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  • 執筆者の写真松田学

二つの危機、国家解体と国土解体?の危機~3・11から12年を迎え、改めて日本人に問われる意識改革~

国会では立憲民主党が放送法の解釈をめぐり、7年も前の前々政権のことで、次は高市氏?まさに安倍政権時に憲法改正をストップさせた「もりかけ」を再現して、また日本の足を引っ張っているようです。国益派の与党政治家が次々と狙われてきましたが、これだけの国家の危機のもとで、日本の国会はそんなことをしていられる状況ではないでしょう。


どうもグローバリズムのもとで何かが狂っている…そう思わせる事態が相次いでいます。新型コロナやワクチンに続き、今度は昆虫食?日本の為政者たちは何を考えているのか?


LGBTをめぐっては、世界の潮流がもう変わっているのに、日本では差別禁止法案?米国連邦議会では先日、LGBT差別禁止法案が廃案となり、教会などが同性婚を拒否できる法律が成立したそうです。差別社会の欧米とは異なり、元々、歴史的に同性愛を受け容れるなど差別のない国である日本は西洋よりももっと大人の文明国であることを忘れるべからず。


最近、制度としての同性婚や夫婦別姓についてもイエスかノーか党の態度を明確にせよといった性急な議論が目立ちます。しかし、日本のような長い歴史を通じて営まれてきた国柄に関わる問題は、慎重に時間をかけて国民合意を形成すべきものではないでしょうか。


よく、国際社会の潮流がこうだから日本は遅れているなどという議論が左サイドから提起されますが、武田邦彦先生や小名木善行氏が指摘しているように、そもそも日本は西洋文明よりもはるかに進んだ文明を営む国でした。遅れた西洋文明に合わせるという発想自体、国を誤る元になります。GHQ以来破壊された日本人としての自尊心を取り戻すことが、本物の「日本を取り戻す」ことではないかと思います。


先日、銀座数寄屋橋交差点で行った街頭演説の空き時間に寄った近くのデパートでは、北京か上海の空港に来たかと思ってしまうような中国語のアナウンスが流れ、なんと、コオロギのスナックが販売されていました。あぁ、このままでは日本はやられる…。


グローバリズム支配の脅威と参政党を知る人の多くが、日本を救うには参政党しかないと仰ってくれますが、地上波TVが取り上げないのでまだ知らない人が多い状況。現在は私も、4月の統一地方選に向けて応援のため全国を飛び回っていますが、日本の政治に新しい選択肢ができたことをもっと多くの国民に知って頂くためにも、この選挙は大事です。


その合間を縫って、去る3月11日に、第Ⅱ期「松田学の新・日本経済塾」最終回で、座長である私が講義をいたしました。これまでリアル、オンライン併せて多数の皆さまに受講して頂いたこの講座では、新たなデジタル基盤であるブロックチェーン、なかでも自律分散型のWEB3.0を核にして、次なる社会、経済、地域やコミュニティ、そして政治を組み立てていくために必要な情報技術の特性に関する最先端の知見を、5人の外部講師を呼んで6回にわたって共有し議論してきました。次期は今年5月をめどに第Ⅲ期を開講します。


最終的には、「松田プラン」の実現に必要な国産WEB3.0ブロックチェーン共通基盤や、国産メタバースなどを活用した参加型民主主義の仕組みを組み立てることを目指しています。まさに参政党が創り出す次なる社会づくりに多くの党員が熱心に参加しています。


その全ての前提は、ブロックチェーンで最終的な世界覇権を握ろうとする中国や、グローバリストの世界支配の手段と化した現在のWEB2.0に基づくプラットフォーマーに対抗して、日本独自の情報やサービス、そして通貨の基盤を構築すること。人口減少社会の日本が海外勢や外国人労働者に頼ることなく活力を高めていく道は、これから起きるブロックチェーン、AI、ロボットの3つの革命の流れを自らのものにしていくしかありません。


日本の国柄を反映した人間中心の世の中づくりで日本の付加価値創造を高めていく。デジタル化に必要なのは、この基本哲学です。日頃のルーティンや金利の支配から人々を解放し、アナログな存在である人間を取り戻すためにこそデジタルを徹底活用する。


日本が直面している危機は国家だけではありません。国土もそうです。3月11日は東日本大震災からちょうど12年を迎えた日でもありました。デジタル基盤は防災面でも大きな役割を果たしますが、究極的に国民を救うのは人間力であり、人々の協働で営まれるコミュニティでもあります。今回はこのテーマについても取り上げてみます。


●国家解体の危機と米国CPACから見えた日本の危機

まずは、国家解体の危機ですが、今回は、この問題に日本よりも早く直面した米国に触れてみたいと思います。米国分断の危機感が米国民に広がる中で、次の大統領選の共和党最有力候補となっているトランプを支持する人々をMAGA(make America great again)と呼びますが、そのMAGA派が結集するのがCPAC(The Conservative Political Action Conference:保守政治行動会議)。


