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執筆者の写真松田学

トランプ再選後の世界の新潮流とこれに逆行する日本の政界~テレビは死んだ?斎藤現象と新しい政治風景~

いよいよ今週の28日から臨時国会が開かれますが、少数となった政権与党がどんな国会運営をするかが注目されます。とりあえずは国民民主党の103万円の壁を丸呑みして経済対策の裏付けとなる補正予算を成立させることが至上命題ですが、加えて、第三者機関の具体化などを盛り込んだ政治改革再改正法案も通したいのが自民党の立場。なぜなら、この問題にケリをつけておかないと来年の通常国会に政治とカネの問題が持ち越され、参院選を前に内閣支持率がさらに低下しかねないからです。しかし、日程的には相当窮屈…。


この支持率ですが、11月23、24日実施の毎日新聞調査によると、10月の前回調査から15ポイント下落の31%に。一方、不支持率は前回から13ポイント上昇の50%で、支持率と逆転しました。支持率が内閣発足の翌月までに不支持率を下回るのは08年発足の麻生太郎内閣以来。「こんな数字じゃ、参院選は戦えない」…自民党内からもこんな声が…。


今回の支持率低下には、石破氏の外遊中の振る舞いが影響したとの見方が多いようです。ペルーで開催のAPECでは、石破氏が自席に座ったまま複数の外国首脳と握手する姿がSNSで拡散され、物議を醸しました。この他にも、独りスマホ、腕組み、おにぎり、首脳の集合写真撮影への遅刻…遅刻問題は別として、本人としてはほっといてくれと言いたいところでしょうが、今は画像の切り取りがSNSで拡散される時代、そうはいきません。


本質論とは違うところでSNS世論が形成され、政治を決める…兵庫県知事選での斎藤現象に続き、24日投開票の名古屋市長選では、減税派vs非減税派とのSNSによるレッテル貼りの構図が生まれ、ほぼオール既成政党推薦の前参議院議員が河村たかし前市長の後継者に敗れました。先の総選挙でも既成大政党が低迷したのに対し、減税を唱えた国民民主、れいわ、参政、日本保守が票を伸ばしました。既成大政党や既得権益と闘って減税を訴えれば票が伸びる…SNSによるポピュリズムの加速に懸念を表明する向きもあります。


こうして総選挙後に出来上った国会の構図の問題は、第一に、「決められない政治」を有権者が選んでしまったこと。野党がまとまって予算や重要法案を人質に内閣不信任案を可決すれば、内閣総辞職か衆院解散ですから、与党の国会運営は常に、この事態を回避することが優先されます。これで与野党が対立する大きな決断を要する重要な決定は不可能に。


これは日本の国益に反する事態、与党として早期に衆院解散をしないと日本の政治は安定しません。来年7月の衆参同日選と、それに向けて党の顔となる総理を替える、早ければ今臨時国会で補正予算が成立すれば政局…?との噂まで現実味を帯びて流れています。


第二に、重要な委員会の委員長を野党に譲ったため、自公と立憲民主による事実上の大連立となったこと。現に、石破氏と野田氏は政策がほぼ同じだとされます。法務委員長が立民の西村智奈美氏なら選択的夫婦別姓がこれで決まりますし、憲法審査会も枝野幸男氏ですから、これで憲法改正も遠のいたでしょう。自民党はもはや保守政党ではなく、国会全体が左へと大きくシフトしたことになります。保守層は政治的な力を失いました。


第三に、日本政治の左シフトとは逆に、米国でのトランプ氏の再選で反グローバリズムと国益重視の保守化という世界政治の潮流が決定づけられたこと。米バイデン政権は来年1月の政権移行の前に、グローバリズム勢力の権益確保を焦って進めています。例えばウクライナ戦争ではトランプ次期政権で予想される停戦を前に、米製長距離弾によるロシア領内攻撃を容認し、核戦争の脅威を高めています。ウ戦争が停戦の流れにある中で先日、日本の外務大臣はウへの30億ドルの追加支援を表明しました。


新型コロナワ●も、ケネディ新厚生長官のもとで政策転換がなされる前に、日本では世界で唯一、レプリコンワ●接種が推進。米国ではイーロン・マスク氏によるツイッター買収以降、SNSへの言論統制が弱まり、これがトランプ氏を大勝に導くことにもつながりましたが、逆に日本ではSNSへの規制が強化される流れです。日本政府はバイデン政権の忠犬ハチ公…これではトランプ政権誕生後、日本は梯子を外され、世界の潮流から置いていかれることになりかねない…日本でも愛国国民主義勢力の政治的な伸長が急がれます。


