コロナ騒動どころではない、ついに対中フロント最前線となった日本~来る日米首脳会談で問われる覚悟~
- 松田学
- 2021年4月11日
- 読了時間: 18分
最近また、最多、最多…春だから桜やチューリップがサイタではあるまいし…。この新型コロナ、大阪では異様な増え方とされ、あたかも変異株が恐ろしいペスト菌であるかの如く、「第四波」だ、「マンボー」では済まない、PCR拡大だ…一部野党からは政権の責任を問う声まで出ています。一方で、不信任案が出たら直ちに解散だとの与党幹部発言も。
菅総理が先ずはコロナ対策と言っている時に本当に解散総選挙?という感もありますが、7月の都議選との同日選挙もあり得ないわけではない…。解散時期の決め手はワクチン接種状況との声もありますが、そのワクチン、やはり海外では事故が起きました。一部の国では接種制限に入るようで、高齢者の本格接種に入る日本はこのまま進めていいのか…?
今週末にかけて菅総理が訪米、バイデン大統領にとって初の対面での首脳会談が予定されています。思いのほか対中強硬姿勢のバイデン政権の基本は国際協調。そこで日本が最重要国とされているのは頼もしいことではありますが、これは逆に、日本が様々な面で決断を迫られることも意味します。地球温暖化問題もそうです。どんな難題が日本に突き付けられるか。次への備えのためにも、一日も早いコロナ脳からの目覚めが必要でしょう。
●日本人に必要なのは「人間ワクチン」接種済みを国際社会に証明すること
決して「ただの風邪」ではありません。「感染力が例年の6~10倍の風邪」です。これがインフルエンザなら、うつる人が何千万人、そこで集団免疫となって、毎年、流行は突然終わりますが、うちお医者さんのお世話になる方は1,000万人。こんな大騒ぎしましたか?
変異株で増えた、増えた…と言っても、もし一日あたり感染者が1万人だとして年間365万人。この一年、現状では陽性者は累計は50万人で、実際に発症してインフル同様、医師にかかる方は多めにみて4割だとしても、20万人か…。インフルよりはるかに少ないです。
RNAウイルスである新型コロナは年間1万種の変異株が世界中で発生し、変異は今後もずっと続きます。それでもメディアが国民の不安を煽り続けていれば、やめられない止まらない「コロナ脳」と「ワイドショー脳」。検査を増やせ…日本はワクチンが遅れていて世界的に恥ずかしい…?さすがに国民も気付いていることを示すのが、最近の大手メディアの不調です。ワイドショー番組がいくつか、店じまいしました。ネットをみたら「デマ言ってんじゃないよ」。さすがに、この声を無視できなくなったスポンサー企業たち。経済を止めたら、経済を回すために広告費を出している意味がなくなる。当たり前のことです。
昨年一年間で超過死亡数がマイナス1万人近くと、ウイルス干渉の原理によって新型コロナのおかげで全体の死者数を大きく減らした日本は世界一の優等生ですが、他国に比して劣っている?のがPCR検査数とワクチン接種。政権批判をしたいメディアはこれらばかりを強調しますが、本欄でも指摘してきたとおり、そもそも変異の激しいRNAウイルスにはワクチンは禁物。早速、海外で事故が起こっていますが、それで接種を制限したアストラゼネカ製が8,000万回分、日本に回される!!しかし、自然免疫と獲得免疫という「二重の神風」に守られた日本人はすでに「人間ワクチン」を二度、接種しています。
同じくRNAウイルスであるインフルエンザも、実はワクチンで犠牲者が結構、出ていました。毎年インフルのワクチンを打っている方にとっては、ならばリスクは同じことと割り切ることもできますが、大阪市立大学名誉教授の井上正康先生は、日本人の場合、上記の理由でワクチン過剰になるという危険性を指摘しています。ステイホーム、自粛どころか、逆に、多くの人と接触してウイルスに暴露したり、軽い感染を繰り返すことで獲得・維持される「人間ワクチン」のほうがはるかに有効かつ安全なはずでしょう。
そうした選択肢を残し、接種は自主判断であることを徹底すべきですが、その障害は、海外で導入されるワクチンパスポート。日本人が海外で活動するためには日本もデジタル接種証明を導入せざるを得ませんが、それより、日本人がいったん集団免疫を達成し、感染時にはIgG抗体が直ちに産生されるという、ワクチン接種済みと同じ状態にあることを証明することを早急に考えるべきです。そのためには、正しい感染症の知識と、この状態を証明する簡易なキットの普及、そして国際社会へのアピールと定説化を早急に開始すべきです。本来はこれが日本の専門家の役割です。不勉強な彼らは何をやっているのか。
