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執筆者の写真松田学

トランプ政権誕生前の危機と誕生後に問われる日本の切り替え~いま台頭が望まれる本物の「保守」とは何か

来年1月20日のトランプ氏の大統領就任を前に、世界中で混乱や騒乱が起きています。ウクライナでは、就任直後に予想される停戦を前に、軍産複合体利権としては武器を売れる今のうちにと?西側が戦争の継続拡大を図り、これがプーチンを刺激して核戦争の危機に?シリアでは反体制派の蜂起でアサド政権が崩壊に至りましたが、この反体制派を支援してきたのが、トランプ氏が潰すと宣している米CIAだったとされています。


そして韓国では尹大統領の非常戒厳。露中北に対抗して米日韓の結束を強める尹氏を、北朝鮮をバックとする革新勢力が今のうちにと追い詰め、少数与党の国会が機能不全となったことが、この一連の大騒乱の発端にあるようです。このまま韓国が政局となり、再び、あの文在寅前大統領の「共に民主党」の「従北」勢力が次の政権に就き、さらにトランプ氏の下で在韓米軍撤退なら、日本の防衛線は38度線から対馬海峡にまで後退する事態も…。


中東では、トランプ氏から、自らの政権誕生まではイスラエルは何をしてもいいとネタニヤフ氏は言い含められているとか…。この際、宿敵イランに核攻撃?この地域で紛争がエスカレートすれば、米軍の配置において極東が手薄になります。年末年始は沖縄の米軍基地からも米兵が帰国し、極東の守りはスカスカだそうで、米国のエルドリッジ博士によると、この機に中国が台湾を侵攻する可能性がある…そうなると日本も有事か…。


そんなとき、日本の国会の政局の焦点は依然として政治とカネです。もう一つの焦点である「103万円の壁」については年末に向けて与野党で何らかの妥協が図られるとしても、こちらは企業団体献金の禁止問題で自民党は譲れないでしょう。ただ、この問題も少し考えてみると、禁止を主張する野党は、選挙で票を個人が入れるのが民主主義であり、それが企業団体の側から献金によって歪められるという立場ですが、本当にそうなのか…?


それを言うなら、投票とは別に行われる国会議員への意見陳述や働きかけなど、国会での意思決定に影響を与える全ての行為がおかしいことになります。そんなギスギスした社会でいいのか、政治活動の自由が個人であれ団体であれ、何人にも保障されているのが自由社会の基本という正論もあります。米国では正々堂々のロビー活動が当たり前。


確かに、軍産複合体が民主共和の両党議員への資金提供で米国に戦争をさせてきたのは問題ですが、日本とは桁が違います。ハリス氏は、大統領選で1,500億円の資金を集め、その殆どをテレビ局に供与、結果として全米のテレビが専らハリス氏を報道し、それがマスコミ調査でのハリス優勢を導いたそうです。兵庫県知事がSNS対策に資金を出したかどうかが問われているほど法規制が厳しい日本は、既に政治とカネでは米国よりかなり厳格。


企業団体献金が望ましいというわけではありませんが、問題は、これを法律で禁止するかどうかでしょう。結局、役員や社員という個人に分散した形での寄付など不正が水面下に潜る…規制がモグラ叩き状態を導く事態は日本でこれまでも繰り返されてきたこと。政治にカネがかかる、そんな選挙のあり方こそ根本問題であり、大事なことは公開でしょう。


そこで、党のカネの出元が企業だとなると、その党は企業から影響を受けていると有権者が判断することになる。労組系政治団体なら、労組から影響…と。そこを判断して有権者が投票で審判すればよいこと。最後は国民が判断することが民主主義の基本です。ちなみに参政党は、理念に共鳴する個人が参加する近代型政党として、専ら党員からの党費と個人からの喜捨を財源とすることで他党とは差別化しています。これは各政党のポリシーに委ねることであり、法規制で自由社会をさらに縛ることには慎重であるべきでは?


