top of page
  • 執筆者の写真松田学

「侵攻」から2年、プーチンけしからん論では見えないウクライナ戦争の真実~既に開かれている停戦への道~

日・ウクライナ経済復興推進会議が2月19日に都内で開催され、翌日、岸田総理は「戦争により生活の基盤を奪われた人々への支援や破壊されたインフラの復旧」のため、ウクライナへの55億ドル(約7370億円)の財政支援を表明しました。戦争がまだ終わっていないのに復旧・復興?ロシアからの攻撃が続く中でどうやって?もうウの敗戦を見越している?生活の基盤?もしかしてウ政府が払えないでいる年金や給与を日本が肩代わり?日本国民の給与を上げることが先では?…等々、国民から様々な疑問の声が出ています。


日本はすでに2年間で総額121億ドル(約1・7兆円)のウ支援を行っており、今般も、戦争長期化の中でG7議長国として存在感を発揮するための追加支援だとされていますが、これまでバイデン米大統領は何度も岸田総理に対ウ支援を強く要請してきた経緯があります。米国ではウ支援への逆風が強まる中で、日本に肩代わり?またも日本はATM?しかし、ロシア=絶対悪、ウ=絶対善と信じる多くの日本国民は疑問も抱かないでしょう。


これを手土産に、岸田総理は国賓待遇で訪れる米国で4月10日に日米首脳会談、11日には米議会での演説が予定されているようです。かつて、バイデンに言われて決めたとされる43兆円の防衛費を「要するに、戦闘機とミサイルを買うこと」と言い切った岸田総理が、昨年1月の日米首脳会談でバイデンから「よくやった」(米国軍需産業のために?)と言わんばかりに肩を叩いて迎えられていた光景を連想させるものがあります。バイデンの犬?


外交の岸田を売り物にしたい総理の策謀はこれだけではありません。これと前後してあり得るのが、北朝鮮拉致被害者の帰国の実現。いま水面下で日朝間の交渉が進められていますが、北朝鮮の思いのままの結論になることを予想させるのが、今年元旦の能登半島地震に対する金正恩からの異例の見舞いの電報かもしれません。


聞くところでは、今回は一人の拉致被害者と一人の特定失踪者の帰国という「成果」になるそうですが、お二人ともすでに北朝鮮に家族がいて、一時的な帰国になり、肝心の横田めぐみさんは継続調査でお茶を濁されるとか…。横田早紀江さんがご存命中にめぐみさんが帰国することこそを日本国民は願っており、日本側はこの案を蹴ってきたそうですが、支持率低下に苦しむ岸田氏はこんな案でも、自己保身の方を優先?


拉致被害者を帰国させた成果は成果だとして、これをもって支持率が上がれば、敗けが予想される三つの衆院補選と同じ4月28日が総選挙の投開票日になるよう、日米首脳会談の前後のタイミングで衆院解散に打って出る…こんな噂が最近、出回っています。政治とカネの問題で派閥解散を打ち出したのも、派閥をなくすことで、岸田降ろしのためにライバルが総裁選に名乗り出ることを阻止することが本音…拉致被害者帰国で衆院解散に動くなら、「めぐみさんは?ごまかすな、自己保身メガネ!」の声を上げるべきかもしれません。


実際に衆院解散がどうなるかわかりませんが、最近、かなりはっきりしてきたのが、いまや日本が率先して応援する形になっているウクライナの敗戦です。これは多くの日本国民には予想外の事態でしょう。なぜなら、この戦争そのものが、岸田総理が仕えるバイデン、そのバイデンが仕えるグローバリズム勢力によって引き起こされたものであるとの真相すら、戦争にはつきもののプロパガンダを流し続けた西側主要メディアの報道によって覆い隠されてきたからです。日本は一種の情報鎖国状態に置かれていたといえます。


先般、タッカー・カールソンによるプーチン大統領への長時間インタビューが、この戦争の真実を明かすものとして話題になりましたが、そこで見せたプーチン氏の姿は極めて理性的で賢く、同氏を領土的野心に駆られた気違いとして演出したかった西側メディアがこれまで、決して西側の国民には見せたくなかった姿でした。


このインタビューの前に松田政策研究所CHで宇山卓栄氏と行った対談でも、例えば次の内容を配信しましたが、これらについて、あなたはどこまでご存知でしたでしょうか?


