top of page
  • 執筆者の写真松田学

コロナに向き合う基本概念はユビキタス!~既存政党を超える新しい政治の軸を考える~

最近、テレビからよく聞こえてくる「マンボー」…魚のこと?ランボーの次の映画?まさかマル暴のことではないでしょうね…と思いきや、これは「まん延防止等重点措置」のこと。変異株で「もう第四波!」のなかで取り沙汰される新型コロナの新しい言葉です。それより、そろそろ「ユビキタス」(遍在)という言葉を流行らせて、日本人の「コロナ脳」からの脱却を図るべきでは?この感染症の本質に気付くべき時ではないでしょうか。


そうでないと、菅政権はいつまでも解散総選挙などできないでしょう。ただ、現時点では、有権者にとって選挙で意味ある政権選択が可能なだけの選択の軸が政界から一向に示されていません。コロナの「収束」よりもそちらの方が先では?大塚耕平・参議院議員は正直、納得、現実的の3点セットを「中道」という新たな政治の軸として掲げていますが、確かに、こと新型コロナに関しては、日本の政治はこれらのいずれをも欠いてきました。


もしかすると、新型コロナの正しい知識を訴え、モードチェンジを唱える政治勢力が生まれれば、多くのサイレント・マジョリティから絶大なる支持を集められるかもしれません。日本国民は決してバカではない。いまのコロナ脳という異常事態の本質に多くの人々が気付き始めています。同じワンイシュー政党でも、N国よりよほど健全?それはさておき、今回は政治の新しい軸を模索する国会議員たちの発言にも触れてみます。


●ユビキタス「いつでもどこでもあまねく存在する」との割り切りを

いつも、このコラムはコロナから始めていますが、緊急事態宣言が終わっても、事態は相変わらず…。次の不安は、もう始まった第四波…!ここまでウイルスが蔓延してしまうと、人間がどうあがいても、感染は増える時には増え、減る時には減る。それが未だに、流行当初の段階にしか有効ではない封じ込めという発想から転換できていない。私が言ってきたとおり、山が来れば免疫が広がっていったんは収束に向かいますが、3か月もすれば免疫が廃れてまた感染が山に向かう…その繰り返しが半永久的に続くだけのことです。


「ただの風邪」とは言いません。「感染力が極めて強い風邪」だと私は言っております。例年の風邪に比べて6倍、変異株は10倍のスピードで感染しますが、毒性が強まっているという証拠はありません。ですから、日本でもあっと言う間に全国に広がります。体内で最も新型コロナウイルスが繁殖するのが腸であり、排便→手→モノを通した物理的付着が最大の感染ルート。社会的距離ばかりに関心が向いていますが、日本でのこれまでのクラスターのほとんどは発生源がトイレ清掃人からだったようです。人からもモノからも…。


ですから、人と会わなくても、田舎でも郵便物からでもうつります。もうすでに、国民の誰もが一度ならず、新型コロナに罹ったことがあると言っていいでしょう。気が付かないだけです。少なくとも、このウイルスに身をさらすことから逃れようとしても、無駄な努力。むしろ、これまでの無数の種類のウイルスがそうだったように、人間と仲良く共存してもらう、そのために、まだ死にたくない人は日頃から免疫力の増強に努める。これは風邪に対してもインフルエンザに対しても同じことがいえます。


ですから、新型コロナと付き合う基本概念として、私は「ユビキタス」を提唱したいと思います。これは遍在(いつでもどこでもあまねく存在する)を意味する言葉。ラテン語では神の遍在という宗教的な意味に用いられていましたが、近年では、ITの世界で、コンピューターやネットワークが遍在し、使いたい時に場所を選ばず利用できるという意味で使われています。ウイルスはいつでもどこでも自分の周りに、自分のなかにも存在する。