●コロナか衆院解散か~日米首脳会談を契機に浮上するカーボンニュートラルの現実~
厚労省の職員が23人も歓送迎会、政治家が銀座で…これらは、新型コロナが騒がれているような問題でないことが彼らにとっては既知であることを示しているようなものかもしれません。知らないのは「テレビウイルス」に侵された国民。もし解散総選挙をやりたいんなら、感染症の正しい知識の普及が先でしょう。なのに、有権者一億総コロナ脳状態のなかで、二階幹事長は不信任案が出たら直ちに解散…?有権者の批判の矛先を野党に向ける作戦にしてはやや無謀?と思いきや、都議選との同日選挙が現実味を帯びているとも…。
どうも、東京都議選で予想される自公の苦戦を総選挙との相乗効果で挽回したいという思惑があるようです。「緑の狸」さん、コロナ対策を巡るメディア戦略が奏功しているのか、依然として都民ファーストの勢いが強く、自民党本部にも「都議選で自民が低迷した後に総選挙を迎えれば、菅政権へのマイナスイメージが波及しかねない」と警戒する声が多いとのこと。自民にダブル選を望む声は多く、いつもは都議選との同日選に反対するはずの公明党も、最近の党勢劣化のなかで断り切れず、ついに了解したとの噂まであります。
その時点ではワクチン接種が進んでいることを見越して、6月の通常国会終盤での不信任案提出→解散→7月4日の都議選投開票と同日に。ちょうどタイミングが合います。
いずれにしても秋までには総選挙で日本の有権者は大きな選択が問われることになりますが、そこで国民の信を問うべき大きな課題がいくつか、4月16日の日米首脳会談を機に出てきそうです。一つは、地球温暖化問題。あまり注目されていませんが、Co2でも国際協調を打ち出すバイデンが意欲的な目標を提示し、菅総理として日本の再生可能エネルギー比率について、さらに深堀りした目標を約束する可能性が大です。
この問題の詳細は稿を改めて論じますが、2050年カーボンニュートラルを菅総理は打ち出してみたものの、その目標達成自体は容易ならざるもの。予想以上の国民負担増を要することになるでしょう。すでに炭素税や国境炭素税の動きが国際社会では出ていますが、この議論が本格化しそうです。恐らく、Co2削減策の主要メニューとして原発活用を位置づけないと、耐え難い国民負担や主要産業の海外流出、雇用の喪失が必定。実質ゼロ目標とはすなわち原発の主力電源化を意味することを、菅政権は果たして分かっているのか。
●サプライチェーンへの依存によって、もはや一国では中国に対抗できなくなった米国
もう一つ、日米首脳会談で日本がいよいよ重大な選択を迫られる可能性があるのが、中国覇権を抑止するための安全保障問題。以下は江崎道朗氏が松田政策研究所チャンネルで述べた内容ですが、本テーマに関し、これだけの俯瞰を与える論はなかなかないでしょう。
まず、日本の外交安全保障の基盤となり始めたクアッド(日米豪印)については、「安倍政権のときのセキュリティダイヤモンド構想は日本、ハワイ、豪州、インドの4か国を結んで安全保障のネットワークを創るという、12年12月の提案だった。オバマ政権は対応しなかったが、トランプ政権になり、中国を競争相手だとして、17年11月にトランプとの会談でインド太平洋構想に合意して、局長級のクアッド会議が始まった。」
この背景にあったのが、対中軍事情勢に関する米国側の認識の変化でした。
「トランプは当初、アメリカファーストで、米国が本気で中国に立ち迎えると考えていたが、調べた結果、米国一国では中国を抑え込めないことが判明。現状では台湾や日本を守れるかも微妙。そこで、インド太平洋軍を中心に極東地域の海軍力増強ということで第七艦隊を増やそうと計画を立て、予算もつけたが、作れない…。軍艦を大量に作れない。」
なぜなら、「基盤の部品がメードインチャイナ。熟練工も減少していた。クリントン時代から産業の製造拠点を中国に移していたからだ。軍艦の大量製造能力が米国にないことがトランプ政権の時に判明した。オバマ政権のときに軍需産業はリストラされた。また、安いほうがいいということでグローバルサプライチェーンで、中国韓国からの調達が増えてしまっていた。これは経済レベルでもまずい状況。もっと深刻なのはハイテク。基幹技術も中国の技術者がいっぱい持っている。」
「アジア太平洋地域を米国一国では到底、抑え込めない。いざ何かあっても米国には日本を守る力がない。これは日本にとっても大変な事態。そこで、クアッドを使って日豪印と連携して、ということになった。特にインドはサイバーやAIが得意。」