いずれにしても、こんな内輪の問題にさっさとケリをつけ、今は国会を挙国一致で機能させて危機に備えるべきとき。ただ、無事にトランプ政権が1月に誕生すれば、日本には時間的猶予が与えられるかもしれません。ウクライナも中東もトランプ氏のディールで戦争が終結、中国には、台湾侵攻なら150%関税だと脅し、経済も軍事もガタガタ状態の中国はこれを最も恐れていますから身動きができなくなる。そんなディールが予想されます。


すでにトランプ氏はカナダやメキシコに対し、薬物・不法移民対策を25%関税で促しており、早速「タリフマン」の面目躍如で世界に不安を与えていますが、むしろ、関税による平和か?このトランプ政権の間にこそ、日本は自国防衛を再構築すべきでしょう。「自分のことは自分で」のトランプ政権が有事において日本をどこまで助けるかも疑問です。今回は、トランプ政権の性格を語っていただいたエルドリッジ氏との対談をご紹介します。


こんなとき、問題は、左傾化している日本の政界の側にあります。安倍氏暗殺、旧安倍派の掃討、総裁選での高市氏潰し、グローバリズム勢力隷従の「岸破」政権誕生…こうして自民党内で「左翼革命」が起きた一方、総選挙の結果、国会では少数与党の下で立憲民主との事実上の「大連立」?今こそ保守現実派が政治の主流となるべきなのですが…。


戦後の洗脳政策の影響が残る日本国民の間には、「保守」と聞けば、危険な右翼とか、偏狭なナショナリズムなどといった拒否感が結構あるようですが、政治の左傾化や全体主義から日本を守る健全な政治が実現するためには、そもそも定義が曖昧な「保守」とは何なのか、一度、整理しておく必要があると思います。今回はもう一つ、保守哲学とは何なのかを論じた、ゆめラジオ主宰の松本誠一郎氏の見解もご紹介したいと思います。


●トランプ氏大勝の背景…米国の間違った方向への国民の危機感、メディアの敗北

日本は早く頭を切り替えて準備せよ!こんなメッセージを送ってくれたエルドリッジ氏との対談は、トランプ氏を大勝させた米国内の最近の状況変化の模様から始まりました。同氏によると…「この8年間で米国の政治や社会がおかしくなってきた。多くの国民がそう思い、1期目のトランプ政権を誕生させた。2020年から4年遅れてのトランプ再選は、これまでの国民の不満の規模が何倍にもなった、その結果だ。」


「民主党政権下で米国が弱体化。もうメディアが隠すことができない。不正、トランプへの妨害、連邦政府の武器化、メディアやSNSとの癒着…。選挙結果は当然だが、DS(ディープ・ステート)が勝利を阻めなかったことに驚いている。来年1月20日の就任までにDSが妨害するチャンスがまだある。閣僚承認人事での非協力もあり得るだろう。」


「72%の米国民が今の米国が間違った方向に進んでいると考えている。トランプは250年ぶりの革命をする。最初の2年間で猛スピードで…楽しみだ。」


「既存のメディアが影響力を喪失したのも大きな流れだ。政府と一緒になってプロパガンダ組織になったことが明確化。メディアこそが米国を分断するアクターそのもの。国民の信頼度が低い。政府がトランプに対してやっていたことがどう考えても違法的。憲法で保障された国民の権利がある。これを国民に対する攻撃と受け止めていた国民が多い。」


「特に言論の自由。恐ろしい政府への国民の反発。今回は民主党の敗北だけではなく、メディアの敗北でもある。日本も参考にしてほしい。」


●トランプ氏が取り組む内政と外交のアジェンダ

「どの分野でも今の方向性が全て間違っていて、250年前の憲法の精神に戻す。言論の自由の再強化、対外政策を建国時の非介入主義に。かつてなく大きくなった政府の大幅縮小。」


「日本に圧力?トランプは特別ではない。アイゼンハワー大統領と同じ共和党にする。同盟国はもっと負担すべきと、その政権も言っていた。政府を小さくする。よき共和党的な考え方をトランプは持っている。」


「日本でもトランプ革命が引き起こされる日が来る。この4年間、主権侵害が日本になされてきたので、トランプが何をやるかをよく見てほしい。」


「トランプの3つの課題は、①内政。国内問題の解決。➁経済の再建。➂対外政策。うち、①は、インフレ、貧困の格差、教育、依存症…。次期副大統領のバンス氏は貧困の酷い地域で出生、問題の本質を分かっている。だから、政府が解決すべきとは思っていない。国民が政府ではなく自立心で取り戻す。本人が成功例。トランプはかなりの部分をバンスに任せる。著書ヒルビリーエレジーがトランプの政策になる。米国の酷い貧富の格差。」


「➂は4つのこと。第一に、ウクライナ戦争の停戦、まず、これをやる。同時にロシアとの関係修復。ロシアと中国との関係を切り離す。中ロの接近がウ戦争の最大の失敗。二つ目がガザ政策。取引する。中東の他国にイスラエルを国家承認させる。交渉を再開。」


