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グローバリズム・バイデン政権に従属する岸田総理~日本の自立と国家存続に向けて今年は増税政局に~

  • 執筆者の写真: 松田学
    松田学
  • 2023年1月15日
  • 読了時間: 12分

今年の政局を決めるのは、防衛増税に端を発する党内抗争だとされていますが、今年のG7議長国としてG7の地ならしの意味も込めた欧米歴訪を終えた岸田総理は、日本時間1月15日にワシントンで行った記者会見で、各国首脳とのやりとりを踏まえた日本の外交安全保障政策について述べていました。そのなかで気になったのが「防衛力を抜本的に強化するということは端的に言うのならば、戦闘機やミサイルを購入するということです。」


あの防衛費43兆円とは要するに武器を買うことだという趣旨の発言を岸田氏はあちこちで繰り返しています。結局は、米国の軍産共同体に奉仕するための増税なのでしょうか?


そう言えば、岸田総理が「日本の反撃能力の保有や防衛費の増額等を含め、我が国の安全保障政策を大きく転換する決断を行ったことについて、私から説明をし、バイデン大統領から全面的な支持が表明されました。」としている日米首脳会談、TVに映し出された、岸田総理を我が子のようにもてなすバイデンの仕草はいかにも、よくぞ我々の武器を大量購入する決断をしてくれたという、お褒めの意味を含んだ満面の笑みにも見えます。


安保5条の適用とか、日本を守り切る約束とか、そもそもバイデンは言うことが信用できないとされる人物。大口顧客へのリップサービスに過ぎない…?米国が面倒みるから心配すんな…それを額面通りに受け取れない現実があることを忘れてはいけないでしょう。


日本の防衛は自主防衛と日米同盟の二つから成るものですが、ジャーナリストの山口敬之氏は、後者に頼り切っていられない客観情勢を踏まえて、前者の自主防衛のほうを抜本的に組み立てようとしていた安倍元総理の路線を換骨奪胎したのが、岸田総理のもとで決められた今回の新安全保障戦略だと批判しています。


トマホークを買うことが国防だというのは見当違い。米国からハイテク兵器を購入しても、いざ運用となると、ソフトの根幹部分は日本側にはブラックボックス。しかも日本は、珍しくも米国側の言い値で買ってくれるおいしいお客さん。元航空幕僚長の田母神俊雄氏も、自国防衛のために必要なものについての自衛隊の現場からの要請が軽視されたまま、日米間で政治的に米国の高価な兵器を押し付けられてきたのが実態だと述べています。


本来、日本の国防は国産の技術開発による自前調達で行うべきもの。これは日本の産業技術の育成を通じて経済を活性化し、国力増大にも直結します。米国では軍事技術が民間のイノベーションを生み出し、米国経済を牽引してきたことからも明らかなことでしょう。


かつてクリントン政権の末期頃のことですが、その後、ブッシュ政権下で大統領補佐官に就いたリンゼー氏が来日した際に東京で開かれた保守系の講演会で、当時、大蔵本省でマクロ経済を担当していた私が同氏に対して、こんな質問をぶつけたことがありました。「民主党政権は日本の財政について、常に財政刺激をせよと圧力をかけてきたが、共和党の大統領になったら、どんな方針で臨むのか」と。そのときの答を今でも忘れられません。「日本がどんな政策をとるのかは、日本自身が決めることだ」。そのひと一言だけでした。


これは米国の民主党と共和党の違いを如実に物語る答弁だったと思います。思い返せば、今回日本が決めた防衛費GDP比2%はトランプ大統領が言っていたことであり、日本の防衛は日本がやれという趣旨のことを発言してきたのもトランプ氏。


それぞれの国が独自の国家主権のもとに自立的に自国の運命を決する。こうしたナショナリズムの立場とは正反対の位置にあるのが、グローバリズム利権と結びついたバイデン民主党政権であり、その米国にべったりなのが岸田氏。その立ち位置はすでに、日本の国益を忘れて、ウクライナ紛争後の対ロシア制裁に全面的に加担した時から明らかでした。


日本にとっての真の敵はグローバリズム全体主義。岸田政権のもとで日本は本当に大丈夫なのか…今回は前述の山口氏が年初に私との対談で語った内容をご紹介いたします。


●日本では報じられていない米国情勢…局面は変わった

昨年末から米国ワシントンに滞在中の山口敬之氏とのzoom対談は、現在の米国国内情勢の話題から始まりました。それはちょうど、マッカーシー氏が下院議長に選出される目途が立ったという情報が入った時点…山口氏によると…、


「共和党の中でも三種類。トランプ支持グループ、中道の古き良き保守派、反トランプ軍産共同体(チェイニー)など。トランプ派の中でマッカーシーに反対があったが、来年の大統領選挙でトランプ氏を担ぐかどうかの前哨戦としての議長選挙だった。マッカーシーに投票をトランプ派が呼びかけたのに、支持派のうち20人が応じなかった。」


