• 松田学

ロシアの言い分と世界経済秩序~米ドル基軸通貨も崩壊か…国防もエネルギーも通貨も新思考を迫られる日本~

国際情勢といえば日本国民のほとんどがロシアけしからん、ウクライナ頑張れ一色のようですが、大陸欧州はちょっと様子が違います。フランスでは4月24日に大統領選の2回目の投票が行われ、マクロンがルペン候補を破りましたが、第1回目の投票では12の政党から12人が立候補、今回のウクライナ紛争では米英べったりの新自由主義者、マクロン氏への批判票がかなり出ていたようです。そうした国民の声が第2回投票ではルペン氏に集まり、「極右」とされながらも4割の国民が支持した形になりました。


それにしても、第1回目の投票に出てきたフランスの政党の名前はなんとも勇ましい…例えば、「労働者の戦い」、「反資本主義新党」、「服従しないフランス」、「抵抗しよう!」、「立ち上がれフランス」、「再征服!」…さすがは、学校で「革命」を教える国。このなかで、日本にも似たような名前の政党がありました。「たちあがれ日本」です。ちなみに、日本では一部にこれを極右と誤解する向きもありましたが、フランスでは、ルペンの「国民連合は」は「立ち上がれフランス」よりももっと右の極右。ただ、実際には同氏の主張も穏健化しており、これもルペンを勝たせたくないマスメディアによるレッテル貼りだったとか…。


このルペン氏が掲げていたのは、対ロシア制裁をやめろ、戦争を早く終わらせてプーチンと仲良くしよう、フランスのNATOからの脱退…国民感情が米英とは少し違うようです。


私もかつて大陸欧州に住んでおりましたが、もともと彼らは対米独自路線。彼らからみれば、今回も日本は過度な米国追随にみえるかもしれません。もちろん、エネルギー価格がこんなに上がって困るという庶民感情もフランス国民にはあるのですが…。ただ、保守系の間ではプーチン人気は根強いようです。この点も日本の保守系とは違います。


このように書くと、私がプーチン支持派だという誤解をする方がいるかもしれませんが、正邪の判断と事態の分析とは次元が異なる議論です。松田政策研究所チャンネルの番組で私は、メディアでは報道されていない分析や論点を論者の方々から思う存分に引き出し、視聴者の皆さまにできるだけ多くの判断材料を提供するよう努めています。その上でのご判断はあくまで視聴者がするもの。その意味で、視聴者を最も大切にしているつもりです。


後述のように、今回、ロシアが軍事行動を続ければ、日本の経済や安全保障にとって困った帰結をもたらすという点からも、ロシアを非難するのは当然のことです。


ただ、軍事の専門家が事態を冷静に分析してみても、今回の紛争はプーチンというよりも、長年をかけてウクライナの軍事支援を続けてきた米国側から仕掛けられたものであり、戦争を長引かせているのはむしろ米国だという結論になるようです。


しかし、これが図らずも、米国にとっては望ましくない国際秩序へと世界を変えてしまう可能性があります。ならば、バイデンはとんでもないことをしてくれたことになる…。


岸田政権はG7諸国とともに、何の疑いもないかの如く、対ロ経済制裁にいそしんでいますが、今回のような経済制裁は核兵器と同じぐらいの破壊力を持っているともいえるかもしれません。それはロシアにとってというよりも、むしろ我々西側諸国にとってという意味です。世界経済は全体主義と自由主義との間でますます分断を深め、場合によっては米ドル基軸通貨すら崩壊に向かう!?…ウォール街からこんな声も出ているようです。