私は昨年12月に東京で開催されたCPAC-JAPANに講師として参加しましたが、何と言ってもその最大のイベントは毎年3月頃に本家本元の米国で開催されるCPAC-USA。私も参政党代表として参加したかったのですが、諸般の事情で参加できなかった私に代わり、松田政策研究所のパートナーである山岡鉄秀氏が参加し、MAGA派の要人たちとも会談してきたようです。その山岡氏によると…


「ここまで米国を解体の危機へと追い込んだグローバリズムに対して、本気で戦うファイティングスピリットの人材が米国には無数にいる。一人一人が米国は闘う国であることを痛感した。それに引きかえ日本は…」


日本にはわずか参政党があるのみです。同日の3月4日には参政党も「春のBAN政り」を開催し、約4,000人が参加しましたが、その数も、グローバリストと闘う論者たちの数も、米国CPACとは未だ桁違い。山岡氏はこう続けます…


「米国民主党系グローバリストと中国の植民地と化している日本は、2030年までもたない。彼らに支配されている自公政権では無理。まだまだ米国よりも小さいが、闘う姿勢の参政党が本当に伸びないと…。」


同氏がCPACで聞いた声は…「米国は海外のことにかまっていられないほどの危機。ウクライナ戦争を早くやめよとの声。ウクライナと中国ズブズブのバイデンが莫大な税金を投じているのがこの戦争。台湾有事で米国は日本を助けるか?助けると言いながら実際には助けない民主党とは違って、MAGAの人たちは戦争を起こさせないと言っていた。」


確かに、自国のことは自国でやれというのが共和党MAGAの精神です。


「自民党ではトランプ支持と言うと外される。だが、トランプが大統領だったときだけ米国は戦争を開始しなかった。ウクライナ戦争も24時間以内に終わらせるとトランプはCPACでも述べていた。」


「米民主党は徴用工問題でも、日本への内政干渉甚だしい。LGBT法案の成立を期待するとか…。それに対して日本は何の芯もない外交だ。バイデン政権にとって日本と韓国は米国の植民地、日本独自の外交は許さないと考えている。米国にとって日本ほどおいしい植民地はない。お金はくれるし、治安がよく統治しやすい。民主党は超傲慢の干渉体質。」


「対する共和党は逆。ただ、日本をより自立させるか?と訊いてみたところ、暫く考えてから、その方向に向けて変わるかもしれないというぐらいの意識だった。『米国第一』の彼らは、ふだんは関心がない。安倍さんが最初にトランプに中国の脅威を説いたから、トランプは動いた。トランプ復活の際に、それができる政治家は日本にいるのか。日本はきちんと言わねばならないし、言えば動くのが共和党だ。」


ただ、日本の政治家たちの危機意識は極めてお粗末です。日本が中国から核恫喝を確実に受けるようになるこんなときに、国会はLGBT、夫婦別姓、放送法?北海道の状況をみても、日本は米中ロによる分割統治、共同管理に向かっているかのようです。


「ウォールストリートと中共とが手を組んでいる」…現在の対立軸は国家対国家というよりも、グローバリズムvs国家主権であり、それが各国内で対立構造になっているとみるべきでしょう。日本の国政政党では「国家主権」の側には参政党しかいない状況ですが…。


「米国が世界から撤退する中で、日本に賢い愛国政治家がいれば、では、自立しましょうとなるのに、ダラダラと従い、中国に盗られ…。こっちの軸をつくり、世界の考えを同じくする勢力と組む大戦略が必要。願わくば共和党に復権してもらって、きちんと日本は説明しなければならない。林外相のようにビートルズを歌うのではなく。MAGAは米国第一主義だから、日本がきちんとアプローチしなければならない。」


だからこそ、日本は自国の国家の軸を国民意識としても取り戻さねばなりません。


●もう一つの危機は国土の解体…3・11から12年、談話を発表

日本にはもう一つ、こちらも見に見えない、そして目に見えないからこその危機でもあるもう一つの巨大な危機がほぼ確実に到来します。3月11日の東日本大震災12年目の日に当たり、参政党は私の名で下記の談話を発表し、一部メディアで要約が報道されました。


◇【談話】東日本大震災から12年を迎えて|松田学

日本の歴史に大きく刻まれることになった東日本大震災から本日でちょうど12年を迎え、ここに改めて犠牲となった方々に哀悼の意を表しますとともに、未だにご苦労が絶えない被災地の方々のお力に少しでもなれるよう、参政党としても全力を尽くしていく決意を新たにしているところです。


