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  • 執筆者の写真松田学

日本はすでに集団免疫…!活動自粛こそが第二波を招く?~ウィズコロナの再定義を~

あのGo Toキャンペーンも東京都はダメ、緊急事態宣言の再発令の声まで上がっていますが、感染者が急増といっても、どうも事態を根本から見誤っている可能性がありそうです。安倍総理に「日本は集団免疫の状態にある」と説明された京大の上久保靖彦・特定教授が京都から松田政策研究所チャンネルのスタジオに来られ、対談をいたしました。詳細なデータ解析に基づいてファクトを積み上げた精緻な分析結果でした。


集団免疫のもとでは、PCR検査で陽性といっても、それは「感染者」ではなく、単なるウイルス暴露者。架空の脅威に怯え、異常な潔癖症状態になっている日本では、逆に、それが原因で「第二波」が来るリスクも…。常識?を覆す、あまりに衝撃的なお話でした。目下、日本も世界も最大の重要問題とは新型コロナですので、今回は、この上久保氏の分析を取り上げます。本当は何が起こってきたのか、今後どうすべきなのか…。


●S型→K型→G型で日本は集団免疫に

もし、これが本当だとすれば、すべてがひっくり返る…。安倍総理のブレーンである小川榮太郎さんから上久保靖彦特定教授(京都大学大学院医学研究科ビッグデータ医科学部門)の集団免疫説を聞いたときから、国民が早くこのことを共有しなければという思いが募り、小川氏を通じて、上久保氏ご本人に一般国民に語り掛けてほしいと要請いたしました。


この分析では、インフルエンザの流行曲線から、コロナが日本にどういう形で上陸したかを解析しています。まずは日本に弱毒型の2種のコロナウィルスが順次入り、免疫が達成され、日本が武漢や欧米型のウィルスに打ち勝ったことを証明しています。


コロナが流行るとインフルエンザの流行が止まる。これは、あたかもウイルスの世界で相互にコミュニケーションがなされているかのような現象ですが、科学的には「ウイルス干渉」で説明されます。インフルとコロナとは逆相関。すでに去年の12月に、インフルは抑制され始めていました。インフルに罹っているとインフルへの免疫が活発化してサイトカインが出てきて、ウィルスをやっつけようとして発熱する。これはコロナが入ってこれない状況を意味するそうです。反対に、コロナに感染すると、サイトカインが出てインフルが入れない。上久保氏の分析は、インフルの流行カーブの抑制の状況から、日本にコロナがいつ頃上陸し、感染していったかを立証したものです。


「すでに3月27日に論文を出しており、そこで世界のリスクマップも提示した。仮説で言っているのではなく、データ解析で証明されたもの。欧米も日本も高い確率で予測どおりになっている。仮説を主張しているのではない。データがすでにある。」どの国もインフルエンザはモニターされており、その抑制状況からコロナの蔓延を各国ごとに、日本では地域ごとに正確に把握できるようです。


それによると、昨年12月頃に武漢で発生した新型コロナウィルスには、少なくとも「S型」(さきがけ)、「K型」(かける)、「G型」(グローバル)があり、最初はS型が発生して世界に蔓延しました。これは無症状も多い弱毒ウイルスなので、インフルエンザに対する干渉も弱かったようです。


その後、S型から変異して発生したK型は、無症状か軽症で、中国で蔓延し、日本に入りました。普通の風邪のようなもので、罹っても気づかなかった人が多く、どうも風邪にかかったかもしれない?という程度のものだったそうですが、日本では1月に、インフルエンザ流行カーブを大きく抑制しました。これによる干渉がインフルを抑えたようです。


K型からさらに変異したのが恐ろしいG型。1月23日に武漢が閉鎖されたのは、これです(武漢G型)。これが上海で変異して、最初にイタリアに広がり、その後、欧州全体と米国で流行したのが欧米G型。今回の新型コロナの特徴である「スパイク」(とげ)が、ヒトの組織や細胞の受容体(ACE2)にはまり込み、感染しますが、そのスパイクのところで変異が起こっているようです。


日本ではK型で獲得した免疫がG型を迎え撃ったのですが、欧米にはK型が入らず、S型だけの免疫が逆にG型に対する抵抗力を弱め、パンデミックに至ったようです。


●日本の「危機管理の欠如」は正しく?緊急事態宣言は間違っていた…

集団免疫とは、感染が人口の一定比率まで広がると、感染した人々が獲得した免疫状態が壁になって、それ以上、感染が広がらない状態になっていることを意味します。集団免疫に達するために必要な感染者の人口比率は、そのウイルスの感染力が強ければ強いほど、高くなります。感染力を示すのがR0、つまり「基本再生産数」で、1人の感染者が、誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数です。


集団免疫に必要な人口比率(罹患率)は、1-1/R0で計算されます。R0=2.5なら60%で感染は止まります。欧米G型はR0が6.99ですので、集団免疫に必要な感染者の人口比率は85%、日本では人口の8割5分で1億人、すでにそこまで達していて、新型コロナの感染は止まっているということです。