最近の新しい政治現象はSNSだけで説明できるものではありません。もはや世界の政治の対立軸は、かつての「右か左か」ではなく、「上か下か」であり、「上」とは、グローバリズム勢力をバックとする既得権益集団であり、これに「下」、つまり草の根国民運動が対抗する図式が欧米で大きな潮流変化を引き起こしています。


近年、国際化(インターナショナリゼーション)という言葉がいつの間にか「グローバリゼーション」に置き換わっていますが、後者は国境の存在を否定する立場なのに対し、前者は各国家の存在を前提とするからこそ「国」+「際」です。トランプ次期政権は、20世紀前半から対外介入主義と利権だらけの大きな政府の国になった米国を、非介入主義の小さな政府という250年前の建国時の原点に戻すための「革命」の遂行を目指しています。


この中で「アメリカファースト」とは、どの国もグローバリズムに支配されず、「自国ファースト」であれということ。その上で、各主権国家が独自性を尊重し合うことから国際社会の調和を目指す。トランプ氏の「革命」を契機に、これからの世界では「国民国家革命」の新時代が訪れるのではないでしょうか。今回は、トランプ再選後の世界と今後の内外の政治潮流について茂木誠氏と語り合った対談番組の内容を以下、ご紹介いたします。


●奇跡で当選したトランプ…しかし、これからどんな反撃が

茂木氏によると…「トランプ当選は奇跡が奇跡を呼んだもの。あの暗殺未遂がいちばん。あれで本当はトランプは終わっていた。奇跡的に弾丸が急所からそれて立ち上がったトランプ氏は本物だ、戦っているんだと。その一人がイーロン・マスク。前回はツイッターで言論を封じられていたが、いまやX。ザッカ―バーグもトランプの側に。」


「もう一つの奇跡はケネディ。あの事件のあと、一緒にやらないかとトランプが電話。閣僚に入れる。徹底的にワ●のことをあばくと。全体としてみても、米国の中間層が暗殺未遂でトランプについた。」


「トランプがこれからやろうとしているのは、一つは、製薬関係の業界と官僚が一体化、これを潰す。軍産の連合体、戦争が長引けば儲かる。前回のトランプ政権ではこっちの人たちが入っていた。ネオコン。前回の反省を踏まえた人事。そして情報関係、インターネットをどう飼いならすか。米国ではもうマスメディアは力がない。むしろSNSを引き寄せる。こうしてDS(ディープステート)を三方向から潰す。」


「というので、向こう側も必死だ。合法的にできることは、閣僚人事の議会承認で、共和党にも反トランプ派がたくさんいる。ノーを出す。ケネディも承認されないかもしれない。米大統領は独裁ではない。」


「ウォール街については、数名がウォール街で集まって世界を動かしているという陰謀論があるが、そういうことではない。お互い、競争相手同士。資本主義だから、ウォール街は潰せない。トランプはウォール街は残す。しかし、投資を乗り超えてあれこれ言うのはやめろというディールはしただろう。」


「司法についてはマット・ゲーツ長官候補が醜聞で辞退。闘争している。バイデン側からの最後の抵抗だ。FBIとCIA。父と叔父がなぜ亡くなったか、ケネディは斬り込む。それはやめろとなる。政権発足までに何が起きるかわからない、彼らは暴力組織だから。」


「暗殺はもちろん、トランプのフロリダの豪邸に空から突っ込む…とか。トランプチームは一か所にいないほうがいい。トランプ、バンス、マスク、ケネディは別々の場所にいるべきだ。政権発足のあとということもあり得る。米国の分断。トランプ当選後に予想された暴動などの事件が、予想外に、今のところ何もない、不気味だ。」


●脅してから話し合うトランプのディールが戦争を終わらせる

「ウクライナ戦争は最近、きな臭い。駆け込みでミサイルを打ってしまえと。バイデンの裏の連中が、もうやってしまえと。ロシア本土に米製ミサイルぶちこんだ。プーチンは以前から警告。ロシアがウ領内にミサイルを打った。また、核反撃の要件を緩和した。ただ、これで世界大戦にはならない。それは米ソ戦争。互いに核を使うと両方滅びる。バイデンを操っている勢力もプーチンも、その一戦は超えない。イランとイスラエルも同じだ。」


