パワーなくして正義も平和も実現せず…9条2項の実害~世界で主流化する健全なナショナリズム各国事情~
- 松田学
- 2022年8月22日
- 読了時間: 16分
国政政党の党首として国の公式行事に初めて参加する機会となったのが、8月15日の終戦記念日に開催された全国戦没者追悼式(於:日本武道館)でした。指定のモーニング姿で参列し、他の政党の党首や幹事長とともに戦没者の御霊に献花をして参りました。
私自身はかつて衆議院議員のとき以来の参列でしたが、今回参列してみると、コロナで人数が相当絞られているのか、政治家は現職閣僚と国政政党党首、現及び前総理・両院議長などに限られ、国会議員は招待されていませんでした。
コロナのもと、声は出すな、距離をとれ、で、席も離れていたため、お久しぶり、と、声を掛け合えたのは加藤厚労大臣など数人にとどまりましたが、さらに驚いたのは、最初の国歌斉唱が、全員起立しながらも、無言…。君が代はオーケストラの演奏のみでした。これぞカラオケ?さすが藝大の管弦楽団の演奏は、これを聴きに来るだけでも見事なものなのですが、これだけの日本の要人たちと遺族の皆様が集まっている場で君が代の斉唱もできなくて、果たして御霊はどうお思いか…?
グローバル勢力に国家主権が屈している姿を象徴している、とまでは言わないとしても、やはり、科学的知見も踏まえられない日本政府はちょっとおかしいのではないかという思いは抑えられませんでした。戦没者の御霊に改めて平安をお祈り申し上げます。
前回のコラムで私が党代表としてこの終戦記念日に寄せたメッセージをご紹介しましたが、「美辞麗句だけで平和実現しない」とのタイトルで報道されていました。戦争はなぜ起こるのか、日本が戦争に巻き込まれないために何が必要なのか、岸田総理の「核廃絶」では決して理想は達せられない現実があります。今回は、徹底的なリアリズムに基づいてウクライナ情勢や日本の国防を論じた元陸将補の矢野義昭氏の議論を紹介したいと思います。
さて、8月21日に参政党は「国政政党予祝パーティー」を開催、幕張メッセにて7,000人規模の盛大な催しとなり、私を含め各界論者の方々が次々と講演、音楽パフォーマンスも含めて8時間以上に及ぶ盛大な催しとなりました。米国の共和党のような、こんな大規模なイベントをやってみたいと、かつてボードメンバーの間で語り合ったものです。私からは赤尾由美さんからの質問に答える形で「経済の予祝~グローバリズムを克服する国民経済への道~」と題して講演いたしましたが、最後のご挨拶で次のように述べました。
「参政党が国政政党になった意味は大変重い。自分は国会議員を超えていきなり国政政党の党首となった。あの大阪で岸田総理を打ち負かしたことをご記憶でしょうか。今や党首同士で対等。いや、『参政党現象』という国民運動を起こした参政党は他党を上回る存在でもあります。人としての生き方や哲学まで訴える政党は今までなかった。参院選では日本人のDNAが呼び覚まされました。本日は『日本を取り戻す』がメインテーマとなりましたが、それだけでは足りません。新たな地球文明をみんなで創り上げましょう。」
参政党現象のポイントは、現在、欧米でも政治の主流となりつつある「健全なナショナリズム」の日本での担い手が参政党であるということ。今回は、この世界的な現象の実態について、歴史に詳しい茂木誠氏が松田政策研究所CHで語った内容もご紹介いたします。
●ウクライナ戦争の帰結はロシアの勝利…ウクライナとは主権意識や戦闘能力が違う
まずは、矢野義昭氏が提起した議論ですが、軍事専門家の視点からみて、ウクライナ戦争の帰結は一言でいって、ロシアが勝利し、中国が漁夫の利を得て、日本の安全保障は厳しくなる。憲法9条2項(戦力不保持、交戦権否認)はすでに日本の安全保障に重大な支障を来たしている。以下、同氏によると…、
「安全保障の脅威感覚がロシアとウクライナでは大違いだ。どんな犠牲を払っても守り抜くロシア側が強い。プーチン演説では、『NATOの東方拡大を看過できない、8年間交渉し、戦争を回避しようとしたが無駄だった、他に手段がなかった。』2つの自治共和国の要請を受けて、ロシア連邦議会がプーチンに軍事作戦を要請した国としての正式な決定。それが特殊軍事作戦=ウクライナへの侵攻である。」
では、ウクライナは…「マイダン革命で米国の国際金融資本、軍事介入を唱えるヌーランド氏などが主導して軍事クーデターがなされ、ヤヌコビッチ大統領を追い出して親欧州派のポロシェンコ大統領のもとで西洋化路線、NATO化への道を歩んだ。ウクライナは元々一大軍事コンプレックスであり、潜在的な軍事インフラがある。これがNATOの一角になれば、モスクワまで数分で届く核攻撃が可能に。ロシアにとっての切実な脅威になる。」