もう、そう割り切ったほうがいいでしょう。こうして真実をわきまえたほうが、本当に避けるべき重症化や死亡という事態から自分や大切な人を守る本物の知恵が出てくるはず。


このユビキタス思想は、東アジア土着コロナによる自然免疫と、弱毒性に順次感染することで形成された獲得免疫という「二重の神風」に守られた日本だからこそ、未だパンデミック状態の他国に先駆けて採れる考え方。自然を人間が克服すべき対象と捉え、黒白を明らかにして悪を徹底退治するのが西洋文明。文明法則史学が、世界秩序の中心が800年周期で東洋へと回帰するのが21世紀としているのなら、自然との共生を国柄として営んできたはずの日本こそが、こうした思考の転換で世界を先導するチャンスだと考えたいもの。


●なかなか打てない衆院解散、やってもあまり意味のない総選挙

ここはさすがはリベラル革新の立憲民主党、何か絶対的に正しい真理や原理があるとして、それに世界を合わせようとする左翼革命思想の面目躍如なのが、枝野代表の「ゼロコロナ」発言だったかもしれません。これに対抗するはずなのが、人間は何が絶対的な真理なのかを判断できる神のように賢い存在ではないがゆえに、過去からの継続や伝統を大事にする保守主義。しかし、いまの与党には、日本本来の価値観をもって課題解決のテーマを打ち出すだけの構想力も勇気も期待できそうもありません。


毎年のように、3月末の予算成立を経て新年度を迎えるタイミングで浮上するのが解散総選挙の噂。恐らく、本来ならば、昨年春にも衆院解散はあったのではないかと思います。憲法改正に向けて国民の信を問う、安倍前総理の最後の大勝負だったかもしれません。それも新型コロナで潰れ、コロナ対応のストレスで病状が悪化した安倍氏は8月に総理辞任。その後、現在もコロナ情勢が政権の手足を縛り、菅総理も先ずはコロナ対策…このままでは解散のタイミングをつかめないままでしょう。この際、「ユビキタス解散」でも…?


しかし、それ以前の問題として、現時点で菅総理が解散を打っても、本来は有権者による政権選択の場であるべき総選挙で国民は一体、何を選べば良いのでしょうか。国民の4割が無党派層、少なくとも若年世代は政治には全くの無関心。そのようななかで、前述のコロナテーマは別にしても、これはという魅力を感じさせる政治の軸が存在しない日本政治の不毛な状況は一向に変わっていません。またも消化試合的なイベントに終わる?


この状況を打破するために、現在の国会勢力のなかで期待できる政党があるとすれば、日本維新の会と国民民主党ぐらいですので、以下、松田政策研究所チャンネルで行った現職国会議員との対談(鼎談)シリーズから、彼らの発言をご紹介してみたいと思います。


●与党でも野党でもない「ゆ」党の維新は健在~総務省接待問題と新55年体制の打破~

まずは維新。与党でもなく野党でもない「ゆ」党は健在なようです。現状から代わり映えしないブランAが与党だとすれば、プランBを持たず、次の選挙のための政権批判パフォーマンスだけなのが野党。そのなかで次の経済社会のプランBを示そうとし、スキャンダルに隠れることで温存されている既得権益の構造問題に切り込むのが、「ゆ」党の維新。


自分も昔、そんな立場で国会活動していたなぁ…プランBとなる、法案としては前例無き内容の経済社会システム改革法案を準備したものだった…それも分党で維新を離れ、次世代の党でバッジを失ったためにお蔵入りになっていた…そんなことを思い出させてくれたのが、足立康史、藤田文武両衆議院議員と行った2本の鼎談でした。


テーマは、総務省接待問題と、維新が準備している「新所得倍増計画」。この計画、実は、実質的には私が知恵を出した部分が結構あります。藤田議員の説明にある資産ストックフロー化の考え方(私の10年来の主張)や、ベイシックインカムの財源の詰めなどです。私はベイシックインカムよりも給付付き税額控除だと考えていますが、思い返してみれば、これも前回の参院選に際して足立議員を通して松井代表が唱えるようになっていたもの。


