• 松田学

フェーズを区分した「出口」へのロードマップ案~総理が国民に謝罪する前に~

案の定ではありましたが、緊急事態は延長戦に。かたや、コロナ震源地のはずの中国は経済活動を再開、あの欧米諸国もロックダウン緩和へ動いています。海外では、本来タブーのはずのコストとベネフィットのバランス論も出てきました。人口当たり死者数が欧米の数百分の1の日本の国民が未だに今後の活動の予定も立てられない・・・?総理は会見で謝罪していましたが、いったい何に謝罪しているのか、ピンと来ないところがありました。

ウィルスと付き合いながらどこまで活動が再開できるのか、フェーズを区分したロードマップ案を考えてみました。そろそろ「出口」のあとを考える段階かもしれません。

●安倍総理は何について謝罪したのか? 政府の緊急事態宣言で国民に活動の自粛を迫っているのに補償が十分でない!確かに、自粛措置を実際に可能にする上での経済的裏付けが必要なのは当然です。ただ、メディア世論の動向をみていて少し気になることがあります。自粛をするのは、国民誰しもが今回は被害者になるだけでなく、知らないうちに自ら加害者になる可能性が大きいから。これは自分自身や大切な人を守るためのこと。

安倍総理が会見の場で「当初予定した1か月で緊急事態宣言を終えることができず国民におわびする。首相として責任を痛感している」と述べたことが、この点を曖昧にし、政府依存体質を招かないか心配です。政府の責任なら、もっとカネを出せ・・・!日本人がモンスタークレイマー国民?にならないことを祈ります。

今回の敵は見えない敵ですが、敵から身を護るために塹壕にこもるよう指令を出していた隊長が、まだ敵がいるから引き続き外に出ないよう隊員に要請するときに、果たして謝罪するものなのか?しかも、今回は国民自身の行動によって結果が決まるもの。政府として責務を果たせる部分において謝罪すべき実態があるのであれば、それをきちんと明示して謝るのでなければ、下手をすると国民愚民視になりかねないのでは?と思います。何かあったのだとすれば、医療体制のことか、PCR検査のことだったのかもしれませんが…。

いずれにしても、こんなとき、国民と共に共通の敵と戦う一国のリーダーとして、自らの哲学を語りかけ、次への希望を国民と分かち合うメッセージを出すべきだったでしょう。

●新型コロナについてこれまでわかったことがいくつかある どうも、わからないことだらけの新型コロナですが、各界のさまざまな立場の論者との対談や医療の現場からの声も踏まえると、はっきりしていることがいくつか出てきました。

1) 欧米と日本とでは人口当たり死者数などの数字が二桁も違うこと。・・・科学的には理由は未解明のようですが、普通に考えれば、衛生状態とか国民皆保険で説明しきれない差異です。何か疫学的な裏付けがあると考えるのが科学的な態度ではないでしょうか。

BCG説に加え、最近ではHLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)説も出てきました。これは遺伝的に受け継がれるウィルスに対する抵抗因子のようなもので、欧米人と特定のアジア諸国(日本や韓国などの国々)の人々とで、新型コロナに対する抵抗力に大きな差異を生じさせているという見方です。もし、そうした原因があるなら、日本の現状は、暗闇で匍匐前進のなかで敵が見えないことを理由に、大砲バズーカを無闇に盲発砲しているようなもの。敵の数や武装の状況などが分かれば、ピストル以下で済むかもしれません。専門分野の方々には早く学術的な定説を確立してほしいものです。

2) 重症者に対する医療体制の強化こそが喫緊の課題であること。・・・人工呼吸器、ICU、ECMOなどの機器数やスタッフの数、PCRの検査体制、感染症患者用のベッド、隔離施設等々、日本が感染症に対する日頃からの備えがあまりに不十分だったことが露呈しました。平時における経済合理性を超えた有事対応が医療分野にも必要でした。日本には、米国や台湾や韓国のような強力な省庁横断的司令塔と実働部隊を兼ねた組織もありません。

