• 松田学

盛り上がれない都知事選と盛り上がる河井事件~大事なのは選ぶ権利と選ばれる自由~

マスク姿で存分に選挙活動をなし遂げた小池百合子候補、もう勝負はあった?東京都知事選が真っ盛りです。同じく?選挙に巨費を投じた河井前法相夫妻の不正?の数々も、日本の民主主義の根本的な脆弱さを感じさせます。リモート化がポストコロナの課題とされる昨今、投票率を上げるためにも、この際、選挙のやり方を根本的に変えてみては・・・?


ただ、そのための公職選挙法の組み立て直しは、正義の仮面をかぶった検察とメディアがまたも邪魔しそう・・・。とにかく、普通の有権者からみて面白みがまったくないのが日本の選挙です。都知事選でこんなことをテーマにしてみては・・・という案を考えてみました。


●政策を語れない都知事選の候補者たち~オンラインで論争を~

政治は「まつりごと」だと言われます。選挙を、「お祭りのようなもの」と楽しむ選挙ゴロでなく、一般の有権者にとっての本来の「祭り事」に・・・。国民の主体的な政治参加を促すために、党員自ら政策を考え、その実現のために政治家を公職に送り込む…これまでの日本にはなかった新党、「参政党」が活動を本格化させています。党員含め、すでに5,000人が参加する同党は6月27日、コロナで2か月半延期されていた結党大会を開催しました。


そんな設計思想の政党ですので、いきなり今度の衆院選で議席を争うような、拙速な「風」狙いに走るこれまでの新党のようなことはしません。その代わり、早速、今回は、政治への参加意識の醸成のために、有名、無名、泡沫含め22人が立候補している都知事選で、各候補者に対する党員向けインタビューを実施。これを軽く見ている?華多き、鼻高き?小池氏など数名を除き、ほぼ全候補者が応じ、その模様が順次、Youtubeで公開されています。


そこでインタビューアーを一手に引き受けた同党ボードメンバーの一人、政治アナリストの渡瀬裕哉氏が松田政策研究所チャンネルで述べた感想は「候補者は全般的に、都政に関する政策論争のレベルに達しておらず、語れる内容は本人の『思い』だけ。各候補者にそれぞれシンクタンクをつけて政策を出し合い、それをオンラインで流してあげたほうが有権者の関心を掘り起こせるし、投票率も高まるだろう、これは意外な発見だった・・・。」


この場に出てこない小池氏は、もう十分にテレビで選挙活動をやったので、かつての「排除します」のような失言問題のリスクを考え、選挙期間中はできるだけ露出を避けているとの見方もあります。豊洲問題で鳴りを潜めていたのが急に出てきて、コロナを「都民ファースト」よりも「自分ファースト」に使った、との批判も。根拠なき「飲食店は午後8時まで」など、一部事業者の恨みは買っていても、中高年女性層からは厚い人気とか・・・。


以下は参政党とは無関係の私個人の感想ですが、「ファクターX」を真摯に議論してきた論者たちからみると、小池氏の政治手法は、コロナの恐怖で国民を震撼させて「コロナ脳」を広げ、そこで次々と打ち出す対策で「ジャンヌダルク」の株を上げる・・・。連日の会見では「マスクの下でほくそ笑んでいる」…とも。そんな批判の声が聞こえてきます。


コロナでお金をバラまいて、1兆円程度あった東京都の財政調整基金は約95%減って500億円程度に・・・。これだけ巨額の税金で都民を買収?し、東京都がいざというときの貯金がなくなって、今後どうなるのか。首都直下地震への財政的な備えが枯渇したとしたら・・・。ある意味、あの河井夫妻よりも罪深いとはいえないか・・・?


●選挙で法律をすべて守るのは至難の業?・・・問題は仕組みにあり

河井前法相夫妻の事件と現行の公職選挙法の論点は、前回の本欄コラムでも述べましたが、本人たちとしては、違法性の認識はなかったと述べているように、誰もがやっていることでなぜ?という思いなのでしょう。現実をみれば、選挙で実際に動くのは地方議員たち。選挙期間の前であれ選挙中であれ、集会をセットしたり、電話かけやビラ配りをしたり、かなりの経費がかかります。特に選挙区が広い参院選や知事選ではそうです。


