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執筆者の写真松田学

二つの日曜日の大事件~迫り来る政局と、政局に迫られる新型コロナ対策の局面転換という大テーマ~

最近の二つの日曜日は、世界も日本も激変が始まる日曜日だったかもしれません。まず8月15日の日曜日…タリバンがアフガニスタンを乗っ取ったという国際政治上、歴史的な大事件の日になりました。この日は日本では終戦記念日。激動する国際情勢のなかで国の存立を全うすべく、日本国の志の原点に立ち返って自由で開かれた新しい国際秩序を建設する国になる、そんな思いを私は靖国参拝で英霊たちに捧げました。


もう一つの日曜日は一昨日の8月22日…こちらは日本の国内政治上の大事件の日だったかもしれません。横浜市長選で山中氏が当選。菅総理のお膝元で菅総理が全力を挙げて支援した現職大臣だった自民党候補が敗れ、永田町はいよいよ総裁選に向けて騒然となる…。


ただ、菅政権が横浜市長選を落としたのも、このところの内閣支持率の低下も、要因はデルタ株の感染拡大。このままズルズルと状況に引っ張られているようでは、秋の総選挙でまさかの事態もあり得ないことはない。横浜市長選も当初の予想からみれば、まさかの結果でした。では、政権は事態打開ができるのか…。そのために少なくとも必要なのは、新型コロナについての正しい知識を政治もメディアも国民も共有すること。これに向けて私も、政府与党や参政党、有識者など関係者などとともに動きを開始しています。


今回はコロナについて、免疫のメカニズムやワクチン、抗体医薬なども含め、もっと世間に広げるべき知識に関する論点をいくつか提起したいと思います(ブログ記事とリンク)。


●8月15日、タリバンによるアフガニスタン全土制圧が意味するもの

まずは、8月15日のタリバンによるアフガニスタン全土制圧について、これを私たち日本人は対岸の火事とみてはいけないと思います。この歴史的ともいえる大事件は、少なくとも二つのことを意味するものと思います。


一つは、民主主義を唱道して世界覇権をめざしてきた米国という軸がまた一歩、世界の地政学から後退したということ。米国はもはや、日本にとっても他のインド太平洋の国々にとっても、頼れる存在ではなくなっている。イラクもベトナムもそうでしたが、米国は軍事的な支配はしても、民主主義的な統治機構の整備にいつも失敗し続けています。


その意味で今回の事態は米国の無責任がもたらしたもの。米国が日本の占領政策で成功したのは、日本が戦前から世界に冠たる統治インフラや民主主義を備えた一等国だったから。GHQはその上に乗っていたもので、同じような成功は他国ではできません。


文明の中心が西洋から東洋に移ると言われる21世紀、その最初の予兆が01年の9・11であり、これは民主主義を世界に唱道するとの大義名分に基づく米国の覇権的支配にノーが突き付けられた事件でしたが、その20年後の今回、それには一定の結論が出ました。


もう一つは、中国が主宰する国際秩序やランドパワー軸がまた一歩、拡大しようとしているということ。アフガニスタンをも一帯一路へと取り込むべく、中国は巧みに仕掛けていくことでしょう。この事件が、米国が中東から対中国へと軍事資源をシフトする流れのなかで起こったものであることを考えると、戦狼外交で世界を煽る中国は、この面でも米国を中心とする世界秩序にストップをかけることに奏功していることになります。


心配なのは、いずれもタリバン新政権に親和的な?大陸国家軸である中ロの接近。全体主義的な中、ロ、イラン…を中心に広がるランドパワー軸に対抗すべく、日本は自由で開かれたインド太平洋の中核国として自由と民主主義を価値観とするシーパワー軸を、米国に頼らずに、どうリードするのか。日本が独自の軸を打ち出していくことは、国際社会でより強く求められてくるでしょう。自ら世界の新しい文明の軸を主導するポジションをとるぐらいの心意気がなければ、日本はいずれ中国秩序に飲み込まれることになる…。


●8月15日、終戦記念日に捧げた英霊たちへの誓い

雨にもマケズ、たとえ槍が降っても、この8月15日は参拝…。今年は関東地方も滝のような雨?との嵐が予報されていた日でしたが、私が参拝した朝の時間帯は小雨で、傘無しでも濡れずの二拝二拍手一拝でした。毎年の如く、靖国神社ではチャンネル桜による現場インタビュー、そこで今年申し上げたポイントは、何といってもやはり、ポストコロナの時代に向けて戦後レジームが大転換していることでした。日本の国防のあり方も、自国だけの専守防衛からインド太平洋全体で日本が主導的役割を果たすそれへと転換しています。