●軍事的視点からみても戦争を仕掛けたのは米国~戦地の報道も西側による偽装の疑い~

松田政策研究所CHで元陸将補であり安全保障の博士である矢野義昭氏が提起したのは、軍事の専門的な観点からみても、次のようなことが言えるということです。①今回のウクライナの戦争は米国バイデン政権が仕掛けたものである。②メディアを通じて日本に入っている情報は、プロパガンダ戦による面が強く、その真偽が解明されるには時間を要する。➂ロシアの側にも、今回の軍事作戦に踏み切った相応の理由がある。④これからロシアが反転攻勢を強めることで、力による現状変更という帰結になる可能性は十分にある。


加えて、⑤ユーラシアで中国を中心とする全体主義体制が強化され、世界が分断されていく流れになる。⑥日本の有事の際に米国がすぐに兵を出してくれる可能性は高くなく、少なくとも一か月は日本の防衛力だけで持ちこたえられるよう、国防費の対GDP比の2%への引上げを急遽決めたドイツと同様、防衛力強化への早期決断が不可欠である。


米国が今回ロシアに戦争を仕掛けた背景として、この矢野氏も、バイデン政権の政治的思惑(秋の中間選挙でのの支持率)や、自分自身と息子ハンター・バイデンのウクライナ疑惑から米国民の目をそらすことに加え、資源利権(エリツィン時代のオリガルヒを追い出したプーチンを最終的には打倒したい)の存在や、武器の売却を狙う軍需利権からみれば戦争を長期化させたい動機があることなどを指摘しています。以下、同氏によると…、


「ロシアとユダヤの数百年来の対立。かつてはキエフ中心でウクライナが先輩だったのが、近代に逆転し、ナショナリズムが台頭。ナチスが入ってきてロシアへの抵抗運動、それがアゾフ連隊だが、こうしたウクライナのナショナリズム過激派をウクライナ政府がコントロールできない状態にある。今や宣伝戦が大々的に行われ、大手メディアが金融資本に支配されているためか、日本でも一方的な報道がなされている。」


「このプロパガンダ戦のなかで、報道されている画像や証言では真相は分からない。バーチャルリアリティも高等な技術を使用している。いかにもリアルで別の人物を使ったり埋め込みをしたりしている。かつての南京大虐殺もそうだった。真相がわかるまで時間がかかる。中立的な国際的調査団による現地調査が必要。カチンの森もナチスではなくソ連がやったことがわかった。」


「物的証拠で事実関係を固めていく必要がある。陸軍には作戦日誌が義務付けられている。オープンになればわかることもある。本当にロシアが虐殺したのか、指揮命令系統も明らかになる。偵察衛星、通信傍受も組み合わせて…。ただ、時間がかかる。当事国もオープンにする姿勢がないと、戦後もプロパガンダは続く。」


「あのブチャでの虐殺?も要調査だ。偵察衛星では、ロシア軍撤退のあと、普通なら路上清掃をするところ、内務省の警察が入って遺体を並べている。ロシア軍が敗走したのなら、ロシア兵の遺体がなければならないのが、無いのが不自然。後ろを追い、追尾するのが普通。ロシアが負けたのなら、ウクライナ軍が追尾してさらに攻撃するはずだが、そういう画像がない。むしろ、キエフ周辺からはロシアは計画的に退いた。もし虐殺したのなら、通常は穴を掘って現場で埋める。そうでないと、戦争犯罪の証拠になるからだ。遺体を遺棄するのはどうもおかしい。作為されているとみたほうがいいのではないか。」


「国連の調査団によるオデッサ虐殺事件のレポートも出ている。ロシア系住民をドネツク等で殺害、アゾフは元々ネオナチ、大戦時のパルチザンが起源。ドイツのナチはニュルンベルク裁判で裁かれたが、米国CIAが温存してネオナチを諜報活動に使い、それがウクライナに残っている。ロシア語の公用語化を阻止したり、ロシア系住民を迫害することが8年間続いた。プーチンが我慢強く、しかしいよいよ、ロシア系住民の安全確保のために…そのような戦争目的を明確に言っている。これは国としてやるべき自衛行為ともいえるもので、理由は一応、成り立つ。」