「結局、一国主義は不可能だった。とりわけ補給部門やロジスティクスで中国に部品を依存したまま中国に立ち向かえるか。そこでトランプは、製造拠点を米国に戻そうとした。中国依存を自由主義陣営に入れ替えていかねばならない。」
「軍は分かっているので、バイデン政権でもこの路線が継承された。トランプ政権が中国の脅威に着目し、あらゆる分野での中国の脅威を調べたのがトランプ政権の成果だった。そのトランプと、クアッドをやろうと言った安倍氏とが合致した。トランプ政権で軍事費を80兆円へと、18兆円増やしたが、国防関係の技術予算だけで10兆円増やしている。米国の科学技術企業は10兆円ももらっている。工場をつくり、ラボをつくり、人を雇った。これをバイデン政権がとめられるはずがない。既成事実をトランプ政権が作った。」
「そこには、登りゆく中国に対して米国は圧倒的に劣勢との認識がある。その認識が日本側にあるか?中国崩壊論はあるが…。このままだと中国が米国を上回る経済軍事パワーを持つ事態になることを想定すべきであり、その備えがクアッドである。しかし、インドはもともと非同盟中立で、引き込むのが大変。インド人の自己中心主義は中国の比ではない。そのしたたかな国を引き込む役割は日本にしか果たせなかった。これは安倍氏の功績。」
●欧州も巻き込んだ7か国の新しい同盟の枠組みとアジア太平洋
「いまや尖閣で中国に対峙するのは日米ではなく、日米豪印という枠組みになっているという認識になるべし。豪州はもう準同盟国だ。ACSA(物品役務相互提供協定)は、軍同士の物品サービスの交換であり、安倍政権のもとで次々と締結された。燃料や塗料は全て、最高の国家機密。とりわけ戦闘機の燃料がそうだ。それを相互に交換するとは大変なこと。」
「それで軍事的機密を共有するというのがACSAであり、日本は米国、豪州、英国、フランス、カナダと結び、インドがいまの通常国会で成立し、7か国の枠組みになる。これは平和安全法制と特定秘密保護法の2つを安倍政権が通した結果、こうした準軍事的同盟を結べるようになったもの。中国抑止とともに、その味方を増やす、しかも7か国の間で連携ができているというのは大変なことである。安倍前総理は世界の地政学の中心をインド太平洋にした。そして、100年ぶりに日英同盟の復活か。」
「この枠組みは、日本が憲法を改正しないと実際には使えないという議論があるが、いまや戦争はサイバー、インテリジェンス、サプライチェーン、マスク外交やプロパガンダも入る。『武器を使わない戦争』に対抗するための新しい軍事同盟が必要であると国際社会で言われるようになっている。新しい形の同盟である。」
「英国は、そのアジア太平洋における最大の相手が日本だという認識になっている。かつての日英同盟とて日本が英国と一緒に戦ったわけではない。戦費調達、そしてインテリジェンスでバルチック艦隊の情報をフルにもらった。明石工作も英国がバックアップした。様々な形で英国が同盟国としてロシアへのかく乱工作を行うなどの協力をした。武器弾薬の調達もそうだった。それと同様に、新しい日英同盟で中国と対抗する。」
「英国や欧州からみれば、アジア太平洋がいちばん儲かっている地域だ。それがTPPだ。英国は旧植民地とコモンウェルスの関係にあり、そこでTPPで主導権をもっているのが日本。いまや英仏を引き込む武器になったのがTPP。フランスも基本的に太平洋諸国。」
「中国共産党の暴走を抑止し、繁栄の中心であるアジア太平洋を基盤に、という考え方を欧州が採るようになるなかで、心配なのは、日本を中国との最前線に立たせ、自分たちはいい子でというのが欧米の発想であること。これを前提に、日本があまり調子に乗って中国からの敵意を一身に集めないようにしないと、うまく米欧に操られる。英仏も虎の子の軍艦を送るのは自国の国益だからであり、善意だけでやる国たちではない。冷静な計算をしながら、したたかにクアッドに彼らを巻き込むのが日本の利益だ。」
●軍事機密を共有し合う関係で国際社会の対日認識が180度変わった
「2011年の尖閣での衝突の際、NYタイムズが、なぜ日本は中国を挑発するのかと書いていた。米中による太平洋分割論をやっていた時代だった。米国全体が中国の味方だった。そうなると、米国は尖閣で日本の味方をするか?世論があると、民主主義の国である米国は動けない。上下両院の許可がないと戦争は継続できない。尖閣に安保第5条を発動できない。だから、尖閣を守るために国際世論を味方につけねばならなかった。」