いずれも参政党ができる前のことでしたが、いまでは参政党に私の知恵を出しています。与党にはこれをこなす力がなさそうでもありますので。参政党は、彼らが語る政策をさらに超えた政策を打ち出す予定ですが、以下、維新の両議員の発言内容には傾聴すべき点が多々あり、いずれも、「よ党」議員からも、「や党」議員からも聞けない内容だと思います。


「総務省接待問題は電波利権の問題やNHKの問題と絡み合っている。野党の追及は、『もりかけ』以来、的外れ。菅総理の足を引っ張るため。菅正剛と東北新社ばかりやる。違うでしょ。ほかもある。東京地上キー局+NHKの6社。電波利権の問題がある。スキャンダル追及なら文春に任せればよい。これは、そうでなく、抜本改革する絶好のチャンス。」


「維新以外は、政府与党からみたらラクなもの。そこに飴を置いて追及させて、こっちは国家運営。注目を東北新社に集めて、予算委員会はほとんど外交内政問題をやらずだった。与党の作戦では、ほどほどの追及をさせて…。電波行政に切り込むプロジェクトは簡単ではない。野党も与党もやる気がない。野党はテレビの前で見せ場を作れればよい。与党は見えないところでちゃんとやっている。総務省の改革派パージのために利権派が動いた。菅さんの足を引っ張って改革派を封じ込める。『もりかけ』がそうだった。岩盤に穴を開けるはずだったのが加計学園。岩盤側こそお金をもらっていた。本質と関係ないことをやらせて、本質は守る。それが日本の本質。新55年体制だ。」


●維新が示すプランB「新所得倍増計画」とは~ベーシックインカムと金融資産課税~

「新所得倍増計画を維新がまとめている。これは可処分所得の倍増。税と社会保障と労働市場の三位一体改革。池田勇人の所得倍増論に『新』をつけた。可処分所得こそ、生活実感だ。税と社会保障改革で負担をできるだけ下げ、成長戦略で経済のパイを増やして労働者に還元する。税は消費税のことばかり議論されているが、税を一体的に考え、フローからストックへを打ち出した。フローは大減税し、ストックは資産課税を強化。」


「固定資産や金融資産に薄く広く課税。金融資産を持っているだけで課税されるようにする。日本の国内外の資産が固定化して付加価値の高い使われ方がされていない。『追い出し税』の考え方で背中を押して、良い利回りでの事業に回す。(松田の)『資産ストックフロー化戦略』と考え方は同じ。金融資産課税で財源が賄えるようになる月6万円、全国民一律給付のベーシックインカムに基礎年金などを統合する。」


「成長戦略は、地方分権と労働市場改革。労働市場改革は全業種にまたがり、範囲が最も広い。大規制改革とデジタル改革。日本経済にポテンシャルはあるが、ピンが刺さっている。それから解放する。チャレンジのためのセーフティネット。経済と社会保障は裏表だ。」


「公正公平な税の徴収と所得再分配を一つの制度でやろうとするのがベーシックインカム。高所得者ほど金融所得の割合が増え、総合すると高所得者ほど税負担率は分離課税で下がる。ベーシックインカムで一律最低生活保障し、所得税はフラット課税とし、総合課税にして所得控除も無くしてベーシックインカムに置き換える。そうすると、年収700万円ぐらいまでは実質非課税になり、高額所得者も30%を限度にちゃんと負担してもらえる。」


「資産課税の部分が賛否が分かれるところだ。庶民と、ちょっと小金持ちと、大金持ちの3つに分けると、庶民は全員プラスになる。それはベーシックインカムの給付がされるから。資産課税をしてもプラスになる。小金持ちは不安がる。ただ、大金持ちはウエルカム。固定化された日本の資産が動き始める。利回り7~8%で資産税率が1%なら、十分に利回りがとれる。資産の価値が上がるなら歓迎。経済が回って付加価値が高い経済になる。小金持ちへの課税には反発があるだろう。しかし、資産を回して経済が良くなれば、ということを説得するしかない…」