●待ち構えていたNATO側とロシアの軍事的な狙い~東部と南部をロシアは手放さない~

戦局については、「ロシア軍は最初はキエフ正面に10万人、北部に重点を置いた。そして空挺部隊を2日目に入れた。補給の問題ですぐに陸軍を入れないともたない。5日目にはキエフ攻略という計画だったはず。見事に失敗した。対戦車ミサイル、対空ミサイルがNATO側から供給され、これが以前からキエフ、ハリコフで待ち構えていた。」


「ロシア側は通信機能が弱い。携帯で通信、筒抜け、NATO側に把握されていた。情報提供は米英が重視、ロシア軍を待っていた。仕掛けられた。ジャベリンなど米国から、これは威力。スティンガーも。ソ連はアフガンでこれに悩まされた。画像で標的を追っかける。スティンガーだけでも2,000発、一か月で入った。最初からスウェーデンからも大量の武器が供給。数百名規模の米軍が入り、昨年から訓練。装備がすでにNATO化していた。これはポロシェンコ政権で進み、憲法で将来NAT0加盟となっていた。」


核の問題については、「ロシアは原発を押さえたが、ウクライナは元々、千数百発の核をもっていたのを、ブダペスト覚書でロシアに移管。しかし、プルトニウム抽出技術は未だに持っていることに対して、ロシアは脅威を感じてきた。ウクライナは核保有国にNATOのもとでなろうとしているのではないかとの疑念がロシア側にはあった。停戦条件で『非核化』が中立化の中で挙げられているのも、そのためである。生物兵器の拠点もソ連下で存在した。レポートでも明記されている。元々、ウクライナには能力があり、NATOのもとで強化された。ロシアはそれに機先を制そうとして侵攻した。」


軍の状況については、「侵攻から二週間後の見積もりでは、ウクライナ側が10%、ロシアが2~3%の戦力の損失。その後ロシア側は1割、ウクライナ側は2~3割、こうなるとウクライナはほとんどの戦力を喪失したとみるべき。ウクライナ正規軍はダメで、集められた兵力で戦争している。ロシアと元々大きな軍事力の格差。それは3~4倍、備蓄を入れれば5~6倍の格差。ただ、兵力の人数ではそれほど差はなく、この点でロシアには弱点。」


「元々はロシア系住民の保護のための特殊軍事作戦。ロシアとしては通常の全面戦争ではない。使用している戦力は一部で、戦車も最新鋭は出していない。代わりにミサイル。相手側の通信設備、燃料庫を潰してきた。航空も地上戦力も全面展開していない。限定戦争。奇襲攻撃で中枢を拘束して放送局と空港を押さえて中枢神経を麻痺させて、ウクライナの体制変更を迫るという構想。これが失敗した。マリウポリは重要。アゾフはここに展開。しかし、アゾフも戦力が枯渇、依然として最後の一人まで闘う。それでロシアは手こずっている。ここにチェチェンからの精鋭部隊などで市街戦が展開されている。」


「大勢としてはロシアは東部と南部を押さえた。ここは戦略的に重要、ロシア系住民が多い。保護という目的は東部と南部。北部の戦力をこちらに回すという転換は合理的。本来の目的に。黒海から東地中海は米英が平時から展開し、挑発。それに対してロシアは神経質。バッファーゾーン確保のためにはセバストポリ軍港の確保が重要。東部と陸路での連結、そのためにマリウポリはどうしても必要。東部のドネツク等の資源地帯、産業地帯、軍需産業地帯は戦略的価値。ここをロシアは手放さない。現在の占領地域をほぼ確保する。」