3) 現在のような外出自粛状態を長く続ければ、経済社会は(社会心理的な面も含めて)取り返しのつかない崩壊へと進むこと。・・・顕在化していないものも含め、犯罪、精神疾患、倒産や失業がすでに増えています。これは「出口」以降の復元力をも大きく損なうでしょう。経済不振で増える自殺者数は新型コロナの死者数より2桁多くなるかもしれません。

4) そうした犠牲を小さくし、経済社会や人間の復元力を高めるためにも、いま政治がなすべきことは、自粛期間中であっても、今後の展望をもう少し具体的に国民に示すこと。

●日本政府は「出口」に向けたロードマップの提示を ここで、政府が国民に示してほしい、緊急事態宣言から終息までのフェーズを区分したロードマップを提案してみたいと思います。

これは、国民が今後の自らの行動の目安を立てられるよう、やって良いことを列挙する「ポジティブリスト」と、これ以外ならやって良いという意味でやってはいけないことを列挙する「ネガティブリスト」の二つの方式を併用する案です。日本の自衛隊の場合、専守防衛の立場からやって良いことだけがポジティブリストとして示されているため、実際に何が起こるか分からない現場での適切な即時対応力が損われていると言われます。ネガティブリスト方式への転換で自衛隊の行動の自由度を高めることが国防力の強化につながるということは、私もかつて衆議院議員として主張していたことです。

私は専門家ではないので、ここで示すステップ・バイ・ステップでフェーズ別に活動を順次、条件付きで再開させていく案は、あくまで議論のための大雑把なたたき台です。

まず、政府として次のメッセージを国民に発出してはどうでしょうか。

(1)「元々『風邪は万病の元』…風邪もインフルエンザも特効薬は無い。ワクチンも効かない場合がある。」 …医療現場の医師に聞くと、通常は、患者の様子をみて、ただの風邪かインフルかを判断し、ウィルスと自ら戦う力をサポートする薬を渡しているだけだそうです。私の友人の某国立大学病院内科の高名な臨床医のA氏は、自分はワクチンを打ったことはないのにインフルに罹ったことはないと言っています。日本でインフルエンザが流行する原因は、医療機関へのアクセスが良すぎることによる院内感染だそうです。

(2)「国は重症者対策を強化し、国民は状況をうまくコントロールしながら2年程度、新型コロナと付き合うことを覚悟する」 …これだけ広がった新型コロナウィルスを根絶することは不可能です。集団免疫の状態になることにしか、真の終息はありません。

(3)「国は感染症防止システムの備えを強化する。国民はそのための負担増に合意する。」

(4)「免疫力強化国民運動を展開する。」…A氏は運動とアミノ酸の接取を勧めています。


(5)「当分の間は水際対策を維持する。海外の動向を見ながら適宜、障壁を緩和していく。」  …A氏は早くから、日本では武漢ウィルスは水際で阻止されており、PCR陽性反応は、その多くが、ただの風邪の原因である日本土着の未解明のコロナウィルスだとしていました。その後、欧州などからの帰国者が持ち込みましたが、その国内感染も一段落しているようです。この状態を維持することが感染爆発を防止する大前提だと思います。

(6)「日本国内では、ウィルスとの共存へ段階的な道を進める。その結果として、人間と社会のあり方は、新しいパラダイム(新常態・・・ニューノーマル)へと行き着く。」

●4つにフェーズを区分するポジティブ/ネガティブ・リスト方式を 以上の考え方のもとに、フェーズを次のように区分し、段階的に着地点に導きます。

<フェーズ1>緊急事態宣言(接触率8割減?)・・・厳しいポジティブリスト方式→「原則禁止、例外OKの中で、これとこれは良い」(現状:日用品の買物のための外出など)

<フェーズ2>準緊急事態?(接触率半減?)・・・緩やかなポジティブリスト方式→「原則禁止ではあるが、条件付きであれとこれこれなら良い」(OKの行動リストを増やす)