「いまは利回りの高い経済への転換期だ。シンギュラリティが言われるAI革命やテクノロジーで、人口に比例して経済が伸びる経済からは転換していく。資産を付加価値の高いように動かさないといけない。定常社会ではないということで、一大転換を図る。」


「AI革命で雇用が失われるのは確か。そこで、分配の仕方が大事になる。だからベーシックインカムになる。労働観も変わる。嫌なのに稼ぎのために働くのではなく、自分が好きなところに働く。国が足らざる部分は支えてくれる。働かないのも一つの選択肢。日本人は勤勉だが、苦役的な労働から前向きな労働への転換が大事。」


「月6万円のベーシックインカムは家族4人で24万円。子供の数が多ければ多いほどたくさん受け取れる。究極の少子化対策になる。生む世代はより多く得られる。」


●危機感を共有してストックからフローへの大胆な組み換えを提起する

「今回、大胆に打ち出した。危機感が背景にある。このままで日本の経済社会は大丈夫か?自公政権による独裁体制は55年体制とほぼ同じだ。彼らに長期的な日本復活のピジョンはない。統治者として毎年、骨太方針や予算で回しているだけ。米大統領も4年8年のプランをもって大統領に就任している。菅総理には中期計画があるのか?日本の経済社会については無い。プランが存在しない。現状以外にない。」


「身を斬る改革もいいが、大阪都構想もいいが、政治改革も統治改革も大事だが、やはり経済社会のビジョンが大事。身を斬る改革→統治機構改革→そして経済社会の3段ロケット。政策論に我々が本格的に進出する。改革の先にどういう国を創るのかが、いよいよできた。いまの政権にはポストコロナの中期運営方針が無い。加藤官房長官は今年夏の骨太をみてくれと言っていた。自民党の大計画は今年の夏の骨太方針、代わり映えしないだろう。立民、共産はろくでもない。プランAとBで彼らの存在をなくしていくしかない。」


「MMT的な発想でのヘリコプターマネーや、お金を刷って配るようなベーシックインカムだと、持続可能性が低い。そこは組み換え論で、新しい成長モデルを創ることとの組み合わせで考えた。今のままでは駄目だ、このままだと国がつぶれるという思いがどこまで共有されるか。2000年以上続く日本の繁栄が僕らの時代に廃れるという根本的な危機感がある。そういう政治運動をやっていかねばならない。」


●国民民主党は「リベラル保守」、その意味は?~「人」が中心の政策と財政運営の改革~

次は国民民主党ですが、同党の議員の多くが自らの立場として掲げるのが「リベラル保守」。この一見、相矛盾する両軸の組み合わせは用語として分かりにくい面があり、ニュアンスは議員によって若干異なりますが、どうも共通しているのは、外交安全保障は現実主義、だから、共産と組むような立憲民主とは組めない。そして、保守主義者が言うように人間は神のように賢くないからこそ、現状をいきなり変えるのではなく、少数意見も尊重する熟議が必要。リベラルの意味は、与党の政治がもたらした格差拡大の問題もそうですが、内政面での課題解決の軸を、人を重視することに求めるということのようです。


この点を明確に言っていたのは前原誠司氏。外交安保は自民党より右寄りの同氏が内政面で重視するのが教育。人材こそ国力の源泉。同氏が唱える教育国債は、実物資産しか起債対象としない現行の建設公債の原則を変えるために財政法4条を改正する必要があるとの私からの指摘に対し、それはいまの与党ではできない点が自民党との違いだとしています。


