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  • 執筆者の写真松田学

「新・階級闘争」にまた敗けた?自民党政治とLGBT法の成立~解散総選挙の延期と参政党の役割~

先週、6月16日にも内閣不信任案を受け即日?と言われていた衆院解散。これまでの「今は考えていない」から、一転、「会期末間近になり、いろいろな動きがあることが見込まれ、情勢をよく見極めたい」、「現時点で答えることは控える」と、13日の記者会見でニヤリとしながらの思わせぶりの岸田総理発言がすっかり解散風を煽ったものですが、結局、今通常国会での解散がなくなったのは、予想通りの結果ではありました。


実は、かなり信憑性が高いとされる自民党による調査では、いま解散したら獲得議席数は、自民220、公明23、立憲114、維新75…という結果が示されていたそうです。これだと自民は現有261議席から40議席あまりを失い単独過半数割れ、465全議席中、自公合わせてなんとか過半数維持。総理の責任問題にもなるし、政権の求心力低下は必至。本当に解散したらクレージーではないか、岸田さんは何を考えているのか?と思っておりました。


私が得ていた情報では、自民の事務局はマイナンバーへの国民不信や支持率低下、LGBT法案による岩盤保守層の自民離れ、早期解散に絶対反対の公明との間での自公連携のきしみなどから、7月選挙はあり得ない、解散は秋口以降との立場で、13日には上記の数字が総理に上がり、党内の大勢は早期解散に反対だったそうです。それがあの会見…。


岸田氏本人はよほど、広島サミット解散をやりたかったのでしょう。今回、大山鳴動して…で、こんな結論ですから、10月1日からのインボイス実施や年末に向けての国民負担増の議論の本格化、自民が最も恐れる維新の選挙準備の進展などを理由に、秋の解散は困難としていた論者の一部からは、岸田さんはこれで解散ができなくなった…との論評も。


他方で、「解散権は首相にある。自民党総裁にあるわけではない。なのに党利党略に解散権を使っていいのか?」(武田邦彦先生)という正論もあります。確かに、総理大臣に与えられた解散権は国政上、国民の信を問うべき必然性があるときに、自民党ではなく一国の宰相として行使されるべきもの。これはきちんと議論すべき論点です。今回の一連のドタバタが脅しをかけるための演出だったとすれば、「反社会的でもある」(武田先生)。


解散は延期となったものの、問題だらけの「LGBT理解増進法案」は国会で成立してしまいました。これを推進した岸田総理は、この問題で全米でバトルが起こっていることも知らないのか?メディアが報じないので、日本国民も知っている人と知らない人との認識の差が唖然とするほど大きいようです。政治家も官僚も門田隆将氏によると「秀才君エリートちゃん」なので、自分の立場しか考えない。「それでも日本国民にはまだ選択肢がある、国家観と信念のある政治家を国民が持ち上げることだ」(門田氏)。


それこそ参政党の役割だと思いますが、自民党でも党議拘束がかかっている中で本会議採決では、衆議院では杉田水脈、高鳥修一両議員が、参議院では和田政宗、山東昭子、青山繁晴の各議員が、それぞれ信念に従った行動をしてくれました。うち、杉田、和田両議員は、さすがはかつて国会での私と同じ党の同志、賞賛のメッセージを送りました。


ところで、そもそも「LGBTQ」について正確に知っている人はそう多くないと思いますが、これからは「ホモ」も「レズ」も「両刀使い」も「ニューハーフ」も禁句になるそうですから、ご注意ください。「ニューハーフの店に行こう」なんて言ってはいけなくなる?差別意識がほとんどなかった日本人に、逆に差別感覚を意識させないでしょうか。


解散延期が決まる前の6月14日、新橋駅前でLGBT法案反対を掲げて開催された参政党街頭演説会には、多数の憂国の思いの皆さまにお集まり頂きました。赤尾由美、私、神谷宗幣の三人の演説はこちらから視聴できます。(私は開始15分頃過ぎ頃から20分程度)


そこで総選挙も意識しつつ私が述べた内容を簡単にご紹介しますと…「世界の情勢と歴史を知れば、女性も子供も当のLGBTの方々も、国民の誰にとっても良いことにはならないことが明らかなこの法案。お集まりの皆さまは、ほとんどの国民が知らされていない事実を知り、国家存続の危機感を抱いておられる方々ばかり。皆さん一人一人で多くの国民に事実を知らせてください。そのための学びの場をつくるのも参政党の役割です。」


「マイナンバーも、かつての消えた年金記録問題と同様の大問題。いまのデジタル基盤ではダメなのです。これを信頼できるブロックチェーン国内共通基盤に変えるというのが松田プラン。すでに中国はその世界共通基盤に乗り出している。だから、国民の情報と通貨主権を守り、国債を広く国民が使えるマネーに転換する土台を日本独自で創る。」