こうした事件ではいつものことですが、世論を捜査や起訴、公判の追い風にと考える検察からのリークに、センセーショナルな報道で稼ぐメディアが乗り、お金をバラまいた様子が次々と報道される度に、国民は、とんでもない不正だ!河井夫妻がどんな人たちか存じませんが、長年築いた地盤やタレント的な知名度のない、ごく普通の政治志望者なら、地方議員たちにカネでも撒かなければ選挙にならないという現実が確かにあります。

問題はむしろ、カネを使わざるを得ない仕組みのほうにあるはず。所与の仕組みのもとで、それに適合するよう合理的な行動をするのが人間というものです。


そもそも昭和25年に制定された公職選挙法は、選挙が「・・・公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期すること」をその目的としていますが、実際には、欧米諸国と比べても選挙運動に関する規制・制限が非常に多く、「べからず法」との指摘もある法律。その規定をすべて守るのは至難の業とされてきたものです。


本来、選挙運動はできるだけ自由であるべきなのが現行憲法の精神ですが、それに反するとの指摘もあります。少なくとも、国民の政治参加を促して民主主義を育成するという設計思想の法律ではないでしょう。むしろ、いかがわしい政治家を摘発する、戦前の「特高」的な発想の残滓・・・?規制自体が時代遅れで実態に合わず、多くの候補者が法律違反をするように仕向けられた?法律のもとでは、捜査機関による恣意的な摘発も容易です。選挙が終わる度に、実績をあげたい警察による魔女狩りが繰り返されてきました。


選挙での個々の活動が選挙違反にならないか、選挙管理委員会に問い合わせる専担を置く選挙事務所もありますが、曖昧な答しか返って来ず、やれば摘発されるかわからない不安のなかで、肝心の活動は委縮気味に・・・。私も選挙の度に、地元有権者に自らの政策や理念を訴え、人物を知ってもらうことがあまりに困難な状況に直面して、困惑していました。


時代遅れの例として、選挙期間中の戸別訪問禁止があります。理由はなんと、屋内に入るとカネをこっそり渡すのが見えなくなる・・・?しかし、選挙区の応援者の自宅に人を集めてもらって、そこで直にみっちりと政策を伝え、自分を知っていただいて、そこで初めて、あの候補者はすばらしい人だと口コミで広がる・・・。それが選挙期間中はできません。


結局、駅前で一般の通行人がほとんど聞いていない街頭演説をするか、名前の連呼しかできない街宣車でがなり立てたり、何を訴えているかわからない電話かけで人様に迷惑をかけるか、情報量が少なく数量にも法的制限のあるビラやポスターで抽象的なスローガンをバラ撒くか・・・。これでは自己満足か徒労感の世界です。


●選挙では選択の機会と言論活動の自由を~待たれる公選法の組み立て直し

選挙期間中の活動では制約が多すぎるので、事前の活動が全てを決めることになります。結局、長期間にわたって選挙区で事前活動ができる人、つまり、仕事をやめて活動できる資金力のある人しか当選できません。本来、資金力のある人が有利にならようにするのがさまざまな規制の趣旨のはずなのですが・・・。そこで、特に、当選者が一人だけの小選挙区で起こっているのが、選挙区の既得権益化。一度獲得した小選挙区は絶対に手放せない。


都知事選も、東京都下の小選挙区選出の自民党現職衆議院議員なら、小池氏以上の人材は多々いるはずですが、出れば自分の選挙区を失うので出てきません。結局、自民党が対抗馬を立てられず、今回の都知事選では反小池の受け皿となる選択肢がなくなりました。


そもそも現在の選挙制度のもとで進んでいるのが、有為な人材が政界に参入しないという現象。すべてを捨ててまで、対抗馬の現職によってガチガチに既得権益化された選挙区で、風を頼りに博打に打って出るなど、何も捨てるもののない人にしかできないこと。有為な人材ほど、それぞれの世界で大きな責任を背負っているものです。人材の活用と流動化、新陳代謝が徹底的に妨げられています。


選挙民にも知る権利があり、候補者がこれに十全に応えられる仕組みこそが重要。訴えるべき政策を持つ人材が選挙期間中に存分に有権者にこれを伝える活動を積極的にサポートする方向へと、公職選挙法の設計思想を変更し、組み立て直すことが喫緊の課題です。


その際、ポストコロナの課題がデジタル化、リモート化だと言うのなら、政策論争の舞台を徹底的にオンラインで創り出すことも考えるべきでしょう。参政党の今回の試みが広く普及することが望まれます。投票率の低さを嘆くなら、有権者が選択できる仕組みを考えるほうが先です。有権者に選択の機会を・・・これは受動的なメディア報道よりも、有権者の能動的な行動で主張が広がるSNSやネットの方が優れた効果を発揮するはずです。


