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執筆者の写真松田学

ついに始まった?岸田降ろしと政治資金問題のリアル~トランプ再選で迫られる改革へ国会は機能を回復せよ~

通常国会もついに衆院解散なきままの閉会となりました。内閣支持率がここまで低下し、総選挙後の連立相手として期待していた維新からもウソツキ呼ばわりされれば、さすがのサプライズ大好き総理の岸田氏も、とても解散ができる状況ではなかったでしょう。


最近の世論調査に共通する特徴として「次は自公以外の政権を」との声の高まりとともに挙げられるのは、6月からの定額減税の評価が低いことですが、岸田総理はまた、同じことを繰り返してしまったようです。それは会期末の先週21日に突然表明した「電気・ガス8~10月補助」。岸田氏は霞が関官僚にとって有難い総理だったはずですが、定額減税では財務省が、今回の電気・ガス代では経産省が、いずれも寝耳に水。政策は迷走状態です。


いずれも国民にとっては負担軽減になるので有難いはずなのですが、その実施時期をみると、定額減税は6月から。これはつい最近まで言われていた6月衆院解散と同じ時期。そして今回の電気ガスも8~10月と、自民党総裁選や、その後に想定される解散総選挙と同時期です。税金で支持率と票を買おうとするのがあまりに露骨。自らの政権維持のためには何でもする、その姿が国民からの信を失い、支持率低下の原因であることに岸田氏は気づかないのでしょうか。これだけ何を考えているかわからない総理は珍しいそうです。


政治とカネを巡る問題でも自分自身には処分無し。ついに菅前総理までが、「総理自身が責任を取っていないことに不信感を持つ国民は多い」と明言するに至りました。いよいよ 総理交代か。菅氏は同時に、ポスト岸田に言及し、「刷新感が重要だ」と発言したようです。


党内からは、岸田氏に総裁選に出馬しないよう求める声まで出ています。麻生氏がいる公の場で麻生派の議員が辞めろと言い、茂木氏がいる場で茂木派の議員が総裁選に出るなと発言。両氏が直接発言すると政局になるから、彼らに発言させているとの見方があります。最初の党内での岸田辞めろ発言は6月4日の横浜市連会長によるものでしたが、横浜は菅氏の地元。菅氏の意向無しでは考えられないようです。菅氏と麻生氏がいよいよ…。


恐らく、総理総裁は自分が決めるという政治抗争が両氏の間で始まっているのでしょうが、両人は元々、安倍政権をともに支えながらも、当時から激突する関係。ただ、両氏が本気で組んだら岸田氏は瞬殺されるでしょう。永田町は政局に入ってきたようです。


自民党の支持率低迷の背景として無視できないのは岩盤保守層の自民離れ。岸田氏はこの層を取り込もうとして「自らの任期中に憲法改正を」と言い続けてきましたが、ここでもウソをつきました。本気で改憲を目指すなら、通常国会を延期してでも改憲発議に持ち込めたはず。減税も訪米も電気ガス代も改憲も、噂されている電撃訪朝も…全ては自らの権力維持が目的…ここまであからさまに信頼失墜の挙に出た総理も珍しいかもしれません。


東京都では先週20日から七夕投票に向けて都知事選が始まりましたが、小池氏も色々なウソが指摘されています。学歴詐称問題だけではなく、前回都知事選で公約した「七つのゼロ」も…都電柱ゼロ?満員電車ゼロ?介護離職ゼロ?都内の街は電柱だらけです。


かたや蓮舫氏にも自身の二重国籍問題に説得力ある説明がないとの批判に加え、ここでも「立憲共産党」?政権与党の自民党は今回も候補者を出さずに小池氏応援に回りますが、小池陣営は自民党隠し、蓮舫陣営も共産党隠し…どうも虚飾に満ちた都知事選の印象が…。


加えて、56人と史上最多の候補者となったことも話題となっていますが、うち24人が、NHK党。同党に限らず、供託金三百万円を払ってもテレビの政見放送に出ることによる知名度アップが自身の発信媒体の登録者数を増やすなどペイするという計算があるそうです。規定通りに政権放送をすると11時間かかるそうですが、NHKはやり切るとのこと。


選挙がビジネスの手段に堕している…全体主義によるトランプ陣営への弾圧が露骨な米国のみならず、日本でも民主主義は別の意味で一種の危機に直面しているかもしれません。


しかし、世界では国際秩序が大変動を示すなか、特に11月にトランプ氏が大統領に再選されれば、日本には国家の存亡を決めかねない重大な選択が迫られることになります。いずれ秋には予想される総選挙で、日本の有権者は目前の政治不信を乗り超えて賢明な政権選択ができるのか。今回は、自民党が抱える問題の実相と政治の今後の課題について、自民党の元衆議院議員である長尾たかし氏と行った対談の内容を以下、ご紹介いたします。