「ウクライナはNATO派に傾き、ロシア文化を捨てて西欧化への流れ。ポロシェンコも取り巻きも米国国務省系、ユダヤ系、アゾフ。ロシア系住民を迫害。ウクライナ国民からみて2014年のマイダン革命以降、主権は失われ、米国の傀儡化。国民が犠牲を払って守る国家なのか?国家としての統合や独立自主の感覚ではロシアとウクライナには大きな違い。」
「今回の戦争も犠牲を払う覚悟が違う。かつて共産党政権下で迫害されたロシア人も、ひそかに西洋的自由を求めた時代があったが、ソ連崩壊後、急激な自由化でロシアの利権や資源は奪われ、NATOは約束を破り、反西欧感情がロシア国内で強まった。ロシア側の方が主権意識が強い。ゲラシモフが2019年3月に軍事戦略に関して演説し、限定的な行動作戦を提唱、現在のウクライナ戦争を予期して、軍需産業の基盤を軍部と一体化して作ることや、軍事能力の向上などを提唱。これを今回の戦争に適用した。」
「契約軍人制、下士官クラスのプロ化、サイバー強化など…ロシアはウクライナの戦いを予期してすでに2015年から準備。研究開発も、備蓄、経済制裁への備えもしてきた。単にNATO装備を入れているだけのウクライナとは違う。準備の差、切実さの差、闘う前からもう、意識や国家体制の面でロシア側が優越。その差が、開戦すると出てきた。」
「キエフは陽動作戦だった。ウクライナ軍をそこに集めて、スキを作って、一気に東南部で本来攻め込む地域を抑えて既成事実化。戦略転換も早くなされた。砲撃でウクライナの短距離武力を抑え込みながら。時間はかかっても着実に東部ではロシアが占領地域を拡大。ウクライナ側は正規軍は半分ぐらい喪失、現在残っているのは水準の低い予備役。一気にオデッサまでロシアが侵攻する可能性。戦力格差は開いている。8月末までにドネツク州全体がロシア側占領下に、戦争目的がほぼ達成。黒海沿岸地域を全て押さえて、ウクライナの戦争継続は困難になる。」
「NATOの訓練水準は低く、支援武器を使えない。ハイマーズに対してロシアのトルネードのほうが数がずっと多く、武器としても優れている。ゲラシモフ論文に出ている周到な準備。極超音速の最新兵器も。にわか仕立てのNATO軍では対抗できない。」
「これらは我々に入っている『ウクライナ側が士気が高くてロシアが厭戦気分』という情報とは逆。日本は参戦国の一つとして戦時プロパガンダに取り込まれている。インド、中東、オーストリアやロシアなどが発している情報を公平に見なければならない。」
●「力による現状変更は認めない」を正義にできるのは、そうさせないためのパワー
「穀物輸出の合意では、ロシアとして外交的に味方を増やすことを意図。食物暴騰をロシアのせいにされてはかなわない。冬季が近づくと天然ガス、原油の需要…ドイツや欧州は耐えられない。紛争を抑えろとの圧力が高まる。米国も原油増産をサウジに呼びかけたが、断られた。中間選挙で民主党は大敗する。今の民主党左派が遂行する戦争は米国民の支持が得られず、秋になると停戦交渉の動きに。結果として武力による現状変更になる。」
「国際秩序は、その受益国、つまり現状を望ましいと思う国の側は、『力による現状変更』を許さないことが正義になる。しかし、正義とはもともと相対的なもの。反対の立場、つまり挑戦国は常にある。彼らとしては、力をつけて現状を打破する。彼らはそうしないと生きていけない。影響圏の確保のために必要。」
「正義とは何?現状維持国と挑戦国ではそれは異なる。正義と正義の衝突。どちらが正しいかは、リアルポリティークでは力。現状が正義なら、挑戦国に対抗する力、軍事力を持たないと通じない。それが現実。特に大陸国では国境線は常に動いている。平和を欲するなら戦争に備えよ…ローマの言葉。軍備を怠ればいずれ国境が縮小して崩壊。ローマ帝国もそう。歴史の鉄則。自らの力と意思で秩序を維持することが国家存続の大前提。」
「中国が挑戦者として、ますます脅威に。ロシアの対中国依存がウクライナ戦争で深まっている。開戦前から中国がウクライナにサイバー攻撃。開戦後も車両、補給、資源を遼寧省を通してロシアに送り込んでいる。最近では半導体やアルミ製品を大量に。目立たない形で中ロが連携を強めている。その中国からみると、ロシアが簡単にNATOに敗北しては困る。ロシアの資源や領土が完全に包囲されることになる。負けない程度に支援する。日本はバイデンの言う通りにやったことで、ロシアだけでなく、中国の軍事的脅威も高めた。」
●すでに実害を生じさせている9条2項の存在…日本を守るのは中国を含めた占領軍?
