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  • 執筆者の写真松田学

危機と躍動の2022年を振り返る~日本の真の独立とは、自らの世界史的な立場を提示する国になること~

いよいよ2022年も残りわずか4日。今年最後のメルマガとなりました。この一年を振り返って、ウクライナ戦争が続く今年の漢字には「戦」が選ばれています。


では、私にとっての今年の漢字は…?先日、松田政策研究所CHで対談した赤尾由美さんに訊かれ、「躍」と答えました。参政党の党員が「大活躍」して国政政党に「飛躍」した年。


では、赤尾さんは…?「動」。選挙戦でこんなに全国を動き回った年は初めてだったからとのこと。本当にゴレンジャーにとってはそんな一年でした。参院選後もコロナモードチェンジが加わり、年内は最後まで、毎週末、全国各地へと「動」を続けることに。


では、私と赤尾さんの二人を併せると…「躍」と「動」。つまり、「躍動」。今年は参政党の党員や支持者の皆様にとっても、まさに躍動の年になったと思います。


ただ、日本人全体にとってみれば、今年は稀なる異常な年でした。これだけ予想しなかったことが次々と起こる年になったのは、戦後初めてかもしれません。2月にはウクライナ戦争が勃発し、まさか起こらないと思っていた核戦争がひょっとしたら起こる?事態に。


7月に安倍元総理が暗殺されたのも異常ですし、日本のEEZ内に中国からミサイルを撃ち込まれたり、習近平三期目入り後からは台湾有事がいつ起きてもおかしくない緊迫した状態になるなど、日本の安全保障環境も激変し、防衛費のGDP比2%が国民にすんなりと受け容れられるまでに、日本人の危機意識がこれまでになく高まっています。


ここで私たちが注目しなければならないのは、これらの事件が、三年目に入ったコロナパンデミックやワクチン禍とも相まって、日本が海外勢による世論操作に極めて脆弱な国であることを、まさに露呈させたことではないかと思います。そして、これら危機の背後にはグローバリズム全体主義がある。今年は、これが馬脚をあらわした年でもありました。


ただ、日本の危機はまだ序の口。今年は今後も拡大が続く危機が始まる年だったとも総括できるかもしれません。今年躍進を遂げた参政党もそうです。出る杭は打たれるで、党へのバッシングはこれからますます高まるでしょう。大事なことは、参政党がこれで鍛えられることで持続可能な強い政党へと成長することではないかと思います。


他方で、いくら防衛費倍増をすんなりと受け容れた日本国民でも、年末に突如として現われた増税は簡単に受け容れられるものではないでしょう。これは、参加型民主主義を唱える参政党の立場からみても、財政民主主義の観点から看過しえない事態です。


では、岸田総理にとって今年の漢字は…?といえば、「進」だそうです。これについては、増税だけが進んだから「税」ではないかとか、逆に後退の「退」ではないかという声も…。「退」とはもしかすると、増「税」で「進」むことになった「退陣」への道?


年末にかけて、世論調査では岸田内閣への支持率がさらに下がっています。早速、自民党内では、増税をするならその前に解散総選挙だという声が萩生田政調会長からも出てきました。来年は岸田おろしの政局の年?政界では何があってもおかしくない年でしょう。


今年、明確化したのは、日本が「永久占領」のもとに置かれた構造でもありました。その支配者たるグローバル勢力の行動原理とは、要するに経済的利益。彼らが掲げる自由・平等とは、そのための偽善に過ぎない…戦中の日本には、このことを喝破し、それでは人間は存在できなくなるとして欧米の表層的な原理の限界を指摘し、日本国こそが、それよりも高い次元の精神性や知性を有する国であることを論じていた知識人たちがいました。


西村幸祐氏は、来年はこのことが日本のテーマになるべき年だとしています。いまや日本こそが、世界的な価値観を提示する国にならねばならない。これによって、文化も民族も伝統も人間も何もかも破壊して同質化しようとするグローバリズムを超克する動きが促され、多様性のもとに人類が共存する世界秩序が生まれることになる。


そのためには、日本が真の独立を達成しなければならない。そのための必要条件は自主防衛であり、憲法改正である。それは世界のために必要なことでもあり、世界がそれを求めている…。今回は、以下、この西村氏との対談の内容をご紹介したいと思います。


●自分と違った思考の持ち主は存在を許さない全体主義のもとで世界は常識を失った…

この対談は社会学者の宮台真司氏が大学の構内でナイフで首を切られた事件の話題から始まりました。西村氏曰く…「宮台さんの言説に対して批判を持っていた人間による犯行なのか?もし犯人が同氏の言論活動に対してテロ行為をしたとすれば、本当に危ないこと、日本の社会では今までそんなことはなかった。それを生んだのは常識の欠如。」