「これで積極財政ができるようになるが、岸田政権はまたステルス国民負担増につながることをやり始めた。もはや日本は『五公五民』だが、このままでは『六公四民』になる。しかも、国民におカネが届く前に中抜き利権を潤し、グローバル勢力に流れる仕組みのもとで…。もはやカネでまとまる自民党は賞味期限を過ぎた。せめて『四公六民』には戻し、自分の選択で使えるおカネを増やすのが自由社会。国民にカネの流れを取り戻すためには、医療を始め様々な分野で利権を介する現在の仕組みを根本から組み替えねばならない。」


「カネを中心とする政治か、日本の国家を大事にする理念を中心とする政治か、その選択が問われているのが今度の総選挙です。」


今回はLGBT理解増進法をめぐって、門田隆将氏、八幡和郎氏が松田政策研究所CHで提起した論点を、以下、ご紹介します。これは政界再編への契機にもなるべきテーマです。


●岸田総理がLGBT法案へと突き進んだもう一つの背景としての公明党

まずは、前号のコラムで前半部分をご紹介した門田氏との対談のうち、後半部分で同氏が述べた内容です。本法案を「LGBT利権推進法」と断じる同氏から、まだ性の自我も確立していない児童にLGBT教育を進める非常識さ、トイレで女性たちに与える恐怖や女性アスリートたちを踏みにじるなどの具体的な弊害が論じられました。理念法にしては、活動家たちを動かして日本を壊すことを促す、あまりに具体的な法律です。


その根本にあるのが、新しい階級闘争を「差別」をキーワードに様々な分野で生み出している左翼勢力の世界的な動き…。まずはこのことを国民が知らないと日本を守れません。


門田氏によると…「米国と公明党。この二つが突き進んだ理由。総理の裕子夫人がバイデンのジル夫人に呼ばれ、ジル夫人はLGBTの活動家。エマニュエル大使も活動家。それらに引っ張られた岸田氏は、全米で反LGBT法の嵐になっていることをたぶん知らない。」


「連邦議会ではLGBT差別禁止法案の可決の可能性はゼロ。問題は民主党の州、父兄が激突。子供に同性愛教育は必要ない、性の自我が確立していない年代だ。性の揺らぎがある時期に余計な教育をすると人生が変わってしまう、しないでくれというのが、米国の普通の親たちの願い。それで激突している。親の了解なく性転換の手術、写真をみると痛ましい。民主党の過激な人々に動かされているのがバイデンやエマニュエル大使。」


「日本の国内的には公明党が背景。LGBT推進側。東京28区問題では自民党都連で候補者を出すと決めていたのが萩生田氏。普通なら自民が譲るが、両方とも譲らず、信頼が地に落ちた。岸田氏として、これが全国に広がったら大変なこと。維新の広がりを分かっている、維新側につかれたらまずい、公明の言うことを考えてやってくれと、党三役に伝えた。」


「それでどっと動かされた。岸田氏の二時間で法案をあげてくれとの命令に。ここまでちょんぼが続き、これだけ岩盤保守層の離反がある中で解散できるのか、常識として。10月1日からインボイス。1,000万円以下の人たちには実質増税だ。それ以降は解散を打ちにくくなる。今のうちに打ちたいのが本音。なのに、解散条件の『惑星直列』がガタガタに。」


●理念法ではなく「LGBT利権推進法」という具体法…泣き出す女性アスリートも

「やはり背景に利権の問題がある。これは『LGBT利権推進法』だ。『維国案』でも教育は維持、国、公共団体、事業者、学校は施策をしなければならない、と。理念法なのに具体的なことが書かれており、具体法、基本法ではないか。そこで利権スキームが規定された。活動家が研修などで乗り込んでいる。荒川区でどんなことが行われてかが出ている。」


「専門家と称する人たちが入り込んでくる。児童にLGBTへの理解を増進すると想像できるか?そうした施策を要求している法律だ。補助金が出て、公金チュウチュウ。企業にたくさんの研修。いくらでも仕事がある。」


「日本が差別が酷い国ならわかるが…。今でも西洋では差別がひどい。日本は同性愛に寛容な国。西洋のように宗教的に固く禁止して死刑にするような法律があったことがない。信長のお小姓を連れて戦さに行くのが基本。なじみのスターがたくさん。カルーセル麻紀など。憲法14条などでも法律で差別をとめている。しかし、これは必要ありません、やめてくださいと質問する議員は一人もいなかった。」