➀プーチンのウクライナ侵攻は国際法違反ではあっても、本質はロシアの自衛のための戦争である。これ以上、犠牲を拡大しないよう戦争をやめさせるには、ロシアが占拠した東部4州のロシアへの割譲をもって停戦するしか答えはない。同じ「力による現状変更」といっても、ロシアの場合は自衛であり、侵略の意図を持つ中国とは全く事情が異なる。


➁ロシア系住民が多数の東部二州に自治権を与えたのがミンスク合意。これを破ろうとしたのがゼレンスキーだった。戦争を起こしたのは実はウクライナ側である。なぜなら、ウのNATO加盟はロシアの国防を丸裸にすることになり、これはロシア国家存亡の危機であり、二州の自治権を通じてウのNATO加盟が阻止されていたものだったから。


③フルスペックの集団的自衛権のNATOが東方拡大をすることに対し、自国を守ることは為政者として当然のこと。国家の危機にあっても為政者が何もしないのは世界では日本だけ。ロシアの領土的野心はウソ。ロシアがNATO全体と闘うのは自殺行為。あり得ない。今回のウ侵攻が自国防衛であるからこそ、国民はプーチンに対し絶大な支持。


④このまま戦争が続けば、確実にロシアがウ全土を取ることになる。ウは緩衝地帯であってこそ国際秩序が維持されるのであり、そうでなくなることを避けるという実利こそが優先されるべき。プーチン側は東部の4州のロシアへの割譲をもって停戦を提案してきた。全領土の奪還に固執するゼレンスキーこそ、事態を世界大戦に導こうとしている。


⑤そのゼレンスキーはもはや、ウ国内で軍からも国民からも見放されている。自身の保身のため戦争を続けようとしているだけである。そのゼレンスキーに万歳で、支援を申し出ている日本は何をしているのか。ウ敗北という結果は米国の外交の大失敗となり、これに追随した日本の岸田政権も大失敗だったことになる。今年はその責任が問われる年になる。


これを「驚きだ、知らなったことが多い」と思う方も、「そんなはずはない、暴論だ」と思われる方も、そうであればこそ、ぜひ、この続きをお読みいただければと思います。


●全NATOを敵に回す愚をプーチンは犯さない…ゼレンスキーこそ第三次大戦の火種に

以下、私との対談で宇山氏が述べたことを「」でご紹介しながら、ウクライナ戦争をどう捉えるべきかを考える上で欠かせない、多くは知られざる事実や論点を記してみたいと思います。まず、「2年に及ぶウクライナ戦争は消耗戦の様相を呈している。持久戦でロシア軍が優位に立つ。国土の20%は廃墟と化し、ウクライナ経済は破綻状態。もはや、ロシアに東部4州の領土割譲をして、2年に及ぶ戦争の終結をはかるしかない。」


「ロシアは2022年、ウクライナのドネツク、ヘルソン、ルハンスク、ザポリージャの4州を併合すると発表。これらの州は現在、ロシアの支配下にある。プーチンは外交的な裏ルートを通じて、東部4州の領土割譲を条件に戦争を終結させる意向を示している。」


「ウクライナの敗北色は濃厚。ウは反転攻勢をすると言いながら、できていない。米国や欧州では、ウ支援に明らかな出し渋りが起こっている。しかし、領土の全面奪還に固執しているのがゼレンスキー。『2014年にロシアが不法に併合したクリミア半島も含めてすべてを奪還するまで戦争は終わらない』と繰り返し宣言している。」


「ウ政権高官の発言、『ゼレンスキーが対ロシア戦勝利に固執し、新たな戦略や方向性を打ち出すのが難しくなっている』。側近の一人、『大統領の頑固さが、戦略や方向性を示そうとする政権の努力に水を差している』。しかし、ゼレンスキーは全面的な勝利にこだわる。『プーチンを食い止めるか、世界大戦を始めるか、全世界が選ばなければならない』と。」


「ロシアはポーランドやバルト3国に迫り、第3次世界大戦に発展するか?あり得ない。これら諸国やフィンランドなどのNATO加盟国に侵攻すれば、ロシアは西部戦線に加え、東部戦線つまり極東戦でも戦端を開くことになる。つまり、NATOは集団防衛体制。米国やカナダはアラスカからベーリング海峡、樺太、ウラジオストクに攻撃することになる。」


「NATO対ロシアでは、総兵力は300万人対100万人。圧倒的にロシアが不利。戦時になれば、NATOは5~600万人。ロシアはもう戦時体制なので、これ以上の動員は無理。不用意にロシアはNATO加盟国に手出ししない。一国の指導者が自国を自滅させるはずがない。フィンランドは2023年4月にNATOに加盟。バルト三国は2004年にNATOに加盟。ロシアは西方に拡大することなどできない。」


「独裁者プーチンが何をするかわからないという論調ばかりが先行。しかし、プーチンはロシアにとってのリスクをキチンと見極めている。ゼレンスキーの言う『ウが敗北すれば、ロシアはポーランドやバルト3国に迫る』などということはあり得ない。ゼレンスキーこそクレイジー。第3次世界大戦への危険な火種となっている。」