●中ロの一体化と新秩序への移行~三正面作戦を強いられる日本は大変厳しい状況に~

プーチンの大ロシア主義による侵攻という見方については、「元々、キエフロシアの時は一体だった。それは間違ってはいない。ベラルーシは一体であり、ウクライナも本来の兄弟国、争いはやめて一体にというのがプーチンの論理。それに対してウクライナの国粋主義が反発した。ユダヤ人が絡んで国際金融資本も。こじれている。NATOに取り込まれる前に、ロシア系住民の東南部を侵攻し、今後は、中立化されてもNATO化されないなら、ロシア化が長期には進んでいくだろう。」


中国については、「中ロの一体化を今回の紛争が進めることになった。ロシアが中国に色々な借りを作った。中国国内から傭兵、車両、通信機、兵站物資、弾薬をひそかに…。人の余っている中国からの傭兵もあり得る。従属性が強まれば、SWIFTから外れたデジタル通貨へ。ドルから離れて経済ブロック化。インドとロシア、中東、イラン…サウジも人民元決済か…。カタールはロシアをOPECに入れるとしている。結局、ドル決済のサウジすら抜け出す。ウクライナの中立化で一帯一路がウクライナまで浸透するだろう。西側とユーラシア独裁権威主義国家グループに分かれて、グローバル化は終わる。新秩序へ。」


日本はどうすべきか…「日本は三正面。中国台湾、北海道、朝鮮半島。米国は今回もウクライナには兵力を送り込まず、攻撃兵器も送らず、防衛的兵器のみ。日米のガイドラインでは、日本有事の際は米軍は補完的役割であり、基本的に自衛隊が主体だ。米国は情報面や訓練の支援などにとどまり、本当の兵力は送らない。そういう戦略に米国は既に転換している。そして同盟国に来るには一か月半かかる。一か月は独自戦力で戦うしかない。」


「安全保障の立て直しが急務だ。GDP比2%もドイツ同様の決断を。NATOは30か国がともに闘うが、日本は米国だけ。巨大な中ロの二つを敵とするのは、とてつもなく厳しいこと。かつてのヨーロッパ最前線の西ドイツよりも、現在の日本の状況は厳しい。」


●ユーラシア全体主義秩序vs西側の構図へ~進むのはエネルギーと通貨の分断~

安全保障面だけでなく、日本にとってもう一つ重要な論点は、ウクライナ紛争の結果として、世界経済や国際秩序はどうなっていくのかです。このことをテーマに、経済産業研究所の藤和彦氏と少し突っ込んだ議論をしました。


まず、地政学的にいえば、天然ガスや石油などの資源面での制裁がロシアの中国マーケットへの依存を強め、ユーラシアで中国を核とする全体主義体制が強化されるとともに、これと西側とがそれぞれエネルギーの自給自足体制となって、世界のブロック分断化はより深刻化するでしょう。こうした資源エネルギー面と、もう一つは通貨面です。


今回の制裁でロシアが保有する米国債などのドル準備へのアクセスが断たれることで、現在の「米国債本位制」、つまり、米ドル基軸通貨体制が崩壊に向かう…。価値保蔵手段としての米ドルへの信認が崩れるからです。明日は我が身と身構える非民主主義国家が多く、特に、BRICsは自立的な経済圏でもあります。ユーラシアには、ロシアの資源が裏付けとなるデジタル人民元のような、新しいデジタル通貨が誕生し、「コモディティ本位制」へと、世界の通貨秩序は移行するかもしれません。


この通貨体制の大激震は、ウォール街がすでに想定し始めていることであり、これまでの秩序や既得権に軸足を置いていたはずの西側諸勢力にとっては、実は困った世界になっていく可能性が出てきました。今回のウクライナ紛争を仕掛けたバイデンはとんでもないことをしてくれたことになりますが、これは先行きを俯瞰せずに部分最適の発想で経済制裁へと走った結果でもあります。国際秩序は新たな漂流の時代に入ったようです。