教育重視という点では、「こども国債」を唱える玉木雄一郎氏も同じで、さらに山尾しおり氏は、与党の焦点のぼけた「全世代型」社会保障ではなく、明確に若年世代に焦点を当てた政策的立場を強調しています。玉木代表は、広く科学技術、知財、人的資本といった無形資産にも国債発行対象を広げる「投資国債」の考え方では、私と完全に一致しています。大塚耕平氏の場合は、なんと、永久国債の活用という点まで私と同じ立場でした。


当チャンネルで国民民主党は、玉木雄一郎代表、古川元久、岸本周平、山尾しおり各衆議院議員、そして前原誠司代表代行に続く6人目が大塚耕平代表代行(参議院議員)でしたが、日銀が持っている国債は永久国債に転換する…これは私の「松田プラン」の第一段階と同じです。国会議員にもこの点は分かっている人がいました。日銀出身の大塚氏は、どの政策論も私とこれだけ一致する、今の国会には珍しい政策通だといえます。右か左か、保守かリベラルかといった政治の軸そのもののイノベーションが必要という点でも私と意見は一致。そこで以下、国民民主党の立場や政策として大塚氏の弁をご紹介します。


●新しい「中道」の提起による政治の軸のイノベーション

まず、大塚議員が提示している新しい政治の軸とは「中道」。これは右と左の間という意味での中道ではなく、「正直」、「納得」、「現実的」という3点セットのこと。これが日本の政治にはなかった…。確かに、「正直」は自民党には欠けているようですし、立憲民主は「現実的」ではないということかもしれません。


「保守とリベラルは日本では誤用されており、対立概念ではない。リベラルの語源は自由主義。他人の幸せのために自分の自由を犠牲にするという意味は本来、ここからは生まれてこない。その後、全ての人が自由を保障される、自由を実現できない人がいれば、それは国家の役割だというソーシャルリベラリズムが現れ、今のリベラリズムになった。保守は伝統を守る。守らねばならないことのために変えるべきものは変える。米国ではジャーナリズムを学んでいる人や政治学者たちは保守対リベラルという区分けをしない。米国は、産軍複合体vs金融資本主義vsソーシャルリベラリズム。」


「2000年代に政権交代を目指した新勢力は何だったのかを改めて問題提起したのが『中道』。足して2で割るではない。戦争でもお互いが正義を主張するように、どちらが本当の正義なのか、一応。勝ったほうとなっているが、何が正しいかわからないのが現実の世界。どうしたら現実的で、できるだけ大勢の人が納得できる結論を見出せるかが中道の意味だ。」


「国民民主党に変わるときに、正直で偏らず、現実的な政治が日本に欠けていて、それを追求するのが『中道』だと説明した。まず、正直に事実を開陳しなければならない。その上で、自分たちだけが正義だと主張すると政治にならないので、偏らず、色々な人の意見を聞いて理解する政治を営む。とはいえ、一つの結論を出さねばならないが、できもしないことを言ったり、国民に誤解や幻想を抱かせることをあえて言うのはダメ。」


「政治の軸のイノベーションが必要。これを乗り越えないと世界の潮流に日本は乗り遅れる。こうした意味での中道があれば、日本は改革が進んでいたはず。熟議を尽くす。民主主義とは思想ではない。何が正しいかわからないから熟議を尽くし、出た結論には従う。それが民主主義。中道の立場の新しい政権が必要。政治が近年、劣化してしまった。」


●ファクターXの疫学的解明とコロナ会計の切り離しと永久国債の活用で経済安全保障を

「安全保障も誤解を解きたい。防衛軍事の議論に収れんしてしまうが、食料も科学技術も経済も教育も、全てが安全保障だ。新型コロナ対策としての公衆衛生も、安全保障に直結。国民生活が崩壊したら経済安全保障が崩れる。今回のコロナは、核兵器を持たなくても世界を混乱に陥れることができることが立証された。まさに『貧者の核兵器』が感染症。」


