top of page
  • 執筆者の写真松田学

中国の「バベルの塔の崩壊」とリーマンを超える恐慌~総選挙のテーマは日本のウクライナ「ATM化」か~

11月衆院解散で自民党はもう動いている…前号の本欄では、それでも内閣支持率を大きく上げる材料に乏しく、状況によってはそうならない可能性も排除できないと記しましたが、自民党や政権と深いネットワークを有するジャーナリストの山口敬之氏は、政治経済情勢がどうあれ、また自民党幹部の中には年内解散には反対の意見も根強い中にあっても、岸田総理自身はウクライナとの関係で、間違いなく11月までに解散すると断言しています。


つまり、ウクライナ戦争は既に停戦の動きに入っていて、もはや国際社会の関心は戦後の復興支援に移っている中で、バイデン大統領は日本に20兆円のカネを出させる。そのお墨付きを国内で得るための衆院解散であり、まさに日本植民地化解散である、と。


弱い野党の選挙体制は自民党政権の存続自体を危うくする状況ではなく、自民党は議席は減らしても総選挙に敗けるわけではない。それで十分だ。いざとなれば国民民主や維新と連立を組む手もある。今回の組閣で、来年の総裁選での再選は盤石となったのだから、選挙結果が岸田降ろしにつながることもない…岸田総理はこう読んでいるという見方です。


確かに、日本国民がこれだけバイデン-ネオコン―NATO側からのプロパガンダでウクライナ支援サイドに国論が一致している以上、このシナリオには一定の妥当性がありそうです。しかしこれが、バイデンへの従属路線強化の中でなされる「日本のATM化」だと捉えれば、この選択は日本の米国属国化、国家としての自立自尊路線の破壊の道を選ぶものでもあります。総選挙ではこれへの明確な対立軸がなければなりません。


山口氏は、その役割を期待できるのは参政党ぐらいだとしており、その期待に応えるためには総選挙でこの党が伸びることが不可欠です。ところが問題は、私が代表を辞任するに至った経緯が不透明と受け止められているように、参政党そのものの内部の結束が崩れているのではないかとの見方が支持者の間で広がっていることかもしれません。今は党員の熱意と結束が何よりも大事な局面です。


そのために私も今は「参政党創設メンバー」との肩書で全国あちこちを飛び回り、党員のモチベーションの向上を図っているところですが、前記の懸念を予想してか、7月末に「ゴレンジャー」の一人である武田邦彦先生が参政党Youtubeでの私との対談で、参政党員に向けて次の内容を語っておられました。これは参政党に限らず、人間としての生き方や保守思想の根本にも通じる内容ですので、簡単にご紹介しますと…まず、そもそも人間の脳は、700万年前に人間が誕生したときは動物の脳に近かったそうです。


人間だけが大脳が発達したのですが、動物は利他的で集団を優先し、群れと個人が意識が同じで、人間も本来はそうだったものが、人間だけが大脳が発達して脳が1400ccになった。すでに1000ccぐらいになったときに、中の伝統的な脳の信号を受け取らなくなったそうです。本能を抑制しないと火は使えません。男性は性欲を失い、女性から誘導されないと性欲が出ない存在になったそうです。


本来、人間がまとまってやったほうがいいのに、大脳が発達すると、自分は他者とは違う、となり、人間は戦争するようになった。6億年間の多細胞生物の知恵が発揮できなくなり、自分の考えだけが正しいと思う存在になった…。


参政党は利権がないので、普通なら分裂してしまいます。そういう党で第一に必要なのは、自分の意見は間違っているということ。そうでないと団結できない。自分の頭の中にないものは考えないのが普通の人間ですが、本来、みんな意見が違うのが当たり前です。それを参政党の人たちがどれぐらい意識するかどうかで、成否が決まる、そうならないと天下をとれないとしています。


お釈迦様もイエスも、大脳を消すことができる方々だった。参政党を守るためには自分が譲らなければならない。夫婦喧嘩するような人は党員としてはダメ。そもそも違うんだから。違っていても腹が立たない。参政党が成功するようなら、党員には夫婦喧嘩もなくなる。そのためには、自分の頭の中に少し空間をつくることが大事だそうです。


相手が言っていることについて、自分の方が間違っていると考える部分です。武田先生は脳のうち30%分でその部分を作っていて、30%は難しく、そこまで行くのに30年かかったとのこと。自我の克服は大脳があるから難しく、そこに穴を開けるしかないようです。


「参政党員は絶対に分裂してはいけない。ほかの所はみんな利権なのだから。新しい民主主義で国をよくする実験を毎日しているのが参政党だ。そこでは自分を脇に置いておくことが大事。」西洋文明もかつては日本と同じで、自我とかは言わなかったそうです。自我とか人間とかは偏ったものだとわかってきたとのこと。「穏やかな気持ちでいないと新しい民主主義も作れないし、国もよくならない。」