かつて英霊たちが、「大東亜」秩序や「八紘一宇」で何を目指したかといえば、19世紀型の植民地秩序からアジア諸国を解放し、平等と協調と調和を旨とする国際社会を形成すること。今度は「自由で開かれたインド太平洋」において、日本の私たちの世代が、その思いを新たな世界の調和の実現に向けて引き継いでいく、そのような時代が来たことへの覚悟と誓いを英霊たちに捧げてきた…。そして、戦後の国連戦勝国秩序は、いよいよもって、これからの国際秩序とは矛盾するようになっている…。


私たち日本人一人一人がもっと日本について知り、戦後に形成された歴史認識を正常化し、価値観を同じくする西側諸国との間でこれを共有していかなければ、中共による覇権的な全体主義秩序を抑制していくことができなくなる…云々。「大東亜」を軍国主義だと誤解する人が未だに多いようですが、世界で実際に進行している現実と照らしてみれば、このメッセージを極めて自然に受け容れる人々が増えていると思います。英霊に報いるためにも日本を正しく知る…今後ともリアリズムに基づく議論の発信に努めてまいる所存です。


●8月22日、横浜市長選ショック…実は私も目指したことのある横浜市長

次に迎えた日曜日である8月22日は、横浜市長選の投開票日、あっけなく結論が出ました。22日20時に『山中当確』が流れても仕方がない…横浜市長選は、そんな小此木陣営の予想のとおりの結果に。もはやIR誘致ではなく、新型コロナが争点でした。これは横浜市民だけでなく、菅政権への支持がコロナで落ちているのは全国的にもそうですから、このままでは来る総選挙を自民は乗り切れるのか…。これは、総理のお膝元の横浜市で、総理が全面支援した総理側近の大臣が落選したことを上回るインパクトではないでしょうか。


早速、総裁選に向けて永田町は政局に向かうか…。国民の不安がコロナで高じるなか、今回の市長選は、新型コロナの専門家としてテレビにも出ていた山中竹春・前横浜市立大学医学部教授を担ぎ出した立憲民主の作戦勝ちとも言われます。ただ、山中氏がテレビで述べていた中和抗体の説明は、井上正康先生に言わせれば、「専門家としての見識を疑う」…。それは、ふだんから上久保先生や井上先生から学んでいた私のような専門外の者が聞いていても、こんな人をもてはやすテレビメディアのコロナリテラシーの低さに、「?」となる内容だったと記憶しています。この点、果たして横浜市民の期待に応えられるのか…。


さて、ここで少し昔話をいたしますと、実は、私が財務省を飛び出して政界入りを決めたのは、今から12年前の横浜市長選に出ようとしたことが最初の契機でした。財務省から東京医科歯科大学教授に出向した頃から医療システム改革の議論の世界に飛び込んだ私は、日本の医療が、超高齢化が進んでも国民のニーズに応えていける持続可能性を確保するために、「三層構造の医療財源システム」などのプランを提唱し、論壇や著書「競争も平等も超えて」でも発信していました。


このプランは、海外に流出している日本の莫大な金融資産を国内のマネー循環として社会保障に活かす、そのために富裕者が喜んで医療システムにお金を投じる受け皿となる仕組みを構築し、これを低所得者も含めた医療全体の底上げに活かしていくという提案で、パブリックエクイティなどの新しい金融商品も構想しておりました。これはきっと、日本最大の自治体である横浜市でこそ実現できる、横浜市長として自ら実践し、世界に冠たる横浜モデルを創る…その他、医療以外にも、当時から政策設計では自信のあった私には、様々な構想がありました。


もう12年も前なので書いてもよいと思いますが、当時、横浜の地元政界には主要政党のいずれもが私でまとまろうという動きがあったのですが、中田宏市長(当時)の突然の辞任のゴタゴタの中で、小沢一郎氏が林文子氏のカードを持ち込んだことから、市長選に出ることを断念した経緯があります。小沢氏から林カードが出なければ出馬して当選していた可能性があり、もし、私が横浜市長になっていたら、横浜モデルを起点に日本はもう少し前に進んでいたのではないか、今回のコロナ騒動でも医療崩壊の懸念など生じない地域医療福祉モデルを構築していたのではないか…。誠に手前味噌な話ではありますが…。