「ゼレンスキーの言うように徹底抗戦を続けていればどうなるか。ウは消耗し続け、欧米諸国からの支援も先細り。ウ全土がロシアに占領されてしまう。そうなれば、ロシアはウから直接に、ポーランド、スロヴァキア、ハンガリーなどのNATO加盟国と接してしまう。ロシアとNATO加盟国の間には、緩衝地帯のバッファゾーンが必要。」


「ロシアとポーランドなどが直接に接し、軍事緊張が高まると、それこそ暴発的な事態をきっかけに、軍事衝突が起こり、第3次世界大戦になってしまう。そのような危険な状況を作り出さないためにも、即時停戦が必要。プーチンが既に停戦交渉を提案している。」


●「力による現状変更は許さない」は大義にならず…ロシアは自衛戦争、中国は侵略戦争

「力による現状変更を認めるのかと言われるが、むしろ、ゼレンスキーを無闇に支援して、結果的にウを全面敗北に追い込むことの方がロシアを増長させる。ロシアの脅威を正しく認識し、その封じ込めが必要と考えるからこそ、ウを存続させねばならない。」


「ロシアの力による現状変更を認めると中国の力による現状変更を認めねばならなくなる、台湾を守る気があるのか?とされるが、そもそも国際社会に正論や正義など通じたことなどない。正論や正義よりも実利が優先される。ロシアのウ侵攻は明確な国際法違反、領土獲得を日本や国際社会が認めるのかと言っても、国際法や国際規範などどうにでも転ぶ。そのような規範や原則論よりも、実利を取るべき。このまま戦争が続けば、確実にロシアがウ全土を取ることになる。それを避けるという実利こそ優先される。」


「プーチンはNATOの影響力がウに及ぶことは許せなかった。『ロシアに戦いを仕掛けているのはNATO諸国であり、これはウクライナとの戦争ではない』。その上で、NATOの目的は『独立した主権国家としてのロシアを消滅させることだ』とし、ウ侵攻はNATOからロシアを守る『自衛戦争』とプーチンは位置付けている。」


「ウがNATOに加盟したらロシアは国家存続の危機に。その点が、台湾に侵略戦争を仕掛けようとしている中国と全く異なる。同じ『力による現状変更』でも、意味が違う。」


「ロシアは侵攻以前にも、ウがNATOに加盟しないよう、繰り返し求めていた。しかし、2022年1月、米バイデン政権がNATO不拡大要求を拒否。このまま放置できないのは為政者として当然だ。目の前に危機があって為政者が何も対処しないのはあり得ない。全世界で日本だけ。ロシア国民もそう。だからプーチン支持率85%。プーチンの独断による戦争ではない。自衛のための戦争という枠組みが国民と共有されている。」


●ウクライナ戦争を仕掛けたのはNATOとゼレンスキー…その本質は米国の戦略的失敗

「1999年以降、NATOに加盟したチェコやハンガリー、ポーランドといった東欧諸国はロシアに対し、前線地域となった。これら諸国はロシアに対する備えとして、ウをNATOに引き込もうとした。2022年9月、ゼレンスキーがNATOに加盟申請する方針を表明すると、バルト3国・ポーランド・チェコ・スロバキア・ルーマニア・北マケドニア・モンテネグロの9カ国の首脳がウのNATO加盟申請を支持する共同声明を発表。」


「ウは1991年に独立して以降、NATOやEUへの接近を模索してきた。しかし、一方で、ウの経済やエネルギーにおけるロシア依存は強く、容易に、ロシアとの関係を断ち切ることはできず、親露路線と親欧米路線の間で揺れ動いていた。2014年のマイダン革命で親ロ派のヤヌコビッチ大統領が失脚したことでロシアがウに軍事介入。ロシアはクリミアに侵攻して併合し、東部のドネツク州とルハンシク州を分離独立させようとして、ウ東部で内戦に。そこでドイツとフランスが仲介し、2015年2月、ミンスク合意が調印。」


「この合意でドネツク州とルハンシク州に自治権を付与することが決められ、ロシアの二州の支配が事実上、承認。これが本質なのに、報道されていない。ロシアはこの二州が反対することによって、ウのNATO加盟を阻止できると考えた。」


「しかし、ゼレンスキーが2019年、大統領になると、国内世論に配慮して、このミンスク合意を反故にしようとした。そうなると、ロシアとしては、ウのNATO加盟を法的に防止する手段を失ってしまう。だから、ロシアはゼレンスキー政権を潰すことが不可避と考え、ウに侵攻した。ウ侵攻は冷戦以来続く、NATOとロシアの対立の中で生じた歴史の必然。上記のように、ゼレンスキーが起こした戦争であり、プーチンは『結局、NATOがロシアを追い込んだ』と批判している。一方的にロシアが悪いとはいえない。」