「トランプはどんなディール?第一期政権時の対北朝鮮外交が参考になる。金正恩はミサイルを打ちまくっていた。トランプは彼に猛烈な圧をかけた。金正恩に手紙で、こっちは何百倍のミサイルだと脅した。脅して和平。イランにも、強烈な態度で臨むだろう。」


「これはディール。国務長官に指名されたルビオは危ない人物とされ、ネオコンであるが、ルビオを使って脅して、一気に手を組む。それをやったのが第一期のボルトンだった。北朝鮮をやってしまえ、で、金正恩は折れた。」


「プーチンはそのことをお見通しなので、戦争にはならない。歴史をみても、超タカ派の大統領のときに対立が終わった。、ニクソン、レーガン。脅しをやる一方で関係改善。」


「イスラエルは米国の武器がないと戦えない。彼らの本音はイランを叩いて武装解除すること。米国がそれをどこまで容認するかだが。トランプの本音は、中東から手を引きたい。イスラエルの生存権を認めることで。ウでの停戦とは、ロシアの占領地をそのまま認め、ウは泣いてくれ、と。同じ論法で、今勝っているイスラエルに対してガザ併合を容認。そうでないとイスラエルが収まらない。パレスチナにはあきらろめろ、と。」


「これについて、周辺アラブ諸国はいつもヘタレだ。文句を言って終わり。だからイランが人気がある。では、面子を潰されるイランはどうか。トランプは、経済制裁解除か、核武装容認をするだろう。イランの核武装はイスラエルがいやがるが、イランが核を持つことで中東は平和になる。核武装国どうしは抑止論で戦争ができない。」


「インドとパキスタンもそう。ウが核兵器を手放さなかったら今の事態になっていない。イランに核武装を認める代わりに、反イスラエル武装勢力への支援はやめろと。イランの生存権は認めるから、それ以上外に出てくるなと。テロ集団として切り捨てろと。」


「こうして、戦争はトランプで終結。中国も同じ。台湾?トランプは最初にガツンとやる。その上で、関税問題を話し合おうと。中国は台湾を軍事占領していないので、現状維持がいちばんいい。習近平は勝手に中国領と言っていろ、台湾は自ら独立国と言っていろ、それでいいじゃないかと。余計なことをするなら関税だと。ディールで未然に戦争を防ぐ。」


●これからは国民国家の時代だが、自民党は完全に保守をやめた

「グローバリズムと結びついているのがDS(ディープステート:官僚と既得権益集団)だが、DS自体はどこにも存在する。問題は既得権益構造が一般国民に悪いことをしていることが問題。増税、移民、統制、ワ●、それに多くの国民が気づいた。」


「これからは国民国家の時代。今まではなんちゃって国民国家であり、官僚とメディアが結託して国民を騙してきた。これが大統領選挙の結果であり、兵庫県知選だった。」


「総選挙で自民党が完全に一つの方向に振り切った。安倍氏を捨てた。伝統とかを捨てて、開かれたグローバルな、そして米国とやっていく。自民党は保守をやめた。今の自民党は立憲民主党と何も変わらず、ほぼ一緒だ。反自民党で立憲民主に投票した人は間違い。国会でも委員長をたくさん立憲民主に渡して『自公立民政権』。女系天皇、夫婦別姓の方に。」


「高市氏が最近出てきていない。党内融和?これが自民の似非保守。結局、闘わない。首班指名の時に自分は石破に入れない、私に入れろ、国民民主も私に、増税反対と言っていたら、高市氏はヒーローだった。ここ一番の勇気に欠ける。政策はあっても政局がない。捨て身でやるべき時がある。トランプは銃撃で命掛けで…。ただのお利口さんではダメ。」


「日本の政治は、上下の軸がグローバリズムvsナショナリズム、左右の軸が保守vsリベラルだとすると、岸田は上のグローバリズムに行き、さらに左のリベラルに。右下のナショナリズム保守はブルーオーシャン状態に。」


●兵庫県の闇と斎藤氏の勝利、真相は何だったのか

「斎藤元彦を最初は冷ややかにみていた。維新に似ている。既得権益ぶっ壊せ、小泉竹中の新自由主義かなと。パワハラ報道で自爆したと。ところが、立花孝が出てきた。彼はかつてNHK職員として内部通報した人物。組織の悪と戦うのが彼の人生。実家が兵庫県の淡路島。そこで興味を抱き、N党の国政調査権も使って調べて、闇があると暴いた。」