まさに、世界を利権で一色に染め上げるグローバリズム支配に対抗して、さまざまな文化伝統、歴史や国柄を営む多様な国々が共存共栄する国際秩序、すなわち「世界に大調和」を生む」ことを最高理念に掲げる参政党にふさわしい人間の生き方といえるでしょう。


しかし、同じナショナリズムでも、そうした調和的秩序を真っ向から破壊せんとする全体主義の権化が、習近平独裁体制の中国共産党。ただ、その中国もいよいよ行き詰まっているようです。今回は中国通の評論家、宮崎正弘氏が喝破した真実を以下、ご紹介します。


●いよいよ破綻に向かう中国経済…一発勝負の博打経済

なんと、中国崩壊の引き金となるのは習近平の独裁体制だそうです。評価の基準を能力ではなく、忠誠度にすると、毛沢東の大躍進のような大失敗になる。トップがこれだと言うと→みんなその方向に一斉にどーっと進み→トンデモナイことに、の典型的パターン。


中国に詳しい宮崎正弘氏が語ったのは、日本のメディアがちゃんと報道しない中国経済の驚くべき惨状でした。予想以上です。今回は本当にいくかもしれません。とにかく経済原理など無関係に中国全体がマンション投資で一発勝負の博打を続け、債務が膨らんでも止められない。「人類の歴史始まって以来のバベルの塔の崩壊」(宮崎氏)。


巨大化するチャイナリスクにどう向き合うかが、アフターウクライナの世界最大の問題になるような予感がします。やはり、独裁だけはいけません。


宮崎氏によると…「中国ではとにかく大変な事態が起きているが、中国は全部の情報を隠しているので深刻さが伝わってこない。恒大集団だけで債務超過43兆円。トップの碧桂園は、単年の赤字だけで約1兆円。年内に65社の大手デベロッパーが破綻する。不良債権は少なく見積っても1,800兆円。社会融資全体が6,800兆円、そのかなりの部分が不良債権に化けている。経済専門家が習近平の周りにいない。」


「日本が受けたバブル崩壊は200兆円、それから日本は右肩下がりの経済。ひしひしと中国の若者がわかっている。中国の1,158万人の今年の大卒の半分に仕事がない。公式には若者失業率は21%、実は46%。やることがないから『汚染水』と電話してしまう。」


「ゴーストタウンをあらゆるところに造った。100万都市を作ってしまう。70万人のリゾートに入っている人は3万人ぐらい。統計とか理論とかは関係ない。全部博打。中国にはギャンブルがないから。日本には競馬競輪競艇オートレースと…4つあるのだが…。」


「一発勝負の世界、マンションが上がるということで、2~3軒目を買った。頭金を払って銀行ローンを組んでいる。しかし、引き渡しがされない。そこでローンを払うのをいまやめている。多くは共産党員。だから習近平批判ができない。金を払っているつくりかけのマンションはとにかく作ってしまえとなる。」


●毛沢東の大躍進の大失敗の二の舞と、人類の歴史始まって以来のバベルの塔の崩壊に

「中国の40年の好景気は終わり、中国モデルは破綻した。大手不動産会社はゾンビで巨大化。投資主導モデルは破綻した。日本のバブル崩壊の背景には人口減少があり、日米とも人口統計的に経済分析をするが、中国は経済原理に沿っておらず、単なるギャンブル。人口減少とは関係ない。需要も供給もない。ギャンブルにみんなが走り、それを止める装置がない。年収の三倍までしかおカネ貸してくれないのが普通だが、それで政策をうまくやってきたのが日本だった。中国の場合、人類の歴史始まって以来のバベルの塔の崩壊のようなことになりそうだ。」


「コロナ後の経済回復が思わしくないのではない。それまでも中国はペダルをこいできた。一つは輸出、もう一つは外国からの投資。後者は10分の1に。今年上半期に200億ドルしか来ていない、年間、1,900~2,000億ドルが普通だった。貿易はかろうじて黒字だが、石油輸入が一日800万バーレル、まだ人民元は高いが、次に来るのは人民元の暴落。だから、もっとひどくなる。」


「米中摩擦はハイテクだけ。米商務長官がウィンウィンだと。ただし、ハイテクは渡さない。ハイテクがこなくても庶民の生活は困らない。大変なのは食料。マンションを立てて、田畑を潰した。農業の基本知識を知らない。土壌と水が大事なのに。毛沢東の大躍進の大失敗の二の舞になろう。」


「ウクライナもかなり中国が農地を買っていたが、ダムを壊して農地がダメになった。中国はアフリカでもかなり農地を買った。日本での土地買収とは規模が違う。日本の買収土地は、おカネがなくなったらダンピングで売り逃げするだろう。世界から食料を吸い上げ、金融面ではショック。今や世界はチャイナリスクだらけだ。」


「日本のメディアがこうした実態をきちんと伝えないのは、中国に対して伝統的に遠慮がちだから。『記者協定』が生きているのか。」


●中国でのバブル崩壊のきっかけとなるのは何か…危機はリーマンショックの10倍?