●資源エネルギーはブロック内自給体制へ

以下は藤氏からの問題提起です。「日本は同盟国でないのにもう少し中立的に観たほうがいいのではないか?民間人の殺害でプーチンは戦争犯罪だと言うが、元々、ゼレンスキーが民間人に武器を渡して戦えといった瞬間に、民間人は保護されない立場になった。テロリストと同じ扱いになった。それはウクライナ側の問題。竹槍でB29をというのと同じこと。兵器を持った瞬間に殺されるのは当たり前。その種をまいたのはウクライナであり、これをサポートした西側諸国である。」


「メルケルがドイツの首相であり続けたら、こうなっていない。ミンスク合意の重要性をマクロンもショルツも分かっていない。これはドンバスの停戦のためだった。ゼレンスキーが大統領になってから、2021年にこれを破棄すると彼は言っていた。ミンスク合意は米国の介入をさせないためのものだった。問題がNATOの東方拡大に変わってしまった。」


「停戦交渉で最後まで残るのはクリミアと東部二州だが、米国は最初から部外者のはず。戦争は終わらない。停戦になっては困る人たちがいる。」


「エネルギーについては、冷戦時代からグローバル市場だったが、これからは冷戦下でも考えられなかったブロック化になる。ガスへの依存度を下げる、石炭もやめる、石油も、欧州に行っている石油などはアジアに回る。中国にはロシア産資源のマーケットがある。価格が上がるので供給量が半分になってもロシアは困らない。実入りは同じ。」


「石油は元々上がっていくもの。今の収入は変わらない。困るのは我々。こうして資源供給国の力が強まっていく。実体資産とマネーとの関係で国のパワーバランスも変わる。欧米とアジア・ユーラシア、それぞれの中での自給体制へ。中国とアフリカを含めて、G7とそれ以外の国々とでまとまっていく。ユーラシアではロシアが資源供給国に。米国は、ウクライナをけしかけた結果としてブロック化を招いてしまった。」


「供給過剰ならこうならなかったが、供給不足のときに戦争を仕掛けたのがみそ。90年代、欧米がロシア資源に入り、プーチンが飛ばした。それを元に戻す。コロナと脱炭素で化石燃料投資が足りない中で、こういう事態になった。」


●経済制裁こそ戦争犯罪~テールヘビーリスクの顕在化で米ドル基軸通貨体制は崩壊へ~

「プーチンには20年の積年の恨みがある。NATOに入りたいとロシアは言っていた。それがノーだった。14年にウクライナではマイダン革命を起こされ、欧米がウクライナに軍備拡張させ、プーチンは怒髪天を突くだった。」


「日本としてはエネルギーの国産化を進めるしかない。ただ、再エネは厳しい。第二次大戦後、日本は米国追随だが、石油だけは独自外交をしてきた。これをしなければならない。サウジとロシアは仲が良い。日本に供給してくれるか?エネルギーは西側についていいのか?サハリンも今の岸田政権はどこまで頑張るか?ザポリージャ原子力発電所は世界最大の原発。テロ対策が大事。日本は警察庁公安部が入って覚悟をもってテロ対策しても再稼働を。民間ではなく国が肩代わりすることも考えるべき。」


「今回は奇妙な戦争だ。経済制裁はとんでもないこと。こちらのほうが戦争犯罪だ。関係のない一般市民が困る。そこにはルールもない。経済制裁は破壊力が大きい。まさに部分最適を追求した『合理的な愚か者』?」


「日本が大東亜戦争に追い込まれたときは石油禁輸といわれるが、一番困ったのは日銀がニューヨークに置いていた金を決済できなくなったこと。当時のアチソン財務次官が自分たちの手柄のために厳しいことをやった。これが日本を戦争に追い込んだのが真相。」


「今回は、これと近いことをやっている。各中銀に置いているロシアの準備資産。価値保蔵手段としての有効性について、戦争の道具として、そのフリーアクセスを国がとめた。アフガンはドル以外へと準備を回した。『テールヘビーリスク』が顕在化した。ロシアの1,000億ドルの外準はウクライナに回す…?そうなると基軸通貨への信用が傷つく。」