「ただ、日本の報道は極めて一面的。反トランプ的報道が多すぎる。米メディアが偏っているのは選挙のためだ。この件でトランプの勢いに陰りと、日本のメディアはどれも報じているが、先の中間選挙でもトランプ支持者が90%当選している。デサンティス氏に切り替えている人も少しいるが、トランプ優位が揺らいでいるわけではない。」


「ツィッターの暴露シリーズ(Twitterファイル)がこちらでは大きく問題提起されている。フェイスブック、アップル、Amazonが、トランプが不利になるように言論空間をゆがめていたことが明らかになっている。大統領選でトランプが敗けさせられたことが裏付けられてしまった。『ちゃんと戦おうよ』…民主党支持者の間からも『酷かったね』という声が出ている。これは日本のメディアには全く出てこない。」


「下院を共和党がとったことで、今まで隠蔽されていたものが一気にオモテに出てくる。コロナ、ウクライナ戦争、バイデン本人、ハンター・バイデン、5つの特別委員会をつくる。バイデンは犯罪行為、国家反逆罪に当たるとの指摘も。バイデンには致命的な事実が議会であきらかになってくることが今年は確実。そもそもバイデンが出馬できるかとの声が民主党内部にも出ている。2023年はホワイトハウが激震する年になろう。メディアが隠しても、連邦議会がやると報道せざるを得なくなる。日本ではこれも報道されていない。」


●ウクライナを終わらせないバイデン政権…無辜の民の犠牲を続けさせているのは誰?

「ゼレンスキー大統領が米国電撃訪問で議会演説をした際に、日本の報道は『大歓迎』だったが、演説の時々でスタンディングオペレーションに少なからぬ議員が参加していなかった。ウクライナ支援が本当に米国に必要だったのか、戦争を長びかせているだけではないか。軍産共同体のためであって、国民の利益になっていないのではないかという議論が出ている。ゼレンスキーが信用に足る人物なのかという声もある。」


「共和党側は今までの野放図なウクライナ支援を通さない可能性がある。策定された支援計画がそのまま実行される可能性が低くなってきた。かなり圧縮されていく。」


「ウクライナは春にも、お金と兵器があるうちに勝負に出る。ロシア領土内の攻撃もあるかもしれないと米国内では言われている。」


「ロシアは立場がはっきりしている。クリミアを返すはずない。それと二つの共和国だ。クリミア併合から8年かけてロシア領として固めているので、ウクライナが改めて取るというのは考えられない。戦争を終える方向でプーチンはもう動いている。」


「バイデンはじゃぶじゃぶに、ウクライナ戦争が続くように、兵器を米製に入れ替えて、軍需産業が儲かるように、これも税金で…これが中間選挙の結果、もうなくなる。」


「そもそもドンバス地方がロシアの支配下だったことから出発して考えないと、事実はみえてこない。ウクライナ領内のロシア人の人権を守るのがそもそもの戦争目的。それすら日本人には伝わっていない。」


「所期の目的は達したとロシア側は言っている。ボールはゼレンスキーと米英とNATO、彼らがどこまで戦争を続けるかにかかっている。無辜の民の犠牲を続けさせているのは誰なのか。これが理解できているかどうかでウクライナ戦争の見方が180度変わる。」


●台湾侵攻は?…中国との裏取引で日本は『危機的』を超える?

「習近平の立場では、2024年に大統領がバイデンでなくなるというのは困る。米国政治の状況は逐一、習近平には伝わっている。今年と来年が最後のチャンスと思っている可能性が高い。習近平自身には実績が全くない。二期で達成したものがない。最後のチャンスが台湾を取り戻すこと。これを高らかに謳い上げた。何らかのアクションがあろう。」


「ただ、本格的な軍事侵攻の準備は整っていない。軍事的にはミサイルで台湾壊滅はできるが、それでは世界が中国包囲網になる。台湾や日本の壊滅は容易だが、中国も国際社会で生き残らねばならない。だから、超限戦。内側から壊していく作戦を加速させる。年末の地方選挙で蔡英文側が惨敗した通りだ。」


「これが日本に与える影響は『危機的』という言葉では足りない。尖閣の隣が中国になる。奪いに来る。シーレーンは潰される。」


「バイデンと裏で中国が握ると取り返しがつかない。積極的にではなく、超限戦を見て見ぬふりをする。中国がやったことがわかっていても黙っているとか。バイデン政権とはそういう種類の政権だ。」


●日本の防衛費増は…米国軍産共同体の軍門に下ったのが岸田総理

「第二次安倍政権がレールを敷いたものにそのまま乗っかって43兆円ができたことは評価できる。しかし、これは誰が日本の総理であろうとやらねばならぬことで、岸田氏を褒める筋合いのものではない。残念なことに、独立国であることを捨てている。だから岸田政権は評価できない。」