緊急事態宣言のあと、日本の死亡者数は各県でゼロに近い状態です。現在行われている集団検査では、陽性者数としてカウントされる人数は増えていても、集団免疫ができていての陽性ですから、その方々は死亡しないとのこと。現在も死亡者数は増えていません。だいぶ前に感染した方が亡くなることはあっても、緊急事態宣言の解除のあと、普通の生活にかなり戻っている状態が結構、続いていますが、死亡者は新たには増えていません。


K型の場合、集団免疫に必要な人口比率は約55%とのこと。日本ではK型の集団免疫ができている状態で、集団免疫に必要な人口比率が約80~85%のG型が入りましたので、その差である約30%の人口に対して感染が広がり、G型に対しても集団免疫が出来上がっているというのが、上久保氏の分析結果です。


この過程をみると、日本にS型が入ったのが昨年12月23日頃で、K型が1月13日に日本に上陸、その日は、中国の当局が気づいて慌てて武漢を閉鎖した日でした。そのときに、武漢市1,000万人の人口のうち500万人が武漢市を出ており、うち成田に直行したのが9,000人。当時から、武漢からの渡航を日本が禁止した2月1日まで、中国から武漢経由で34万人が日本に入国しています。


武漢封鎖のときにはすでにたくさんの中国人が入っていましたが、昨年11月~3月にかけて中国人は184万人も日本に入国しています。イタリアや米国が2月の初めに中国からの全面的な入国禁止措置を講じたのに対し、日本の場合は3月8日と遅れ、K型が大量に日本に流入して感染が蔓延したようです。日本でのG型は、最初は武漢G型で50人が亡くなり、「オーバーシュート」が騒がれた「山」のときは欧米G型だったとのこと。


多くの方が指摘しているように、日本での新型コロナの感染のピークは3月末で、緊急事態宣言が出された4月7日にはピークを過ぎていたのですから、少なくともその頃には集団免疫に近づいていたということなのでしょう。緊急事態宣言も、その後続いた自粛、あるいは現在も続いている半自粛状態も、不要だったということになります。


●新型コロナから日本人を救ったT細胞免疫と欧米人を襲ったADE

上久保氏の分析で特に重要なのは、日本の人口当たり死者数が欧米より2桁も少ないという「世界の謎」の理由を疫学的に解明したことだと思います。


それを説明するのが、S型への免疫だけでは抗体依存性感染増強(ADE)が引き起こされてしまうこと。これは、抗体の助けを得てウイルスが爆発的に細胞に感染していく現象で、患者は「スーパースプレッダー」にもなり得るとのこと。重症化の原因だそうです。


欧米にはこのS型が十分に入った一方で、K型はあまり入りませんでした。理由は、イタリアが2月1日、米国が2月2日に、中国からの渡航を全面的に止めたこと。インフルエンザの流行がひどく、コロナK型の感染ができていなかったことも要因だったようです。K型の何が重要かといえば、「T細胞免疫」を強く活発化すること。


そもそも免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」(病原体への反応でできる免疫)とがあります。そして獲得免疫には、「T細胞免疫」と「B細胞免疫」(液性免疫)があり、抗体検査の「抗体」とは後者のことだそうです。サイトカインがT細胞からたくさん出てきて、ウイルスをがっつりと抑制することになりますが、K型が広がった日本人ではそれが起こっている。武漢G型も欧米G型も、それで撃退した。中国沿岸地方も、中国からK型が入った近くの国々も、日本と同じ状況なのだそうです。


中国からの全面的な渡航禁止が遅れた日本は、危機管理上なっていないと批判されてきましたが、結果論としては、これが最も幸いしたのかもしれません。台湾は2月1日に直ちに全面禁止にしたことで称賛されていますが、台湾の場合、その直前に、全面禁止の噂と同時に、もう帰れなくなると、多数の台湾人が中国から帰国したことがK型の蔓延に寄与したというのが上久保氏の見方です。


日本で抗原抗体検査をしても免疫がほとんど確認されないと言われますが、これはB細胞免疫のことであり、K型がもたらしたのはT細胞免疫なので、関係ないそうです。K型によるT細胞免疫で日本の集団免疫を説明する上久保氏は、自然免疫(遺伝のように生来獲得されている免疫など)にも、一部で有力説とされるBCG説にも否定的です。


今年に入って咳や痰が長く続いたという自覚症状がある日本人の場合、それがK型への感染だったようです。そこで免疫を獲得したとのこと。


●現在の日本の陽性者は「感染者」ではない~自粛がもたらした超過死亡~

では、私たち日本人はどうすればいいのか。さらに重要な上久保氏からの指摘は、この点に関わるものです。まず、ウイルスというものは、ずっとエンドレスに年間を通じて存在するものであり、S、K、G、そしてH…へと変異が続いていくものだとのこと。