「三つめは台湾の国家承認。これで中国との関係は悪化。トランプは中国とロシアとの関係を薄くさせるので、中国はロシアにそんなに期待できない。中国との経済関係のデカップリング。そして、中国共産党の正当性そのものを攻撃。中国の内政を弱くする。そして最後に北朝鮮との平和条約。もし北が台湾で中国に協力したら、これはない。」


「米国からの支援に頼っているウに対し、支援を取り上げる。議会が反発する。ウ戦争は結局、おカネの話。軍事会社で儲かっていることで議員たちが潤っている。いかに儲かっているかトランプは分かっている。これをやめないとワシントンの問題は解決しない。」


●年末から正月にかけて中国が台湾に軍事行動か、トランプ政権が誕生する前に

「中華人民共和国は革命で生まれた。中国の代表は台湾だ。中国共産党は国民を代表していない。腐敗が多い。全部、曝露する。中国共産党員の米国内資産を公開するとか。」


「その前に、早めに中国は台湾に侵攻する。中国が一番恐れるのが、このようなトランプ政権だから。いまは移行期なので現在の政府関係者が辞めていくし、米軍が弱体化。『DEI(Diversity、Equity、Inclusion)』政策で、軍隊を社会的実験の場で使ってきた。米軍に残っている人たちがイナーシャ、勇気をもって問題をみる人がいなくなっている。」


「12月の後半から1月の前半は米軍が休暇、沖縄に殆どいない。中国が分かっている。正月にかけて危ない。バイデンも認知症。二つの戦争も続いている。ロシアへのアプローチも出来ていない。今が中国にとって最大のチャンス。日本も正月休み。」


「日本が弱いのは、最悪を考えていない国民であること。有事となると日本は何もできない。日本が関わる法的根拠がない。台湾関係法がない。日本は法律にうるさい国。中国は賢く、日本が参戦できないようにしてやる。日本での米軍施設をあえて攻撃しない。自衛隊が発動できない。日本には中国の影響を受けている政治家が多い。わざわざ戦争しなくてもいいという政治戦、情報戦をやる。」


●日本は猛スピードで進む革命への準備を、参政党は勇気をもって発言してほしい

「石破政権が極めて弱い。特に安保や対外政策の閣僚の方々が弱い。日本は、今までの常識を早く捨てなさい。その覚悟が必要。革命が来るから準備しなさい。」


「トランプは石破総理について色んな助言を受けているだろう。トランプ氏は忠誠を大事にするから、『晋三の敵』である石破氏にはつらく当たるだろう。総裁選ほど簡単な選択はなかった。トランプが勝つと皆わかっていたはず。なのに、石破氏を総裁にした自民党は愚か。高市さんしかいないことがわかっていたのに。救いようがない。」


「民主党は今は、不正をしても勝てない政党になっている。米国がどんな状況なのか正確な把握が大切。速い意思決定ができることが大事だが、自民党政権にはできない。」


「トランプ氏は一期しかないし、2年後には中間選挙だから、速いスピードで革命をやる。今の民主党の中にあるがん細胞を除去する必要。共和党は人材豊富。これから12年間、共和党政権がもつかもしれない。最初の2年が重要。日本は切り替えが必要。トランプに近い考え方を持つのは参政党。勇気をもって発言してほしい。」


●18世紀に芽生えた保守:台頭した理性主義に対抗して理性の絶対視を否定

では、日本に問われる「切り替え」をどう実現するのか。年末年始の危機を乗り越えたあと、トランプ政権が日本に与える時間的猶予の間に、まずは来年の参院選(衆参同日選?)で政界の「切り替え」ができる政治勢力の台頭が不可欠ですが、その際に期待される「保守」勢力が存分に票を伸ばすためには、そもそも保守とは何なのかについての国民の理解がもっと広がらねばなりません。その哲学的背景について語った松本誠一郎氏によると…、


「保守思想は18世紀から。それは啓蒙の時代だった。啓蒙とは理性と同義語。18世紀は理性の時代。ルソー、カント、理性は素晴らしいと。人権思想が同時に芽生えた。結実がフランス革命。偉業といわれ、自由平等博愛。」


「しかし、英国でフランス革命を苦々しくみていたのがエドマンド・バーク。自由思想の持ち主とみられていたのに、フランス革命が下劣で恐ろしい結果を生むだろうと述べた。人間は思った通りの物事が進む、計画ができる、理性でできるという前提がフランス革命にあったが、これは間違い。人間は設計も計画もできない。」


