【年頭ご挨拶】ナショナリズムの時代への転換に当たって~「永久占領」を克服し国家の軸を再構築する年に~
- 松田学
- 2023年1月3日
- 読了時間: 10分
あけましておめでとうございます。
昨年の令和4年は、国内外の激動が本格化した年でした。現在の日本は、①紀元7世紀における白村江の戦い、②鎌倉時代の元寇、➂幕末の植民地化の脅威、④第二次大戦時に米英からの圧迫で戦争に追い込まれたことに続く、⑤国家開闢以来の五回目の国難に直面しています。それぐらいの認識を国民は持たねばならないでしょう。
日本はれっきとした独立国にならねばならない…昨年は、ウクライナ戦争でこの気運が高まり、国際情勢が切迫するなかで、国防費の増額が決定されました。ただ、いま決断しても間に合うかどうか。国民がその気にならないと真の独立国にならない時期に来ています。5年間で43兆円の国防費も、そこに魂が入らないと有効に機能しません。
本年令和5年は、数々の国難の中にあっても、日本が自国に軸足を置いて新たな時代を切り拓くべき年だと考えています。振り返れば、明治維新から敗戦までの77年間は、幕末から押し寄せたグローバリズムに対抗して、日本国のナショナリズムをもって近代化を果たした77年でしたが、敗戦後の昨年までの77年はナショナリズムが衰退した77年でした。
グローバリズム全体主義が牙をむき出しにしている現状にあって、日本は昨年までで「永久占領」の枠組みのもとに置かれた「戦後77年」のフェーズを終わらせ、今年から「ポスト戦後77年」の新たなナショナリズム勃興の局面に入らねばならないと考えています。
そのために、今年が卯年にふさわしい飛躍の年になるよう、松田政策研究所代表として、また、参政党代表として、全力を尽くしてまいる所存です。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
以下、私の年頭所感を申し上げます。
●昨年2022年はグローバリズム全体主義のもとで起こる危機の始まりの年だった
昨年2022年は、これまで多くの人々が予想もしなかったような異常なことが次々と起こった年でした。ウクライナと核戦争の脅威、安倍元総理暗殺、台湾有事の現実化…等々もそうです。そして、それらの背後にあるグローバリズム全体主義の脅威が明確化した年でもありました。
すでに三年前には新型コロナパンデミックが始まり(2020年1月)、二年前にはグローバルプラットフォーマーが国家主権を超えた瞬間ともいえるトランプのアカウント閉鎖という事件が起こる(2021年1月)など、これまでも十分な予兆がありましたが、2022年はグローバル勢力の思惑がもろに姿を現した年となりました。
新型コロナもそうです。グローバルなワクチン利権の利益が、各国の国民の健康よりも優先する、そんな構図が明確化した年でもあります。
ウクライナ戦争については、そもそもがグローバリズム勢力が引き起こした戦争といえますし、安倍元総理暗殺については誰も真相を追及しないという不思議な現象が起こりました。これは政府与党までがグローバル勢力に支配されている?と思わせる事態です。
そして、安倍元総理暗殺後の推移をみても、統一教会問題も国葬での国論分断も、日本が海外グローバル勢力からの世論操作に脆弱な国であることを露呈しました。
台湾情勢については、習近平三期目入りで中国が独裁体制・統制経済へと本格的に動き始めています。こうしたなかで、日本国民の危機意識がかつてなく高まり、防衛費GDP2%が受容されるまでになりました。日本人にとっては、まさに「目覚め」の年でした。
●参政党現象で国政政党に飛躍…「躍動」の年
こうして、グローバリズムによるSilent Invasionに対する危機意識が日本人の間に生まれ、2022年は「陰謀論」が陰謀論ではなくなった年になったといえるでしょう。
そのなかで参政党は、①メディが報道しない真実を国民に訴え、②日本に軸足を置くことで日本人のDNAを目覚めさせ、子どもたちにまで勇気を与え、➂戦後初めての参加型民主主義の仕組みを創りました。これが参院選では政党の選挙活動を超えて、参政党が国民運動にまで発展した背景でした。
以上、総括すると、昨年は危機が本格的に始まった年であり、健全なナショナリズムが台頭した年であり、新しい民主主義が芽生えた年でした。
●維新から敗戦までの77年と敗戦から昨年までの77年…「ポスト戦後77年」へ