「歌舞伎町のトイレの写真をツィートしたところ、大反響で450万インプレッションに。男のおしっこだけ。あとは全部一緒。女子トイレが消えた。利用した女性『怖かった』。都内で増えている。スポーツも明らかに女性に不利。男子では全米462位だが、女性の方に出て勝ちまくっている選手。女性は全米一位でも歯が立たない。競泳、更衣室では全裸。男性そのままで。衝撃受けてトラウマ、泣き出す子も。そういう状態で試合に入る。」


「思春期に形成された骨格が違う。男だった人間に勝とうと思っても無理。女性アスリートたちがコツコツと積み重ねてきた努力が無駄になる。『私は心は女だから』出しなさい?日本でも訴訟が起こるだろう。維国案で『ジェンダーアイデンティティ』となったことで『性自認』が入った。元に戻り、改悪となった。」


●新たな階級闘争に無抵抗な「秀才君、エリートちゃん」と国家意識なき政治家たち

「いま世界で起こっているのは著書『新・階級闘争論』で書いた通りだ。資本家と労働者階級との間で階級闘争が続いたのが20世紀。1989年にベルリンの壁が崩壊して共産主義が倒れて、ソ連も崩壊して、階級闘争はついに終わったと認識された。敗れた側の人たちは悔い改めて自由主義陣営に入ってきたのではなく、彼らは、大きな階級闘争には敗れたが、小さなジャンルで色んなものを創り上げた。」


「そして『あなたは差別されてますよ、不当な差別を受けてますよ』と、小さな階級闘争を始めた。まさにその通りになっている。」


「この本が出たあと、一度、LGBT法案は安倍さんによって総務会で潰された。それが安倍さんが亡くなって復活した。米国でも民主党が左傾化。活動家たちに民主党全体が牛耳られる時代に。重大な局面を世界的に迎えている。自民党も左傾化。歯止めだった安倍さんがいなくなった。元々リベラル派のほうが自民党には多い。」


「『秀才君エリートちゃん』、自己陶酔型の偽善、国家の根本も考えていない連中が官僚、政治家の大半。安倍さんの歯止めがなくなると一気にそっちにいく。国家観も使命感もない。自分たちは選ばれた存在だとして、自分たちはどうなるかに突っ走っていく。」


「ただ、私たちには選択肢がある。なかには国家観、信念ある人たちが政治家たちがいる。その人たちに政権を取らせればいい。秀才君たちとは違う、国家とは何かという政治。」


「来年1月の台湾総統選の結果どうなるか、危機感。日本国民にそれがないことに唖然とする。LGBT問題の本質を知っている人たちとそうでない人たちの差があまりに大きくて愕然とする。SNSは確実な情報、この人ならという発言者を5人、10、15人信頼できる人たちとしてフォローしていたら、その人たちが全員間違えることはない。少しでもSNSの世界に入って共有してほしい。岸田さんが見せたのは知らないことの怖さ。一人一人の国民がまず自分たちで知らなければならない。」


…結局、門田氏との対談は参政党への期待の表明に。利権でもカネでも自らの利害でもなく、国益を…そうした選択肢を総選挙に向けて明確化しなければなりません。


●欧州では刑法で犯罪とされていたのが同性愛…日本には過去の贖罪をする理由はない

次に八幡和郎との対談ですが、欧州では数十年前でも同性愛が刑法犯だったことは知っておくべきでしょう。それは日本では考えられなかったこと。理解増進とか差別禁止というのは過去の贖罪として西洋で起こっている現象であり、そんな過去のない日本が真似をして社会の分断を招くなど愚の骨頂でしょう。八幡氏によると…、


「自分のフランス留学時の1980年には、フランスでは刑法で男性同士の性行為は禁止されていた。インドではつい最近まで、英国が持ち込んだ刑法の規定が残っていた。フランスでは1981年の大統領選挙で勝利したミッテランが刑法から外すと公約していた。ENAでも是か非かの議論を政策当局者とやった。日本は刑法で禁止されていないそうですねと役人から言われた。『そんなことでは風俗が乱れるでしょうね、日本は大丈夫ですか?』と。当時のフランスでは、さすがに刑法罰は良くないが、風紀としては問題だとされていた。」


「奴隷制もそうだが、酷い奴隷制があったから人種差別撤廃だと、過去の反省でそうなったもの。このLGBT問題も欧州では刑法で犯罪、これはさすがに行き過ぎ。明治時代に日本が刑法を創るときに外国のお雇いは、近親相姦とともに刑法に入れようとしたが、そこまではやりすぎではとなった。近親相姦についてはおぞましいという理由でやめた。同性愛のほうは、悪いことでもないでしょうということで書かなかった。」