「リーマンショックでは中国は財政出動して世界経済を救ったが、今回はそうはいかない。地方がものすごい赤字だ。融資平台で1,800兆円、銀行のローン残高が4,000兆円、加えて実態把握を当局もできていないシャドウバンキングがあるので、全体はわからない。中国の大学は全寮制、学資が70万円と高い。地方から出てきて頭がよくても、年70万円はきつい。彼らは正式なローンは成り立たないので、シャドウバンキングなどから。金利が高いはず。統計がない。実態がわからないが、ものすごいことに。」


「バブル崩壊のトリガーは日本では金利の引上げや土地融資規制だったが、中国の場合は、習近平の周りに経済政策の専門家がいないこと。加えて、経済政策は国務院の専管事項、そこに小委員会を創って座長が習近平ではどうしようもない。中央銀行総裁が聞いたこともない人が就いて、経済のベテランを追い出した。習近平の人事は能力ではなく、忠誠の濃密度で選んでいる。」


「毛沢東と似ている。これをやれと、みんな言うこと聞いて、突っ走ってとんでもないことに。鄧小平を全否定して毛沢東時代に戻ろうとしている。今度は中国発のリーマンショックとなると、そのインパクトははるかに巨大。不良債権額にしてリーマンの10倍だ。」


「中国も浅知恵で、まずBRICS拡大でG7に対抗し、先進国経済を凌駕しようとしてBRRCS域内で独自通貨を出すとしているが、出して米ドル基軸体制に挑戦というのは、言っているだけ。BRICS銀行が既に存在している。それも、融資案件は5件だけというのが実態だ。」


●習独裁のもとで内実は弱い中国

さて、この中国ですが、経済的にも軍事的にも日本にとって最大の脅威とされる中国の内実は、意外ともろい…その原因も習近平による独裁体制のようです。今回インドでのG20に習近平が行かなかったのは、中国の国内情勢が非常に深刻であることを示しています。


中国国民のほぼ全てが習近平に不満を募らせている中で、国民の関心を外へとそらすのが処理水だったり台湾だったりするのですが、なんと、中国には台湾進攻をする力もない…軍すら、習近平への忠誠度が基本原理ですし、半導体で米国に負けていたら、勝ち目はないのが現代の戦争でもあります。不良債権は国内だけでなく海外にも積み上がり、一帯一路に出した金は返ってこないことが最近分かった。では、頼みのBRICSはと言うと、米ドル基軸通貨体制への挑戦は、単なる意気込みの段階にとどまっているのが現状です。


宮崎氏の分析を続けますと…「習近平政権の構造はといえば、自分に忠誠を誓う者どもを横に置くこと。そして、4つの地域閥があり、これらは習近平がこれまで赴任してきた地域。さらに、理工系の宇宙ロケットミサイルのテクノクラート集団や、精華大学や、公安や、夫人の取り巻きなど5つの利権集団がある。」


「習近平の頭の中は軍だ。確かに、中国は宇宙はスゴく、米国に伍している。月の裏側に米国よりも先に。戦略ロケット群を予算で優遇している。中国人は特権で優遇で予算が来れば必ず汚職。それでトップがこけたら、自分に近い海空軍のトップをロケット群に持ってきた。軍の能力を上げるではなく、習への忠誠を誓っているかどうか。能力とか、横との連携とかではなく、だから、軍としての整合性はかなり能力が落ちる。」


●現実には台湾進攻ができる力が中国にはない

「台湾進攻には20万人は上陸が必要だが、1,000人乗れる船が8隻しかなく、そこには戦車も載せねばならない。台湾は結構、闘います。とても侵攻できる状態ではない。それをカバーするためにロケットを打ち込み、ハッカー、そしてドローン。」


「ここでいちばん欲しいのはAIだから、半導体ということになる。しかし、中国が自力生産できるのは、いいところ28ナノ。米国がTSMCとともに3ナノから2ナノに行こうとしているときに…。3ナノは国会図書館の全蔵書が入る。それより遥かに容量が大きく、中国はそれがほしい。半導体の高度化で、スーパーコンピュータで1万年かかる計算が3秒でできることになる。戦争では圧倒的な差になる。だから、米国は絶対に渡せない。ここが米中対立の最も本質的な部分だ。現状の中国のパワーでは、台湾進攻はとても無理。」