●党内からも愛想をつかされた岸田総理…何を考えているかわからない人

本対談では、長尾氏と私が交互に意見を述べ合いながら、自民党とかつての民主党の両方の議員を経験した長尾氏が知る政治の実相を聞き出すことから話が始まりました。長尾氏によると…「この内閣支持率、普通なら相当深刻だ。09年の政権交代のときと比べても、支持率はいまの方が低い。ただ、野党の支持率が上がらない。09年は自民32%だったが、民主党は35%だった。今は野党が追い付いていない。野党がだらしないのでなんとか自民は維持できているが、国益を損なっている。支持率はまだ底を打っていないかもしれない。」


「岩盤保守はもう自民党から離れている。それは大きい。古くから自民を支持している人が、なんだ、あれは、と。政治改革への不信だ。責任の取り方への批判だ。清和政策研究会は全員が責任を取った。二階派も起訴され、宏池会の事務局長も起訴されているのに、宏池会の会長が何もなしだ。総裁でもある。岸田氏がトップとして何も処分受けていない。」


「これが自民党離れに。自民を支えてきた人々から愛想をつかされた。岸田氏自身がこれをどう考えているのかお聞きしたい。安倍さんなら、間違いなく、総裁を辞任するか、厳しい処分を自らに先ず課していただろう。その次に大臣や党役職の交代だろう。」


「しかし、岸田氏の場合は、特捜が入ってすぐに大臣や役員を更迭。まだ嫌疑の中身も分かっていない段階で、だった。党内から批判が噴出しているが、これからも出てくる。」


「では、岸田氏は政権運営をどういう腹で?何を考えているかわからない総理は初めてだと、産経の阿比留瑠比氏が述べていた。今までは派閥があって、派閥から各議員は情報をもらい、自らの立ち位置の判断をしたが、今は派閥は麻生派以外になく、記者も同じ状況だろう。政局の流れは派閥からの情報が多かったが、それができなくなっている。」


「ますます総理が何を考えているか把握できない。では側近は?お食事も何人かととることもない。岸田氏は今や孤高の人?裸の王様?」


●政治資金規正法改正は全くのザル、良いチャンスを逃した

「政治資金規正法改正はザル法だ。規正法に基づく収支報告書は簡単なもの。小遣い帳のようなもので、難しくない。要するに書くか書かないかだ。どれだけ厳しくしても同じ。」


「連座制の方は厳しくなる。秘書の行為で議員本人が関知していなくても、自動的にスイッチが入るなら抑止が効く。今般、連座制そのものではなく、議員は確認義務となったが、それはスパイを送り込んで政治家を殺すことを防止するため。ブレーキが必要だった。」


「政策活動費の10年後の公開?これはどの議員がもらうわけではなく、幹部が受け取る。1千万単位、億円単位でだ。政党から議員への寄付は使途報告の必要がない。政党助成法に規定されている。使途を明からしなくていいという理由は、政治活動の自由。」


「それが目的とは違う形になっている、それ以外に使っているのではないかという問題。選挙で配っているのではないか。使途を明らかにするチャンスだった。10年後に公開されて何になるか。正しく使っていれば良い。こういうところに行かなかったのは残念。」


「では何に使っているのが正しい使い方なのか?聞いてみたい。政治にはカネがかかるというのは政治だけではない。世の中の経済活動には資金が要る。企業経営では1日に何千万もおカネが動くのは普通にある。事務所、秘書、給与、社会保険、交通費、固定費が政治にはかかる。その点は区分けして議論する必要があった。」


「10年後に公開で何を守ろうとしたのか?自分にもわからない。表に出せないなら表に出せない使い方をしているのではないかとなる。個人的な飲食?それ以外なら、おカネを配るしかないのでは?大金を裏でもらったことは、自分は本当にない。」


「こういうことに使っているから公開しにくいのだということを国民に示せればよかったはずだ。もしかすると、活動していないかもしれない。使えよと言われて、ずっとため込んでいるかも…。それだと課税対象になる。当年度で残額があれば雑所得だ。」