参政党は昨年5月以降、岩手県、宮城県、福島県に支部を設置いたしました。その支部員の多くは被災者でもあり、被災地域の人々とともに復興に向けて歩んでいきたいと考えています。


また、党としては、発災後12年という節目を迎え、国が被災者の皆さまの思いに十分に寄り添ってきたのか、被災地に自立的な経済循環を生み出すだけの支援策を効果的に講じることができたのか、原発事故などへの対応は的確になされてきたのか、政府には改めてこれまでの施策の検証と総括を求めるとともに、被災地が復興に向けた次のステップを歩み出し、東北地方が日本の次なる社会の先駆的なモデル地域へと飛躍できるよう、国政の場においても力を尽くしていく所存です。


日本の国土はいずれの地域も巨大地震がいつでも襲来し得るリスクを抱えています。一人でも多くの国民の命を守るために必要なのは、日頃からの防災意識の涵養と地域での共助であることは、これまでの激甚災害の経験が示してきたところです。参政党としては、各地域での防災知識の共有や、いざというときの助け合いの仕組みの構築などに向けて、防災をテーマとするコミュニティの創出に、全国の各支部や党所属地方議員を中心に取り組んでいきたいと考えています。


今後とも東日本大震災の記憶を風化させることなく、この経験を活かしながら、それぞれの地域における多様な立場の人々の協働によって災害に強い国づくりを進めていくとともに、東北被災地域の未来に希望を生むために、党として尽力してまいる所存です。


●防災の要諦は地域での共助の仕組み…コミュニティ型政党としての参政党の役割

防災というテーマは番組として配信しても視聴数が伸びず、選挙でも票にならないからか、あまりイシューになりません。これは人間には異常事態を考えたくない「正常性バイアス」が心理的に働くからかもしれません。


しかし…首都直下型地震も南海トラフもいつやって来るかわからない、必ずやってくる大災害。政府もあまりに被害が巨大すぎて対策はお手上げのようで、実際の被害は発表数字とは桁違いになることが分かっています。


防災のポイントはやはり、人々の意識改革とコミュニティです。参政党は地域でのコミュニティ創出を柱とする政党ですから、この党にはピッタリのテーマでしょう。誰にとっても命に関わる重大問題である防災をテーマに、コミュニティづくりのイニシアチブを参政党の各地方議員がとってほしいですし、統一地方選でも各候補者がテーマにしたいもの。


いつも大災害が起きるたびに、知っていれば、コミュニティを作っておけば、亡くならなくて済んだ命がたくさん亡くなっています。以下、松田政策研究所CHで、上記の視点から実際に防災事業に取り組んでいる専門家が述べた内容を簡単にまとめてみます。


まず、基本的に認識すべきことは、首都直下型、南海トラフでは、発災の瞬間に都市性能と地域のレジリエンスが大きく低下し、それをどの程度防ぐことができるかがポイントである中で、日頃の予防が大事だということです。


それは、①自助努力の確保です。備蓄のほか、発災時の行動、行動心理が関係します。そして、②共助力。地域コミュニティの力を強める。有事の現場力。防災の教育。定期的な訓練で予防力を強化することなどです。公助で助かる比率は低く、基本は自助と共助。


●国家を衰亡に追い込む被害額GDP比1.5倍の首都直下型地震と薄弱な防災意識

首都直下は今後30年の間に70%の確率で起きますが、現状では未対策。規模が大きすぎて対応不可能とされています。被害額40.9兆円が内閣府の公表ですが、土木学会の試算では、750兆から800兆円と、GDPの1.5倍となります。被害者数も発表よりはるかに多く、桁が違うようです。


東海東南海の場合、40年以内に90%の確率で起きるとされます。首都直下より被害は大きく、1,300兆円。南海トラフは周期型で百年に一回、起きてきました。熊本の震災は30年以内に0~0.9%だったのに、実際に来ました。学術的に間違いなく危機が来ます。


首都直下のGDP比1.5倍は、18世紀のリスボン大地震と同じです。そのとき、大津波によりポルトガルの国家衰退だけでなく、西洋文明の形も変わったとされています。ルソーといった啓蒙家が現れたり、都市の大きな家に住むのではなく郊外の小さな家に住むスタイルに変化したのも、この大震災と大津波が契機。人々の発想や生活様式まで変えました。


その規模の地震が首都直下です。その後は日本の国家衰退が続くかもしれません。


では、日本国民の危機意識はといえば、ある調査によると、この2つの巨大地震についても知っている人はわずか18%。起きる確率まではほとんど知られておらず、実際に起きた時に自分はどうなるかとの質問に対しては、「なんとなく、自分は生き残る」、「もう来ないのでは」、「来たら仕方ないとあきらめている」…とか。冷静に考えれば起きる異常事態のことを人間は考えようとしないもので、これを「正常性バイアス」と言います。