「良い例が安倍元総理の暗殺の直後に安倍氏に対する罵詈雑言が一部にあったこと。非常識なテロ容認の言動も一部にあった。国会議員までそれに類する発言。そういう空気がある。戦後なかなかなかったこと。政治家も言論に携わる人。全体主義が言論の自由をおかしていく。自分と違った思考の持ち主は存在を許さない、これが全体主義。我々が気付かぬうちに、そうしたものが醸成されている。」


「ワールドカップでのドイツ選手たちの異常なふるまい。LGBTという『正義』に反するものは全ていけない、それはワールドカップ開催にふさわしくない、カタールはそう、それをドイツ選手が…。カタールはイスラム国。カタールに出場するドイツ選手がカタールの組織委員会に抗議したが、これは多様性という一つの全体主義。グローバリズムもそう。」


「一見正しいと思わせるところが今回の全体主義。それは米国発。トランプがそれに対するアンチテーゼを打ち出した。キャンセルカルチャーという自虐史観を学校で教えることに耐えられないと父母たちが立ち上がっている。ドイツ国民もサッカーチームの所業に実は怒っている。メディアが創るポリコレと一般国民の反応は違う。それが政治に反映されていない。日本もそうだ。世界80億総攪乱。判断力が失われている。」


「多様な価値観を認め合うのはもともと日本がそうだった。差別がないから寺子屋で識字率が当時は世界最高だった。そういう日本民族だからこそ、近代化を進めることができた。明治維新から敗戦まで77年、敗戦から2022年までで77年。我々の先祖が同じ77年で濃密なことをやった民族。後半の77年は希薄。そのことに日本人は気付くべきだ。」


●安倍氏は『アジアの最後の本当の政治家』…国際社会が求めるのは自主防衛と真の自立

「今年は安倍総理が亡くなってから、世界中がおかしくなった。安倍氏の遺産は日本を超えている、Beyond Japanだと海外で書かれた。安倍氏は『アジアの最後の本当の政治家』というタイトルの記事も出た。インドの学者が書いた。今年はウクライナ戦争というきっかけがあったが、何かが動いた。注意しなければならないのは中国共産党だ。」


「台湾有事を安倍氏が警告し、その本人が暗殺された。安倍氏は米国に対し『台湾に対する曖昧政策を終わりにせよ』と書いた人だ。米国大統領に指示した史上初めての日本の総理大臣。それがこのように暗殺されたことの異常さを日本人に気付かせない何かがある。それがメディアの全体主義的な報道だ。」


「核の問題もある。安倍氏は今年5月に、米国に対して拡大核抑止を行う手順を確認しなければならないと述べていた。それがいちばんの本質だ。北朝鮮がミサイルを乱射、火星17型は多弾頭核を落とせるし、米国大陸も射程に入る。本当に完成しているとしたら、核恫喝された日本を米国が抑止してくれるだろうか。それはウクライナを見ればわかる。」


「戦術核だけで米国は軍を動かせない。核抑止ができない。核大国間の核抑止が本当にきくのか、今、怪しくなっている。だから安倍氏は5月にはっきり言った。それを岸田政権はやっていない。無視している。せいぜいやったのがGDP2%、それも5年間でと、ごまかしている。5年後に日本があるかどうかわからない。防衛費を増額されても、海保のお金、港湾やインフラまで入っていて、軍事のお金になっていない。」


「日本が『永久占領』から脱するためには、自主防衛しかない。だから安倍氏が言っていた核シェアリングも、それに向けた一里塚であり、全部見通していた。それが邪魔な勢力がいる。だから、アジアの最後の本当の政治家だった。その人を暗殺した。」


「日本は独立していないがゆえに、食でも医薬でも最終処分場。企業の買収も構造改革で…それが永久占領だった。今も横須賀に行けば鎮守府、これは日本海軍の本拠地だったが、そこにいるのが米国第七艦隊だ。軍事的に自立していないことが経済や生活面でも全部、支配されていることにつながっている。」


「それを52年前に訴えたのが三島由紀夫だった。やっと、当時より気付く人が増えたし、こうしてインターネットで松田さんと話せるが、それでもまだ変わっていない。参政党が拡大する必要がある。国民の支持拡大を日本の自立にどうつなげていくか。シンプルなイシューとして必要最小限にやらねばいけないことを掲げることを政治にお願いしたい。」


「それは憲法改正だろう。立憲君主制の国なのに、誰もそれを言わない。第一条に天皇を置いた國。危機の中でこそ、常識を知ってほしい。グローバリズムは経済的な利権のために多様な価値を破壊していく。これが『世界史的立場と日本』というテーマだ。」


●日本は経済的利益が原理の欧米グローバリズムよりも高い精神性と知性を具有する国

「戦時中に座談会が行われた。『総力戦の哲学』、昭和17年の12月24日に中央公論に載った。ここで語っていたのは西田幾多郎の門下の哲学者や歴史学者たち。京都学派。高坂正堯の父の高坂正顕を含めた4人だった。そこでは…『彼ら(欧米)は表面的な自由・平等の秩序を看板にし、それでもって彼らの支配の不正に抗議しようとする者の口を塞ぐ。要するに、自由・平等の思想は彼らがその経済的な世界支配を操縦するに最も都合のいい道具に化している。』これは今と同じだ。80年間そうだ。」