「政策調査費はそうなのだが、これが収支報告書への不記載問題とごっちゃにされた。キックバックで発生した残額は雑所得ではない。」


●自民党は自分でカネ集めすることが不可欠だが、旧民主党は上からカネが降ってきた

「党内で積み上げた案が岸田さんと他党との交渉で次々と変わっていった。パーティー券20万円以上が党内で10万円以上へと引下げが決断されたが、それがさらに5万円以上に。しかし、公開基準を引き下げても影響はないはずだ。20万円が10万円になれば報告すればいい。オモテに出せばいいものを、資金を集めづらくなる?出してはいけないところからおカネをもらっているのか?外国人とか?」


「いただく側が困ることはない。出す側が自分の名前を出すのが嫌なら、仕方ない。いただけないなら仕方ないと思う。1千万円とか、どかんとやっているのを20万円に切り分けているような人はやりにくくなるが、普通の議員ではそんな話はない。そうやって多額を集めている人たちが抵抗しているのだと思う。」


「政治資金パーティーを無くせという議論があったが、やめると事務所運営ができなくなる。企業のような事業ができない。共産党の赤旗は別だが、他の政党であのような事業はできない。ならば、事務所運営費は寄付かパーティーで集めるしかない。」


「集めたお金は特別なことには使っていない。何もしなければ何もかからないが、そういうわけにはいかない。立民の幹部がパーティーという話があったように、野党もカネがかかるのは同じ。自分は旧民主党の入れ墨もあり、自民と旧民主の比較ができる。」


「上から降りてくるおカネは旧民主党のほうが多かった。自民党と違うのは、生活費まで降りてきたこと。ひと月数十万だ。政党助成法に基づくもの以外にも調査費として生活費に使っていいと。自民党で政党助成法で降りてくる金額よりも多かった。」


「だから、パーティーをしなくても上からのカネが多く、幹部クラス以外はパーティーをやる必要がなかった。組合費は企業で給与から天引き、普通はおカネを集めるためにも事務経費が要る。事務費は会社が払い、組合が受け取る。源泉徴収のようなもの。」


「これに対し、自民党は自分たちで集めなさいと。自分は民主党時代の浪人時には生活費があったが、今は個人献金だけで政治活動をしている。自民党は有権者からいただく。借りるよりも、いただくのはプレッシャーが大きい。結果を出すしかない。そのカネを政治活動のために公のために政治活動するならよいこと。」


●総裁選のキングメーカーは麻生氏か

「解散は総裁選前にという、山口敬之氏のような見立てもあるだろう。自民党議員が一気に落選するが、それは反岸田の人間がいなくなること。分母消しだ。そのための解散はあるのでは、と。落選した分、維新との連立が成果になると。しかし、維新が旧文通費の件で、岸田氏が維新の主張を丸呑みした案に維新は反対するとなった。お怒りはごもっとも。これで岸田氏は解散も出来ないし、総裁選も盤石でない。道が見えなくなっている。」


「麻生氏の塊と茂木氏の塊。両氏が会食し、麻生氏に応援してくれと言っていると思う。岸田と茂木氏の関係は無理だ。茂木氏を超えて馬場氏と山口氏とやっていたのは面白くない。キングメーカーの動きが少しずつ出てきた。」


「派閥が無い形での総裁選への突入であり、未だかつてない総裁選に。派閥に所属していないと総裁になれない時代から、派閥の拘束がなくても総裁選に出られる時代に。おおいに権力闘争をして頂きたい。人間三人集まれば派閥ができる。永遠に派閥が消えることはない。お互いに自然発生的に新たに構築されることは普通にある。」


「その中で麻生派だけが派閥を維持。力を発揮してキングメーカーになる。自民議員の本音は解散してほしくない。岸田さんでは選挙戦えないと。衆議院議員のポスターで二連ポスターの相手が岸田氏でないケースが出ている。民間人の場合もある。」


「そんな雰囲気で、岸田氏は総裁選は厳しい。20人は集まるとしても。そう考えると、山口氏の見立てもあり得るか。ひょっとしたら夏の解散があるかもしれない。


●政権維持のための売国…国民負担に関わる大問題なのに国会が取り上げない

電撃訪朝で支持率アップのシナリオは?「5月に日朝の代表がウランバートルで協議と報道で漏れた。山口氏の話では、ウランバートルという場所でやるのは最終局面だと。田中、金田のお二人がちょっと返ってくるのを、拉致被害者帰国だというのはあってはならないし、国交正常化で経済支援というのは絶対にやってはいけない。全員即時帰国という結論が出なければならない。それしかない。」


「それなら日本独自の制裁を解いてもいい。支持率を上げるためにはではなく、国家としてやらねばならないことをした結果として支持率が上がるなら、やってください。家族会が待ちわびている方々の帰国なら。問題はそうではないのではないかということ。」