「岸田氏は岸防衛大臣を更迭し、島田防衛次官を切った。安倍さんは怒っていた。安倍政権では、独立した国家として自分で守れるという哲学に基づいて計画を作っていた。岸田氏は安倍氏が想定している方向なら人事で変える必要がなかった。」


「結果として矮小されたものになった。原型を自分は知っているが、表に出来たのは換骨奪胎だった。日本が揺らぎ、米国がかつてのように信頼できないというところで組み立てていた哲学も内容も崩壊した。岸田総理は、『戦闘機やミサイルを買うことだ』と防衛力の強化の意味を言い切った。三文書すら理解していない。」


「トマホークでは守れない。極超音速の時代に飽和攻撃で一発もミサイルを落とせない。もっと日本が強くなったはずのものを骨抜きにした43兆円。増税は言い訳にしても、あまりにひどい。もっと米国に依存しない防衛体制を考えていた。」


「完全に米国のほうを向いている。そもそも岸田氏が防衛費増を最初に言った相手はバイデンだった。国民ではない。その結果が出てきた。日本を向いた防衛力増ではない。米国軍産複合体のために?岸田氏はその軍門に下った。」


●防衛増税と党内倒閣運動…今年は増税をめぐる政局に

「岸田総理の年頭記者会見は絶望的だった。首相としての思いを伝える貴重な機会なのに、役人の書いた政策集。最大の焦点は、防衛費増を先送りして年末までに決めねばならないこと。萩生田さんが防衛費の1兆円の原資をどう工面するかの特別チームをつくり、安倍レガシーを引き継ぐ人たちが結集している。増税しなくてもできる。増税という論理がおかしいと。これが今年の政局の台風の目になろう。増税に突っ走れば、このチームが倒閣の中核になる。」


「岸田政権が安保三文書を決めたのも、増税を1兆円にとどめたのも、支持率が下がっているから。正当的な政権批判がなされたから。次が河野太郎になってしまうから、岸田政権批判をしないという人がいるが、頭がおかしい。しかし、いま倒れて次は河野というシナリオはゼロ。党内で票を集められない。」


「岸田派、麻生派、茂木派のそれぞれの塊りが岸田政権を支えている。清和会は塊りとして壊れている。岸田政権が倒れるのは、これら三つの塊りが壊れたとき。麻生が河野を推すのはありえない。茂木を推す。派閥の領袖が支える構図が壊れた時が岸田政権の終わりだから、茂木しかない。」


「いままで消費増税をしようして多くの首相が討ち死にしていった。その時に竹下登氏などは国民に不人気でも日本に必要なことをやったといった、ある種のナルシシズム。ポピュリズムに逃げなかったと。小泉純一郎氏のように、やらないと言って長期政権にした人ではないという。しかし、岸田氏は愚鈍で、やめる決断もできない。」


「現状では増税が1兆円と小幅でかっこよくない。岸田は消費税を上げるところも視野に置いている。消費税を上げるために防衛力だ…と、順番が入れ替っていた。しかし、それだけではちんけな増税だ。自己陶酔も半分ぐらいだろう。僕もがんばりましたと言うには消費税を上げないと、今のままでは達成感が足りない。」


「だから、今、岸田政権を倒さないと、来年、消費増税に向かう。日本は終わってしまう。いま増税している場合ではないでしょということで総理を引きずり下ろす。増税に頼る総理は失格と烙印を押す。これは、より良い総理を生むプロセスになる。」


「萩生田さんの議論は質が高い。防衛力増強には誰も異論はない。萩生田氏の論点は、例えば男女共同参画に何兆円も出している、そんな平時のことではなく、防衛に回しましょう。そして国債こそが最も適合する。この議論は正しい。1兆円としての立て方が間違っているという議論だ。今年は増税を巡る政局になる。」


●本来あるべき財源論としての国債

…昨年の参院選前に言われていた岸田政権「黄金の三年間」が消え去ったことだけは間違いないでしょう。参政党も、今年5月のG7サミット以降、いつあってもおかしくなくなる解散総選挙に向けて準備を進めてまいります。


防衛費増額の財源は、世界最大の対外純資産国を30年以上も続けている日本では、国債増発で4,000兆円を超える金融資産のポートフォリオをほんの少し変更して調達するのが、最も安定した財源になります。それは同時に、国内へとマネー循環を振り向けて経済を活性化することにもなります。


国防とは現在の世代を守るだけでなく、国家を永続させる資産ですから、建設国債の考え方で、本来なら永久国債が財源として最も馴染みます。少なくとも超長期国債でしょう。これと同時に、国債の60年償還ルールを100年に変更するだけで、財源は出てきます。


日銀保有の国債を満期時に永久国債に乗り換えていけば、毎年度16兆円あまり計上している債務償還費が浮きますから、これも財源になります。最終的には「松田プラン」で、国債の貨幣化による国債処理を行えばよいこと。


たった一議席の、地上波にほとんど出られない参政党ですので、どこまで国民に伝わるかわかりませんが、今年は党代表として、こうした議論も広く提起していきたいと考えています。

 
 
 

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