「その上で、7か国での準軍事同盟は大きい。クアッドになって、日米豪印4か国で頻繁に情報のやり取りをするようになった。かつては日米同盟しかなかった。ほかの国は、日本は遠い国だった。空母が佐世保や横須賀に来る。塗料も国家機密。修理のためにも特殊な技術や手順が必要。全部すりあわせねばならない。メンテナンスは軍事機密。それらをシェアするためには、塗装一つとっても相手国との情報交換が必要。膨大なやり取りが起きる。いま、日本の防衛省は各国と濃密な人間関係。それで日本の立場が分かることになる。かつては朝日新聞を見て日本の動きを知っていた。日本はどういうことを考えているかが、今はわかるようになった。リアルな付き合いがすごくできている。」
「ACSAを結べたということは、そういう人間関係ができたからこそのことだった。頻繁な連携があって、寄港させても大丈夫…と。相互の連携をずっと安倍政権の時にやってきた積み重ねでACSAになってきた。かつては朝日や共同通信の英語版に書かれる記事で、日本は何か変なことをやっていると解釈されてきた。それが、プロパガンダでも日本の味方になってくれる人々が各国軍に増えている。駐在武官以外にも、連絡官が各基地に。」
「そこではジョイントオペレーションで共同の作戦活動をする。そういう仕組みを作ることで、いまやハワイの管制システムの中にも航空自衛隊の幹部が入り、敵の空軍の動きをリアルタイムで把握している。昔は入れなかった。特定秘密保護法がなく、秘密を守る法的仕組みがなかったからである。いまは重要なところに連絡官を次々と送り、一緒に仕事をしている。防衛外交が安倍政権で戦後初めて始まった。クアッド構築で、世論戦では自由主義陣営を味方にすることに成功している。尖閣問題も、中国が悪いとなった。」
●安全保障の基本は経済、日本は米国にとって最大のスポンサー
懸案の「ワクチン外交」でも、中国製を承認・契約した国・地域は70に達しましたが、この点についても江崎氏は、「先般のクアッド首脳会議ではワクチンでも日米豪印で研究から販売までネットワークを創ってやっていこうとなった。今は軍事以外の新しい戦争に対して新しい同盟を作っていくというのが日米豪印の意味合いだ。」
「課題の一つは経済。米国と日本がGDPでは世界の1位と3位。それだけのマーケットがあるので、豪州もインドも中国でなく、こちらとなるが、中国の経済規模がさらに大きくなり、米国を追い抜くと、それは崩れてくる。また、経済安全保障でサプライチェーンやハイテク技術をどう守り育てるか。日本は研究者に冷たい国。だから中国に行ってしまう。日本の国益にかなうような技術の活用とビジネス化を図る制度をどう作るかが課題。」
「米国のシンクタンクと話していると、安倍は賢いと言う。理由はGPIF。安倍政権のときに外国の債券や株への運用比率を増やした。中国が大量の米国債保有者ではない。いまは日本のGPIFだ。かつて中国が国債を売るといったとき、米国の国務長官は中国に飛んで行った。GPIFは170兆円の世界最大の国際資本。中国に売るぞと言われても、日本が持っている。年金資金を米国に投入するのはけしからんという議論があるが、日本の金融資産で米国を買収しているようなものだ。日本が対外純資産世界一であるということに、これが入る。だから、トランプは安倍さんにニコニコ。日本は米国の大スポンサー。」
●勇ましいスローガンは対中抑止策にならない
「軍事同盟を結ばないのが国是のインドは、軍事同盟と言ったとたんに脱落する。『アジア版NATO』はクアッドを壊す議論だ。武器で戦う時代とは違う時代のNATOでなければならない。金融も含めた新しい戦争のときに、日本と組むのが得策と英国は判断した。」
バイデンは中国の人権問題も取り上げるかもしれません。これについては日本の国会も日本版マグニツキー法で盛り上がっていますが、「ウイグル弾圧、ジェノサイドはけしからんと言っても、それを言うための具体的な証拠を日本はどこまで掴んでいるのか。米国が言っているから言っていると中国に言われたときに、そうですとは言えない。また、言ったあと、日本は何をするのか。亡命ウイグル人を日本で受け入れる覚悟はあるのか。外国人をそのような形で受け入れることを是とするのかどうか、具体的なことをやるべし。」
「せめて、在日の2,000人のウイグル人に対するヒヤリングをして法廷で証拠になる文書化をすべきだろう。やるなら、スローガンではなく、中国を追いつめるリアルな詰めの作業をすべきだ。ジェノサイドの問題は原爆の問題になる。これに日本は是か非か、どちらを言うのか。米国の一定数を敵に回すことになりかねない…」