歴史を振り返ってみると、明治維新(1868年)から77年を経て日本は1945年の敗戦を迎えましたが、この時代は、グローバリズムに向き合った日本が、ナショナリズムによって日本らしい近代化を遂げた77年でした。そこには国家としての軸がありました。
これに対し、敗戦から昨年の2022年までも、ちょうど77年の期間でしたが、この77年間は、GHQの占領から始まった日本のナショナリズム衰退の77年だったといえるでしょう。その極めつけは90年代の「第二の経済占領」だったかもしれません。日本は主要国のなかで最も成長しない国、賃金の上がらない国へと落ち込みました。
では、「ポスト戦後77年」となる次の時代はといえば、私は、ナショナリズムの復活の時代にならねばならないと思います。
より超長期でみれば、21世紀が文明の転換期とされるなかで、日本を軸として新たな地球文明の建設に向かう数百年が始まる必然性があると考えれば、これからは、私がかねてから提唱してきた「日本新秩序」の本格化の時代に入ってほしいと考えています。
●では、その最初の年である2023年はどんな年に…ナショナリズム再興に向かう年に
この流れにあって、今年2023年は、グローバリズムに対抗する日本ナショナリズムの位置づけを明確にすべき年ではないでしょうか。まさに西村幸祐氏が述べるように「自らの世界史的な立場を提示する国になることを開始する年」です。
昨年に明確化したのは、日本が「永久占領」のもとに置かれた構造でした。その支配者たるグローバル勢力の行動原理とは、要するに経済的利益。「彼らが掲げる自由・平等とは、そのための偽善に過ぎない」…戦中の日本には、こう喝破し、それでは人間は存在できなくなるとして欧米の表層的な原理の限界を指摘して、日本国こそが、それよりも高い次元の精神性や倫理性、知性を有する国であることを論じていた知識人たちがいました。今年はこのことが日本のテーマになるべき年だともいえます。
いまや日本こそが、世界的な価値観を提示する国にならねばならない。これによって、文化も民族も伝統も人間も何もかも破壊して同質化しようとするグローバリズムを超克する動きが促され、多様性のもとに人類が共存する世界秩序が生まれる。
そのためには、日本が日本であるために、真の独立を達成しなければなりませんし、その必要条件が自主防衛であり、憲法改正であることは言うまでもありません。それは世界のために必要なことでもあり、世界がそれを求めている時代になっていると思います。
参政党はすでに国民自らが憲法を起草する「創憲」の議論を、チームを組んで開始しています。今年はこれが本格化する年になります。自国のあり方を国民が考え始める年です。
●今年は危機が本格化する年に…危機だからこそ、ナショナリズムが本格的に広がる年
しかし、産みの苦しみと言うように、今年は眼前には危機が次々と起こる年になります。2022年に始まった危機は序の口です。2023年は危機が拡大する年になるでしょう。
グローバル利権の思惑のもとでウクライナ戦争がどう決着するか見えていませんし、台湾有事もいつ起きるかわからないまま今年を迎えました。
2024年までに中国は台湾を併合する可能性が高いとされます。中国は場合によっては日本に核恫喝をするかもしれません。その時、米国の傘の核が機能しないことが露呈する可能性があります。非軍事での台湾侵略であっても、台湾が中国の支配下に入れば、西側の防衛線は第二列島線まで後退し、台湾周辺海域は中国の海と化して、同海域を生命線とする日本は、経済面でも窮地に陥ることになるかもしれません。
経済面でも、昨年のインフレの次は、各国の利上げが経済を攪乱する年になるでしょう。日本は金融緩和を続けざるを得ませんが、異次元の金融緩和とは別のフェーズに入ることになります。そして、ここまでマネーが拡大したなかでの金利上昇が、世界的なバブル崩壊につながる懸念もあります。国内ではコロナの「ゼロゼロ融資」の返済が本格化するなど、中小零細にとっては大変な年になるかもしれません。
また、今年はコロナで広がったグローバリズム支配がさらに本格化する年になると思います。すでに進行しているSilent Invasionはさらに熾烈化するでしょう。
