• 松田学

ウクライナ紛争が長引く米国側の事情~日本人よ、プロパガンダ戦から目覚めよ~

ようやく3月21日に「まんぼう」が解除になりましたが、もう始まって2年以上も経つコロナ禍…。そのもとで、三度目の桜が咲き始めました。この騒ぎはPCR検査を続ける限り長引くでしょう。変異はずっと続くからです。かつてスペイン風邪が3年に及ぶことになった原因は、第一次世界大戦の末期に予防のため米国兵士たちに投与したアスピリンだったという説があります。


もう一つ、どうも長引くのではないかと指摘され始めたのがウクライナ紛争。これは、プーチンにとっては計算外のウクライナ側からの抵抗で長期化していますが、その背後に米国勢によるバックアップがあることは言うまでもありません。


いずれも事態を長引かせてきた要因は、事態収拾のための正義に基づく措置。その正当性は歴史が評価するものだと思いますが、それ自体は誰も非難できるものではないでしょう。ロシアによる侵攻から一か月を過ぎましたが、この間、私は情勢の背後にあるものは何かという発信や議論を続けてきました。やや残念なのは、「あなたや参政党はロシア支持なのか」などという声です。これには少し辟易しています。


プーチンがやったことは非難されるべきなのは当然ですが、その背景についての議論を陰謀論で片づけてしまうと、思考停止になってしまいます。それと「分析」とは異なります。分析をしなければ、そこで負け。日本が戦後、続けてきた敗北の構図です。戦争とは、そもそもプロパガンダ戦であることを忘れてはならないと思います。


ゼレンスキー大統領の国会での演説に与野党問わず、国会議員たちが皆さん感激していた様子に、違和感を覚えるのは私だけでしょうか。日本の政治家がこんなことだから、日本を騙すのは赤児の手をひねるようなもの…。事態の推移を冷静にみれば、プーチンにウクライナ侵攻をさせ、戦争を意図的に長引かせているのは米国なのではないか…。米国は本気で戦争を終わらせようとはせず、自らは不介入。何事もプーチンが悪いとのプロパガンダを巧みに展開しているのではないか…こんな見方が成り立たないわけではありません。ユーゴ紛争のとき、米国は意図的に戦争を長引かせましたが、今回も類似点が多々ある…。


米国の外交を決定してきたのは外交問題評議会(CFR)であり、第一次世界大戦後の世界秩序における正当性を彼らが考え、世界を米英秩序へと進めてきた…そこには鉄鋼、石油があり、金融も併せ、これらについて米英の影響下にないロシアを米英秩序に組み込もうとしてきた…。これが米国の外交の構造であることは陰謀論ではなく、まさにファクト…ジャーナリストの山口敬之氏の指摘です。バイデン氏の「プーチン氏、権力に居座るな」発言が波紋を呼んでいますが、グローバリストの本音がつい、現れたものかもしれません。


もう一つ、日本にとって今回の教訓は、米国は核武装国とは戦争しないということ。もし、中国や、最近ではICBM(大陸間弾道弾ミサイル)まで備え始めた北朝鮮が日本を攻撃しても、米国はこれらの国と戦ってくれるわけではない…。むしろ、今回の事態は、アフガンからの撤退でビジネスを失った軍事産業にとっては、通常兵器マーケットの拡大です。


では、実際の米国はどうなのか…今回は、前記山口氏の見方に加え、もう一つ、米国に長年在住し、現地事情に通じる山中泉氏の論評をご紹介します。プロパガンダを見破る心性を持つことこそ、日本が真の独立主論国家へと脱皮する最初のステップかもしれません。


●分析は非難や支持とは次元が異なる議論である~分析がないのは日本の敗北~

まず、ゼレンスキー大統領の国会での演説について、山口氏は…「侵略なのか侵攻なのか、国会がまず整理してから呼ばないと。一方的な侵略だから、その大統領の声を聴こうというなら、その整理をまず、議長がすべきではなかったか。米英仏はほとんど当事国。当事者として世論を喚起するという目的がある。日本はこの戦争には関係ない。単に米英べったりなら、主権国家ではなくなる。要するに、戦争とはプロパガンダである。国会が片方を呼ぶなら、呼ぶための理念がなければならない。」確かに、少なくとも何のために呼ぶのかぐらいは、日本の立場として国権の最高機関が明確にしておくべきだったでしょう。


紛争の原因として米国などの分析をすると、「プーチンが悪いんだから」という誹謗を山口氏も受けているようです。国境を超えた国際法違反は弁明のしようもないことですが、プーチンは頭がおかしい、酷い…だけでは、そこで思考が止まってしまいます。憤ってウクライナ支援をと叫ぶのは真っ当な感情ですが、では、なぜプーチンが侵攻に及んだのかについての分析をとめたら負けですし、分析自体を非難するのは筋違いでしょう。