「かつて、旧ソ連の『封じ込め』の立案者であるジョージ・ケナン元モスクワ駐在大使は、東欧諸国のNATO加盟に警鐘を鳴らし、『NATO拡大は米国の政策の失敗』と批判した上で、『こうした決断は、ロシアの世論の民族主義的、反西側的、軍国主義的傾向を煽り、ロシアの民主主義の発展に悪影響を及ぼし、東西関係に冷戦期の環境を復活させ、ロシアの外交政策を我々にとって決定的に好ましくない方向へ押しやることが予想される』と述べた。その予測がいま、当たってしまっている。」


「ウのNATO非加盟こそがプーチン・ロシアにとって最も必要。ロシアの懸念の根本を取り除くことで、プーチンに口実を与えないようにすべき。それにより、ロシアの安全保障が担保されるのならば、ロシアは戦争継続の必要性と大義名分を失う。」


●対ロ経済制裁は裏目に、プーチン政権は安定、低下するゼレンスキーの求心力

「プーチン政権はまだまだ続く。今にも崩壊するような報道ばかりだったが…。昨年、6月末に起きたロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者『プリゴジンの乱』では、ロシア政権下や軍内部で、相当数の幹部がプリゴジンと連携していた可能性。プーチン反逆の動きや影響を断つために、明確な見せしめが必要。そこで暗殺。1971年、毛沢東が林彪を撃墜し、権力の基盤を固めたのと同じ構造。プーチン大統領の権力基盤はいっそう強化。」


「西側による経済制裁にも関わらず、ロシア経済は『戦争特需』で好調。欧米に代わって中東や中国と取引。サウジも含め拡大BRICsが誕生。エネルギーのサプライチェーンに。いまや中東のドバイは、ロシア産原油やダイヤモンドの取引市場。」


「ロシア産品の欧州での取引市場が失われ、代わりに中東や中国の取引市場が埋めている。中東や中国を経由する迂回ビジネスも定着。欧米産品がモスクワやサンクトペテルブルクに溢れており、中東や中国を儲けさせている。」


「これは米バイデン政権の政策が全て裏目に出ている格好。我々西側は中東や中国を儲けさせているだけ。我々のほうが経済的に困っている。ドイツなど経済はボロボロに。」


「ゼレンスキーは、いっとき英雄視された。しかし、現在、ウ国民はゼレンスキーの指導力に疑問をもっている。ウ軍トップのザルジニー前総司令官は昨年12月、『軍が45万~50万人の追加動員を提案した』とするゼレンスキーの発言について、軍として人数を挙げて要請した事実はないと否定。追加動員は『軍が提案した』とするゼレンスキーと、ザルジニーの間で食い違い。50万もの自国民を戦地へ送ることで食い違いなどあり得ない。国民を戦地に送りたがっているのはゼレンスキーであり、軍ではない。それが明白に。」


「これはゼレンスキーの自己保身。これがウクライナという国の腐った実態。ウでは男性の出国禁止が続き、戦死傷者数も非公表。支援物資や武器も現地に行き届かず、賄賂と中抜きの国家。軍も国民も見放したゼレンスキー。」


「日本はゼレンスキー万歳。財政支援も講じているが、今や戦争を支援すべきでない。愚かなる日本。ゼレンスキー閣下万歳とする感情論に左右された人たち。」

「バイデンも停戦に動いている。米国は外交の大失敗。それに対米追従一辺倒で従う日本の外交も大失敗。今年はその責任が問われる年になる。岸田総理は日本の国益を損ねた。」

 

…以上、グローバリズム勢力やネオコンの利権によって起こされたウクライナ戦争で、バイデンに盲従して戦争継続に加担してきた日本は、反グローバリズムを明確に掲げるトランプ氏が今年11月に大統領に再選された場合に、一体どうするのでしょうか。


今般の米国の戦略ミスの帰結は、中ロ主導のBRICs秩序の台頭と、これまでのG7秩序の弱体化による世界の分断でした。各国が自国ファーストをめざす多極化の時代へと、世界秩序が一種のパラダイムチェンジを迎えつつあるとき、日本は自国の国益を軸足とした自立思考に基づく国家路線への転換を否応なしに迫られるでしょう。


これがロシアのウクライナ侵攻から2年を過ぎた現時点での一つの総括だと思います。反グローバリズムへの世界の潮流変化を見据えつつ、これを自国の真の自立のチャンスと捉える政治勢力の伸長が、今こそ日本の政界に問われている…そんな局面になっています。


閲覧数:79回
bottom of page