免疫を獲得した状態でウイルスが侵入し、再暴露した場合、人体はそれを押し出そうとして、半日から1日程度、サイトカインで微熱が出る場合があるそうです。つまり、暴露してもウイルスを退治し、悪化しない。現在新宿などで行われている集団検査では、すでに免疫を獲得している無症状者たちをカウントしているだけのこと。陽性反応でも問題ない人たちであり、「感染者が増えた」といっても、これから1~2週間、死亡者数が変わらないことを確認してほしいと上久保氏は述べています。


「現時点で検査すれば、陽性率はものすごく高いはず。ウイルスが入った(暴露した)だけで陽性とカウントしても、意味がない。すでに日本人の85%が欧米G型に免疫となっている。たまたまG型が体内に入っていない人が陰性になっているだけのこと。」


「自分が免疫になっていることをもし確認したいなら、その証明は抗体検査ということになるが、調べるなら正しい抗体検査キットが必要だ。我々はそれを開発している。これまでの抗体検査は、陽性か陰性かの基準値を高く設定し過ぎているから、ほとんどの人が陰性(免疫ではない)になっているだけのこと。日本ではほとんどの人が抗体を持っているので、高すぎる設定になった。正しいキットは京大で用意している。検査とは、人間が、ここ以上が陽性、ここ以下が陰性と設定しているものに過ぎない。」


「超過死亡と言われるが、2~4月に、本来は手術や検査が必要な人がコロナで病院に行くのを控えてしまい、従来の治療を受けなかったことが原因。コロナで世間が驚き過ぎて医者にかからなかったのが超過死亡をもたらしたのであり、言われていることとは逆。」


「私は感染症の専門家と思われていなかったのか、専門家会議には入れなかった。何十万人も死ぬことはないと、当時から申し上げていた。三密、マスク…意味がなかった。」


●ウイルスにさらされ続けることが生存の道

こう述べる上久保氏は、「密」と言っても、ウイルスは30㎝の物体だとでも思われているのだろうか…?どこにも無数にいるのであり、離れたら届かないというものではなく、ウイルスは届くもの、満員電車で咳をしたら一挙に広がる、集団免疫ができていたら全く関係ないということを強調していました。


「日本は清潔だと言っているが、拭いた机の上で手術をするか?『三密禁止』といってもウイルスは見えないレベルでいっぱいいる。『三密』という言葉自体がおかしい。」


しかし、問題は、今のような自粛や鎖国を続けていれば、せっかくの集団免疫も崩れてしまいかねないことにあります。それを説明するのがブースター効果。これは、体内で一度つくられた免疫機能が、再度抗原に接触することで、さらに免疫機能を高めることを意味します。ウイルスに接触していないと、ブースター効果が得られず、逆の現象が起こる。2000年代に日本で麻疹が流行したのも、麻疹に罹患している人に接触する機会が失われて、ブースター効果による追加免疫をもてなくなったことによるものだったとされています。


ウイルスへの再暴露によるブースター効果で免疫が廃れないようにすることが、実は、日本の課題のようです。「ずっと閉め続け、絶対に暴露しないようにしようとすると、免疫は廃れる。活動してウイルスにさらすことが大事。接触してはならないというのがコロナではない。次々と上陸を続けて、ずっと暴露して、免疫を創っていく。コロナは人間と共生し続けているもの。何もない所にウイルスが入ったものではない…。」


今までの新型コロナ対策は全部、逆だということになります。


上久保氏の分析はすでに各所に説明しているそうですが、「何の根拠もなく否定する人たちが多いが、こちらは根拠を持っている。説明すると大抵は困られる。専門家の意見が大きいから。首相も大臣もご専門ではない。『専門家』が言うと無視しづらくなる。」


何よりも上久保氏が求めているのは、きちんと検証してほしいということ。「もし、検証によって本当に覆されることになるのであれば、潔く、自説を引っ込めます。」


●自然の摂理へ、「世界の謎」の一日も早い立証を

「世界の謎」の「謎」が謎であるままでは、何も前に進みません。「謎」は解明しなければならないですし、解明されれば、実は、私たちが異常に潔癖症になっている現状が、第二波を招く要因だということになるかもしれません。日本が集団免疫にあるなら、その認識は諸外国でも共有してほしいもの。その海外も、上久保氏によれば「あと1~2か月もすれば米国でも収まります…。」そういえば、松田政策研究所チャンネルで対談をしたケント・ギルバートさんも、米国は集団免疫になろうとしているとおっしゃっていましたが…。


やはり、ウイルスの問題解決は、ウイルスとの共存への自然なプロセスを経なければ達成できないものなのかもしれません。逆に、この自然の摂理に逆らうと大変なことになることが、人類にとっての今回の教訓になるのか…。ロックダウンという歴史上、ほとんど初めての挙に出た欧米は、K型を経なかったからこうなった…。それに対し、S型からK型を経てG型と共存したのが日本。しかし、その日本も、いまや暴露を極度に恐れ、次なるH型が未だ国内で検出されていないということが気になります。


「ウィズ・コロナ」と言われますが、その意味を根本から問い直す必要がありそうです。

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