされていますが、眞子様問題の記憶が国民の間に濃いうちに、皇位継承問題は男系継承で決着を図ろうという意見も保守派の間には見られます。この問題をどうするかを論じることは、私たち日本人が自国のアイデンティティをどこに求めるのかを改めて考えることそのものでもあるといえるでしょう。この皇位継承問題については、本コラムで稿を改めて論じてみたいと思います。

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