「独裁であることによる弱さが習政権には内在している。習自身はかつて下放されてひもじい思いをしたとされるが、特別待遇を受けた人。どっしりした体格。食料が大事なのはわかっている。末端まで豊かになってほしい。かつての皇帝ではなく、現代の皇帝様なので人民のことは考えざるを得ない。しかし、今までやったのは情報完全封鎖と国民監視、個人情報を一か所に集める。こういうのは、どこかで壊れると一気に壊れる。データベースはセンターを襲えればよいのだから。」


「習が毛沢東をめざせば、経済にはマイナスになる。それに人口減少だから、中国には未来への展望がないが、中国人の特質は、どんなにダメなときでも大丈夫と言うこと。」


「インドのG20に習が出席しなかったのは、よほどのことが国内で起きているからだ。相談相手はいないし、経済テクノクラートはみんなパージしてしまった。」


「国民全体が習に不満を抱いている。そのはけ口の一つとして福島処理水。次に、台湾。ただ、侵略の能力がないので、どこまで派手な演出するかがポイントに。画像を重視、ミサイルで勝っている…と、今のウクライナのプロパガンダと同じだ。」


●対外資産も不良化、BRICSデジタル通貨は未だ夢のまた夢

「中国の切実な問題は何かといえば、やはり幽霊マンションだ。2軒目、3軒目の投資、上がってきたからよかったが、3,000万円のローンを組んでいて、これは一生の負担になる。『リーマンモメント』の寸前まで来ている。今までは外国から借金できたが、今はできない。外国に持っていた資産を売却し、米国債も4,000億ドル売却、残り8,000億ドル持っていても、その枠内で借りているから事実上ゼロ。株式も審査が厳しく、各国市場から追い出されている。カネ詰まりで海外資産を売却、米国では恒大が破産法申請した。」


「一帯一路で世界的に1兆ドルのプロジェクト。中国は7,300億ドル出しているが、全部失敗。動いているのは2つだけ。ラオス新幹線、1日に二便しかない。インドネシア新幹線がやっと開通したが、お客さんがいない。バスの2倍の値段。あとは完成しているものがない。スーダンもエチオピアも中国に返せるカネがない。対外資産はほとんど不良債権化していることに今、中国は気がついた。」


「BRICSは構造的には良いアイデアだ。南が集まって米国に対抗する。ブリックス通貨で。ブリックスコインも、ブラジルとアルゼンチンは組んでいる。ただ、5か国でさえまとまらないのに、来年には11か国になる。構想や良し、意気込みや良し…であろう。」


「共通通貨は理想だけで、実態は加盟国の中での2国間での通貨スワップにとどまっている。例えば、アルゼンチンのように人民元を貿易決済に使うなど。しかし、そのアルゼンチンのように日々通貨が下がっているような国もある。グローバルサウスは掛け声はいいが、たぶんうまくいかない。中国、ロシア、インドは金をたくさん買っているが、金本位制で米国を駆逐する?そもそも金本位など実現不可能だ。」


「デジタル人民元は、最初は偽札防止が目的だった。中国では半分が偽札だ。通貨にプライバシーの情報を入れようと、途中からなったのがデジタル人民元。国民の9割以上は、これで安全ならいいじゃないか。不自由を感じていない。西側との意識の差が大きい。」


「ウクライナ戦争でロシアと中国は物々交換の世界に戻っていて、それを通貨スワップと言っているだけ。デジタル通貨のインフラは中国にはできているが、ロシアやインドにはない。金融インフラはインドにない。構造的な格差によって、共通通貨は阻まれる。米国をゆさぶるために、人民元決済を検討すると言っているだけだ。」


「中国が本当にリーマンモメントを超えて新たな建設に向かうのは、破壊のあとだろう。日本は中国への依存度が最も高い。警鐘乱打しても、未だに中国で広げようとしている。」


…以上、宮崎氏が指摘するように、鄧小平以来の中国の発展モデルはすでに行き詰まり、リーマン以上の恐慌を世界にまき散らして終焉を迎えるかもしれません。しかし、中国を侮るべからず。もうすでに中国は次の経済パラダイムに向けて着々と準備を進めています。


確かに、デジタル通貨が米ドル体制を脅かすのは少し先かもしれませんが、中国は、これからの世界のあらゆるサービスを担うブロックチェーンの世界共通基盤の運営に乗り出しています。しかもそれは、中央集権監視型のブロックチェーン。個人情報も含め世界中の情報を中国共産党が握る、まさに世界覇権の最終形になりかねないとも言われています。


日本も、これに対抗できる次なる経済パラダイムとして、中国とは逆の、自律分散を基本論理とするWEB3.0のブロックチェーン国内共通基盤の整備を早急に進める必要があります。「松田プラン」が急がれる理由です。これは同時に、岸田政権が進める日本植民地化から日本の自立と国民経済を守る道を拓くことにもなるでしょう。

閲覧数:481回
bottom of page