参政党は日本人自らが国のあり方を議論して憲法を書く「創憲」を提唱していますが、なかでも「国のまもり」の観点からは、自衛のための交戦権まで否定している9条第2項が問題です。この点について、自衛隊出身で国防の専門家である矢野氏に尋ねてみました。
「自民党の『自衛隊を置く』案だと、今の自衛隊が憲法で正当化される。しかし、自衛隊には制約があまりに多い。自分が自衛隊の現職当時から痛感していたのは、防衛を支えるのは国民自身だということ。国民に国を護る意思がないと自衛隊だけではもたない。GDPの1%枠以下の資源しかない。普通の国だと予備役制度があるなど、緊急事態への備えがあるが、日本にはない。9条2項で戦力を持てないとし、前文で『諸国民の公正と信義に信頼して』…額面通りなら、国家防衛の義務はないことになる。かつて共産党ですら、自国の防衛のために憲法を変えろと主張していた。」
「戦力はもたない、自衛隊はいい。それだと全く不十分。自衛隊が何か新しいことをしようとするたびに『戦力』か否か、自衛力を逸脱しているかどうかが、いつも出てくる問題。『所要戦力』、ゆえに所用予算という発想ではない。戦力不保持ゆえ『必要最低限』では理性的な議論にならず、国家戦略が欠如。『基盤的防衛力』と言うが、基盤もなくて財政事情で抑え込む発想。本当に必要な有事への備えが国民から見えない。」
「現状は、張り子の虎。恥ずかしながら、そういう状態になっている。いざというときに自衛隊が何かしてくれる状態になっていない。国民が理解し、資源配分をしないと…。2項が残っている限り、それが根本的な制約になり、戦えない国に。その問題が変わらないと、本質的な解決なし。2項を廃止して国防の義務を規定する。それが根本にあるべき。」
「自衛隊は警察組織の延長。実際に生じている支障としては、例えばPKOは他国なら軍事力行使でないので、国連から示されたミッションでやれる。軍としての任務は国際法に違反しない範囲で何でもできる。ネガティブリスト。ポジティブリストの自衛隊は全てが抑制的にしかできない。治安の警察権限の範囲。軍事はネガティブリストが必要不可欠。」
「軍事法廷、特別法廷もない。海外での規律違反、軍としての規律があるが、指揮官が独断でできない。本国で裁判して、不服…。これでは軍の規律が維持できず、軍事組織として独立した行動ができない。」
「英語で自衛隊はセルフディフェンスフォースであり、直訳すると今でも軍だが、大事なのは実態と法制。現在の国際秩序と国民を守り抜くためには軍事力が欠かせない。警察力ではできないし、警察がそれをやると国際法違反になる。」
「日本は植民地状態であり、従属国家。そもそも現行憲法は施行後2年以内に改憲する前提で米国が押し付けたもの。いまの憲法は占領法。占領軍が日本を守る、それが前提。『諸国民の公正と信義』とは占領軍のことだった。そこに中国も入る。」
「9条2項があるために起こった実害としては、レーダー照射問題。中国も韓国もやった。9条に従って抑制的行動なのか、相手を試している。照射は、次の瞬間に発射すれば間違いなく命中するということ。これで第一線は突破できる、安心して日本を侵略できるとなった。拉致事件もそれがあったから堂々と拉致した。『平和』どころか無責任。拉致、北方領土、竹島、尖閣…全てがいまの憲法に連動して生じている。」
●欧米で台頭する反グローバリズム政治勢力
矢野氏も指摘するように、国際秩序の維持の上で欠かせないのは「国を護る国民の意思」。まさに参政党が「国民の決意」を主張してきた通りですが、こうした健全なナショナリズムへの国民の目覚めは、政治的には「反グローバリズム」の姿として台頭するのが常です。これは参政党の特殊な現象ではなく、世界的な潮流である…。以下、茂木氏によると…、