「確かに、理性があるから科学が進歩した。しかし、恐ろしい部分がある。反対者を切っていき、分断に。社会主義では粛清。これが正しいという者以外は排除。一種の全体主義。これは宗教がやっていたこと。異端を排除した。自分の理性は正しくて他の考えは間違いに。理性の宗教化。共産主義とは全体主義。理性に行き着く。」


「理性が絶対に正しいわけではない。いつも、自分の思っていることは将来、反証されるかもしれない、それが理性を使う前提。これが保守哲学の根拠に。


「ロベスピエールは『民衆には拝むものが必要だが、キリストというわけにはいかないので、理性という像をつくり、民衆に拝ませればよい』と。まさに理性の宗教化。」


「これに対し、理性に重きを置かないのがバーク哲学。反証可能性の余地を残す。徐々に変化。急激な変革はしてはいけない。長いことやってきたことに価値がある。間違っているなら政策を徐々に変えていく。国体を変えるのではない。」


「それでも社会主義がいいという人たちは、ああいう社会主義はおかしかった、マルクスを誤読していた。もっと豊かな『コモン』を追求すれば資本主義より落ち着いた世の中になると言い始めた。これに対して保守は反論を用意しないと敗ける。コミュニズムのコモン、共同体、みんなで絆。そこは保守も分かち合っていい。共同体、そこでみんなが自分を認識する。より良い意見を出し合う。」


●時間性と民族性、全体主義に陥らないゆるやかなコミュニティ:参政党に期待

「19世紀の哲学とは、現象学だ。社会主義と似たような時期の19世紀の終わりごろ。議論の前提は、みんなが同じものを見ていること。みんなが同じ認識ができるようにしよう。自分が認識しているその行為に注目する。それで純粋さが保たれ、他と同じ認識ができる。」


「フッサール。その弟子がハイデガー。みんながバラバラの認識をしている。トランプ氏についてもそうであるように。ただ、自分が何かを考えていることには疑いがない、そこを起点に考えよう。われ思うゆえに我あり。その答を出したのがフッサール。」


「だが、どうも無理。我々は真空状態で認識していない。特定の土台で認識。その最たるものが言語。日本に生まれ、その伝統の中で生きてきた。その置かれた状態からは逃れられない。その伝統言語、習慣やしきたり、それを共有できる人々の間では共通認識。『生活世界』。生活を共有している民族を土台に認識を共有していこうと。土台とは民族性。」


「ハイデガーの『存在と時間』。時間性。過去、現在、未来へと。時間性に人間は貫かれている。世界内存在。民族として時間を共有。過去があるから現在がある。未来も現在に入っている。過去への責任とともに未来への責任も忘れてはならない。これが保守哲学。」


「ただ、ハイデガーには黒歴史。フライブルク大学の学長時、1933年にヒトラーが政権、彼はナチ党に入党、学生にナチ的な演説。一年でやめたが、これがハイデガー哲学につきまとう。保守思想が全体主義につながりやすい側面。保守は素晴らしいと言いたいが、全体主義に傾きがち。国家主義に。」


「理性は信頼できないとともに、保守を全体主義、排外的な国家主義にもっていってはいけない。ハイデガーを師匠としたのが日本の京都学派。戦争にコミット。京都学派は保守の中では反面教師。結局、右から行っても左から行っても全体主義になりやすい。」


「右左の枠組みにとらわれず日本を大事にする。全体主義にならない仕組み、自分でやる、そのコミュニティが寄って集まって参政党に。ポストモダン思想。ゆるやかにつながっても、表では違っていて離合集散。それを反映しているのが参政党。ブロックチェーンの仕組みをうまく利用すると、コミュニティは暴走しない。」

 

…参政党はもともと「保守」を意識して創られた政党ではありませんが、こうしたコミュニティを通じて、日本を良くしたいという人々がつながるプラットフォームであることや、過去の日本の歴史を大事にし、未来に日本の国柄を継承していくことを重視する政党であることをもって、結果として本物の保守であり、「保守派」の人々から支持されることになっている政党だといえるでしょう。


ちなみに、トランプ政権で「革命」に携わるイーロン・マスク氏はかねてより「侘び・寂び」など日本文化に深く傾倒し、「八紘一宇」の世界観を有する人物だそうです。日本に問われる「切り替え」とは、日本が培ってきた精神性や調和の文明と、トランプ氏が敵とするグローバリズムとの闘いで成果をあげてきた自国の歴史に立ち返って、日本独自の立ち位置を明確化することなのかもしれません。

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