「そうした腹のくくりや関連する課題を外務省はわかっているので、政治家もよく耳を傾けるべきだ。次を描いて手を打つことを想定した行動なのかが問われる。」
●迫られる日本独自の核戦略
「戦略上のバランスでは中国が圧倒しつつある。米国の核の傘は中国に対抗できなくなっている。日米で核シェアリングをしないと、日本ははしごを外される。中国の核ミサイルに対してどう対抗するかを米国は策定中だ。そこに日本は噛むべきである。日本自身が核を持つかどうかは別として、日本は中国の核に米国とともにどう対抗するかという共同の戦略を自ら持たねばならなくなった。英、米、豪州のトップたちは、米国の傘がなくなるときに、日本が火だるまになることを放置すべきでないとしている。」
「日本はこれをスルーしていいのか。日本には核戦略がない。核を持つのではなく、核をどう考えるかが、日本にはゼロだ。最も喫緊の課題は台湾。在日米軍基地を使って米軍は出撃する。中国は在日米軍基地を使わせるなと圧力をかけ、日本は屈することになる。グアムからでは米国は台湾を守れない。自由主義陣営は、台湾も含めた中国の暴走を抑止するには日本は核抑止力を持ってもらわないと困ると言っている。かつてのドイツと米国のミサイルにおける関係と同じ状況になってきた。その課題を日本は考える必要に迫られている。中国の悪口を言うなら、日本はどうすべきかにエネルギーを割くべし。」
…私がかつて西ドイツに在住していた1980年代の頃ですが、深夜にアウトバーンを走っていると、真っ暗な隣の車線を、長大な何かを隠して搭載した車列が目立たぬようにゆっくりと走行していたものです。当時のドイツ国民の話題の中心は、国内に本格的に配備が進む中距離核ミサイルでした。今度は、このときの「ヨーロッパ最前線」のドイツと同じ状況に日本が置かれる番になったようです。
これが日本の現実です。しかも、米国の核の傘が機能せず、日本が米国に頼れなくなっているという、これは当時のドイツよりもさらに厳しい現実かもしれません。
●ついに問われ始める日本の覚悟と決断
かたや中国はバイデン政権の国際協調による中国抑止策に危機感を強めています。特に、米国の台湾との緊密化には神経をとがらせ、日本にも王毅外相が茂木外相に「隣国として中国の国内に最低限の敬意を払い、手を伸ばしすぎるな」。これは中国外務省によると、「日米首脳会談で台湾問題に踏み込むな」とのメッセージだったとのこと。
江崎氏の冷徹な情勢分析が示唆しているのは、クアッドや7か国の新たな同盟関係の枠組みがあっても、世界の2つの対立し合う国際秩序の最前線に位置する日本が、安全保障面で独自の戦略で自由主義圏のリード役を担わねばならないという厳しい現実ではないでしょうか。依然として、もはや頼れなくなった米国に頼っているようでは、せっかくの日本のチャンスである「自由で開かれたインド太平洋」も米英が主導する地域になってしまうか、日本が限りなく中国に飲み込まれるか、いずれかの事態が待っているだけでしょう。
かつてリーマンショック後に、4兆元(58兆円)の経済対策で中国が世界経済を救って以降、世界では中国への一体化が顕著に進みました。今般、コロナ禍からいち早く経済回復を示した中国は、現時点で、待ってましたとばかりに用意したワクチンで覇権的な影響力を拡大しているのみならず、世界各国の景気回復を支える存在になっています。ワクチン接種で急回復を示している米国経済も、中国との貿易が大きく伸びているとのこと。
このようにして拡張するのが「中国が主宰する国際秩序」。日本はその最前線にあって、いつまでもコロナ脳による停滞を続けているわけにはいかないはずです。米国にとって最重要国と認識されたことに喜んでいる場合でもありませなん。そうだからこそ背負うことになる重荷に、果たして日本は耐えられるのか。
もしかすると、核をめぐる二つのタブー(原発の活用と、核防衛との関わり)を打ち破る決断ができるかどうかが、日本の将来を決める試金石になるかもしれないことを覚悟すべきでしょう。来る日米首脳会談が、その契機になるかもしれません。
コロナ関係のブログで勉強させてもらっています。しかし、なかなか「集団免疫」という考えが浸透していないと感じます。武田邦彦先生も、ウイルス干渉の事実は認めているようですが、「集団免疫」とまでは断定していません。多くの学者がいる中で、上久保靖彦教授が孤立している印象です。学者というのは、変なところで独自性を出したいのでしょうか?
困ったものだと思っています。