「わかりやすいのはトランプ現象。冷戦が終わってソ連という敵がなくなり、共和も民主も『世界は一つ』。米国政治はグローバル保守とグローバル左派が支配し、本質的にはどちらも同じだった。ブッシュ息子もその典型であり、やらなくていい戦争をやり…。その尻拭いをしたオバマがグローバリストであり、どちらも嫌だという人がトランプに期待。」
「トランプが既成政党と一線を画したのはお金だった。自己資金で選挙を戦い、ウォール街ではなかった。(参政党もそう…国民からの寄付金。)教会や家族に価値を置いた。今度の中間選挙ではバイデングローバル勢力が負ける。ただ、共和党も2つに分かれている。トランプグループをMAGA(Make America Great Again)勢力と言う。」
「欧州ではグローバリズムによる被害が大きかった。欧州統合で国境線がなくなり、各国とも通貨発行をやめて、EU本部が各国の上に君臨。これはまさに主権の侵害。こうして、反EUの姿をとった反グローバリズム運動は90年代から開始。加えて難民問題。100万人がトルコを超えて…大混乱したのが2015年。ドイツばかりが背負う?そこで、仏、伊、英国に分担となったが、英国はなぜ?となり、ブレグジットに。移民問題などに既成政党が何もできなかった状態に対して、反グローバル政党があちこちで誕生した。」
●イタリア…五つ星運動が政界の要に
「日本とそっくりである。保守のキリスト教民主党とリベラルの社会党、自社55年体制と同じ状態がずっと続いた。互いに既得権益でがんじがらめとなり、2010年代に小泉総理のような新自由主義で経済活性化をする動きに。それがモンティ首相。貧富の差が拡大する中で、なぜEUなのか?コメディアンのグリッロがブログを始めて大ヒットし、反緊縮、EU離脱、ユーロをやめる、環境主義、既成政党は腐っているのでネットで投票。(参政党と似ている。)『五つ星政党』を立ち上げ、選挙に。これを既成政党が潰しにかかった。」
「冷戦後、既成政党は与野党バラバラで、右派はベルルスコーニ、それと左派で、それぞれが得票率29%に対して五つ星は25%まで得票。これはまずいということで、選挙区を変えて従来の比例一本に小選挙区を加えて大政党に有利にした。(参政党も今回も選挙区は全滅。)にも関わらず、翌年の総選挙で五つ星が第一党に。」
「首相はこの運動に賛同したコンテ博士という学者。五つ星と、もう一つ反グローバルの同盟。連立を組んでコンテ政権が2018年から発足。そこにコロナパンデミック、大混乱でコンテは辞任に。欧州のパンデミックは日本の比ではなく、挙国一致内閣に。6つの政党が連立、首相に担いだのがマリオ・ドラギ・元ECB元総裁、まさにグローバリスト。コロナが収まると内紛が再燃、五つ星がついていけないということでドラギは辞任に。」
「このように、五つ星がイタリア政界で要になっている。それを学習すべき。」
●ドイツ…「ドイツのための選択肢」(AfD)が連邦議会で第三党に
「よく似ているのがドイツ。冷戦期には右のCDUと左のSPD。メルケルCDUのもとでドイツはグローバリズムに走る。ユーロでドイツ経済はトクした。マルクに比べて、PIIGS(ポルトガルPortugal、アイルランドIreland、イタリアItaly、ギリシャGreece、スペインSpain)の存在でユーロは下がり、ユーロ危機に。ドイツは為替が割安で大儲け。それがギリシャがユーロにとどまる理由でもある。そのギリシャを助けるのはドイツであり、それは税金。2013年に『ドイツのための選択肢』AfDが誕生。」
「ユーロ離脱、マルク復活、EUの権限を潰して直接民主主義、亡命者や難民に税金を使うな…。ただし、移民排斥ではない。そうなるとネオナチになる。そこは守っている。議会選挙で4.7%を取った。しかし、5%条項がドイツ憲法にあるため一議席もとれず。これは元々、ナチをとめるために設けられた条項。5%をどう取るかが大問題に。(5%条項がない日本では参政党が国政に進出できた。)」