<フェーズ3>注意期間?(接触率2~3割減?)・・・厳しいネガティブリスト方式→「原則自由に転換するが、あれとこれこれはやってはいけない」

<フェーズ4>終息宣言(新常態)・・・緩やかなネガティブリスト→「これだけはしない」

今回のGW明けには間に合いませんでしたが、この案のフェーズ2では、例えば、同じ音楽イベントでも「三密」のライブハウスはリストに挙げず、演奏中に観客が話をしないクラシックコンサートなら、こういう対策をする(観客は全員がマスク、休憩時間は交替でロビーに、食事は出さない、歌手たちは陽性か抗体を確認、楽器奏者も管楽器以外はマスク・・・など)という条件付きでポジティブリストに入れます。あるいは、経済活動はオフィスの状況がこういう条件(出勤率は平時の半分、席の距離を空ける、出勤時間と退社時間を1時間ごとにグループ分け、換気設備、電話器やOA機器を共用しない・・・など)を満たしている出勤をポジティブリストに入れます。

次のフェーズ3では、例えば、コンサートなら「三密空間」のこれこれの形態は禁止としてネガティブリストに入れてあとはOK、経済活動ならこれこれの状態のオフィス勤務は禁止としてあとはOKとすることなどが考えられます。

最後のフェーズ4となると、例えば、吊革に触れたのに手を洗わない、咳やくしゃみをしているのにマスクを着けない、体調の悪い人に有給を取らせるのに病院の証明を求める(これまでもこれで医者に行くことが院内感染拡大の原因)といった、一種の社会的マナーを従来よりも強化した形でのネガティブリストを規範にする世界になります。インフルエンザに罹らないために、エイズから身を護るために、これまでも人々がやってはいけないことは何かということがあったのと同じです。選挙活動で候補者が不特定多数の選挙民と握手することはなくなるかもしれません。こうした「ニューノーマル」があちこちに生まれる。上記のプロセスを経ることで新しい社会に円滑に移行するでしょう。

●ニューノーマルへ、日本は世界のモデルを示せる国 メディアの報道やコロナ「バカ騒ぎ」に脅える国民の姿に辟易しているA氏に上記を送ったところ、珍しく、お褒めの言葉がありました。

「今後のフェーズ構想、非常に大事な出口戦略で、これこそ国会で議論されるべきと思います。目の前のNHKのニュースでアホな国会論戦を見せられ(皆、『私~我が党は頑張ってる』パフォーマンスばかり)、その思いを強くします。」

日本でも緊急事態宣言の延長に伴って、大阪府など独自の基準を設けて出口を模索する動きが出ていますが、それは出口の基準を明確化するだけで、では、出口のあと自分は何ができるのかを国民が考えたとき、内容が漠然としています。踏みきれるはずの行動にもなかなか踏み切れないのではないでしょうか。単に自粛を解除するだけなら感染爆発が再来するリスクがあります。グローバル社会の中で、水際規制もいつまでも続ければ日本は置いていかれるだけだと考えると、海外からもリスクが持ち込まれる可能性があります。

やはり自粛は一定程度残しつつ、可能な行動を明示することで経済社会とのバランスをとる必要があります。漸進的に変えていくこの案なら、リスクを減らしつつ着地点へと自由化していくことを国民が受け容れやすいと思います。具体的なポジネガリストについては、各省庁が感染症の専門家のアドバイスを受けながら、所管の各業界や国民の活動場面ごとに、今からでも策定に取り組み始めるべきでしょう。各省庁の出先機関や委任を受けた自治体が履行状況について抜き打ち調査をして、実効を担保してはいかがでしょうか。

いつまで現状が続くか見えないことも、いまや経済の足を引っ張る不確実性になっています。次のフェーズに何ができるかが見えるだけでもだいぶ違うと思います。欧州で唯一、集団免疫政策をとるスウェーデンの場合、イタリアや英国と同じく感染力が強い状態では、医療崩壊の危険性があると言われます。中国のみならず、活動再開へと動き出した欧米の場合、ロックダウン→解除→集団免疫なき状態で再び感染拡大→ロックダウン・・・を繰り返すリスクが大きいかもしれません。

それとは遠い状態にある日本には、日本ならではの対処方法もあるのでは?と思わないでもありません。科学的な根拠がないとされる「8割接触削減」を政府が漠然と唱えるよりも、国民の行動指針を具体的に示したほうが有効な対策になるのではないかと思います。

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