では、日本を売っているという批判は党内では?「ウクライナ支援についても党内で恐ろしいほど批判がない。ロシア凍結資産の運用益の活用についても、とある閣僚クラスの方と対談した際に、その話を振ったらご存知でなかった。2.7兆円ウクライナに去年出したのは官邸のホームページに出ている。当たり前のことなのに、多くの国会議員が知らない。国会で審議されていない。審議されるべき話だ。」


我々の税金なのだから、それこそ国会が議論すべきテーマでは?「なのに、党内でも議論されていない証明だ。国会で論戦をやってもらわねばならない。米国との連携はいいが、言いなりはダメ、日本はATMではない。しかし、事実を知らない自民党議員が多い。」


「G7でゼレンスキーと会談して、半年で7,000億円。それは日本の報道ではなく、ゼレンスキーのXに書いてあったこと。1兆円の増税で議論していたのが、ポンと7,000億円。この話を国会で質疑してほしいと言ってもなしのつぶてだ。野党の議員も取り上げない。」


「国会でいちばんやるべき国民負担につながる話なのに。これこそ自民党が質問しなければならないこと。解散総選挙でいちばん国民に問わねばならないこと。松田はいつも問題提起している。今度の選挙では、政治家はだらしないということで終わらせてはいけない。松田も長尾もそう言っていたと、広めてほしい。」


「いずれにしても、総裁選のあと、すぐに衆院解散だろう。新しい顔でも、今年中にあるだろう。去年の6月にLGBT成立直後に、ウクライナ支援と同時に、解散総選挙が考えられていた。あの時だった。ただ、これから内閣改造をやっても支持率は上がらない。結局、選挙でしか支持率は上げられない。死にものぐるいの場で…。」


●トランプ再選と日本の政界が取り組むべきこと…議論は待ったなしの核武装と改憲

「11月の米大統領選挙でトランプが再選されたら、安全保障が日本にいちばん大きな影響。日本のことは日本で、日本にとってそのほうがいい。安保5条で尖閣という時代ではなく、台湾有事は日本の有事、核シェアリングということを我々が考える良いきっかけになる。血反吐を吐くような改革を日本は迫られる。あらゆる世論と血まみれにやらねばならないことを突き付けられる。それに臨みたい。」


「核武装もそうだ。かつてトランプは安倍総理に言ったが、向き合う必要。核保有国には核攻撃が無いことがウ戦争で証明された。リアリズムに基づいた議論が自民党ではどの程度なされているかだが、ある程度は火がついたのに、核シェアリングも種火ぐらいでしかない。ここに火をつけられるか。また燃えないといけない。」


「核武装も世論が現実に動いている。SLBMなどの議論を突き付けられる。小ずるいが、安全保障上の核という議論を進めつつも、他の核の話、小型モジュール原子炉、核融合、原潜…現に原潜空母は日本に入っており、『むつ』もあった。左派の人たちの言葉の核アレルギーを排しつつも、いきなり核武装ではなく、原子力船で病院を運営するなど、やれることはたくさんある。」


「呉駐日大使の発言、日本は足元をみられている。ペルソナ・ノン・グラータ、普通ならそれが当然だ。『遺憾法』が『懸念法』に代わったようだが。中国大使の召還ぐらいでちょうどいい。それができないなら、核議論も出来ない。」


「岸田総理もLGBTではすごいリーダーシップ。部会の8割近くが反対なのに、法律を成立させた。やればできる。核もその気があればできるはず。しかし、核廃絶ばかり言っている。広島選出の総理が核武装を言うことが大事。彼しか言えないバズーカ砲だ。被爆者でも、核武装と発信している方がおられる。二度とあの惨禍を起こさないために。平和のために。被爆国だからこそ説得力を持つ。」


「岸田氏は改憲を総裁在任中と言ってきたが、本気でない。やる気なら、通常国会を延期すればぎりぎり間に合っていたはずだ。法律は国会が決めるが、憲法は国民が国民投票で決める。国会の責務は条文案を発議すること。否決されたらと、尻込みする議員が自民党には多いが、違う。有権者が決めること。示したものが否決されることを許せないという現実逃避が上層部に多い。国民投票で否決されても自民党が否定されるのではない。頭の整理が必要。他の法律とは違う。提案はたくさんしたほうが国民の選択肢になる。」


「改憲は党内では煮詰まっていると若手中堅は思っているが、老練な先輩たちはそうでない。立民の反対とか他党の責任ではなく、自民党の方がふんぎれていない。結党の原点だ。見送ると、二度とできない。条文はできている。あとは手続きだけなのだから。」

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