以下、山口氏の「分析」を続けますと…「米国は戦争を止める努力をしていない。戦争が起きると言いながら、米軍は派遣せず、地上戦を望んだのが米国。長引くことを計算していたのは米国。ウクライナを紛争地にしたいという勢力が、この紛争を決定づけている。」


「トルコのエルドアン主導で和平へのイニシアチブの動きが出たが、元々、トルコにとってはすぐそばで起こっている事態であり、国益がかかっている。しかし、一番これができるのは米国。米軍が対応するといえば、この戦争は終わる。なぜ、米国は本気で戦争を終わらせることをしないのか。これはユーゴ紛争のときと全く同じ。とめる気がなく、戦争をさせている構図だ。かつての独ソ戦のように、両軍が前線で対峙するというのではなく、都市攻撃である。それは簡単ではない。兵糧戦。核を使わないとすぐには終わらない。」


「プーチンが狂ってきた、悪魔だということなら、そこで分析が終わる。そうなら、狂っているかどうかを分析しなければならない。民族的にロシアがおかしいという話になってしまう。指揮者のゲルギエフはプーチンの友達だということで、コンサートがキャンセルされた。プーチンの友達は全員が人間の屑なのか?それはすりこみである。当事国が敵国のリーダーを罵倒するのは仕方ないこと。日本がそれを真に受ける必要はない。」


●外交問題評議会(CFR)と米国という国家の構造

「プーチンは核を使う…?核=広島長崎と直結させているが、それは戦術核であり、パルスでインターネットや送電網を壊滅させるといったような、インフラを壊す核もある。昔の核と一緒くたにするのは軍事的な知識として間違っている。」


「第二次大戦以降どんな行動を米国がしてきたかをみると、いちばん参考になるとのはユーゴ。そのときの人たちがバイデン政権に引き継がれた。当時、地上戦をすべきだという勢力があった。NATOによる空爆はクリントン政権時であり、そのスピーチライターがブリンケン。その他、ヌーランドは今の国務次官、ブレジンスキーの息子がポーランド大使。ユーゴ紛争の際の哲学はスラブ民族の壊滅であった。」


「陰謀論者とかロシアの味方とか言われないように、ファクトだけをみても、その議論すら日本の報道ではあまりに足りない。米国は、プーチンが戦争を回避するファクターを退けてきた。そこから色々なものが見えてくる。米国はどう欧州と付き合ってきたのか。」


「米国の第一次大戦後の外交を創ってきたのは、ホワイトハウスと国務省とシンクタンク(ブルッキングスなど)。それらはロックフェラーやカーネギーのお金で設立され、今でも運営されている。CFR(外交問題評議会)は、ワシントンではなく、NYのロックフェラーが寄贈した建物に本部がある。CFRの者がバイデン政権の中枢に多数いる。」


「カーネギーは鉄鋼王、ロックフェラーは石油。鉄、石油、金融…これらはロシアだけが彼らの思い通りにならない、これがファクト。米国がどういう力学、哲学で外交を運営しているのか、歴史をさかのぼれば答はたくさん出てくる。CFR(Council on Foreign Relations)は、シンクタンクというのは一つの顔に過ぎず、全体のオーナーのような存在。他のシンクタンクは人材と知恵を提供。カウンシル(評議会)は物事を決める機構。米国の外交政策を決める。それも、鉄、石油、金融を牛耳っていた人たちが作ったもの。」


「米国にとって正当なものとは何なのか、米国のスタンダードを創ろうとしてできたのがCFR。これら業種の利益を反映するようになるのは当然だし、米国はそういう国なのである。それと異なったのがトランプだったから、全面的に否定された。」確かに、歴代米国政権のなかでトランプ政権は唯一、CFRの人間を政権に入れていなかった政権でした。「米国という国家の構造が日本ではわかりにくい。本質を知る人は陰謀論とされてしまう。」


●何十年も続くプロパガンダ戦に日本は目覚めるとき

ウクライナでのネオナチによるロシア系住民に対する弾圧についても、フェイクだと断ずる報道が多いですが、ウクライナにネオナチ組織があり、「人間の盾」として残虐行為をしていることを理由に、米国は支援しないと米国議会が決議したことがあるようです。


「これはファクトであり、ウクライナの女性兵士がナチスの紋章をつけているのが間違って流されて削除されたことも、ネオナチが殺害者だった事件の存在もファクト。ロシア系住民を殺害しているのはファクトとして米国自体が認めている。」