「そこで、地方選挙で勝って行こう。(現在の参政党の方針も同じ)結果として、地域でうまくいった。旧東独は経済が低い、自分たちに税金を回せ、なぜ外国人なのだとAfDの支持が拡大。しかし、イスラム化に反対する愛国運動であるペギーダ(PEGIDA)にAfDの党員が加わり、ネオナチだとメディアに叩かれた。(参政党も気を付けるべき。)そこで、AfDはペギーダとは一線を画し、結果として人気を回復。2015年に100万人移民受け入れ問題が生じ、ケルンで移民の若者たちがドイツ人女性を集団で囲んで暴行した事件が起こり、一気に世論が高まった。政府は取り締まらないのか…AfDが躍進した。」
「そして2017年の国政選挙で12%をとった。94議席で第三党に。メディアは極右とレッテル貼り。AfDは日本では報道されていない。五つ星もそうだが、トランプと言っていることはほとんど変わらない。」
●フランス…ナショナリズムはド・ゴール以来の潮流、ル・ペンに4割以上の国民支持
「フランスには以前から政治の主流に反グローバリズムがあった。そのリーダーはド・ゴール将軍、米英が支配する世界はおかしいと独自の核開発、毛沢東と国交を結び、フランスの栄光を掲げた。今でもド・ゴールの流れを組むグループが存在する。それに対し、これからはグローバリズムだとして米国についていくというのがジスカールデスタンだった。保守のグローバリスト。その後、ミッテランのときにEUに入り、フランを放棄。2000年代にかけてシラク政権。ブッシュ息子のイラク戦争に公然と反対、大量破壊兵器の証拠はないと安保理で拒否権発動。この間に、ル・ペンと言う男…元はド・ゴール派の愛国者。」
「アルジェリア問題でド・ゴールは植民地の独立を認めないとしていたが、独立を認めることに転向し、ル・ペンが自ら政党を立ち上げたのが国民戦線。反EU、反移民、フランスの栄光。やや特殊であり、ユダヤ陰謀論を唱え、支持者がユダヤ人の墓地を荒らした。本当の極右だったが、2002年の大統領選挙でル・ペンが現職のシラクに挑み、決戦投票に。『ル・ペンショック』。全政党がル・ペンだけはダメとしてシラクに入れてシラクが圧勝。」
「その娘がマリーヌ・ル・ペン。父の遺志を継いだが、父の路線はまずいとして変えた。外国人差別はダメ、不法移民はダメだが、移民はOK。国民の生活を助ける…。ナチのホロコーストは些細なことだと父が言い、そういう父を党から除名した。2015年のパリでのテロをきっかけに治安回復を求める国民の支持を受けた国民戦線は大躍進。」
「そして、2017年の大統領選挙でル・ペンが一位に。既成政党はまずいと、統一候補、マクロンを立てた(投資銀行出身)。過半数に行かないと決選投票となる仕組みの中で、全政党がマクロンに入れた。そして今年の大統領選では、第一次でマクロンが27%、ル・ペンが23%。第二次でみんなが組んでも、ル・ペンは41%も得票した。この潮流は変わらない。党名を『国民連合』に変更した。次は勝つかもしれない。」
…これらの国々以外も含めて欧州の反グローバル政党にはネットワークがありますので、参政党はそことも連携をとりながら、また、すでに米国とは共和党の保守グループとも話を始めていますので、健全なナショナリズムへの世界的な潮流の一翼を、日本の政党として担っていきたいと考えています。国民の自由や権利と国家主権を守り、多様性のある調和のとれた国際秩序を形成していくために、二千年にわたって「八紘為宇」を国柄としてきた日本の役割はますます大きくなると思います。
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