●検察の捜査は既得権益を増長?いまこそ守るべきは自由な民主主義

ただ、残念なことに、今回の河井夫妻の事件で、有権者の選択の機会拡大という意味では、世の中は逆のほうに進みそうです。検察は今回、多くの候補者がやっていることで、なぜ・・・?検察庁が世の中知らずではないとすれば、無理筋でも、あえて事件化した理由が何かあったのでしょう。ただ、よく指摘されているような、黒川問題でも露呈した総理官邸と法務検察の争いが背景だとすれば、まるで韓国・・・。法治国家の名が泣きます。


摘発された河合夫妻の行動が本当に違法になるとすれば、それは、選挙における買収として立証されたとき。しかし、これが買収だとなれば、日常の政治活動も限りなく黒となり、新規参入組はさらに当選しにくくなる。公職選挙法の運用は全般的により厳しくなり、活動の自由への制約が強まって、有権者との緊密な対話や交流もより一層、困難になるでしょう。各選挙区はますます、既得権者や親から地盤を譲られた者の牙城へと化す・・・?


検察という捜査機関の思いで、民主主義を育てる仕組みの改善が阻止されることがあっていいのか。正義の仮面をつけて、実際は国民の選択の自由や権利を抑圧していないか・・・。


今回の都知事選に話を戻すと、自民党が候補者を出さなかったことで、結果が最初から小池氏に決まっている、多くの都民にとって投票権を行使したくなる選択肢がみえない選挙の様相となりましたが、肝心の小池氏といえば、もはや、都政に関心がない・・・。そんな都庁からの内部情報もあるようです。次は総理・・・しか見ていない、その上でコロナ対策が有利ならそれはやる・・・。不幸なのは、こんな選挙を強いられた都民かもしれません。


●都知事選のテーマ・・・命を守る防災減災対策&夢を与える江戸城天守閣再建

ここで、都民が投票に行きたくなる都政のテーマをあえて考えるとすれば・・・、一般には、争点はコロナ対策とかポストコロナなどと言われていますが、やはり喫緊の課題として、科学的でシステム化された徹底的な防災・減災対策は不可欠のテーマだと思います。


歴史的にみて東北と連動して起こってきた関東地方の大震災(首都直下型など)が、東日本大震災から10年近くを経て、いつ起こってもおかしくない時期に入っています。そうなると、一次災害だけでなく、このままでは、想像もしたくない悲惨な光景が続くことが首都で予想されています。また、海面の温暖化でいよいよ、首都にもスーパー台風が襲来し得る状況に・・・。そうなると、東京のかなりの部分が水没の危険性があります。


その他、災害にはいろいろありますが、多くの住民も行政も国も、こうした喫緊の課題を正しく認識し、まともに向き合うということをしてきたとはいえません。何よりも大事な住民の命と安全が危険にさらされている・・・このことに科学的で具体的な答を出そうとせずに、何の都知事選か、何の立候補者か・・・ではないでしょうか。


もう一つは、東京に何かわかりやすい具体的な夢を掲げてほしいもの。先日、松田政策研究所チャンネルで対談をした松沢成文・参議院議員が掲げる江戸城天守閣の再建など、良いテーマかもしれません。歴史と文化に彩られた新東京再生計画。未来への夢という点では、東京五輪よりも、もっとスケールが大きいと思います。


かつて江戸城には3つも天守閣があり、大阪城よりも大きかった・・・再建のネックは霞が関各省庁の規制。カジノのような一時の快楽とは異なり、外交上も国威発揚上も文化面からもこれだけ総合的な観光資源はなく、しかも、民間資金で再建可能。東大寺の大仏殿に次ぐ大きさの木造建築、高さでは世界一。これと日本橋の復元、昔の魚河岸、東京駅の復元。江戸時代のすばらしい街並みが・・・。詳しくはぜひ、松沢さんのビッグストーリーを↓


https://www.youtube.com/watch?v=qBknvK5cmlg


問われているのは、有権者が投票に行きたいと思うような、芯に当たったテーマと未来への魅力的で具体的なビジョンを、有権者自らが政治家とともに考えていけるような政治創りであり、これをサポートするような選挙の仕組みづくりだと思います。


参政党がこれを担えるかどうか、今後の活動を見守っていただければ幸いです。

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