「アゾフ連隊が内務省の正規の準軍事組織であるのは公式に認められていることであり、マリウポリはアゾフ連隊の中核地。逃げ惑う妊婦や子どもたちの映像が流されているが、それがネオナチによる『人間の盾』ではないのか、検証が必要。あそこには外国人の記者が一人しかおらず、何らかのプロパガンダをNHKが背負ってしまっているかもしれない。米英からの膨大な情報を当事者でない国として検証するのは、ジャーナリズムの責任だ。」


「米国側は、無辜の市民を殺しているからプーチンは戦争犯罪だと言っているが、彼らは広島長崎と東京大空襲について、謝罪どころか検証もしていない。うやむやなまま70数年、これはすりこみに私たち日本人が敗けている証拠。今回も、日本人はちょろいな、また騙されていると高笑いしているのではないか。何十年にわたるプロパガンダにそろそろ目覚めるときではないか。戦争も外交も情報戦争だ。それをしている人たちを責めるよりは、眠り続けている日本人を目覚めさせるべき。」


「何かおかしいと気付き始めた人たちを減らす努力をプロパガンダでやっている。参政党の街頭演説に耳を傾けることは、プロパガンダに敗けないための大事な要素。」


「安倍特使のことも、制裁解除の段階で、日本の国益のためにカードとして温存する手がある。未来永劫、日本はロシアと手を切るわけではない。ロシアという国家自体は存続しているのだから。その点は日本としてもリザーブしておく必要がある。ロシアは絶対悪だから縁を切る?そのために子どもや妊婦が逃げ惑う姿をプロパガンダしている。」


●そもそもウクライナがNATOに加盟しなければ済む~「ハルノート」は米国の常套手段~

「中国は制裁反対でブレていない。インドや中国はあきらかに国益最優先、米英から批判されても国益が大事。中国に仲裁をと、本来戦争をとめられる人が言うのは、とめる気がないから。欧州で買わなくなった資源をインドや中国に買わせると、決定的なロシア崩壊はなく、戦争は長引く。資源価格の高騰は戦争に巻き込む準備だった。」


「領土的な考え方で中国とロシアは似ている。台湾、尖閣について中国はプーチンと同じことをいずれやらねばならない。彼がプーチンと同じカテゴリーなら、台湾を取ることを考えると、中国としてウクライナ紛争は早めに穏便に終わってほしい。穏便に終わるのは、中国の選択肢を広げることになる。米国としては、当然、対中国を意識している。」


「要するに、ウクライナがNATOに加盟しなければ済む話。メドベージェフはかつて、NATOとロシアが対立する関係をやめよう、もう対立はない、ロシアが攻めていくわけではない…として。ロシアはタマを何度も投げて、毎回、それを拒絶してきたのは米国。ユーゴの和平協議もほぼ同じだった。空爆を避けるための協議だったが、突然文書が出てきて、NATO軍がどこにでも駐在できるという内容。それは絶対に飲めないことであった。まさにユーゴ版『ハルノート』だった。当時、米国は明らかに、戦争に追い込んだ。」


「かつて『NATO東方拡大はロシアを絶対に暴発させる』という議論があったときに、ブレジンスキーは『暴発させよ、ロシアを西洋化して無害化すべきだ』と言った。CFRを拠点とする米英秩序に世界を染めていく。それはファクトであって、陰謀論ではない。」


「米国の外交の本質を見ていけばわかる。落ち着いた冷静な議論をすることが、日本が真の独立国になる最初のステップではないか。なぜ民間人を殺したと米国が非難する資格があるのか、日本にとっては、それが基本だ。」


●米国における「戦争をしたい勢力」の存在

では、現在の米国側の国内事情はどうなっているのか。「アメリカの終わり」の続編となる「アメリカの崩壊」を出版された山中泉さんに、一時帰国中のチャンスに、お話を伺いました。山中氏が指摘しているのは、やはり、グローバリスト勢力や米国の軍需産業のこと。民主党に多いのが「ロシアを許してはいけない」…。以下、山中氏のコメントです。


「彼らは第三次世界大戦まで考えて言っているのか。慎重なのは保守の方々に多い。軍事介入はしないとバイデンは最初から言っていたが、ロシアによる侵攻の兆候はつかんでいた。ロシア軍が出てくる、ただ、兵が少ない。プーチンは恐怖を使ってウクライナを征圧するだろうと予想されていた。『小さい侵攻なら、本当の侵攻とは違う態度で臨む』とバイデンは言ってしまった。それはロシアを呼び込むような結果になった。」


「日本のメディアがおかしいのは、『プーチンの頭がおかしい』…これは欧米の情報だ。そう示唆しているゴンドリーザ・ライスもグローバル勢力、ネオコンであり、ヒラリークリントンも、戦争を始めたい勢力…NATOとEUとともにプロパガンダ戦になった。」