いずれにしても、今度誕生する横浜市長には、横浜市の潜在力を十分に引き出し、日本の未来社会のモデルを生み出すだけの力量と見識と実行力と行政能力を求めたいものですが、それがちょっと無理そうであることを懸念しています。


●いよいよ政局へ…総裁選のテーマ設定に当たってはコロナ対策のモードチェンジを

さて、そもそも菅政権低迷の最大の原因は、英国ジョンソン首相のような、コロナ対策のモードチェンジ(局面転換)を菅総理が決断できないでいること。私も含めモードチェンジプロジェクトチームは今年の初めから官邸筋にこのことを求めてきました。私が新型コロナについて本コラムでも述べてきた内容は、官邸筋もほぼ同じ認識を共有しています。


問題は、専門家会議やメディアの煽りですっかり「コロナ脳」になってしまった国民世論。そんな状況では、政権トップが自らの判断と責任で決断し、自らの言葉で断固たるメッセージを発信しなければ局面打開は不可能です。官邸筋も本音では、そうしたいようなのですが…どうも、デルタ株の感染が拡大している、重症者が若い世代でも増えている間は無理(井上先生によると、これこそデマだそうですが)、西村大臣などはお盆では親戚どうしで集まらないようにとまで言ってしまった…云々で、決断できないようです。


秋の総選挙に向けて、道は二つでしょうか。横浜市長選の敗北で危機感を強めた菅政権がいよいよモードチェンジを決断するか、それとも、総裁選を華々しくやって、各候補が政策論を争い、自民党に対する国民の注目を高めるか…。こうなると、総裁選の主要テーマもコロナにならざるを得ないでしょう。ここで立民の「ゼロコロナ」へと向かう選択肢があってはなりません。やはり、感染症や免疫学に対する正しい知識に立脚した、ウイズコロナと社会の正常化への方向転換の軸が出てこないと、総裁選の意味もないというもの。


井上先生と私の共著「新型コロナが本当にこわくなくなる本」の内容を咀嚼し、自らの言葉で断固たるメッセージにできる総裁候補が現れてくれなければなりません。果たして、それができる真の政治家が自民党にいるのか…。私はいま、こうした政治決断に必要な環境づくりのために、専門家・有識者グループを結成してコロナモードチェンジに向けた収束した声を発信し、広く世論に働きかける準備を進めようとしています。これは、政権がどうあれ必要なこと。決断は菅総理がするのか、新総理がすることになるのか…。


●コロナモードチェンジに向けた論点と局面転換に必要な基礎知識

支持率低迷の原因であるコロナ情勢をみると、陽性者数(本当は≠感染者数)は累積で人口の1%に達したようです。それでも1%。99%の国民が未だに新型コロナは無関係。と言うより、もうほとんどの国民が無症候感染を終えているか、これからそうなるか、そのなかでたまたま感染中の人がPCRで陽性になっているもの。むしろ、自然感染が広がったほうがワクチンよりも強力な自然免疫も広がります。


モードチェンジに向けて必ず議論になってくると思われる論点については、私からの質問を受けるかたちでお答えになっている井上先生の知見をご紹介したいと思いますので、次の記事をぜひ、ご覧ください。


◆新型コロナ対策のモードチェンジのために必要な基礎知識について

 ~井上正康先生に訊く~

 ↓↓↓


ここでは、免疫のメカニズムや感染症としての新型コロナの実態のことだけでなく、抗体カクテルやイベルメクチンといつた医薬についても解説がなされています。


このなかから、世界中の政府が接種を国民の義務であるかのように強力に推進しているワクチンについてだけ、ここで簡単に結論をご紹介いたしますと、新型コロナウイルスへの自然感染によって得られる自然免疫は、ワクチンよりも有効性がはるかに高いことが示されています。


このことにいずれ人類社会が気付いたとき、それはポストコロナに向けた人類文明の転換を象徴する出来事になるような気がいたします。今回のコロナパンデミックは、「自然は人為によって克服すべき対象である」として拡大発展を続けてきた西洋文明の行き詰まりと、日本が古来営んできた自然との共生こそがこれからの人類社会の道であることを示しているのかもしれないからです。日本が国際社会のなかで打ち立てる独自の軸は、ここにもあるのではないでしょうか。


だからこそ、日本人が世界に先駆けて以上に述べた新型コロナに関する正しい知識を共有することは、単なる政権の安定を超えた大きな意味があるのではないかと思います。


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