「日本で差別は全くなかったとは言わないが、欧米ほど極端なことはなかったので、過去の贖罪で社会の対立まで招く必要はない。」


●結局、リベラル派に押し切られる。保守派も理論武装を

「何事も、これから問題になってくることに対して日本の保守派は呑気だ。対してリベラル派は運動で盛り上がる。結果としてリベラル派に引きずられる形で丸のみさらせられる。制度運用は運動家中心にさせられがちだ。」


「男女共同参画も、みんなで向かっていくというコンセンサスはあるが、そのために講演会などには『そんなギスギスしたことを言う必要はないけれど、世の中の流れですから』と言うような人は呼ばれず、先鋭的な活動家だけが呼ばれる。委員会をやっても熱心な人ばかり。DVに関してシェルターもラディカルな人、そこに逃げ込むと誰が保護すべき人たちかは彼らが決めてしまう。話題のコラボ問題もそうだ。」


「提案したいのは、①保守の人たちももっと世の中の問題になることは先回りして、日本人みんなが納得する形で取り組んで行くべき、②新しい問題が出て推進するときには、ラディカルな推進派だけでなく穏健な人たちを入れて中立的な運営を。」


「専門家は大体、問題だと思っている人たち。憲法学者もそう。専門家は一定の方向を持つ人が多い。中立的な専門外の人が専門家の意見も聞いて決めていくことが必要。こういうことは自民党がやらないから、参政党が政策提案型でやるべきでは。」


「保守系も理論武装が必要。LGBT法案は『唐突』と言われるが、長い議論があった。2016年、稲田政調会長の指示で古屋圭司氏が委員長で特命委員会を設置、そうそうたるメンバーだった。稲田さんだけが裏切り者とされているが、古屋さん、新藤さんなどが実務的には中心だった。今回は政調の合同部会で部会長一任、萩生田政調会長がゴーを出した。」


「誰かが悪いと言う話ではない。自民党の保守派も押し切られ型だった。自民党の超保守派たちも、誰々は悪くないとか、古屋さんは抑えようとしたとか…自民党の総意としてやっているもの。みっともない。」


●自民党で難しいなら外側に参政党が必要…自公お互い開き直ればどうなるか

「自民党の保守派議員たちも岸田さんに睨まれたらいやだから。そうなったら、自民党の外に保守勢力があったほうがいい。それが改めて感じられたことだろう。」


「法律は流れとして仕方ないが、男が女風呂や女性のトイレに入ってきていいのか。それがいけないと言って、クビになったりするなどということがないように、しっかり規則を作ると言っている人もいる。そういうことも、反対する党があって初めてちゃんとしなければということになる。そうならない党が一つあることは結構なこと。」


「入管法もそうだが、何か極端なケースが出てくると反対できなくなる、個別ケースとしては酷いが…。」


「自民党は公明党に選挙で協力してもらっているのに比べて、反対の協力が薄いのが、今、起きている問題の背景にある。小選挙では自民党、比例ではある程度公明にという取引をしてきた。そしていくつかの選挙区は公明にと。」


「自民が公明の協力が要らないと言うのは甘い。東京28区で都連会長(萩生田政調会長)と親しいお医者さんを出すので譲れないからということの結果だが、これで公明は東京では自民に一票も回さなくなった。そうすると、その票は参政党に行くかもしれないし、分からないが、やってみればいい。自民も公明の協力なくてもと言うなら…。公明も見せつければいい。東京以外では公明が協力したらこれだけ勝てると見せればいい。」


「ただ、自公協力は日本の政治を安定させるし、憲法改正も公明が必要。参院の3分の2は公明なしではつらいし、国民投票も公明票がないと難しい。公明をないがしろにするというのは、改憲をあきらめるのかということになる。」


「自民としては、維新と公明が協力することが心配なのか?自公協力が破綻して、候補者が自民、立民、維新なら、みんな維新に投票するだろう。公明支持者が棄権というのはありえない。衆院補欠選挙ならあり得るが、比例があるから公明もみんな投票に行く。ならば維新にとなる。(参政党に来てほしいが…。)参政党と維新と立民と自民なら、参政党に来てもらうための飴もあったほうがいい。」


「安倍さんという巨大な存在で自民党は保守派とリベラルの壮大な矛盾を隠してこれた。解決できていたのが、解決できなくなった。保守一枚岩の自民党には戻らないだろう。だから、これからも自民にいたら信念を貫けない議員がたんさん出てくる。参政党に入るのか、無所属で参政党と連携するか、色々出てくるかもしれない。各政治勢力がいかに自民党離脱組を拾うかで政治が活性化する。有権者からみても分かりやすい政治になる。」


…その一つの選択肢として参政党が政界にはあるということになるでしょう。総選挙は今秋以降となりましたが、そのような流れをつくっていくことで、有権者に分かりやすい政治、国益を考えた政治へと、少しでもつながるよう努めていきたいと思います。

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