「この4人の座談会では『国際連盟が英国の傀儡になったことはいい実例だ』とされた。経済的な世界支配擁護のための自由平等だ。だから日本は自由でないと、戦前の日本を叩いていた。そのようにして形式的な平等が実質的な不平等になる。そういう形を持っている。そこにデモクラシーの偽善がある。そう言っていた。今の日本の大学教授たちにこれだけのことを言える人は1割もいない。」


「さらに座談会では、『僕はヨーロッパの近代史そのものが、要するに欲望とか利益とかの次元の原理では、如何に人間なり民族なりの本当の生存が不可能であるかということを示していると思う。』ヨーロッパの人間の欲望や利益を追求する原理で近代が動いているとすれば、本来の人間の生存が不可能になるということだ。」


『利益というものを一歩超越した原理、利益以上の原理でなければ、人間や世界の本当の生き方というものが、あり得なくなったということ、そこに近代ヨーロッパの歴史が到達せざるを得なくなったのではないか。』


「つまり、ヨーロッパ近代が限界に来たことを示している。そして、『今度の戦争が示している事実は、利益の低い次元を超えた一段高い、本当の道義の実現をもたらす闘いである。』としている。日本はヨーロッパ的な利益という皮相なものを超えたところに価値観をもっている。道義国家。この座談会ではモラリッシュという言葉が盛んに使われている。」


「戦争が始まったので、日本人として理論武装しようとしたという批判が戦後あったが、それはためにする議論。彼らは本当に考えていた。あれだけの戦いをやっている中で。」


「こういうことを彼らが語っていた。そういう日本人の精神性や知性をこそ見直す必要がある。維新からの77年とその後の77年の我々のいま、我々は何を出せるのか。これに匹敵するものを我々は出せなければならない。それが来年のテーマだ。」


●核保有と真の自立…日本は多様性あふれる国際社会を創る世界史的立場を示すべき

「その中で、普通に日本が核保有するのが当たり前だということを自覚できるようになる。今はチャンスだ。米国人が日本は核武装しろと言っている。中国共産党に圧力をかけさせる簡単なやり方を考えると、それは日本が核武装することしかないという米国の論者もいる。それによって北朝鮮は核を持つ意味がなくなる。世界の平和のために日本は核を持つべきだということになる。」


「核廃絶ということであれば、オバマのような偽善的なことではなく、日本にしかできない核廃絶の方法がある。それは日本が唯一の核被爆国であることでできることだ。中国共産党が2,000発の核を保有しようとしており、世界には2万発ある。それを日本だけが保有できるようにする。核攻撃を受けた国だから管理ができる。連合国(国連)のもとで。」


「安倍氏以外にもブキャナンやエマニエル・トッドも、日本に核保有を言っている。木村太郎がフジテレビでトッドの核保有発言を遮って打ち切りにした。そういう言論統制がなされている。米国はもう日本を守ってくれず、核抑止もない。」


「ならば、米国は日本に核保有してもらわないと困るはずだ。安倍氏を批判していたワシントンポストですら、日本の軍隊をレジティマイズすることを米国はサポートすべきだという社説を書いた。正当性を与えよ、と。」


「憲法で自衛隊が国軍を継承することを謳えばよい。9条の2項を変えればよい。『前項の目的を達するために、日本は国軍を持つ』と書く。これは世界中の誰もが分かる単純なこと。それが現行憲法制定後75年たって誰にも分らないのか。まさに吉田茂の日本永久占領が効いている。日米安保と9条がセットになっていることを日本人は認識すべきだ。」


「日本が本当に自立することが世界のためである。グローバルな全体主義は金銭的な精神性のないもの。これによる支配から脱却することは、もっと高い精神性を有する日本の役割である。それを世界に示す。示せば、世界中でリアクションが起きて、それぞれの文化に根差した価値観が出てくる。それによって、グローバリズム一辺倒で世界を覆うのとは違うものになるはずだ。世界が多様化に向かう。」


…世界中が異常なときこそ、歴史的に文明の熟度が世界一高かったはずの日本には、自らを取り戻す使命があると思います。新たな地球文明をリードする「日本新秩序」で、互いに異質性を認めつつ共存し合う「大調和」を世界に生み出す国になる。これを促す立場をとるのが、西村氏も期待を寄せている参政党です。


冒頭で述べた赤尾さんとの対談で今年の三大事件として挙げられたのは、ウクライナ戦争と、安倍氏暗殺と、国政政党に成長した参政党の「躍動」でした。前二者が絶望だとすれば、後者の参政党現象は希望です。来年は日本がさまざまな危機に直面しても、危機をチャンスに変え、絶望を希望に変えて、日本が躍動できる年にしたいものです。

良いお年をお迎えください。

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