「なぜ日本は新型コロナの感染者や犠牲者がこんなに少ないのか、これを疫学的、科学的に解明して国民に情報公開し、次の感染症に備えるべきだ。コロナが原因での死者かどうかは、疫学的に追求しないとわからない。日本はコロナでも超過死亡数が増えていない。なぜ日本は科学的、疫学的なトレースをしないのか。去年から全く変わらない。やっているのに国民に発表していないとすれば、『正直な政治』からみて大問題だ。今後も新しいことがいろんな分野で起きてくるので、きちんと知の共有を図らないと、日本人の本来賢い国民性が突然、今までさらされていなかった情報に接して、おかしくなりかねない。」


「バブル崩壊後30年、日本企業は内部留保を蓄積し、人をコストとみなしてきた。この根っこを変えなければならない。日本経済の劣化の原因は、人とシステムをコストとみなしていること。それらはアセット。ここは変えないと。みずほのトラブルもここに起因する。」


「異次元の金融緩和でここまで膨らんだ日銀のバランスシートの問題は、短期間で着地点や出口を見出せない。そのなかで、日銀保有国債400兆円を償還する必要はない。根雪として持っているなら、その部分は永久国債にしていく。それで国の償還負担をなくす。」


「財政については、この対談で初めて言うが、コロナ会計はその他の会計と分けて管理すべき。『除くコロナ会計』で財政健全化を目指す計画を明示すべきだ。被災地復興も歯止めが利かなくなっている。3・11とコロナはトレンドとは別の背景で財政が膨らんだものなので、別段管理する。財政として規律の手を離したわけではないというメッセージを出さないと、いつ国債売りを仕掛けられるかわからない。これは経済安全保障であり、軍事的な安全保障は本当の根っこは全部、経済だ。利害得失から戦争が起こってきた。経済安全保障がいちばん大事。米中の半導体問題が国家安全保障に直結していることを正直にオペレートしたことは、トランプの功績だった。」


仏教が趣味であることについては、「仏教とは生きるための哲学。イスラム教やキリスト教とは違う。人はなぜ生きているのか、いずれは全員が死を迎える。コロナや原発に向き合ったときに心の持ち方と言動が変わる。自分がいま生きているのは色々な因縁の結果である。おかげさまでという気持ちこそ、仏教が哲学として提供してくれるもの。」


●新政治勢力が担うテーマとしての「コロナの正しい知識の普及とコロナ脳からの脱却」

以上、大塚耕平氏が示すマクロの財政金融政策も、コロナの真実を疫学的に明らかにせよと主張している点も、死生観や哲学の領域が政治には必要になっているという認識も、新たな政治の軸の創造という点も、いずれも私や参政党の立場と共通するものがあります。ただ、いくら政策論が優れていても、国民に広がるかどうかは別問題なのが政治の現実。ここはどう国民的な運動を興すかにかかっているのは参政党も同じです。


私は現在、ただの政策集ではない、国民運動と一体となった政策体系を創り、参政党の運営党員に議論してもらっています。その国民運動の部分を担う柱に日本型コミュニティの創造ということがありますが、もう一つ、エッジの利いた運動方針として、新型コロナについての科学に基づいた正しい知識の普及でモードチェンジを図ることを参政党が掲げることを党内で合意いたしました。これは3月27日のWeRiseとの合意を受けたもの。


早速、WeRiseに論者として出ていた南出・泉大津市長がすでにワクチン接種について全国自治体の中で唯一、取り組んでいることに、参政党として取り組む活動を開始しています。それは、新型コロナワクチンの接種に当たって、これが強制ではないことと、「接種による感染予防効果や中長期的な人体への影響については明らかになっていない」ことを住民に伝えているかどうか、どのように伝えているか、全国の1741全自治体に対し照会をかけ始めました。松田政策研究所の会員サイト同様、コロナに関する知識の普及啓発活動も党として本格化させていくことになります。


コロナで始まった今回のコラムもコロナで終わりましたが、新しい政治の軸づくりに向けた課題について、皆さまのご理解を深めていただく一助になれば幸いです。

閲覧数:324回
bottom of page