公助が何とかしてくれると思っている人が7割を占めています。こと防災や災害には公的機能がどうにかしてくれるとの思い込みがあり、制服を着た自衛隊、警察、消防を思い浮かべるようですが、救急車は東京都の1,000万人の人口に対して350台しかありません。関東近郊は全ての人が首都直下の被災者になりますが、それは何千万人にものぼります。


阪神淡路大震災では、①自助による自力脱出が34.9%、②家族が31/9%、友人・隣人28.1%で共助が最も多く、➂救助隊といった公助はわずか1.7%でした。共助しか方法はない。


トルコの大地震で何日も経っても救出されている人が報道されましたが、それは稀だからニュースになったものです。発災後72時間ですと、生存率は3%。これも公助では間に合いません。トルコの場合は厳寒のもと、冬眠状態だったからという説もあるようです。


●自助と共助を組み立てる防災事業…これを切り口に地域コミュニティの創生を

日本での一連の激甚震災の経験を踏まえると、大事なのは発災の瞬間の行動とコミュニティ。それなのに、なぜ防災を自分ごとにできないのかというのが一つの問題提起です。


そこには日本の防災教育の問題があったようです。GHQ占領下で、戦前の日本にはあった防災教育が停止させられました。コミュニティ単位で日本人が非常時にまとまること自体を、当時の米国が恐れたからかもしれません。これも、憲法9条、財政法4条とともに、米国の占領政策が日本を強い国にしないために残した軛の一つといえます。


ようやく2017年に学習指導要領の一部改訂で防災教育が復活し、そこに各地域特有の災害の考え方が入っていますが、内容を充足するには時間がかかるようです。


では、どうすべきか。何よりも防災の危機意識改革が第一です。これをベースに、ようやく防災知識の普及に耳を傾けてくれるようになります。そこに防災教育が機能し、その上に立って地域防災コミュニティが動くようになります。事実、昭和23年以来、防災教育をやっていない間に、被害が大きくなりました。東日本大震災でも祖先からの言い伝えが残っていたところは助かった方が多かったことが、このことを示しています。


加えて、民間緊急避難所を整備していくことが大事です。現在、私がその代表理事とともに防災問題に取り組んできた(一社)日本防災教育振興中央会は、災害時共助ステーションを推進しています。これは公的避難所を民間で補うもので、既存の本業として運営されている商業施設などのスペースを利活用するものです。例えば駐車場の活用などです。


ハード面では企業ではBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)も整ってきましたが、大事なのは地域住民向けの対策です。食料備蓄や簡易トイレ、水も、電気も…発災の瞬間に適切に行動できるためのカリキュラムや、定期的に地域住民を巻き込む民間避難所の開設訓練などに、この社団は取り組んでおり、こうして防災を身近に自分事にしていくことが目指されています。


人間は、遭ったことがない事態に対してパニックになるものです。VR(バーチャル・リアリティ)などで災害を模擬的に体験しておくことも必要ですし、自分がパニックになることを知っていなければなりません。これもコミュニティ単位での備えが大事です。


10,275人が東日本大震災での津波での犠牲者でした。知っていれば、誘導できる人がいれば…亡くならなくてよい命が多数にのぼりました。こういうときはどうするかということを、家族間で合意しておくと大きく違ってきます。この社団では、緊急避難誘導員の育成プロジェクトも実施しているそうです。


●危機対応に向けて、国のまもりと防災への意識改革を

ただ、現実にこうした防災を事業として実現するためには、①地域貢献をすることのメリットある仕組みを創ることと、②その取り組み自体に収益性が確保されていることが大事です。私がブロックチェーン革命の一環として唱えているトークンの考え方や、「協働型コモンズ」は、防災の上で極めて重要とのことでした。


ボランティアによる貢献がポイントの仕組みで可視化される仕組みの開発も重要です。ブロックチェーンが社会実装されると、人々の「共感」という価値観だけで経済的価値が実現します。その中で防災や安全といった価値は大きな役割を果たします。


まずは、危機意識への意識改革に向けた啓発が不可欠ですが、その上で、自らの住まいを取り巻く現状を知ることも大事。ハザードマップは実際的ではありません。


この社団では、住民が地図上の自宅の位置にピンを立てると、日頃から何を用意したらよいか、避難所はどこか、災害の種類ごとに可視化するシステムを構築したそうです。ピンを立てると、備蓄に必要な物資が家に配送されるとのこと。まずはテーラーメイドで自助を組み立て、その上でコミュニティを形成していく。


参政党としては、国家単位での解体の危機に対して国民に「国のまもり」と国家意識に向けた「目覚め」を広げていく一方で、激甚災害という国土解体の危機に対しても、意識改革とコミュニティづくりへの動きを、上記の事業とも連携しながらリードしていかねばならないと考えています。

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