「前の井戸知事が20年もやった。気配りの人なので、議員や関係者と良い関係。県職員は天下って、利権をうまくばら撒いて。そこに斎藤さんが乗り込んで、これはおかしいとメスを入れ始めたとたんに、官僚も議会もメディアも大合唱。斎藤降ろせと。」


「これに対して密告もたくさんあった。職員や議員でおかしいと思っていた人たちが立花氏に情報を渡した。歴代兵庫県知事は59年間、政権交代がなかつた。前副知事が知事になってきた。斎藤氏は真面目な官僚タイプで、ダメなものはダメ、規則を守れと。井戸さんのような温かさはなかったかもしれない。斎藤さんは本来は知事選に敗けていたが、立花さんが来た。両人は一言も言葉を交わさなかったのに。」


「一番の謎は、自死した県民局長。斎藤知事を告発し、怪文書でばら撒いた。これはおかしい、県職員が業務時間内にPCでこれはなんだとなって、解任した。その後、彼の告発を基に証人喚問の百条委員会。そこにこの方が呼ばれるタイミングで命を絶った。」


「告発者が告発で登壇する直前に?理屈が合わない。パワハラで死んだというのは理屈が合わない。公用PCの中に、知事の話とは全然異なる画像と動画まで。部下の女性職員たちとの長年にわたる関係が入っていた。権力を使って?これこそパワハラ。」


「この10年にわたる不倫記録は、どのメディアも報道せず、奥谷氏は、その話はするな、今度は記者たちが、その話はするな。なぜ記者が取材対象に黙れと言うのか。百条委員会の議員たちとマスコミと県民局長がつながっていた。なぜ公開できないのか?」


●テレビは死を迎える…しかし世界とは逆に、SNS言論規制を強化する日本

「これに県民が気づいて、斎藤氏が正しかったとして地すべり勝利に。他方で、斎藤氏のパワハラは音声も証拠も何もない。SNSの力。年代別では稲村に入れたのが70代より上、50代以下は斎藤に入れた。彼らはテレビを見ていない。この流れはとまらない。」


「テレビは死を迎える。御弔いだ。優秀な学生はマスメディアには行かなくなるだろう。同じことが米国でもあった。ハリス、ハリスと。でもトランプが勝ったのは、テレビが信用されていない証拠。年配の方からも、今回やっと気が付いたという声が寄せられている。」


「SNSにはいろんな意見が飛び交う。それは自由。しかし、テレビは一方的。常にトランプは悪い、ロシアは悪い、斎藤は悪いと。人民日報の世界。報道の自由度で日本はG7で最下位。やっと日本も変わるか。マスメディアは反省もできない。チーンで成仏だ。」


「読売新聞が、あの有明デモについてSNSでデマが、と、政府は規制すべきだ、と。逆に日本では規制が強まる可能性。米国のYouTubeはかなり自由になったのに、なぜか日本では言えない。日本だけ言論統制が強まる。」


「あのとき、有明の防災公園の会場周辺には、数百人から千人の若者の集団が、なぜかいた。おカネもらえるからと流れていた。闇バイトと関わっている組織が動いていると報じられた。確かに変な集団がいた。しかし、あのデモのことは報道せず、その集団だけインタビューして、これは怪しい運動だと。インタビューも仕込んでいる。怪しい若者を集めた集団、そのスポンサーは?なぜそこに記者がいた?このあとも繰り返される。」


「これからは、SNSを使って自分で考えることができる人でないと、情報は得られない。誰かが言ったと言って鵜呑みにしてはいけない。トランプが就任する来年1月20日までは彼らも突っ走るだろう。そのバイデン政権の忠犬ハチ公が日本。」

 

…国民が自分で判断するしかない時代に、その材料を提供してくれるSNSへの規制を日本政府が強化すれば、主要先進国の中で日本だけが北朝鮮や中共の道を歩みかねません。早く日本の政界もマスコミも覚醒してほしいものです。


トランプ氏が大統領に就任する来年、日本は戦後80年の節目の年を迎えます。そろそろ戦後の歴史認識を見直し、グローバリズムによるプロパガンダから国民が脱却して国家意識を取り戻すべき時期でしょう。かつて、黒船という当時のグローバリズムに抗して明治維新で国民国家を創り、アジアを植民地から解放するとの理念で大東亜戦争を闘った結果、世界から植民地が消えた、そんな反グローバリズムの輝かしい歴史を持つ日本こそが今、世界を先導すべき時代を迎えているはずです。日本の政治家たちが心すべきことではないでしょうか。

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