「金為替本位制がニクソンショックで『米国債本位制』になっていた。その米国債や米国資産に対するアクセスを禁じたら…この体制も終焉した。いまとは違う通貨体制ができるとウォール街が言い出している。外貨準備を安全保障の手段にしたことは基軸通貨ではなくなることを意味する。」


「この中で、デジタル人民元の動きが活発化する。サウジが人民元建ての取引を急に始めた、人権で脛に傷を持つ国である。BRICsは結構、制裁に参加していない。その中で中国がへたっている。米国の制裁が怖いからだ。ロシアの味方をするだろうという思惑で、投資マネーが中国から引き揚げている。中東はダブルスタンダードだ。アフガン、シリアの難民を西側はどれぐらい受け容れてくれたのか?…と。旧宗主国は何やってくれたのか、と。人口を考えると、制裁に反対している国のほうが多い。」


●ロシアの資源をバックとするデジタル人民元~ブレトンウッズ3.0と「松田プラン」~

「秩序の再編が進む。BRICsは自主性の高い経済圏だ。人口大国。これだけで回ると、『ブレトンウッズ3.0』、コモディティで回る経済圏になる。天然ガスの決済をルーブルで、と言うプーチンは、その最初の動きだと歴史家は後世、評価するかもしれない。今までの秩序を維持しようとしている人々にとっては、今回、間違ったことをしてしまった。」


「通貨の価値とは、交換手段ではデジタル人民元が有用、価値保蔵手段は金為替、ペトロダラー。中国の人民元決済網であるCIPSに加え、ロシアの資源とリンクしたら、新しい通貨ができるかもしれない。米国債が通貨の価値であるというのは、そもそもトートロジーの極致だった。その米国債の価値を自ら毀損した。2014年のクリミア戦争でオバマ政権は今回のような制裁を考えたが、副作用が大きすぎてやめた経緯がある。価値は一夜にして崩壊する。幻想に疑いを抱かせると崩れる。ウォール街の連中が言い出した。」


「今回のようなかなり広い経済制裁は、やればやるほど米ドルと米ドル債の信認を毀損させていく。ドルの使い勝手を悪くする。相手を殴っていたら地面の底が抜けてしまう。」


「インフレ抑制のために米国がすごい勢いで中央銀行の資産圧縮を進めている。2017年のときは、それに伴い新興国が米国債を買ったが、今回はそれも起こらないだろう。オーバーキルのぎりぎりでFRBはやっていたが、このところ各国が米国債をあまり買っていない。各国が米国債を買わないとなると、オーバーキルそのものになる。」


…世界がこのように二つのブロックへと分断され、グローバルなエネルギー供給網も米ドル基軸通貨体制も弱体化していくとすれば、日本は安全保障面だけでなく、エネルギー面でも通貨面でも米国依存体制からの脱却をBプランとして進めていく必要があるでしょう。


当面は電力会社に任せず、政府主導で安全な原発再稼働へと踏み切るとともに(将来的には安全な次世代小型原発や水素などの新エネルギー体制を見据えつつ)、日本もデジタル人民元に対抗できるデジタル円を早急に実用化すべきです。


このデジタル円については、中国が運営し始めたブロックチェーンの世界共通基盤とは異なる、日本独自の国産ブロックチェーン基盤を整備し、その上で日本政府がマイナンバーのビッグデータと結びついた利便性の高い暗号通貨を発行するという「松田プラン」であることが不可欠です。その実現に向けて、まずは、私が代表理事を務めるデジタルアイデンティティ推進コンソーシアムが提案した技術によって来年3月に、日本国民のスマホにマイナンバーカードのアプリが装着されるようになることが、その第一歩になります。


弱体化する米ドル基軸体制を補完するものとして、ブロックチェーンの共通基盤を米国との協働で構築していくことも選択肢になるかもしれません。


本構想の実現に向けて、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存です。

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