政治面では、2024年度以降の増税を前にして、今年中に政局が起こる可能性が高まっています。参政党にとっては、4月の統一地方選に続き、解散総選挙が次なる飛躍のチャンスになることが予想されます。恐らく、同党へのバッシングも熾烈化することでしょう。
ただ、さまざまな危機の根本にあるグローバリズムがなくなることはないのも事実です。日本がグローバリズムに飲み込まれることなく、これとうまく折り合いをつけていかねばなりません。その際に不可欠なのが、日本の国家としての軸です。このことへの覚醒が国民の間に広がる年になってほしいと思います。
その意味では、グローバル全体主義による覇権の手段となっているデジタル基盤についても、日本として国産ブロックチェーン基盤の構築を本格化しなければなりません。
この日本国全体の姿は、参政党の今年の姿とも重なります。参政党は、その台頭を恐れる既存勢力から「叩かれて強くなる」ことを通じて結束をより強固にし、危機に強い持続可能な本格政党への飛躍への地固めをする年になると思います。
●ナショナリズムを軸とする政策が国民に支持される時代になった
今年の政策のあり方を考えるとき、米フロリダ州のデサンティス知事の政策が参考になります。同知事が初挑戦をした前回2018年の知事選では、民主党候補に僅か0.4ポイント差という薄氷の勝利でしたが、昨年の中間選挙では約20ポイントの大差で再選しています。
デサンティス氏は昨年11月8日の勝利宣言演説で、「世界が狂気に走った時、フロリダは正気の避難所だった」と述べています。これは主に新型コロナ対策を念頭に置いたものでした。コロナ禍において、デサンティス知事は経済活動の制限を最小限かつ最短期間に留めました。「ステイホーム」指示を出さず、学校における対面授業復活も早く、マスク着用の強要やワクチン接種の義務化も受け入れませんでした。ワクチン接種証明の提示を雇用継続や入場許可の条件にしてはならないとする措置もとりました。
つまり、メディアの批判を恐れて自由を制限する姿勢をとらず、この結果、フロリダは全米の中でも経済の落ち込みが小さくて済んだ州になりました。
デサンティス知事はまた、中国共産党政権によるスパイ行為を防ぐための州法の制定を議会に促し(国まもり)、教育分野では「批判的人種理論」を公立学校で教えてはならないとの立場を取って、ポリコレというグローバリズム全体主義的と戦い(健全なナショナリズム教育)、エネルギー分野でも、グローバル利権ともいえる脱炭素原理主義と戦いました。
まさにナショナリズムの政策が住民からの支持を受けたといえます。これに「食と健康」を加えれば、同知事がとった政策は参政党と同じです。
そしてナショナリズムの復活は世界的な潮流です。参政党はこれと手を組んでいきます。
●危機の時代に希望を生むために…令和五年、「癸卯」(みずのと・う)の年とは…
色々な危機が起きる時代にあって、危機は時に絶望を生むでしょう。しかし、絶望を共有すれば、希望になります。その場が参政党だと思います。そもそも、これだけ変化が激しい時代は歴史始まって以来かもしれません。この大変化の時代に生まれ合わせ、この時代を生きることができる私たちは幸せだと考えるべきではないでしょうか。
今年の令和五年は干支では「癸卯」の年。「癸」は物事の終わりと始まりを意味します。今年は戦後77年に及んだ「永久占領」に区切りをつけ、良い意味でのナショナリズムが始まる年だと捉えたいものです。また、「癸」には「春の間近でつぼみが花開く直前である」という意味があるそうです。
そして「卯」は、「茂」という字が由来で、「春の訪れ」。字の形が「門」を連想させ、「冬の門が開き、飛び出る」という意味があるそうです。
これら二つの組み合わせである「癸卯」には「これまでの努力が花開き、実り始める」という意味があるそうです。
また、卯(うさぎ)は、その跳躍する姿から「飛躍」、「向上」を象徴します。その卯年は、新しいことに挑戦するのに最適な年とされます。
本年は、参政党も松田政策研究所も、日本らしい「新しい国づくり」に挑戦する「飛躍」の年にしたいと思います。
そのために、松田政策研究所CHでは引き続き、日本再興に向けた本格的な政策論を配信していくとともに、参政党代表として、次なる日本を拓くための国民運動を先導することに全力を注ぐ所存です。
本年もご指導、ご鞭撻、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
Comments