「プーチンはNATOの東方拡大に対して、ロシアに隣接する国々は緩衝地帯としてほしかった。そこだけは加盟はやめてほしいというシグナルをプーチンは送ってきたが、それを完全に無視してきたというのはれっきとした事実。追いつめられての開戦だった。真珠湾攻撃をした背景など、日本の歴史も、あとになってわかったもの。」


「トランプは4年間、一度も大きな戦争を起こしていない。米国民主党は戦争を始めたい勢力。そして、大きな絵でみると、資源戦争だ。ロシアを敵にするとロシアは中国に近づくが、それでも、それで儲かる勢力がいる。ユダヤ系、ウォール街…。西側からのバックアップで戦争が長引いている。」


「軍だけは出せない。しかし、あれだけの軍備を出しているのだから、戦争は間接的に起きている。経済戦争ではルーブルの息の根をとめる…と。このロシア中央銀行に対する戦争を仕掛けているのは欧米。プーチンは、こうした制裁は宣戦布告だと言っている。」


「汚職度ではロシアとウクライナが突出して不正の国。この二つによるプロパガンダ戦争。一般の米国人、少なくともワシントンにいる人たちは、利権のことも、政府を動かす勢力の存在も認識している。米国を戦争に引きずり込もうという勢力がいる。」


「トランプが出てきたとき、彼は戦争をやらないと公約していた。そこで、トランプを蹴落とせとなった。ロシアによる大統領選挙に対する介入はヒラリーのでっち上げだったことが、最近、全部わかった。このでっち上げでトランプは動けなくなった。トランプはプーチンに対して、ウクライナ侵攻の願望について、それはできない相談だよと言っていた人だった。トランプ大統領は、ロシアとの関連を捏造されたことで、プーチンとコンタクトできなくなってしまった。バイデンが大統領になって、ロシアは侵攻した。」


●バイデンの中間選挙対策?米国内にも両論がある~自立を迫られる日本~

「帰国して、日本での報道で驚いた。立派な学者やジャーナリストたちが一方的な報道、感情的に煽る報道も。被害者の映像を大きく出して…大事なのはその背景にあるもの。」


「プーチンの要求はそれほど滅茶苦茶な要求ではないという米国識者の見方も出ている。プーチンは緩衝地帯がほしいといっているだけ。決して米国という国家やNATOが正しい対応をしていたわけではないという見方は、米国内にもある。米国で、『プーチンとバイデンのどちらが優勢か?』というアンケート調査をしたところ、圧倒的にプーチン優勢という答だった。米国人たちは、西側のプロパガンダを信じているわけではない。」


「11月には中間選挙がある。トランプは『2024年に期待する結果になる』と言っていた。大事なのはタイミングだが、最近では『私が出馬せざるを得ない状況になってきた』と言っている。バイデンの支持釣は30%ぐらいにまで落ちていた。狂乱物価とアフガンで…。バイデンは、コロナを理由に巨額予算を通し、今度は ウクライナを名目にした巨額予算。その中には、ポリコレのような予算がたくさん入っている。」


「現在は共和党優位とされる中間選挙での不確定要素は、ウクライナで米国も戦争を始めなければならなくなったと言うときが来ること。戦争を始めた大統領は、いつも支持率が上がる。バイデンは何ら自分の政略のためならなんでもやる。バイデンだけの判断ではないかもしれない。プーチン側が撤退しない限り、米国が軍事介入するシナリオも…。」


「そもそも、ウクライナに対して、米国には大きなインタレストはない。むしろ経済に打撃、それでも救うのか?いまは危険な綱渡り状態になっている。生物化学兵器、ヌーランドがウイルス研究所はあると言った。援助していないと言っているが…。武漢でも、そうではないと言っていたのがそうだった。バイデン親子はウクライナに巨大なエネルギー資源の利権。汚職の国だからウクライナには入りやすかった。弱みがバイデンにはある。だからバイデンはいろんな勢力に利用されることになる。」


「リーダーとしてのアメリカ、我々が抱いていた兄貴分のような存在というのは、もはや幻想。日本は明らかに自立が必要。参政党に期待している。」


…日本が頼りにしてきた米国の本質が、国際資本の利権に突き動かされて「世界のアングロサクソン化」を推進する米国であるとすれば、そして、その米国が核武装国とは戦争をせず、通常兵器ビジネスにも突き動かされる米国だとすれば…、日本は核シェアリングなども含めた軍事的な自立戦略の構築を否応なく迫られていると考えなければ、およそリアリズムとはいえないでしょう。


そのための国民合意の形成のために、「プロパガンダ戦からの目覚め」に向けた議論喚起に、今後とも務めてまいる所存です。

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